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9/12

後日談~それぞれの物語~<セレン>

初めまして。魔術師のセレンです。

あなたが、雑誌の記者さんですね?


バックナンバーを送ってくださって、ありがとうございます。

興味深く読ませていただきました。


ええ、私はおもしろいと思いました。

そうですね、女性の場合、どの程度強さやスキルを追求するのか、また結婚や出産をどうするのか、考えざるを得ませんから。

専業でも、兼業でも、冒険者としてどう将来を思い描くのか、その視点が盛り込まれているのが良いですね。しかも、押しつけがましくなく。


はい、次号も楽しみにしています。

そういえば、エルフの魔法や、ドワーフの魔道具で、冒険者に便利なものがあるの、きっとご存じですよね?


ええ、私の知っている方で良ければ、紹介します。

女性向けに便利なものも、いろいろあるようですよ。


そろそろ、本題ですか?


魔術の研究について、成果が出たものもあります。

実践魔術の方で、特に術が発動するまでの時間の短縮化についてですね。

呪文の詠唱でも、魔法陣の展開でも。

あとは、同時あるいは多重に、魔術を発動させる際の、それぞれの術の干渉について。


ええ、その通りです。境界解放の旅で試行錯誤したことが、基になってなっています。

それが、ここにつながっていますね。


当然、一定の成果が出るには、まだまだ途中のものがあります。

一生かかるのではと思われるテーマと、出会ったりもしました。


それ、お聞きになります? 私、止まらなくなりますよ?


でも、そうですね、私が雑誌の読者に伝えたいことがあるとすれば。

エルフの魔法は、魔術理論も、実践魔術も、凄いということです。

魔法が好きなのであれば、一度は訪れる価値のある国だと思います。


本当に、たくさんのことが学べます。

一気に視界が開ける感じ、といいますか。


ただ、他国の魔術師の受け入れ態勢は、まだこれから、ということになりますね。

紹介状があったほうが、良いでしょう。


あら、私が婚約したって、ご存じなのですか?

情報が早いですね。


いえ? お相手は、エルフの方ではありません。

ニンゲンの魔術師です。ええ、私と同じですね。


マギーやアストリッドは、本当にすごいと思います。

異種族の壁って、やっぱり大きいですよ。

お付き合いならともかく、結婚ともなるとさすがに。


え? インタビューですか、彼と一緒に?

長時間にはなりませんよね?

今日この後、時間がとれるかもしれません。確認してみましょう。


彼は、魔素の循環の研究をしています。

私、お恥ずかしながら、魔術理論でも、その辺りはあまり考えたことがなくて。

彼の理論は、古来からの研究を踏まえているのに、斬新で。

魔術伝承だけでなく、民間伝承も取り入れていて。

聞いているだけで、わくわくします。


彼、実践魔術も、なかなかなんですよ。

攻撃もできますけれど、もっぱら防御と結界ですね。あと特殊系も。

特に結界がすごくて。

私も結界はそれなりに使いますけれど、彼の術の構築には惚れ惚れしてしまいます。


はい、とても。彼のこと好きですよ。

べたぼれ、そんな風に見えますか?

では、きっとそうですね。


私は、ずっと戦ってきたような気がします。父や兄に、認めてもらうために。


でも今は。

戦わなくてもいいって、ラクですね。


逃げだという人も、いるかもしれません。

もちろん、戦いたい人なら、そいういう場に身を置けばいいと思いますけれど。


でも私は、ここが好きです。

私はここで、できることがある。それは確かですから。



私から見た皆について、ですか?


先ほども言いましたけれど、マギーとアストリッドはすごいと思います。

ナターリエとレイアは、私と同じく、自らのスキルを活かす道を選びましたね。


リーナは何というか。

あの子、あれだけの力があるのに、自覚がないんですもの。見ていて、あぶなっかしくて。

あ、これについては記事には載せないでくださいね。


今、リーナが剣聖とパーティーを組んでいるのは、ご存じですよね?

一年前、面倒見のいいレイアが剣聖の情報を集めてきて、皆で協議したんですよ。


もちろん。皆気づいていたに決まってるじゃないですか、剣聖がリーナのこと気に入ってるって。

彼ならリーナを大切にすると判断したから、皆何も言わなかったんです。

まあ、リーナが彼を気に入るかどうかは、誰も判断がつかなかったんですけれどね。


最後にメッセージですか?

魔術関連で困ったことや面白そうなことがあれば、ぜひ連絡を。

一度、その旨の手紙は送っていますけれど、念のため。





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