3通目<魔術師セレン>からの手紙
勇者様にお伝えしたいことを、手紙に綴ります。
女が魔術師になどなれるわけがないという父や兄を見返したくて、必死に修行に励んできました。
そのため勇者様にも、魔術理論の講義や実践を、何度もお願いしてきました。
勇者様の魔術理論は斬新で、そうですね、私の考え方も随分と柔軟になったのではないでしょうか。
でも、勇者様が教えてくださったことはもう一つあるのです。
私は魔術が好きだと、気づかせてくださったこと。
ええ、私は魔術が好きです。父も兄も関係なく、大好きなのです。
だから私は、エルフの国に行くことに決めました。
境界を解放したパーティーの一員として、エルフの方に声をかけていただいたのです。
好きなものに素直になること、勇者様が教えてくださったその気持ちのままに、
私は私の望みを叶えに行きます。
急にパーティーを離脱することになってしまい、それだけは申し訳ないのですが。
でも、勇者様はきっと、私を応援してくださると信じています。
今まで、ありがとうございました。
最大限の感謝を勇者様に捧げます。
P.S.
勇者様のことかなり好みだったのですが、もっと好みの方を見つけました!
エルフ側の、境界解放パーティーの方です。
好きな気持ちに素直になって、行動してみますね。