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2通目<剣士アストリッド>からの手紙
前略
私にも転機が来たようだ。
今まで、剣の腕を磨くことしか頭になかったが、境界を解放する大役は果たした。
これからのことを考える、ちょうどいい時期だと思っている。
君には、感謝している。
君が剣の相手をしてくれたおかげで、私はここまで到達することができた。
本当にありがとう。
これからも剣の腕を磨き続けるのは変わらない。
ただそれだけではなく、私が今まで得てきたものを、誰かに与えてみたいと思っているんだ。
例えば、子どもたちに剣を教えるとか、そんなことだ。
実は、竜人のヒトから、自分の子どもを産まないかと言われた。いわゆるプロポーズだな。
私は放っておいたら、きっと剣のことしか頭にないまま一生を過ごすだろう。
せっかくプロポーズというものをいただいたのだから、結婚に挑戦してみるのもまた良い。
つまり、いうなれば、その、私は彼のことを好ましく思っているんだ。
本日をもって、私はパーティーを離脱する。
君の武運を祈る。
P.S.
竜人国に来たら声をかけてほしい。歓迎する。
その時にはまた、手合わせをお願いしたい。