自由への第一歩
・88・
side:エレナ・ルーシュ
「・・・・・」
集中し、手元の物体を動かすことにのみ、意識を向ける
そして、十分だと感じ、魔力の供給を切ると、手にあった物体は元の球体に戻る
「なんとか、動かすことはできるようになった、でも・・・」
動かすことはできても、まだほかのことに意識を向けることはできない
「とりあえず、三日たったから、ミーシャさんのところに行こうかな」
ミーシャさんは三日たってから、この先のことは考えると言っていたので、とりあえず今の成果をみせにいく
「ひとりで行けるのか?」
「うん、練習もしたいし」
集中さえすれば、まだ歩くことはできないが、車いすを動かすことはなんとかできる、なので練習がてら、一人でミーシャさんのところに向かう
「それでも、一応、ついていくよ」
「わかった、ありがとう」
もしかして、途中で何か起こるかもしれないので、確かにお姉ちゃんについてきてもらった方がいいだろう
「問題なさそう」
一応できるとは思っていたが、初めて車いすを操作したが、特に難しくはなく、ちゃんとヴァレンティ家に到着する
「ん、来たにゃね」
門の近くでミーシャさんはいたので、すぐに私が到着したことに気が付いた
「とりあえず、どのくらいできてるか、見せてみるにゃ」
さっそく、前と同じ広いところに移動して、ミーシャさんに、この三日の成果を見せる
「うん、なかなか筋がいいにゃね」
思ったよりも私の呑み込みが良かったようで、ほめてくれる
「それじゃあ、今後の計画をしていくにゃ」
「わかりました」
とりあえず、今は集中さえすれば、自由には動かせるが、それ以外のことを並行してすることはできないので、次はそれの練習、それに加えてもう一つ同じボールをもらい、それを武器として使用することも練習していくようだ
「これからは、毎日ここに来るといいにゃ、そうだ、もし来るのが面倒なら、ここに住むといいにゃ」
「ここにって、この屋敷ですか?」
「そうだにゃ、部屋が多くて、空いている部屋も多いし、ここに住んだ方が時間を無駄にしなくて済むにゃ」
確かに、ここに住めば、もし練習に詰まればすぐに聞くこともできるし、練習の度合いもすぐに見てもらえるのでメリットはある
「それじゃあ、お世話になってもいいですか?」
今はとりあえず、これを早くうまく扱えるようになって自由に動けるようになりたい、なのでここでお世話になり、なるべく早く思い通りに動かせるように練習していく
「って言っても、結構家は近いから、帰りたいときは帰るといいにゃ」
今では車いすなので、数分かかるが、歩けるようになると、もっと短い時間で行き来はできると思うので、それまではこっちでお世話になることにしようと思う
「それじゃ、さっそく始めるにゃ、とりあえずは、数日は同じ練習になるかもにゃ」
時間も惜しいので、すぐさま練習に入る
「まずは、それを左手の上におくにゃ」
言われた通りにボールを左手の上に右手で補いながらなんとか置く
「まずは、その左手で、魔力を流す練習にゃ」
そういえば、確かに始めてから右手でしかこれを扱ってこなかったので、動かない左手でできるかどうかわからない
「左手に・・・集中・・・」
右手でやる時よりも難易度は高くなり、そもそもきちんと魔力が流せているのかがあまりわからない
「大丈夫にゃ、ちゃんと魔力は流れているにゃ」
ちゃんと魔力の流れを見ていてくれたようで、問題なくできていることを教えてくれる
「そのまま、イメージするにゃ、左手を覆う、手袋のようなものを」
言われるがままにイメージし、できるだけ均等な薄さになるように、徐々に左手を覆っていく
なんとか左手首まで覆うことができたが、少し暑さがいびつになってしまう
「まあ、今はそれでいいにゃ、そのまま形を変えていくにゃ、まずは指を動かしてみるにゃ」
その手を覆ったまま、はじめは小さな動きからやっていくことになる
だが
「あ・・・」
指を動かす前に、手を覆っていたものが元の形に戻ってしまう
「さすがに難しかったにゃ?」
「はい、少し・・・」
今迄は自由に動かすだけだったが今回は手を覆ってちゃんとした動きをする、そっちの方が断然難しく、簡単にはできなかった
「まあ、そういうもんだにゃ」
「もう一回、やってみます」
「ちょっと席外すから、もどってくるまで続けてるにゃ」
ミーシャさんはどこかに行き、
「集中・・・・」
一人になり、より集中し、再度手を覆い始める
(なんとか、覆えた)
きれいに覆うことは成功する、ただ、そこから指を一本ずつ動かすのはまだできなかった
「はあ、慣れれば、できるのかな?」
今のところ、自由に動かすなど到底思えないほど細かに動かすのが難しい
「それでも、頑張らないと」
今は、この方法しか、自由に動けるようになる方法はわからないので、難しくても、続けなければならない
そこから、数時間が経ち、ミーシャさんが戻ってくる
「お疲れ様にゃ、進捗はどうにゃ?」
「おかえりなさい、そうですね、なんとか手を覆うのは少し慣れました」
「へえ、いい調子にゃ」
以外にもこれに慣れるのは早かったらしく、それをほめてくれる
「この調子でいけば、予定よりも早く左半身を動かすことはできそうにゃね」
「本当ですか?」
そういわれても、自分ではうまくできる自信はない
「一度、コツをつかめば簡単になるにゃ」
確かに、手を自由に動かせるようになれば、足もなんとか動かせるようにはなると思う
「それじゃあ、意外に早く進みそうだから、明日は他のことするにゃ」
ほかのこととなると、もう一つの方を使って、武器にする練習だろうか、それを聞こうとする前に、ミーシャさんはそそくさと屋敷の中に戻っていった
「私、どうすればいいんだろう?」
今日は多分この屋敷に泊ることになるが、どうすればいいのかわからなく、とりあえず、車いすを動かして玄関の方に向かう
「エレナ様ですね?」
玄関から中に入ると、一人のメイド服の女性が立っており、私の名前を確認してきた
「え、あ、はい、そうです」
「かしこまりました、それではお部屋にご案内いたします」
言われるがまま、車いすを押され、屋敷の中を連れていかれる
「お食事はどういたしますか? 移動が大変なら、お部屋にお運びいたしますが」
「えーっと、それじゃあ、運んでもらってもいいですか?」
「かしこまりました」
さすがに、今日は少し疲れたので、少しでも休むために部屋に食事を持ってきてもらう
「それでは、何かございましたら、そこにあるベルを鳴らしてください」
そういって、メイドさんは部屋を出ていった
「少し、休もうかな」
思ったよりも集中することで体力を使い、疲れてしまっていた、なので、食事が来るまで休むことにして、ベッドに横になり、すぐに眠りにつく




