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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第4章 全ての始まり
97/128

力をつけるため

・87・

side:エレナ・ルーシュ


 

 一枚目の手紙をめくり、もう一枚の手紙を読み始める


 簡潔に書くと、今、アルカは強くなるために修行をしている。

 君がアルカに会えるのは、大体二年後になると思う。正確な日時はまたわかったらアイシャたちに伝えてもらうよ、その時にアルカにその剣を返してほしい

 その時、もしもの時のために自衛手段を持っていてほしい。最悪の場合、アルカを失う可能性も出てくるが、君が強ければ強いほど、その可能性は低くなってくるはずだ。

 誰かに教わるのがいいが、もし誰もあてがなければ、話しは通してあるからヴァレンティ家を頼ってくれてかまわない。

 こっちの都合で申し訳ないけど、許してほしい。

 あと一つ、その剣をアルカに返すまで、君は絶対に死ぬことはない、何があっても必ず生き残る運命になっている。




 手紙を読み終わって、便箋の中に戻す


 簡単に言えば、アルカに会えるのは大体二年それまでに出来たら強くなっていてと


 「アルカが、死ぬかも?」


 手紙の一部分の内容に注目する


 「ううん、可能性があるってだけ」


 そう、手紙には、アルカが死ぬ”可能性”があるってだけ、それに、手紙には私が強くなればその可能性も低くなると書いてある


  「でも、強くなるって言っても、この体じゃ・・・」


 今の左半身が使えないままじゃ、武器を使うこともできないし、そもそも自由に動き回ることもできない


 「魔法も・・・」


 理由はわからないが、魔力を練って、魔法を放とうとしても、体から放出される瞬間に形が崩れて魔素だけが霧散していく


 「これも、呪いのせい?」


 以前は問題なく魔法も放てていた、目覚めてからこうなったので、おそらく理由はこの呪いのせいだろう


 「どうすればいいんだろう・・・」


 手紙の内容から、もしかしたらアルカが死ぬかもしれない、それならば強くなるのに悩む必要はないのだが、どうすればいいのか見当もつかない


 「とりあえず、一回このヴァレンティ家っていうところ、行ってみようかな・・・あ、でも場所知らないや」


 なんだか、この手紙を読んでから、少し心も落ち着いてきて、ちゃんと考えられるようになってきた


 今はとりあえず、この手紙通り、強くなるために行動することにする


 「お姉ちゃーん」


 自分では車いすで移動は困難なので、お姉ちゃんをよぶ


 「ん? もう読み終わったのか?」


 「うん、あのね、ヴァレンティ家ってところに行きたいんだけど、場所知ってる?」


 「うん、知ってるけど、今から行くの?」


 どうやらお姉ちゃんが場所を知っているようなので、連れて行ってもらう


 そこから移動し


 「ついたぞ」


 意外と遠くはなかったようで、数十分で到着する


 「でっかいね」


 そこにはかなりの大きさの屋敷があり、多分貴族か何かなのだろうか


 「あ、さっそく来たんだね」


 門のところに行くと、そこにはアイシャ先生がいて、出迎えてくれる


 「あれ、アイシャ先生の家だったんですか?」


 たしかに、いつだったか、


 「そうだよ、まあ、私の家ってより、私が住んでいる家かな」

 

 「? そうですか、それよりも、私はどうしたら?」


 強くなると言っても、具体的に何をすればいいのかもわからないし、ここにきて何をすればいいのかもわからない

 

 「そうだね、まずはミーシャのところに行った方がいいかも」


 「ミーシャさんのところに?」


 メイナの問題のときにお世話になって以来久々に会う、あの人なら、今の状況でもなんとか強くなる方法を知っているかもしれないらしい


 「まあ、一応戦いに関しての知識はすごいからね、今の君に必要なことを教えてくれるよ」


 「そうなんですね」


 今の私に必要なこと、今では思いつかないが、どんなものだろうか


 「あ、いた」

 

 一本の大きな木の上で足を組んで瞑想をしているミーシャさんがそこにいた


 「ん? アイシャ?」


 「エレナ、連れてきたよ」


 「もう、来たんだね」


 木から降りてきて、エレナの元に近づいてくる


 「・・・・」


 そして、私の体を触りながら観察される


 (なんだか、元気がなさそう?)


 ミーシャさんの顔を見てみると、前にあった時とは明らかに違い、元気がないようだった


 「ミーシャ、無理そうなら、ほかの人に頼むけど」


 アイシャ先生も、ミーシャさんの気づいているようで、そう声をかける


 「いや、大丈夫にゃ」


 観察が終わったようで、気の近くに置いていたカバンのところまで歩いていく


 「魔力を練ることはできるにゃ?」


 そして、その中から、ボールのようなものを取り出して、こちらに渡してくる


 「えっと、はい、体の中でなら大丈夫です」


 魔法を放つことはできないが、魔力を練ることは可能で、それを放つことはできないが、体の中にとどめておくことはできる


 「なら、当分はこれを使って、修行するにゃ」


 「これは?」


 「名前はない、適当に呼んでいいにゃ、これに魔力を通すと、好きな形、強度、大きさに自由にできる金属にゃ」


 このボールについての説明を受け、ある程度理解する


 「なるほど、これで、左半身を補えばいいんですか?」


 「まあ、そうにゃ、慣れれば、歩けるようになるにゃ」


 自由にできるなら、それを左半身に蔽えば、多分歩くこともできると思う


 「でも、それって、簡単じゃないですよね?」


 どんなふうにそれを実現できるかどうかわからないが、おそらく簡単にはいかないだろう


 「もちろんにゃ、その形を維持するには、常に魔力を流す必要があるにゃ、一瞬でも止めれば、元の球体に戻るにゃ」


 「・・・・・」


 一度、ボールに魔力を通してみる


 が、いくら魔力を通しても、球体以外の他の形にはならなかった


 「あいまいなイメージじゃだめにゃ、より鮮明に、より明確に頭で思い浮かべながら魔力を流すにゃ」


 そういわれても、一応はイメージしたのだが


 「はじめは簡単なものでいいにゃ」


 「わかりました」


 簡単なもの、とりあえず今の丸い状態から、四角のキューブにしてみる

 

 「できまし、あ・・・」


 なんとか四角にできたことをミーシャさんに報告しようとした瞬間に、元の球体に戻ってしまう


 「ほかのことをしている最中も、常に集中しなきゃだめだにゃ」


 確かに、声を出した瞬間に、一瞬そっちに意識をそらした、それでもほんの一瞬である

 

 「難しいですね・・・」


 「そりゃ、慣れないと、絶対にできないにゃよ」


 先ほどの四角のキューブを作るのでさえ結構難しく、それを維持することもできなかったのに、それよりも難しいものを作るのは、簡単にはできないだろう


 「とりあえず、ずっとそれの練習してるにゃ、それが扱えるようにならないと、何もできないにゃ」


 「わかりました、日常でも、使ってればいいですか?」


 「そうにゃ、まずは左半身に蔽う練習、それに慣れてきたら、それを動かす練習をするにゃ」


 「それ以外は何をすれば?」


 「今は、それだけでいいにゃ、もし何かしたいなら、この本でも読んでるといいにゃ、いろいろな知識をつけるのも、いい修行になるにゃ」


 そういって、先ほどこのボールが入っていたカバンを車いすにかけてくれる、その中に本が入っているのだろう


 「とりあえず、三日頑張ってみて、その進捗具合で、その先のことも考えるにゃ」


 「わかりました、ありがとうございます」


 今日は、これだけで終わりということになり、もう帰ることになった


 「明日からも、また行くのか?」


 「ううん、とりあえず、三日は自分だけでやれって」


 「そうか、がんばってな」


 お姉ちゃんに車いすを押されて、家へと戻っていく


 「これがあれば、また歩けるようになるかな・・・」


 うまく扱えるかどうかわからないが、慣れれば、自由に動かすことができると言っていたので、もしかしたら、また前みたいに自由に動けるかもしれない


 そう信じ、この、球体金属の操作の練習をはじめることになった

 

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