手紙と一振りの剣
・86・
side:エレナ・ルーシュ
「どうしたの!?」
私が倒れた時、一緒に近くにあった車いすにぶつかり、それで大きな音がする
その音で、何か異変があったと思ったのか、すぐにさっきの女の人が部屋に入ってくる
「・・・・・ねえ、どうして、私がこんな目に合ってるんですか?」
この人に言っても、何もわかるとは思っていないが、言葉にせずにはいられなかった
「・・・・」
そのまま、何も言わず、体を起こすのを手伝ってくれ、車いすまで運んでくれる
「ぜったい、治してみせるから、諦めないで」
手を取って改めてそう言ってくれる
「一回、外の空気を吸いに行こう?」
脱いでいた服を着させてもらい、そのあと、部屋を出る
「エレナ・・・大丈夫?」
いつの間にかお姉ちゃんも来ていたようで、部屋を出てすぐに駆け寄ってくる
「・・・お姉ちゃん」
お姉ちゃんは心配しているが、今は何かを言う気が起きない
「一度、家に帰ろう?」
お姉ちゃんが車いすを押して、教会から出ていく
「セレス、あとで行くから」
「わかりました」
そこから気が付いたら、もう家についていた
(そうだ、アルカ・・・)
アルカはここに一緒に住んでいた、だから、きっと今もここにいるはずだと思い、急ぐ気持ちがあるが、その思いとは反して、自分では歩くことができない
「エレナ、おかえり」
お姉ちゃんが改めて、家に帰ってきたことを迎えてくれる
「・・・ねえ、お姉ちゃん」
家に入った瞬間、気づいたことがある
「アルカは、どこにいるの?」
数日、この家に出入りした人はいない、私が覚えている最後の記憶、アルカの誕生日パーティーの準備のままだったからだ
「アルカは・・・、それよりも、一旦着替えようか」
アルカのことを聞くと、お姉ちゃんは言い淀み、ごまかしてくる
「ねえ、お姉ちゃん・・・」
「アルカのことは、この後、アイシャさんが教えてくれる、だから、それまで待ってくれる?」
「・・・わかった」
アイシャ先生がアルカのことを知っていて、教えてくれるのなら、それでいい
「すこし、寝てていい?」
「うん、ゆっくり休むといいよ」
少し気持ちを整理したい、とりあえず横になって休んでおく
「・・・・・・」
やすむことで、考えることに集中できるかと思ったが、無理だった、何も考えられず時間だけが過ぎていく、ただ、少しだけ気持ちは落ち着いたような気がする
そのまま数十分が経ち
「エレナ、起きてる?」
部屋にお姉ちゃんがきて、私が起きているのか確認してくる
「うん、起きてるよ」
「よかった、アイシャさんが来たんだけど、これそう?」
「わかった」
どうやら何か用事があるのかアイシャ先生が来たようで、部屋を出る
「お待たせしました」
「待ってないよ、それじゃあ、すぐにでも知りたいと思うし、始めましょうか」
そういって、アイシャ先生がいちまいの手紙と、剣を取り出す
「と言っても、私が伝えれることはないんだけどね、あなたの知りたいことは全部ここに書いてると思うわ、アルカのことも」
アルカのことが書いていると聞き、すぐに手紙を受け取り、それを読もうとしたが
「まって、まずこっちの説明もするわね」
手紙を読む前に、先に剣についての説明を受ける
「まあこっちも剣の説明はその手紙の方が良く分かると思うから、注意事項だけ」
「この剣は、肌身離さず持ってて、まあ、多分その手紙を読んだら離さなくなるとは思うけど」
「?」
まだ手紙を読んでいないので、その理由はわからないが、とりあえず話の続きを聞く
「あと、絶対にこの剣は抜かないでね」
「わ、わかりました」
その点だけよくよく注意される、この剣を抜いてはいけないよほどの理由があるのだろう
「大体はそんな感じかな、じゃあ、あとはゆっくり読むといい、それと・・・」
アイシャ先生が用事が住んだと、席を立ち、立ち去る前に一言告げる
「もしその剣を抜きたくなったら、もしもの時のために、私たちの前で抜いてね、それじゃ、またね」
そう言い残し、アイシャ先生は去っていく
「私も、少し出てくるから、ゆっくり読むといいわ」
アイシャ先生に続いて、お姉ちゃんも家から出ていく、おそらくこの手紙の内容をしっているからだろう
「・・・はあ」
手紙の内容は、ある程度予想できる、アルカのことが書いているのだろう
「本当に、読んでいいの?」
何が書かれているかはわからないが、なぜか手紙を開こうとする手が動かない
心の中で、この手紙を読みたくないと思っているのだろうか
「すぅ、はぁ」
一度深呼吸をして、心を落ち着かせる
そして、手紙を開く
エレナ・ルーシュ へ
この手紙には、アルカについてと、今後君にしてほしいことを書かせてもらう
まず、アルカについて書かせてもらう。
アルカの力について、知っているかどうかはわからないが、その力が理由で、今一秒でも時間が惜しい
だから、それに加え、とある理由で君が目を覚ましても合わせることができないのは、謝罪させてほしい。
そして、君が受け取った剣についても教えておく、その剣は封魔の太刀、それでアルカの魂と力を封印している。だから、絶対にその剣を大切に持っていてほしい。ただ、その剣を抜くと、封印が解ける可能性がある。そうなると、なにがおこるのかわからないから、あまり抜くのはお勧めしない。
おそらく、その剣を奪いに、いろいろな人が近づいてくるかもしれない。だが、決して誰の手にもわたらないように持っていてほしい。たとえ、僕が渡してほしいと言ってきても君の手から、直接アルカにこの剣を渡してほしい。
一枚目の手紙が終わり、一度、心を落ち着かせる
(よかった・・・、のかな?)
アルカは、私が目覚めても会いに来なかったわけではなかった、会いに来れなかったことがわかると少し安心した
「この剣に・・・アルカの・・・」
一見少し派手な普通の剣に見えるが、その中にはアルカの魂、力が入っているらしい
「そうだ、それなら・・・」
手紙には何が起こるかわからないと書いてあったが、この剣の封印を解けば、今すぐにでもアルカに会えるのではと思い、剣に手をかける
「・・・」
そして、一気に力を入れて剣を抜こうとした瞬間に、先ほどのアイシャ先生の言葉を思い出した
「いや、ここで抜いちゃダメなんだよね」
もし抜くなら、先生の前で抜けと言われたので、思いとどまる
「とりあえず、今は続きを」
剣についてはこの手紙を読んだ後にし、今は二枚目の手紙に目を通すことにする




