ラーサル学園
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side:アルカ・ロワール
王都にある、武術と魔術を学べる学園、ラーサル学園、王城の近くにあり王立の学園となっておりここでいい成績をとると王城で働くことを許される
それに従い、みな、真剣に勉学に努める
「おっきいですね」
「まあ、現陛下が直接運営してるし、それに生徒はすごく多いからね」
この大陸での学園は、最短で6年間入る必要があり、何歳からでも入学は可能であるが、基本的に20歳までしか入る人がいないと言われている、その理由としては、魔力の成長力が著しく落ちるのが20歳であると言われているからである
「それじゃあ、さっそくいこっか」
セレナさんについていき、校長室と書かれた部屋へと到着した
そして、
セレナさんがノックをした
「失礼します、Sクラスのセレス・ルーシュです」
「はーい、どうぞ~」
返事がありセレスさんが入室しそれに続いて、校長室へと入る
「失礼します、校長」
「「「失礼します」」」
そこには椅子に座っている耳の長い、眼鏡をかけたお姉さんとその隣に黒髪の人がいた
「もう、シーラって呼んでよ、で、セレスちゃん、どうしたの?」
「この三人が、ここに入学したいと、それで手続きに来ました」
「わかったわよ、これに必要事項を記入してね、あと一の月に試験があるからそれを受けてね、それでクラスを決めるから」
今は八の月であるから一の月まで二月ほどある
それから、校長に試験の日程と場所、どのような内容なのかを聞き、その場で紙に記入し、校長室を後にする
「じゃあ、自由にこの家を使っていいからね」
試験までの二月、三人は冒険者ギルドでクエストを受けお金を稼ぎ、その合間に剣や魔法の修業を行い試験に備えていった
そして試験当日
「それじゃあ、試験を始めるよ~、まずは自己紹介をするわね、私は今年の試験官のアイシャだよ~」
試験官のアイシャさんからの説明を受けて、武術か魔術で受けるかを決める
「別に、ここでの試験を受けたほうが授業の科目になるわけじゃないから、得意な方で受けるのをお勧めするよ~」
アルカたちは、そこまで魔術が得意というわけでもないので、三人とも武術で受けることにする
「じゃあ、今年は、私と一対一で戦ってもらうよ~、みんなと同じ戦い方するから、本気できてね~」
今回は試験官と戦い、見極めてもらうらしいのだが、体格的にも結構細身なので、武術ができるのかが疑問だった
試験が始まり、適当に指名された順での試験となる
見ているといろいろな戦い方をしている人がいるが、一人だけ回復魔法しか使えない子がいた
「君、回復魔法使えるの?」
そんな子にアイシャさんは声をかけていた
「はい、というか、それしか使えません、これでも試験受けられますか?」
「受けれるよ~、てか、受ける必要はないかな~、回復魔法が使える子は珍しいから、Cクラスは確定かな」
回復魔法や、戦う方法がない人は、それぞれ違う方法で審査され、回復魔法が使える人が王都には少ないため、使える人はCクラスは確定になる
「はい、君はDクラスかな~、じゃ、つぎ~」
「お願いします」
アルカの番となり、剣を構える
「アルカ・ロワールです、剣でいきます」
「おっけ~」
アルカは、剣術は父に習っており、そこそこの腕前はあると思っていた
結果は一撃も与えられないまま、時間切れとなる
「君、剣術は中級かな?」
「はい、そうですけど、わかるんですか?」
「まあ、ある程度はわかるよ、中級なら君はCランクかな~」
リズとエレナの試験も終わり、エレナは同じCクラス、リズは一つ下のDクラスとなった
と言っても、この学園はクラスに加えて年齢でも分けられているのでリズが同じCクラスでも一緒に授業は受けられない
「じゃあ、三日後に入学式があるからちゃんと出てね~」
そして、試験が終わり、いろいろと準備をしているうちに入学式当日となる
「新入生の皆さんは、こちらにきてください」
教師らしき人の誘導に従い広いホールに入り、クラス別に並んでいく
そして式が始まり、いろいろな学園の話をされる
この学園はクラスはS~Fクラスで分かれており、そのほかに特Sクラスというのがあるらしいが詳細は教えてはもらえなかった特Sクラスは成績が異常な10人のクラスであるらしい
特Sを除くクラスの中で六年目以上の生徒内で毎年開催される、闘心祭で主席と副主席をきめ毎年新入生の式であいさつをするらしい
「こんにちは、この学園、ラーサル学園主席のククルです、特にいうことはありませんが、みなさん頑張ってください」
主席として出てきたククルさんであるが、そう一言言っただけで、すぐさま下がってしまう
セレスさんから聞いた話で、校長はエルフという種族で特徴は耳が長く、魔法が得意と聞いた
ククルさんは、耳が少し長い程度で、ほとんど人と変わらない見た目で、ハーフエルフという種族らしい
つぎは副主席のあいさつとなるが、出てきたのはセレスさんであった
「どうも、副主席セレス・ルーシュだ、私からはいくつか話をさせてもらうよ、まず一つこの学園は実力主義だ、だからばんばん戦って評価をしてもらうといい、それに先輩などにいろいろと教えてもらうといい」
この学園では年に一回昇格試験のほかに、自分の一つ上のクラスの生徒に対して決闘を申し込むことが可能で、3回連続で勝つことができれば上のクラスに上がることができる
「もう一つ、この学園では、獣人や人族じゃないからといって差別を行う行為は一切禁止だ、見つかり次第罰が下されるから気をつけろ、見つけた人によっては半殺しにされる、それくらいこの学園では禁止されていることだ」
少し前に聞いた話では、王都では、獣人などに対して差別的意識がある人がいるらしく、そういった行為は学園で一切禁止しているらしい
獣人は人とは違い、何らかの特性があり、犬獣人では、嗅覚や気配察知が鋭いなどといったものがあるので、戦闘では役に立つ
そこからいろいろな話をし、セレスさんが去っていく
「それでは、それぞれの教室へ行き、今後の予定を聞いてください」
式が終わり、各クラスの教室へ行き、この学園の施設の説明や寮についての説明を受ける
この学園は大陸中から入学する人がおり、手続きをすればだれでも寮に入ることができるそうだ
アルカとエレナのいるCクラスの担任となったのは、試験官を務めたアイシャさんであった
担任と言っても、主に連絡事項をクラスのみんなに伝えるだけであり、授業を担当するということではない
「改めて、自己紹介をするよ、私はアイシャ・ヴァレンティ、得意な魔法は回復だけど、全属性使えるから、気軽に魔法とかの質問とかしてきてね」
アイシャ先生は、魔法は全属性使えるといっていたが、武術もおそらくある程度使えるのだろう
「あとで、僕も剣について聞きに行こうかな~」
「そうだね、試験の時も思ったけど、見た目に反してすごいものね」
エレナもアイシャ先生に試験では剣で相手をしてもらっていたので、アイシャ先生の実力は知っている
そして説明が終わり、帰宅をしようとするとエレナから声がかかる
「ねえ、どの授業受けるかもう決まった?」
「ううん、まだだよ、帰ってから決めようと思ってたところ」
自分で受ける授業は決めることができ、興味のない科目は受けなくてもいいようにはなっている
しかし最低限の数は決まっておりその分は取らなければいけない
「じゃあ、ちょっと図書館にいって考えようよ、そこに授業についての資料おいてるみたいだし」
「いいよ、そこで決めようか」
途中でリズを迎えに行き図書館へと向かう
学園には大きな図書館があり、そこには各授業に関する本や、いろいろ役に立つ本などがおいてあり、授業を決めるのに役に立つとセレスさんに教えてもらった
そうして、三時間ほど考えアルカは剣、格闘、短剣、サバイバル、光魔法、火魔法の授業をとることにした
エレナは、自分に適性のある槍、魔法4つの授業に加え、短剣、格闘の授業をとり、
リズは短剣、精霊、4つの魔法についての授業をとる
「だいたい決まったね」
「そうだね、これくらいとってたら大丈夫か」
そうして図書館を出ようとしたら、大量の本を持った猫獣人の女の子がいた
それが気になったようで、エレナが声をかける
「すごい量の本だね、大丈夫?」
「大丈夫です、これくらい」
相手は口ではそういうが、明らかに大丈夫そうな量ではなかった
「これ一人で読んだの?」
「これは、クラスのみんなの分です」
「何で、それを君が運んでいるの?」
「少しでも役に立つためです、それじゃあ、失礼します」
そういうと、その子は図書館へと入っていった
「役に立つってどういうこと?」
「わかんない、もしかしたら差別を受けてるかも、一度お姉ちゃんに相談してみる」
彼女は獣人であった、なのでもしかしたらそれを理由にあんなことを無理やりやらされているのかもしれない、なのでエレナが一度セレスさんに相談するようだ
エレナとリズと家に帰り、夕食の時間まで図書館で借りてきた魔法についての本を読み漁る
そして夕食の時間に図書館であった女の子についての話をする
「なるほどね、もしかしたらいじめかもね、今度会ったら一度ここまで連れてきてくれない? 話を聞いてみたい」
「わかりました」
そして夕食を食べ終わった後、明日からの授業のために早めに就寝する
この世界は一年が九の月まで、一月は40日となっています