護衛任務2
・80・
side:神薙 カホ
「・・・い、神薙~、おーい、起きろ~」
外から声が聞こえてくると思い、目を開ける
「ん? なに?」
「そろそろ時間だから、交代だ」
「あ、りょうかい」
以外にぐっすりと寝ていたようで、見張りの時間になる
「ふぁあ、なんだかまだ眠たいな」
中途半端に眠ったせいか、微妙にまだ眠たい
「まだ寝ておく?」
「いえ、大丈夫です」
まだ眠たいが、さすがに一人に任せて眠るわけにはいかない、なので頑張って起きる
「何か飲み物でも入れようか?」
「あ、お願いします」
何か飲めば目も覚めるかと思い、ぜひもらうことにする
「はい、熱いから気を付けてね」
「ありがとうございます」
女の人から飲み物を受け取り、冷ましながら飲んでいく
「あ、おいしい」
「そうでしょ? 私のおすすめよ」
ちょうどいい甘さの飲み物であり、だんだんと目も覚めてくる
「見回りとかはしないんですか?」
いつもは二人で野営をやっているときはあたりの見回りもやっているが、どうやら今はしないらしい
「そういえば、まだ自己紹介してませんでしたね」
「あ、そうだね」
お互いの名前も行ってないことを思い出し、改めて自己紹介をする
「神薙カホっていいます、多分今回だけになりますけど改めてお願いします」
「私はシャクナ・メロー、シャクナって呼んで」
それから、少しの間、シャクナさんの愚痴を中心とした話を聞き、時間がたっていく
「そうだ、もう一杯飲む?」
話をし、気が付けばコップの中身がなくなっており、それに気付いたシャクナさんが尋ねてくる
「お願いします」
お代わりをもらおうと、コップを渡す
「?」
コップを渡す際、若干手に違和感を感じる
「? どうしたの?」
「いえ、なんでもありません」
手をよく見ても特に何もない、気のせいかと思い視線を戻す
「そう? はい、入れたよ」
飲み物を入れてくれたコップを受け取ろうとした瞬間
「・・・うえっ」
急な吐き気を催し、目の前がぐるぐると回る
「・・・・はあ、やっと効いたか」
「な、なに、したの?」
吐き気、めまい、頭痛から、意識を失いそうになりながらも、なんとか声を出す
「毒よ、ったく、どれだけ入れたと思っているのよ」
「がはっ、げほっ、げほっ」
苛立ちからか、カホの腹を思いっきり蹴り上げる
「まあ、安心しろよ、命は取りはしねえからよ」
「おりゃあ!!」
意識がなくなっていくさなか、神代君がシャクナさんを思いっきり蹴とばすのが見えた
side:神代 アキト
俺の見張りの時から、なんだかずっと嫌な予感はしていた
(危機予感、こういう能力か)
自分のレベルを上げ、気づいた時にはこの能力を持っていた
今までは全く役に立たない能力だと思っていたが、直近の危険を察知するのではなく、多分起こる可能性のある危機を予測するというものだろう
「ずっと危機予感が発動しててよ、寝ようにも寝れねえよ」
断続的に嫌な予感がしていたので、眠ることができなく、ずっと周りに聞き耳を立てていた、そんな中、毒やらなんやらという言葉を聞き、すぐさま飛び出してきた
「神薙、大丈夫か?」
目の前の相手から目を離さずに倒れている神薙に声をかける
「あ、う」
「今解毒薬出す、頑張って飲んでくれ」
多分身動きが取れないので、簡単には自分で飲めないだろうが俺が飲ませることはたぶんできないので、頑張ってもらう
「よくもやってくれたねぇ」
相手が立ち上がりながら、腰の剣を抜いてこちらに向けてくる
(まずいぞ、真剣で対人戦なんて、したことないぞ)
竹刀同士でなら、何度か経験はあるが、本当に切れる剣同士で戦うのは初めてで、自分に相手が切れるのかわからない
「どうしたの? 震えてるわよ?」
どうやら気持ちが表に出ていたのか、剣の先が少し震えていた
「もしかして、恐いの?」
無防備にこちらに近づいてくる
「ほら、ここを刺せば、殺せるわよ?」
そして、剣をつかみ、自分の胸のところに当てながら、もっと近づいてくる
「下がってたら、刺さらないわよ」
やはり、恐い、この剣が相手に刺さるだけで命を奪える、まだそんな覚悟なんかできていないので、無意識に後ずさりする
「つまらないわ」
「あっぶねえ」
いきなり、剣を振られ、間一髪よけることができたが、体勢を崩してしまう
「くっそ」
すぐさま体制を立て直し、剣を構える
「覚悟、決めるか」
今、どう頑張っても、覚悟を決めて、相手を倒す覚悟を決めないとこっちが死んでしまう
「はあーーー」
大きく息を吐き、精神を統一する
「はあっ!」
「おお! いいねえ」
本気の一撃を振るったが、難無く止められてしまう
「でも残念だね、実力不足だ」
止められた剣をそのまま弾き飛ばされてしまい、そのままがら空きのおなかにけりを入れられる
「ぐっ」
「さっきのお返しだよ」
今迄に食らった攻撃の中で、一番痛く、一瞬意識が飛びそうになる
「へえ、今ので気絶しないんだ」
なんとか意識は持ちこたえたが、うまく息が吸えない
「かはっ、はっ、はっ」
なんとか息を吸おうとするが、うまく吸えない
「そろそろ向こうも終わったころかな、こっちも終わらせるか」
なんとか剣を杖代わりにして立ち上がるが、ふらふらする
「暴れられると面倒だから、眠らすか」
何か小瓶を取り出して、それを布につけて、こちらに近づけてくる
「おっらあ!」
ふらふらしながらも、なんとか剣を振るい、相手から距離をとる
「暴れんなよ」
目の前から消えたかと思うと、後ろに回られ、羽交い絞めされる
そして、そのまま、口に布を押し当ててくる
「ぐっ・・・」
おそらくこれを吸ってしまうと眠るかどうかなると思うので、息を止めてそれを吸わないようにする
「さっさと吸えよ」
息を止めていると、背中を思いっきりけられ、その衝撃で息を吸ってしまう
「っく、っそ」
息を吸った瞬間から、意識がかすれていく
「はい、だめー」
ごきっ
そんな声が聞こえたかと思うと、羽交い絞めされていた力が抜けて、前に倒れる
どさどさっ
自分が地面に倒れた後、すぐ横にもうひとつ倒れてくる
(うおっ! 首が・・・)
目の前に倒れてきたのは、さっきまで戦っていた女の人で、首がねじ曲がっており、多分もう死んでいる
「今解毒薬飲ませるから、嚥下して」
体を起こされ、口に液体を流し込まれる
「んぐ、ごほっ」
むせながらも、なんとか飲み込むことができ、意識も回復していく
「うう、ありがとうございます」
動けるくらいに意識も覚醒してきたので、助けてくれたセニアさんにお礼を言う
「気にしないで、一応商人の方見てくるから、カホにもこれ飲ませといて」
セニアさんから瓶を受け取り、それを神薙に飲ませようとする
「おい、飲めるか?」
コクッ
どうやら話せるようにまではなってはいないが、意識はちゃんとあるようで、薬もちゃんと飲みこんだ
そして少し時間がたち
「ふう、だいぶ感覚戻ってきた」
二人とも、ほとんど問題がないくらいまで体調も戻っていき、セニアさんに合流しに行く
「ここにいたんですか」
「お、もう動けるんだ」
セニアさんは、商人もどうやら毒を盛られていたようで、その手当をしていた
「はい、ありがとうございます」
「いやー、ほんとはもっと早く助けたかったんだけどね」
セニアさんは、さっき起こった一部始終を見ていたらしく、いつでも助けに入れたが、入らなかったらしい
「でも、助かりました」
助けてくれたのには変わりないので、ちゃんとお礼を言っておく
「いいよ、それよりも、死体の処理をしないと」
商人の馬車の周りには、あの女の人とは別に、パーティーメンバー二人が転がっていた
「この人たちも、セニアさんが?」
「そうだよ、一人が僕を、もう一人がこの商人を狙っててね、よっと」
そう話しながら、セニアさんは三人の死体を一か所に集める
「どうするんですか?」
「燃やすんだよ」
「も、燃やすんですか?」
「うん、放っておいたらグール化するからね」
グールは確か、動く死体で、ゾンビと一緒だったと思う、死体を放置していると、すぐさまグール化するので、ちゃんと処理しなければならないらしい
「君たちも覚えておいてね、あ、明日に影響するといけないからもう先に休んでて」
俺たちには死体を処理した経験などないし、手伝うことなどわからないので、言葉通りに休んでおく
「ん? 顔色悪いけど、大丈夫か?」
テントに戻る際、神薙の顔を見てみると、青ざめており、気分が悪そうだった
「う、うん、だいじょうぶ、それじゃあ、おやすみ」
(あ、そっか、死体を見たからな)
さっきまで一緒に話していた人が目が覚めた時に死体になっていたら、多少はショックを受けるだろう
(俺は意外になんも感じなかったな、死体を見てもなんも思わねえし)
神薙はあの女の人と少し仲良くしていたので、その分ショックもあるのだろう
俺はほとんど接点もないし、最初から特に仲良くもする気はなかったので、襲ってきた人、不審者が勝手に死んだくらいの感じで思っている
「よっと」
自分のテントに入り、すぐに横になる
「寝みぃ」
体は疲れていたが、危機予感が発動していて眠れなかったので、横になると同時に眠りにつく




