護衛任務1
・79・
side:神薙 カホ
「本日はよろしくお願いいたします」
昇格試験の集合場所に到着すると、何人かはすでに集合していた
「あと一人なのですが・・・」
どうやらこの依頼は六人で行うらしく、あと一人がまだ来ていないらしい
「あと一人が来るまでの間に、いろいろ聞いていいですか?」
「はい、どうぞ」
まだ出発しないようなので、順路や、どれくらいの期間護衛するのかを聞いておく
「順路としては、このようになっています」
地図をこちらに見せ、順路を示してくれる
「期間としましては、大体二日になりますね」
一日でほとんどの目的の村を回るようで、その後野営で一泊、日が明けてから王都へと戻るという順路になる
「あー、すいません、遅れましたか?」
話をしていると、最後の一人がやってくる
「いえ、まだ時間は大丈夫ですよ」
「よかった、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします、それじゃあ出発しましょう」
全員そろったので、さっそく出発することになり、自分たち冒険者は基本的に周りの警戒をするので、それの役割分担をしていく
「俺らはよお、三人パーティーだから、基本一緒になるけど文句ねえよな?」
私たちと、最後に来た人以外の三人はどうやらパーティーらしく、そのリーダーらしき人がそう言ってくる
(嫌な言い方ね)
高圧的で、断らせる気がないような言い方だった
「どうする?」
「ええ、いいですよ」
私たちがどうしようか迷っていると、もう一人の人が代わりにこたえてくれる
「それじゃあ、君たちのわがままを聞くんだから、最初はそっちがやってね」
どうやら馬車の護衛は半分ずつ行うようで、パーティーの方に先にやらせるようだ
「君たちも上がってきたほうがいいよ」
先に馬車に乗っていた男の人が馬車に乗るよう言ってくる
「乗っていてもいいんですか?」
「うん、問題ないよ」
この人が勝手に言っているので、本当に乗っていいのか一応許可を取っておく
「ありがとうございます」
許可も下りたので、馬車に乗り込む
「よろしくお願いします」
「・・・・・」
これから一緒に行動するので、挨拶をしたが、返事はない
「もう寝てるぞ・・・」
神代君が返事がないのを不思議に思い、確認してみると、もうこの男の人はすでに眠りに入っていた
「え、はや」
この人が乗ってから私たちが乗るまでほとんど差はなかった、なのにもう寝てるのに少し驚く
「まあ、俺たちも今のうちに休んでおこう」
護衛が自分たちの番になるとどれくらいの時間歩かないといけないのかわからないが、疲れていたらろくに警戒もできないだろうので、今は極力体力を使わないようにしておく
「どれくらいで交代するんだろ」
護衛を後退する時間も決めてないので、いつ交代するのかわからない
「まあ、言われるまででいいんじゃないか?」
「そうだね」
今護衛をやっている人に交代と言われたら交代すればいいので、今は気にしないで休んでおく
「寝とこっと」
馬車の中で何かすることもできないので、とりあえず目を瞑っておく
それから数十分後
「ん? 止まった」
何かあったのか、馬車が停止する
「到着したので、一旦自由にしてください」
どうやら目的地の村の一つに到着したようで、商人のやることが終わるまで何をしていてもいいようだ
「見回ってこよっと」
とりあえず、この村がどんなものかを見て回ることにする
「わあ、綺麗な花」
村の一角には小さめだが、花畑があり、そこには様々な色の花が咲いていた
「この家の人のかな? でも何でほかの家とは離れてるんだろ?」
花畑の持ち主らしき人の家はあるが、その建っている場所が、ほかの家とは離れている、村の離れているところに建っていることが少し気になる
「お嬢ちゃん」
「ん、はい?」
家を見ていると、村の人だろうか、おじいさんに話しかけられる
「あの家が気になるのかい?」
「はい、なんであの家だけ離れたところにあるんですか?」
「わしにも詳しくは知らないが、昔からあの家はあるらしくてのお、だれが住んでいるのかもよく分かっておらん」
見るからにこのおじいさんは結構年を取っていそうだが、そんな人でも知らないとなると、もしかしたらだれも住んでいないのかもしれない
「もしかしたら、わしらが寝ている時間に活動しているのかもしれないな」
「かもしれませんね」
すこし、この家について気になるが、そろそろ戻って、神代君たちと護衛についての話し合いがしたいので、戻ることにする
「神代君、あの人は?」
「ん? 多分まだ寝てるぞ?」
次の護衛での細かなところを話し合いたいので、起こしに行く
「すいません、起きてください」
馬車の荷台の中で寝ていたところを起こして、出てきてもらう
「ごめんごめん、で、どうしたの?」
「護衛の配置を決めたいんですけど」
「おっけい、どうしたい?」
どうやら、私たちにやり方については任せてくれるようだ
「配置は、左右と後ろでいいよね?」
「そうだな、えーっと」
「ん? どうしたの?」
「何て呼べばいいのかと思ってな」
「ああ、セニアでいいよ」
「わかった、俺はアキトでいい」
「私は、カホでいいよ」
「了解、アキトにカホね、それで、二人は左右後ろ、どこがいい?」
「うーん、どこでもいいんですけど」
正直言って、初めてのことなので、どこがいいとかは何もわからない
「それじゃあ、僕が後ろをやろっかな、だから二人は左右をお願い」
「わかりました、じゃあそれで」
「じゃあ、いつ出発か聞いてくるね」
今商人は村の人にものを売っており、それがいつまでかかるのか聞きに行く
「そうですね、そろそろ出ましょうか」
どうやら終わるタイミングなどはあまり決めていなかったらしく、私が話しかけたら、そこで終わりになった
「いいんですか?」
「ええ、最後にもう一度この村に来ますので」
「なるほど」
初めに物を多く売ってしまうと、あとの村で売るものが少なくなってしまうので、はじめの方はほどほどに売って、最後にもう一度回っていくようだ
「それじゃあ、護衛のほう、引き続きよろしくお願いします」
馬車の周りを囲むように、三人であたりを警戒しながら進んでいく
それから次の村につくまでは、特に魔物とも出会わなく、何事もなく到着し、先ほどの村と同様に、商人が物を売っていき、その間は休憩となる
同様のことを、あと二つの村でも行っていき、最初の村へと戻っていく途中で、日が暮れ始めてくる
「そろそろ、野営の準備に入りましょう」
セニアが代表して、みんなにそう声をかける
「それじゃあ、焚き火用の枝とか集めてくるね」
自分は料理や力仕事がそれほどできるわけでもないので、とりあえず自分でもできそうなことをやっていく
「あ、私も行くわ」
一人で森に入っていこうとすると、三人パーティーのうちの一人の女の人がついてくる
「少し離れたところで集めましょ」
女の人がそういったので、別に断る理由もないので、それについていく
「なんでこんなに離れるんですか?」
「聞かれたらまずいからよ」
「? 何がですか?」
女の人が周りを警戒しながら話を続ける
「私のパーティーの二人、私のいないところで何かこそこそしてるの、多分狙いはあなただと思う」
「私が? 狙われてる?」
「多分だよ? でも警戒はしておいて」
「何かされるとしても、犯罪になることはないんじゃないですか?」
犯罪などを行えば、すぐにばれるようになっているので、そこまで警戒する必要はないんじゃないかと思うが
「眠らせて、魔物に襲わせるとか、犯罪にならない裏技なら結構あるわよ」
「なるほど」
犯罪者にならない方法はいくらでもあるらしい、なので、冒険者の中では犯罪者自体は少なくはないらしい
「信頼できる人はいる?」
「はい、大丈夫です」
「あの男の子ね、常に一緒にいたほうがいいわ、あとなるべくあいつら二人から渡される物とかはなるべく受け取らない方がいいわ」
毒や、睡眠薬警戒で、あの二人が触れたものには仕込まれている可能性があるらしいので、それは警戒しておく
「毒じゃなくても、魔法とかにも注意してね」
魔法でも、そういった状態異常になるものもあるようで、それも警戒しなくてはならない
「そうだ、これ」
折りたたまれた紙を渡され、ポケットの中に入れられる
「これは?」
「解毒薬よ、もし体に異常が出たらすぐに飲んで」
いろいろと言われるが、実際、この女の人が信用できるのかどうかがわからない、この渡されたものが本当は毒であるかもしれない、まず、なんで初対面の私にこの話を信頼してもらえると思っているのか
「そろそろ戻りましょう」
焚火のための枝も一日持つぐらい拾い終えたので、みんなの元へ戻っていく
「私は基本的にあの二人に警戒されないように動くから、あまり話しかけない方がいいわ、それとなるべく他の人にもこのことを話さないように」
どうやらこの人は二人の指示で私と仲良くなれと言われたようで、このような行動をとっているらしい、それで、うまく仲良くなれなかったと報告するようで、それに矛盾がないように話しかけないようにする。それとむやみに神代君に話してしまうとばれてしまうかもしれないので、それも注意しなければならないらしい
「ただいま」
「おう、おかえり、枝拾えたか?」
「うん、結構拾ってきたよ」
「それじゃあ、僕たちは夕食ができるまで休憩かな」
「夕食はどうする?」
神代君に夕食は作るかどうかを確認する
「ああ、あの人たちが作ってくれるらしいよ」
「ん、だれ? え!?」
神代君が指をさした方向を見ると、そこには言われていた二人が料理する姿が目に入る
「ん? どうした?」
「いや、えっと」
言うかどうか迷うが、正直言ってあの女の人は信用できないので、話さないでと言われたことは無視して神代君にすべて話す
「なるほどな、まあ毒とか、麻痺とかに関しては大丈夫だろ」
「どうして?」
「いや、そもそも洗脳が効かないなら、毒も多分効かないだろ」
「あ、そっか」
よくよく考えてみれば、私は状態異常無効化、神代君はどんな物かは知らないが洗脳自体は受けていいても、その影響を受けないようなので、、毒も効きはしないんではないだろうか
「じゃあ、別に気にしなくていいっか」
毒やそういったものが効かないのなら、何も心配はなくなる
「できましたよー」
料理をしていた二人の、リーダーらしき人じゃない方の人が呼びに来る
「すぐ行きます」
すぐに料理が置いてあるところに行き、受け取っていく
「おお! おいしそう!」
こんな環境も整っていないところで作ったとは思えないほどの完成度で、食欲をそそられる
「昔、料理人をやっていてね、それでずっと料理担当になって慣れてるんだ」
「へえ~、すごいですね」
「それよりも、冷める前に早く食べましょう」
そういえば、目の前に女の子がいるので、この人から受け取ったものをすぐに食べるわけにはいかない、女の人に一応目配せする、すると
コクッ
どうやら食べてもいいようで、合図をして許可を出してくる、なので遠慮なく食べていく
「ん~、おいしい!」
見た目通り、すごくおいしく、どんどん手が進んでいく
「ふー、満足、ごちそうさまです」
「そんなに食べて、夜見張りできるのか?」
「まあ、行けると思うよ」
確かにこんなに満腹であったら夜眠たくなるかもしれない、まあ、今日は大して疲れていないし大丈夫だとは思う
「じゃ、俺は寝てくるからよぉ、また起こしてくれ」
「了解です」
リーダーの方はもう寝るようで、料理人の人に声をかけてから自分のテントに戻っていく
「それじゃあ、先に見張りの順番を決めましょうか」
全員で話し合って、見張りの順番を決めていき、女子が二人しかいないという理由から女同士で組まされる
「二番目の見張りは結構つらいから僕たちがやるよ、時間は3時間交代で」
二番目の見張りは料理人たちがやるらしく、私のところは最後になる
「それじゃあ、最初は僕たちだから、見張りの時間まで休んでおくね」
セニアさんは、まだ見張りまでの時間があるので、それまでの短い時間でも休んでおくようだ
「私も、もう休んでおくよ」
ちゃんと男と女でテントを分けてくれていたので、そこで時間まで寝ておく
「やっぱり、ご飯に毒って入ってたのかな?」
今現在、特に体に異常はない、もしかしたら入っていて無効化したのかもしれないし、入っていなかったのかもしれない
「見張りの時に、聞いてみようかな」
自分ではわからないので、また二人きりの時に聞こうと決め、一度眠りにつく




