白輝石
・75・
side:神薙 カホ
猫のお姉さんが寝静まった後、なんとか起こさないように家を出る
「やっぱり神薙は困ってる人は放っておけないよな」
「お互い様でしょ」
昔からそうだった、この二人は困っている人がいたら、居ても立っても居られないくなる、なので今回のような状況でもそうなった
「まずは、結界石だったっけか、それのとれる場所を聞くぞ」
まずは情報収集、結界石がどんなものなのか、どこでとれるのかを村の人に聞くことにする
「手分けして、なるべく多くの人に聞いていこう」
情報を聞くのが少なければ、もし間違った情報だった場合にその間違いに気づくことができないので、なるべく多くの情報を集めてより正確性を上げるのが確実だ
「俺はこっちから行く、神薙はそっちから頼む」
「わかった」
それから二手に分かれて、情報を集めたのち、合流する
「どうだった?」
「こっちで聞いた話をまとめたら」
結界石は、村から南に行ったところの洞窟の中にある、白輝石というものを加工してできたものであるらしい
「こっちも同じようなものだ」
神代君の情報と合わせても間違っているところはなかったので、この情報であっているだろう
「それじゃあ、南の洞窟に行きましょう」
武器などはすでに持っている、なのですぐさま洞窟へと向かうことにする
「多分、今までの魔物とは強さが違う、絶対に油断はするなよ」
「わかってる」
魔物についての情報は神代君が集めていてくれたらしい
「周りの魔物は大半がオークだ、だから戦闘は極力避けていくぞ」
「うん」
オークと遭遇したら、即座に撤退、戦闘はしないように移動して洞窟まで向かっていく
「さすがに多いね」
ネームドの影響かわからないが、オークの数はかなり多い、注意して移動していかないとすぐに見つかってしまい、戦闘になってしまう
オーク一体に対して二人で戦えばなんとかなる可能性はあるが、オークが複数になった場合、勝ち目はなくなってしまうので、戦闘するという選択肢はなくなった
「ここまでくれば、大丈夫だそうだ」
なんとかオークと争わずに洞窟の近くまで到着し、一息つく
この洞窟までくれば、白輝石の影響で魔物は無意識にこの場所を避けるらしいのでこの辺りに来れば魔物は一切いない
「ただ、洞窟の中には魔物がいる、戦闘は絶対に起こるから準備していくぞ」
村の人が取りに来れない理由、洞窟の中にいる魔物とは絶対に戦わなければいけないので、そのための準備をしていく
「なるべく火の魔法はやめてくれ」
「うん、わかってる」
洞窟など、入り口が少なく、あまり空気が入り込みにくい場所では火の魔法を使うのは危険だと思う、なので今回は火以外に唯一使える水属性の魔法を使っていくことになる
きちんと持っている荷物の点検をしていき、足りないものはないか、持っている物で使えないものはないかどうかを見ていく
「武器の刃こぼれ、大丈夫か?」
「うん、見た感じ大丈夫」
アイラさんと別れて二人になってからは、魔法はあんまり使わず、剣を使って戦うこともあったので、その分、手入れをしないといけない
「それじゃあ、行くか」
準備を終えて、いよいよ洞窟に入っていく
「洞窟内では俺が前に出るから、神薙は後ろから魔法を頼む」
洞窟内は意外に狭く、二人横並びになることができないので、私が後ろの方になる
そこから少し歩いたところで、ようやく魔物と出会う
「いたぞロックリザードだ、構えろ」
出会った魔物はロックリザード、簡単に言うなら岩が体についている少し大きいトカゲだ
幸いにも、ロックリザードは私たちに気が付いていないようで、こっちから先に攻撃できる状態になる
「神薙、頼む」
「おっけい」
確実に当てるように、集中して魔法を準備する
「【ウォータ】!」
手のひらから水を生み出して、それをロックリザードに向けて発射する
「ギャ!!」
不意打ちで魔法が当たったロックリザードは大きくのけぞり、その隙だらけのところに神代君が一閃する
ガキッ
ただ、思ったよりもロックリザードの表皮は堅かったようで、刃はほとんど通っていなかった
「ちっ! 硬い!」
「もう一回魔法撃つよ!」
剣が通用しない以上、魔法を使っていくしかないので、すぐさま魔法を発動する
「動きが遅くて助かったわ! 【ウォータ】!」
ロックリザード自身も、魔法が効くということがわかっているのだろうか、魔法の準備にかかった瞬間にターゲットをこっちに変えてきたが、岩でおおわれているせいか動きは鈍い、なので近づかれる前に魔法を発動できる
「あとは任せてくれ」
魔法に関しては、魔力を消費して発動するので、今後を考えると節約していかないといけない、なので瀕死になったロックリザードを、神代君がなんとかロックリザードに剣を突き立ててとどめを刺す
「はあ、やっと倒せた」
「お疲れ様」
「ああ、手がびりびりする」
自分は直接ロックリザードを攻撃していないので、硬さはわからないが、手がしびれるほど固いらしい
「私でもできそう?」
「できるとは思うが、刃が通るところをさがすのが難しいな」
剣が無理なら私は魔法でのみの戦闘になるが
「魔力、持つかな・・・」
今の魔力量からして、連続で使える回数は【ウォータ】なら6回が限界、休憩をはさみながら行けば何とかなるが、その場合、かなり時間がかかるかもしれない
「まあ、危険なことするより、慎重に行くか」
魔法をなるべく使わないで戦っていくことも手ではあるが、その分危険はある、なので時間はかかっても魔法主体で戦っていくことにする
「火と水属性以外の魔法は使えるか?」
「ううん、今のところはファイアとウォータの二つだけ、もしかしたらもう一つ上の魔法を使えるかもしれないけどそれは火の魔法だし」
森での魔物との戦いは火の魔法ばっかり使っていた、一つの属性の魔法を使い続けているとより強い魔法を使えるようになるらしいので、火の魔法を使っていたのだが、水の魔法も使えばよかったと少し後悔する
「大体どのくらいで魔力は回復する?」
「うーん、座って休めれば大体五分に一発発動できるようになるかな」
五分ならそれほど長くはないと思うが、あくまで座ってきちんと休んでいる場合だ、動きながらだと倍くらいはかかるだろう
「それなら、一回一回、きちんと休んでいこう」
「そうだね、その方が確実だしね」
きちんと休んで準備をしていたら、もしいきなり戦闘になってもちゃんと魔法を使える方が安全に処理できる
「この洞窟は奥に行かない限りロックリザード以外は出ないらしい、今回は奥に行く必要もないし、考えることはこのくらいでいいか」
「うん」
とりあえず、考えることは少ないので、そこのとこは助かった
白輝石のとれるところまでは、決めた作戦でロックリザードも難無く倒せ、進むこともできた
「これ?」
「たぶん」
実物を見たことはないのでわからないが、多分目の前にある鉱石で間違いないだろう
「じゃあ、採取と見張りに分かれるか、どっちがいい?」
「うーん、どっちでもいいけど、多分神代君が採取やった方が早い?」
「まあそうだけど、見張りも面倒だぞ?」
「まあ、早く終わらせた方がいいから、私が見張りをするよ」
「了解」
私はあまり力がないので、鉱石をとることは簡単にはできないだろう、なので力仕事は男の神代君に任せて私はロックリザードが寄ってこないかを見張っている
「終わったぞ」
それから数十分後、ある程度の量の白輝石を取り終えた神代君が戻ってくる
「それじゃあ、戻りますか」
「そうだな、帰りはオークと出会う可能性もあるから、より一層気を付けていくぞ」
目標を達成して、帰るときが一番気が緩む、それを神代君も分かっているようで、ちゃんと言ってくる
何度かオークに遭遇しそうになったりと、危うくなりながらも、なんとか村の周辺にまで戻ってくる
「直接白輝石が加工できる人のところまでもっていこう」
「そうだね、すぐにでも加工してもらった方がいいし」
さっそくとってきた白輝石を結界石に加工できる人のところに持っていく
「えっと、注文の量だと、このくらいあれば大丈夫、あとは自分たちで持っておく?」
私たちがこの村のためにとってきたと言ったら報酬を払うとか言われるかもしれないので、それは黙って自分たちで使うものだと言って渡す
ただ、理由を言って渡したが、そもそもこの職人は結界石の効力が切れたことどころか、取りに行ける人がいないこと自体を知らなかったようだった
「ちょっと待っててね、すぐできるから」
白輝石から結界石に加工するのはそうむずかしいことではないらしいのですぐに完成する
「はい、できたけど、これどうするの?」
「ちょっと必要になったので、ちなみにこれの使い方って知ってますか?」
「使い方? 魔力を流すだけだよ、あ、使い捨てだから一回魔力を流すと止められないよ」
魔力を流すだけで、効果が発揮して、その後一定時間効果が発動する仕組みになっているようだ
「わかりました、ありがとうございます」
結界石の使い方も分かったので、さっそく設置しに行く
「魔力を込める・・・」
あまりやり方はわからないが、多分魔法と同じような感じだろう
「よし、できた!」
何回か失敗て、魔法が発動してしまったが途中からはコツをつかんですぐに発動することができた
「これで最後」
村の周りを囲むように結界石を発動させて設置していき、最後の結界石を置き終わる
「お疲れ、すまんな、手伝えなくて」
神代君は魔法に慣れていないので、魔力を込めるということができなかった、なのでこの作業は全部私がやったので、少し時間がかかってしまった
「全然大丈夫よ、力仕事ができない分、こういうことは任せて」
適材適所ということで、今後は魔法関係は私が、力関係は神代君が担当することになるだろう、なので別に何とも思わない
「それじゃあ、戻りますか」
お姉さんにばれないように、起こさないように慎重に戻っていく




