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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第3章  異世界人   
73/128

初めての野営

・70・


side:神薙 カホ



 「ありがとうございました!」


昨日、家に泊めてくれたアイラさんにお礼を言って、家を後にする


 「それじゃあ、行くか


空も明るくなり、そろそろ馬車も動かせる時間になったので、さっそくそこに向かう


 「じゃあ、話してくるから、待ってて」


私が行っても、特にすることはないだろうので、馬車の件は神代君に任せて、外で待っていることにする


 「ほんとに若い子っていないのね」


辺りを見回しても、アイラさんの言葉通りいるのは大人ばかり


昨日アイラさんに聞いた話では若い子はほとんど村の外に出て仕事をしたり、嫁いだりしているらしいので、だんだんと若い子がいなくなっているらしい


 「おーい、神薙ー、こっちに来てくれ」


馬車の受付の建物の横から神代君の声が聞こえて、声の方向に向かう


 「どうしたの?」


 「馬車は確保ができたんだけど、御者についてだ」


どうやら馬車だけなら、それほどお金はかからないらしいのだが、御者を雇うならさらに金がかかり、結構なお金がかかるらしい


 「うーん、ていっても、私馬車なんか運転したことないし」


今の時代、日本で普通に生活していて、馬車なんか運転したことがある人なんて、少ないだろう


もちろん、自分もそんな経験はないので、無理


 「俺も無理だな」


神代君も無理らしいので、あきらめてお金はかかるが御者を雇うことにする


 「へい、お二人さん」


その声とともに後ろから抱き着かれる


 「あれ、アイラさん、どうしたんですか?」


後ろから抱き着いてきたのは、昨日一晩泊めてくれたアイラさんだった


 「ちょっと話を聞いちゃってね、二人とも馬車操作できないの?」


 「はい、馬車なんか乗ったことなくて・・」


 「それじゃあ、私がやってあげるよ」


 「アイラさんが?」


 「そ、ついでに君たちの旅に連れて行ってよ」


アイラさんには、具体的には言っていないが、王都に行って、それからどうするのかも軽く話している、なので、それを聞いて一緒に行きたくなったんだろうか


 「一緒にですか?」

 

 「うん、だめかな?」


 「いえ、私はいいんですけど・・」


私としては、アイラさんが一緒に来てくれるのは全然うれしいので断る理由がないが、神代君に関してはわからない


 「ん? なんだ?」


神代君を見ていると、それに気づいて声をかけてくる


 「ねえ、カミシロ君、私も君たちの旅についていっていい? 馬車は運転してあげるから」


 「全然いいですけど、むしろそっちはいいんですか?」


神代君もアイラさんがついてくるのはいいらしいが、アイラさんがこの村を出ることをそんな簡単に決めていることに心配していた


 「私は全然いいけど?」


 「そうですか、それじゃあ、よろしくお願いします」


アイラさんが馬車を運転できるらしいので、それらの問題は解決したので、さっそく馬車に乗り込む


 「それじゃあ、さっそく出発する?」


 「そうですね、なるべく早く王都周辺に行きたいですし、アイラさんがいいなら出発してください」


 「りょうか~い」


その言葉に従って、さっそくアイラさんが馬車を走らせる

 

 「あれ、アイラさん、荷物はいいんですか?」


アイラさんの隣で馬車の運転方法を見ながら気になることを聞いてみる


アイラさんは見た感じでは腰に付けた小さなカバンだけで、着替えなどはもっていない


 「荷物は全部ここ」


そういって、いきなり空中に手を突き出す


すると、手の先がいきなり消えて、次の瞬間には何もない空間から服が出てくる


 「うわ、なんですか、それ!」


 「これは空間魔法の【収納】、意外と便利よ?」


 「へえー、そんな魔法があるんですね」


ケニスさんからこの世界には魔法があるということは聞いていたが、見たのはこれが初めてなので、興味津々でそれを眺める


 「不思議ですね、中ってどうなってるんですか?」


そういいながら、服が出ている空間に手を入れようとすると」


 「ああ、ダメダメ、危ないよ」


その空間に手が触れる瞬間に、アイラさんは服を元に戻して私の手を止めさせる


 「え?」


 「この中、どうなっているかは自分でもわからないわ」


 「そうなんですか」


 「それに、この中に入れられるのは無機物だけなの、生きている物を入れたらどうなるかわからないから、気を付けて」


 「はい、すいませんでした・・・」


アイラさんに注意されて、少ししゅんとしてしまう


 「ああ、ごめんね、別に怒っているわけじゃないのよ?」


アイラさんが慌てたようにそう言ってくる


 「アイラさん、少しいいですか?」


話しをしていると、荷台で何かしていた神代君が話しかけてくる


 「どうしたの?」


 「今日って、どれくらい進めますか?」


 「そうねぇ、野宿するなら、結構な距離を進めるけど、どうする?」


 「野宿ですか・・・」


 「私は野宿でも別にいいよ?」


私は別に虫が苦手というわけでもないので、野宿に関しては何も問題はない、むしろ、キャンプ的な感覚で少し楽しみになる


 「なら、次の村か町で野宿用のものを買いましょう」


 「おっけ~」


もし野宿ができないのなら、一日に進める距離は少なくなってしまうらしい


それから数時間、適当にアイラさんと話したり、王都についてからの話を神代君としながら馬車を走らせて、少し大きめの町に到着する


 「いったんここで休憩がてら、必要なものを買いましょうか」


馬車から降りて、体を伸ばす


 「ううん・・・」


 「馬車に乗るの、初めてなら長時間乗るのはしんどいでしょ?」


 「はい、体が固まって」


神代君も同じようで、軽く体操をして体をほぐしている


 「それじゃあ、とりあえず私がいろいろ買ってくるわね」


私たちでは、野宿に必要なものはあまりわからないので、必要なものの買い出しはアイラさんがやってくれることになった


 「私もついていきます」


どんなものが売っているのかも気になるし、アイラさんについていくことにする


 「それじゃあ、俺は馬車を見張ってますね」


 「すぐに戻ってくると思うから、行ってくるわね」


さっそく店に向かい、必要なものを買っていく


 「これくらいかなぁ」


以外に買うものが多くなるかと思ったが、それほど買うものは少なかった


 「意外と少ないんですね」


 「まあ、最低限にしなきゃ、王都で使うお金もなくなっちゃうでしょ?」


 「それもそうですね」


こっちの世界のお金はあまりわからないがケニスさんからもらったお金はアイラさん曰く結構多いらしく、贅沢しなければ半年くらいは生活できるくらいあるらしい


ただ、今はお金を稼ぐ手段もないので、なるべく出費を減らして余裕をもっていくことにする


 「それじゃあ、戻りましょう」


この町では、野宿用のものを買う以外に特にやることはないので、すぐに出発することになった


そこから、数時間置きに、休憩をはさみながら王都に向かっていき、日もくれ始めたころに野営の準備をする


 「じゃあ、私はそこらへんで食べれそうなものを探してくるから、二人は燃えそうなものと大き目の石を集めておいて、あと絶対にこの辺りから離れないでね」


この辺りは、魔物が出てくるらしく、アイラさんは魔法や剣で戦うことはできるらしいが私たちはおそらく何もできないだろうので、危険の少ない仕事を割り振ってくれた


 「何かあったらこれ鳴らして」


そういって、こっちに笛のようなものを投げてくる


 「わかりました~」


それから数分後、アイラさんが戻ってきて


 「ただいま~」


 「おかえりなさいです」


 「近くに川があってよかったよ、魚がよく取れたわ」


アイラさんが持っているかごには数匹の魚が入っていた


 「焚火の準備も大丈夫だね」


そこかしこに枝や枯れ葉が落ちていたので、そっちの方は問題はなかった


それからはアイラさんがほとんど料理から火の管理もしてくれて、私はできる限りその方法を覚えようと手伝いながら教えてもらった


 「それじゃあ、今日は早めに休んで、日の出と一緒に出発しましょうか」


 「わかりました」


 「火の管理とかは、しなくてもいいんですか?」


私はアイラさんの言葉通りにすぐ馬車の荷台に上って休もうとしたが、神代君の言葉でこの辺りは魔物が出るということを思い出し、火を絶やしてはいけないと思うが


 「大丈夫、特殊な魔法で火をつけてるから簡単には消えないから一晩は大丈夫」


 「そうですか、じゃあ大丈夫ですか」


 「魔物も、多分寄ってこないかな」


 「そうなんですか?」


 「うん、一応そういう感じの魔法も使ってるから」

 

 「へえ~、そうなんですか」


魔法の基準がどうなのかは知らないが、結構な種類の魔法を使っていたので、疲れないのかと思う


馬車に乗っているとき、一つ、火を起こす魔法を教えてもらったが、数十秒火を燃やし続けるだけで少しクラっとしたので、そう思ったのだが、見た感じ全然疲れている感じはしない


 「あれ、カミシロくん、どうしたの?」


なぜか神代君は火の近くに腰かけて、馬車の荷台に上ってこようとしない


 「地面に直接寝ると、さすがに寒いし寝にくいと思うよ?」


馬車の荷台には布を引いてあるので、地面よりは少し柔らかいので、寝やすいし寒くないのでそっちで寝たほうがいいだろう


 「さすがに女子と一緒っていうのはちょっと」


 「ああ、それもそっか、じゃあこれ使って」


アイラさんは、【収納】の中から集めの毛布を出して神代君に渡していた」

 

 「すいません、ありがとうございます」


 「いいのよ、それじゃあ、私たちはこっちで寝るけど、何かあったら気にせず起こしてね」

 

 「わかりました、おやすみなさい」


 「それじゃあ、私たちも寝ますか」


次の日は起きるのが早いので、特にやることもないし、すぐに寝ることにする


案の定、疲れもたまっていたので、すぐに寝付くことはできたのだが、外で寝ることに慣れていないからか数十分に一度起きてしまい、あまり熟睡はできなかった








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