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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第3章  異世界人   
71/128

別れ

・68・

side:神薙 カホ



 「強欲の勇者? ってなんでそれで監禁されてるんですか!?」


私たちの中に勇者がいたことに驚くが、それよりもなぜ勇者を監禁しているのかがわからない


それに、なぜほかのみんながアサヒのことを覚えていないのかもわからない


 「勇者はまだいいんです、ただ、強欲の称号がダメなんです」


ケニスさんがしっかりと説明してくれる


まず、みんながアサヒのことを忘れているのは、ケニスさんが魔法でアサヒについてのことを一時的に忘れさせて、監禁しているということで混乱させるのを防いでいるようだ


そして、勇者については、それに選ばれると、様々な恩恵が得られ、例えば、魔物を倒したときのステータスの伸びが大きくなったり、勇者にのみ使える能力もあるようだ


 「アサヒのことを忘れているのは、事情は分かりました、それじゃあ、何で監禁してるんですか? 強欲っていうのは、そんなにダメなんですか?」


ケニスさんの言う通りならば、すぐにでも魔物を倒しに行って少しでも早く強くなった方がいいだろう


ただ、自分的にはあまりそういうことはしてほしくはないのだがきっとアサヒなら、みんなのためとか言って、進んで強くなったりするだろう


 「ほかの称号の勇者なら、そうします、ただ、強欲の称号は特別なのです」


 「特別?」

 

 「強欲の勇者は特別なんです、もし魔王たちに存在が知られれば、真っ先に狙われることになります」


 「狙われるって、どうしてですか?」


 「ほかの魔王については、極端に言えば、強くなれば倒すことはできます」


 「でも、倒したらだめなんですよね」


倒すことはできても、倒してしまったらその人が魔王になってしまうので、倒す事なんてしないだろう


 「はい、ですが、強欲の魔王についてはそうではありません、何があっても倒すことはできません」


 「それは、どうしてですか」


死なない能力があるのだろうか、それとも強すぎて、いくら鍛えても倒せないとかだろうか


 「たとえ、その強欲の魔王を殺したとしても、生き返りますし、どこかに閉じ込めても出てきます」


 「・・・・なるほど、それをどうにかできるのが勇者のアサヒだけってことですか?」


 「はい、そうです、なので、見つからないように今は外から干渉できない部屋に監禁しています」


強欲の魔王をどうにかできるのは強欲の勇者だけであるのならば、存在が明らかになれば魔王たちは勇者を始末するために動くことになる


 「なら、アサヒはずっとその部屋にいるんですか?」


 「何も起こらなければ、そうですが、おそらく無理でしょう」


 「どうしてですか?」


 「いずれ、魔王に見つかると思います」


魔王は勇者の存在を感じ取れるようで、場所まではわからないが、すでに強欲の勇者がこの世界にいることはわかっているかもしれないらしい


 「でも、場所がわからないなら、見つからないんじゃ?」


 「いえ、見つかります」


 「それなら、どうするんですか?」


なんでも、強欲の魔王が動くとなれば確実に見つかるようで、ケニスさんは、なるべく見つかっても時間稼ぎができるように常にアサヒの近くにいてくれるようだ


 「わかりました、それじゃあ、私は勇者を探しに行きます、アサヒのことはよろしくお願いします」


 「わかっています、ほかの子たちのことも、できる範囲で守ります」


 「はい、それで、いつここを出れば?」


 「明日の朝までに出てくれれば、大丈夫です、王と、ほかの子たちについてはあなたについても記憶を操作させていただきます」


私についての記憶を消す理由として、私たちには、アサヒのことを記憶から消したことに加えて、あの王に対しての裏切り、敵対をさせないように洗脳しているようでそれが聞いてないと分かると、もしかしたら閉じ込められ、最悪の場合、処分されるかもしれないらしい


 「処分って、さすがにないんじゃ?」


 「処分の方はさすがにないとは思いますが、あの王は、臆病なので、少しでも危険因子があれば、それを排除しようと動きます、なので念のためです」


もしばれても、私たち異世界人なら、処分されるというのは確率は低いようだが、こっちよりもほかの生徒たちと別行動することを説明するのを省くためである


 「ほかの子たちに関しては、貴方については覚えていますが、考えられないというように記憶を操作するだけなので、消すわけではありません」


王については、完璧に私の記憶を消すようだが、ほかの生徒たちについては覚えてはいるが、言葉に出せない、会話の内容に上げられないといった風に記憶を操作するようだ


 「あ、そうだ、洗脳についてなんですけど」


そういえば、ひとり、私以外にアサヒのことを覚えている神代くんについて伝えておく


 「その神代くんにも、貴方と同じことをしてもらいましょう」


そして、相談した結果、洗脳や記憶操作が聞かない神代が、万が一にも私についての内容を口にすると、生徒たちに関しては記憶が戻るかもしれないので、神代くんも私と同じ勇者集めをさせるようだ


 「それでは、私は神代くんにも説明しに行ってきます」

 

 「わかりました、それじゃあ、準備していますね」


ケニスさんが神代くんに説明しに行っている間に、準備をする


と言っても、持ってきている物など何もないし、することなどない


やることもないので、ベッドに少し横になって待っていると


 コンコン


ドアがノックされる


 「あれ、もう終わったの?」


ついさっきケニスさんが出ていったところなのに、もう戻ってきたかと思って、ドアを開けると


 「モエ・・・」


そこには、モエが立っていて、開けた瞬間、中を見たと思うと、すぐにうつむいた


 「どうしたの?」


とりあえず部屋の中に入れて、どうしたのか聞く


 「ねえ、カホ」


部屋に入ってきたが、モエはうつむいたままだ


 「何かあったの?」


もしかしたら部屋で何かあったのかもと思い、聞いてみるが


 フルフル


首を横に振って、それを否定する


 「じゃあ、どうしたの?」


 「カホ・・・どこかに行っちゃうの?」


 「・・・」


なぜ、モエが自分がここを出ることを知っているのか、疑問に思うが、心配させないために否定する


 「どこにもいかないわ、どうして?」


 「本当に?」


カホが顔を上げて確認をしてくる


 「モエ、その眼は?」


そして、よく見てみるとカホの右目はいつもの目とは違い目に時計のようなものが浮かび上がっていた


 「眼?」


どうやらそれはモエ自身も気が付いていないようで、目元を触って確認していた


 「ねえ、モエ、どうして私がどこかに行くって思ったの?」


それよりも、なぜモエがこの部屋に来て、私がどこかに行くのか聞いてきた理由を聞いてみる


 「えっとね、さっきまで寝てたんだけどね、夢を見たの」


モエが事細かに理由を教えてくれる


 「夢の中でね、カホが何かゆうしゃ?とかいうのを探しに行くってここを出ていったの、でね、変な夢だなって思って起きてね、カホに会いたいなって思って部屋を出てね、この部屋に向かったの」


 「うん」


別に今のところはカホが勇者を探しに行くということ以外はおかしくはない、この世界にきてそんなことを想像することは別におかしくはないだろう


 「でね、最初はカホの部屋がわからなくてね、探してたんだけど、夢を思い出してみたことある廊下だなって思って、夢の通りに行ってみたらこの部屋についたの」


 「夢といっしょの作りだったってこと?」


 「うん、一回もこんなとこ来たことないのに、何でか見覚えがあったの」


怖がりのモエが、一人でこのような知らない場所を移動するとは思えない、なので一回も来たことないということは本当だろう


 「でね、まだそれは偶然かなって思ったんだけどね・・・」


まあ、一応男と女で部屋の場所は別れているので、運が良ければ私の部屋にたどり着けるだろう


モエが言葉をつづける前に、ベッドの方に近づいてあるものを手に取る


 「この本、夢でカホが持ってたものと一緒なの」


それは、さきほどケニスさんからもらった本、この本をモエが知っているわけもないし、なぜそのことを知っているのか不思議に思う


 「だからね、夢で見たのはただの夢じゃないって思って・・・ねえ、本当にどこにもいかないの?」


 「・・・・うん、大丈夫どこにも・・」


どこにもいかない、そう言いかけた瞬間に


 「お待たせしました」


タイミング悪く、ケニスさんが戻ってきてしまう


 「タイミングが、悪いですよ」


 「これは、すいません」


ケニスさんのことをどう説明しようか考えていると


 「確か・・・ケニス、さん、ですよね?」


初対面の人なので、自分の後ろに隠れながらケニスさんに確認する

 

 「なんで名前を?」


モエがケニスさんの名前を知っていることに驚く、多分ケニスさん自身も自己紹介などしていないだろうし、自分からもケニスさんの話をしていない、なのになぜ知っているのだろうか


 「えっと、夢で見ました」


 「夢で?」


ケニスさんも不思議に思っている、夢で見たなど、意味が分からないだろう


 「ケニス、さん」


モエがケニスさんに話しかけ、質問をする


 「カホは、どこに行くんですか?」


 「・・・話したんですか?」


ケニスさんがこっちに向かってそう言ってくる


 「やっぱり・・・」


私に確認しても、どこにもいかないとしか答えないと思って、ケニスさんに聞いてみたのだろう


そして、モエの思惑通り、ケニスさんが口を滑らせてしまう


 「ねえ、カホ、なんでどこかに行くの?」


モエは、行かないでとは言わない、何で行くのかと聞いてくる


もうこうなったら、すべて話してしまおうと思い、ケニスさんに確認をして、すべて話していいかどうかを聞く


そして、許可がでて、アサヒのこと、勇者のことなど、すべて伝える


 「モエさんには、二人との連絡手段として行動してもらいましょう」


初め、すべてを話してモエは自分もついていくと言っていたが、それは私が反対した


怖がりのモエが知らない土地で勇者を探すなんてできると思わないし、第一、危険かもしれないことにモエをあまり巻き込みたくない


なので、モエにはこっちに残ってもらい、必要なときに私と神代君に連絡を取れるような役割をしてもらうことになった


 「それじゃあ、話しが終わりましたら、部屋を出て廊下を左にまっすぐ進んできてください」


ここを出る前に最後にモエと話をするためにケニスさんには先に行っていてもらう


 「モエ、私がいなくても大丈夫?」


モエには一応仲がいい子はいるが、大半は私といるので、そんな私がいなくなってやっていけるのか不安になる


 「大丈夫、カホが頑張るなら、私も頑張る」


モエに全てを話してから、いつもの顔とは違い、何か覚悟を決めたような顔をしていた


この様子なら、多分なんとか私がいなくても行けるかと思ったが、やはり少し心配になる


 「心配しないで」


顔に出ていたのか、モエがちゃんとそう言ってくる


 「そう、それなら大丈夫か」


彼女自身がそういっているのなら、そうなのだろう


 「これからは、なかなか会えなくなるね」


モエ以外の人と会うのは避けないといけないので、こっちに残るモエともほとんど会えなくなるだろう


なので、最後にモエに抱き着く


 「むぐう、苦しいよ」


苦しがりながらも、モエも抱き返してくる


 「私も頑張るから、モエも頑張ってね」


 「うん、カホも怪我しないでね」


お互いにお互いの心配をして、お別れを言う


 「それじゃあ、行ってくるね」


 「うん、行ってらっしゃい」






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