完治
・7・
side:ルーク・ヴァレンティ
全力で魔人の元へと向かうルーク、しかし到着したころには村が焼けていた
「おらおらおらおらぁ!!!!」
全方向へ火魔法を無造作に放つ魔人がいた、その近くには村人だったと思える人型の灰が残っていた
それを見た瞬間、魔人の首をはねた
しかし、魔人は心臓部にある核を破壊するか再生が追い付かなくなるまで戦うまで、殺すことはできない
「なんだぁ?てめえ」
数秒後、首の再生した魔族がこちらに気づく
「なぜ、お前らは罪のない人を殺す?」
「決まってんだろ、暇つぶしだ」
「そうか、じゃあ、手加減なしで行くよ」
「ああ?魔人に人が勝てると思ってんのか?」
「うん、勝てるよ」
そういいながら届くはずもないくらい離れていた魔人の両手を切り飛ばす
「ほら」
ルークが放ったのはただの鉄の刀による抜刀術だった
「何で、魔力も通ってねえ刀で切れるんだよ」
魔人族の体は常に、魔力をまとっており鉄の刀で切れるはずがなかった、それなのにただの鉄の刀できられたことに動揺していた
「君が弱いからだよ、あと、まだまだ殺さないからね」
魔人の核に掠るよう刀で切る
「あああああああああ!!!くそが!!殺してやる!!」
「無理だよ、早く再生してよ、もっと苦しめてあげる」
ルークの雰囲気がいつもとは全く違うものになっていた
それから、魔人が再生する度、手足を切り、核を痛めつける
数十分後、魔人は灰となり消えていく、これ以上再生するのをあきらめたようだ
灰になり消えていく際ある魔法を唱える、それは浄化魔法である
魔人は基本的に、核を破壊し倒したとしても時間がたつと再生してしまう、したがって、魔人を倒した際は浄化魔法を使って完全に倒しきる必要がある
「罪のない人を殺したんだから、二度と蘇らないようにするから」
魔人を滅ぼした後、村を回り、死体を集め、火葬をする
「申し訳ありません、もう少し早く来ていれば少しでも助けれたのに」
何人かは助けることができ、その人たちに対して、助けられなかったことを謝る
その中には、親を殺されて、残ってしまった二人の兄弟もいる
ルークはその光景を見て、とても胸が苦しくなる
幼いころ、ルークの住む村が魔人が使役する魔物に襲われたときルークの姉妹以外、皆殺しにされた光景をその子たちを見て思いだす
(本当にごめんよ)
心の中でその兄弟に謝り、そのあと、火が収まるまで待つことにする
火が収まった後、数分間黙祷をささげ、ハルたちの元へと戻っていく、到着すると、ハルはいまだ戦っており苦戦していた
「ハル、大丈夫?」
「はい、ただ、何回も再生されてうまく倒せません」
「そうだね、魔族は核があって、そこを壊さないと倒せないんだよ」
そういえば、ハルには魔族の倒し方を教えたことがなかった
「そうなんですか、わかりました、頑張ります」
「核の場所はわかる?」
「はい、なんとなく、魔力が集まっているところがあるので、そこですよね?」
「そうだよ」
魔族の核とは人族などで言う心臓のような働きをしており、その核から体中に魔力を流しているので、魔力が集まっているところを見つけると、そこにあるということになる
それからハルは、苦戦することなく、相手の核を破壊する
「魔族を倒したときは、浄化魔法をかけて復活しないようにしないといけないから、覚えておいて」
「わかりました、ところで浄化魔法をかけなかったらどうなるのですか?」
「魔法をかけないと、じかんをかけて復活あしてくるんだよ」
とりあえず、確認した魔族は倒すことができたので戦闘を終えたハルを休ませる
「一応、もう一度周囲を見ておくから少し待って」
今度は全力で魔力を込め、魔力探知をするが、周囲にはこれ以上魔族がいないのを確認したので、砦のほうへと戻る
「ルークさん、お疲れ様です、怪我とかしてないですか?」
砦に戻ると、見張りをしているアイシャがいた
「アイシャこそお疲れ様、大丈夫だよ」
「そうですか、それは良かったです」
「ありがとう、それじゃあ、魔族は倒したから報告しに行こうか」
砦へ戻り、魔人を倒したことを報告に行こうとしたとき、ミーシャからの通信が届いた
(ルークさん、今大丈夫にゃ?)
「ん?大丈夫だよ、どうしたの?」
(今王都に黒死病にかかってる人がいるにゃが治せるにゃ?)
「黒死病ならすぐ治せるけど、今王都だよね?すぐ行こうか?」
(お願いするにゃ、かかった人の兄が頭を下げてお願いしてるにゃ、助けてあげてほしいにゃ)
「わかったよ、いい兄をもってその子も幸せだね、王都には30分ほどでつけるけど、周囲に人をなる
べくいないようにして、ミーシャが座標になってね」
ミーシャからの通信があったことをアイシャたちに伝え、報告は任せることにして、王都へと一人帰還する
「三人とも帰りはゆっくりしていっていいから、気を付けてね」
王都へと向かい少し離れた後、とある魔法?を唱える
「【影渡り】」
そう唱えた瞬間、ルークは影の中に消え、とある部屋の中へと移動する
「よっと、おまたせ、それで黒死病の子はその子?」
「お帰りにゃ、そうにゃよ、この子が黒死病にかかった子で、そこに寝ている子がその子の兄にゃ」
「わかった、それじゃ、さっそく治すよ」
「【無へと帰せ】」
「相変わらず、聞いたことのない魔法にゃね」
「これに関しては、秘密ね、どうしても教えてほしかったら教えるけど」
「大丈夫にゃ、秘密の一つや二つ、だれにでもあるにゃ」
ルークによって、黒死病は消え去り、リズの意識が覚める
「だ、れ」
「やあ、君のお兄さんに頼まれて、君の病気を治しに来たんだよ、もう治ったから安心してね」
「あ、ありがとう、ございます、お兄ちゃんは?」
「そこのベッドで寝てるよ」
「治してくれて、ありがとうございます、」
「いいえ、これからは気を付けてね」
リズの黒死病は直したので、役目を果たしたルークはミーシャたちを見る
「それじゃあ、僕は先に帰るね、マナ、ミナ、ご飯までには帰るように」
「「は~い」」
リズから少し離れ、もう一度[影渡り]を発動させ、今度は自宅へと帰る
「おかえりなさいませ、ルーク様」
「ただいま、レイナ、今日はアイシャとククル、ハルは帰ってこないと思うよ、ミーシャたちは帰って
くるかな」
「わかりました、ではアイシャ様たち以外の夕食を用意させていただきます」
頭を下げて、ルークの元から離れていくのは、ヴァレンティ家でのメイドを務めている狐獣人族のレイナである
そうして夕食の時間になり3人以外の全員が集まり食事が開始する
「ところで、ミーシャ、どうして人族が嫌いな君が、そこまであの子に気をかけたの?」
「あの子は、獣人の私を見ても、なにも反応がなかったしそれにルークさんと一緒の魔力の感じがしたにゃ」
「なるほどね、獣人に対し何も反応がないってことは、どっかの田舎から来たのかな、あと同じ魔力の感じなのは僕の秘密にかかわることだけど、聞く?」
「いや、そっちはいいにゃ、また今度会ったら獣人について聞いてみるにゃ」
ルークの能力は普通人には言えないがミーシャたち家族のことは信用しているので、別に教えてもいいと思っているが、家族のみんなはなぜか聞こうとはしなかった
次回からは、アルカ視点に戻ります