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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第2章  学園編
63/128

半覚醒・復讐心

・60・

side:アルカ・ロワール




目の前に、ベッドの上に横たわる、一人の人物を眺めていた


 「・・・どうして」


ベッドからはみ出ている手を取り、握りしめる


治療後であるので、手はきれいな状態であったが、握りしめても握り返してくることはなかった


 「できる限りの治療はしたわ、ただ目が覚めるかどうかはわからない」


後ろから、この患者の治療に当たったアイシャ先生が声をかけられるが、まったくその言葉が頭に入ってこない


 「・・・・どうして、ねえ、返事をして」


ベッドに横たわる人物に、ひたすら声をかけていく


 「返事をしてよ・・・エレナ」


ベッドに横たわり、静かに死んでいるように眠っているのは、エレナであった


 「大丈夫よ、生きてはいるし、多分後遺症もないわ」


 「・・・・・」


アイシャ先生は大抵の回復魔法を使用できるので、死なない限り、呪い以外は外傷、内傷関係なく治せるようなので後遺症はないだろう


 「私は、とりあえずセレスに説明してくるから、アルカはそばにいてあげて」


アイシャ先生は、とりあえずエレナの姉のセレスに、状況を説明するために部屋を出ていく


セレスさんは、今の状態のエレナを見た瞬間、顔を真っ青にしながら部屋から出ていった


妹の、こんな姿を見たのだから、その反応は当たり前だろう


 「なあ、エレナ、どうしてこうなったんだい?」


エレナの顔に手を当てながら、そう口にする


発見されたのは、路地裏であり、ボロボロの状態で横たわっていたそうだ


 「どうして、エレナが」


顔には傷は一つもない、ただ、目を覚まさないエレナを見ていると、何とも言い難い感情が湧き上がってくる


 「エレナ、目を覚ましてよ」


 「誰にやられたんだい?」


エレナがその言葉に反応することはない、ただ死んだように眠っているエレナに向かって、言葉をかけ続ける


 「ねえ、教えてよ、エレナ」

 

 「誰を同じ目に合わせれば、この感情は収まるんだい?」


同じ目に合わせるだけでいいのか、そう疑問に思い


 「誰を殺せば、この感情は収まるの?」


感情を抑えるために力を入れすぎて、奥歯が砕ける


 感情の起伏【怒】が、大きく変動しました、状態を【復讐心】にします


頭の中で、異能の声が響く


 これより、異能は半覚醒状態に移行します、一時的に、制限を解除します


異能の声は続いていくが、そんなことはどうでもいい、ただエレナのことだけしか考えれない


 以下の条件を達成することにより、異能を完全覚醒状態にします

 1.エレナ・ルーシュの無事を見届ける

 2.復讐対象:サイトウ・ツカサの抹殺


異能の言葉の一つに、反応する


 「復讐対象・・・」


復讐対象、つまりエレナをこのような状態にした相手だろう


 「サイトウ・ツカサ、そうか、こいつを殺せば」


半覚醒状態になってから、今使える異能が頭の中に浮かんでくる


 「エレナ、見られたくないかもしれないけど、ごめんね」


エレナの頭に手を当て、ある異能を唱える


 「【コネクト】」


エレナの記憶を読み取り、事件が起きた時の記憶を探る


 「余計なものは見なくていい」


いろいろな記憶が、頭の中に入ってくる、ただ、今はそのサイトウ・ツカサがどのような人物なのか知ることだけでいい


 「こいつか」


一番直近の記憶を探り、一つの記憶を読み取る


目の前に、一人の男が立っており、おそらくエレナの首を絞めているのだろう、そして、その男の後ろには、複数の男が立っており、人質のように二人の女性、ミホとナナがつかまっていた


 「そうか、エレナは二人を助けようとして」


つかまっている二人とも、結構ボロボロの様子であり、おそらくこの男たちに強姦でもされそうになったのだろうか


それを助けるために、エレナはこんな場所に来たということになる


 「怖かっただろう、男に襲われて」


女性にとって、自分より体の大きく、力の強い男に襲われるのは怖いに決まっている


そこで、異能を解いて、エレナを見つめる


そして、エレナの頭をなでながら


 「安心して、君が目覚めるころには、もうこの男たちはこの世にはいないから、これからは、ずっと俺が守るから」


復讐を果たし、エレナが目覚めてからは、ずっと隣にいよう、そう決意して、立ち上がる


 「待っててね、エレナ」


部屋から出て、歩き出す


そして、歩いているうちに、だんだんと、自分が自分でないような感覚になっていく

 

 「さあ、どのような殺し方をするか、考えないとな」


ただ、単に殺すなんてことはしない、いかに苦しめて、殺すか、その方法を考えていく


そして、ふと目の前に何かが飛び出てきて


 「ん?」


 「【陽だまりのゆりかご】」


それが自分の手であることを認識した瞬間に、口から勝手にその言葉が発せられて


 「・・・・」


その異能の効果によって、アルカは意識を失い、その場に倒れこむ


 「いたた、鼻打っちゃったわぁ」


すぐさま、アルカは立ち上がるが、まるで別人のような雰囲気で歩き出す


 「はあ、始まっちゃったわぁ、まずは教えてあげなきゃねぇ」


歩き方はまるで女性のようであり、体の様子を確かめていた


 「うん、いい感じに鍛えてるわねぇ」


アルカの体に満足した様子でうなずき、そして、異能を唱える


 「【影渡り】」


その場から姿を消し、とある場所に移動する






side:ルーク・ヴァレンティ




 「ん?」


部屋で仕事をしていると、とある部屋に仕掛けていた結界に反応がある


 「・・・まさか、いや、そうか」


その部屋に入れるのは、ルークともう一人のみ、であるので反応があったということは、そのもう一人が入ったということであるのだが、それがどういう意味であるのか、ルークは理解する


その反応があった部屋に向かい、息を落ち着かせる


 (どうか、違ってくれ)


ほぼ、確信はしているのだが、違うことを願いながら、部屋の扉を開ける


 「・・・・」


 「久しぶりねぇ」


 「・・・・あぁ」


そこにいる人物の姿を見た瞬間に、すべてを理解し、一瞬、絶望の表情を浮かべる


そこにいたのは、アルカであった、ただ中身が違うのは、しゃべり方、立ち振る舞い、雰囲気でわかる


 「お久しぶりです、アリア様」


今のアルカの中の人物は、アルカの異能の人格であり、元ヴァレンティ家当主、アリア・ヴァレンティである


 「ゆっくり話をしたいところだけどぉ、そうも言ってられないわよねぇ」


 「はい、アリア様が出てきたということは、そういうことですよね」


 「そうよぉ、半覚醒状態になってしまったわぁ」


 「どれですか?」


 「怒、よ、一番最悪なパターンねぇ」


 「・・・そうですね」


半覚醒状態は、覚醒状態に移行する前段階の状態であり、この段階ではステータス値の上昇が非常に高いが、この半覚醒状態でステータスを上げないと、覚醒状態になった瞬間ステータス値は固定され、それ以上成長ができなくなってしまう


なので、半覚醒状態でないと、アルカの実力をルークに届かせることができない


その意味から、最悪のパターンである


半覚醒状態には、4つの種類あり、アルカの状態である怒は復讐心が原動であり、ほとんど暴走状態となっている


そんな状態では、ステータス値を伸ばすなんてこと不可能である


 「まあ、やりようはいくらでもあるわよぉ」


 「そうですね」


 「それじゃあ、今から作戦を練るわよ」


それから、アリア様と話し合いをし、半覚醒の状態をどのようにして維持するかの話し合いをしていく


 「では、この手順で行きましょう、それで、アルカを抑えるのは、どのくらいできますか?」


 「ん~、頑張って、3日が限界かなぁ」


 「3日、丁度礼王祭の最中ですね」


3日後から、礼王祭が始まり、それには、アルカの復讐対象のサイトウ・ツカサも出場するらしい


なので、アルカ自身も、おそらく3日後のアリアから主導権を取り戻すと出場することになるだろう


 「その時が、勝負ですね」


 「そうねぇ、多分、アルカ君が仕掛けるなら、その時かもねぇ」


 「それじゃあ、私はなるべくステータス値を上げに行くわぁ」


 「自分はみんなに説明してきます」


短時間でも、アルカの実力を上げておかないと、もしかしたらこの作戦が失敗するかもしれないので、アリア様にはぎりぎりまで魔物を狩っていてもらう


 「説明が終わったらぁ、身を隠すのよぉ」


 「はい、それでは失礼します」


 「それと、ちゃんと別れも済ましておくのよぉ」


最後に、アリアはそう言い残して、姿を消す


ルークも部屋を出て、家族全員に、簡単に説明をする、ただ、そのあとの結果については、作戦に支障が出るかもしれないので、だれにも伝えない


 「あとは、アイシャに任せるとして、ほかにやることは・・」


アイシャに特Sクラスのみんなには話をしてもらい、手伝ってもらう、かなりの確率で、半覚醒状態のアルカと戦うことになるので、なるべく戦力が必要である


 「うん、大丈夫だな、それじゃあ、消えるか」


別れの言葉は、まだ誰のも伝えないことにして、最後にそう言い残し、ルークはこの世から完全に姿を消した




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