アイシャ、シン、レイ
後書きに軽く今回出てくる人物の紹介を載せています
・49・
side:アルカ・ロワール
ルークさんの家に来て少し経った頃
「ん?これは?」
自分の部屋に戻る途中に、一枚の紙が落ちているのに気が付く
「アイシャ先生?」
その紙を拾い上げ、見てみると、一枚の写真であり、そこに写っている中の一人が見知った顔、アイシャ先生であった
「届けよう」
おそらく大事なものであると思うので、返しに行くことにする
「この写っているのは家族?」
写真には、アイシャ先生の他にも二人の10歳前後であろう女の子と男の子が移っていた
コンコン
アイシャ先生の部屋につき、ドアをノックする
「はーい」
「アルカです」
「ちょっと待ってね」
何か作業をしていたらしく、少し待っていると、扉が開く
「どうしたの?」
「これ、拾ったので、届けに来たんです」
「! ありがとう!探していたの!」
どうやら、アイシャ先生はこの写真を探していたらしく、帰ってきたことにすごく安心していた
「この写ってるのって、家族ですか?」
「気になる?」
写真のことを聞くと、なんだか少し寂しそうな顔をしたような気がした
「聞いてもいいなら」
この家に住んで立つがこの写真の人たちは見たことがないので、少し気になる
「入って、そこらへんに座って」
「わかりました」
「お茶でも入れよっか、熱いのでいい?」
「はい、ありがとうございます」
部屋に入れてもらい、ゆっくりと話を聞くことになる
「はい、熱いから気を付けて」
「ありがとうございます」
アイシャ先生が飲み物を入れ終わり、ソファーに腰を下ろす
「この子たちはね、私の息子と娘なの」
「え!アイシャ先生の子供ですか?」
意外な返答にびっくりする
アイシャ先生は、どう見ても容姿は20代にしか見えない、それであるのにこんな大きな子供がいることに驚く
「そうよ、びっくりしたでしょ?」
「はい」
「年齢と、容姿が釣り合ってないから、驚かれることが多いのよ」
「そうでしょうね」
「これでも、私100歳くらいだからね」
「100歳!?」
どう見ても100歳には見えない
「私の種族はね、半妖っていうのだから見た目と実年齢は比例しないのよ」
「半妖ですか」
一度図書館で、半妖とは大昔に人族によって大量虐殺された種類の一つだと書かれた本を見たことがある
「このことは秘密にしてね」
「はい、わかってます」
「この家にはね、いろいろな種別の子がいるの半妖、九尾、半竜そのほかにも色々いるわ」
「そんなこと、教えてもいいんですか?」
「ええ、アルカになら問題ないわ」
どうやら、信用されているようで、なんだかうれしくなる
「話は戻るけど、この子たちのことね」
「この子たち、見たことないんですけど、ここにはいないんですか?」
「ええ、もう私もずっとあってないから、どこにいるかもわからないわ」
「ずっと会ってないんですか?」
「私がこの家に来る前はね、ここから遠い村に住んでたの」
side:アイシャ
アイシャがルークの家に来る前、とある村で暮らしていたころ
「何か手伝うことある?」
娘のレイが、何か手伝うことはないかと、台所まで来る
「レイ、それじゃあお兄ちゃん呼んできて」
家の裏で薪割をしているシンをレイに呼びに行ってもらい、その間に机に夕食を並べていく
「ただいま、母さん」
「おかえり、ご飯できたから手を洗ってきて」
「了解」
「レイ、ありがとうね、体調はどう?」
「今は大丈夫だよ」
レイは小さいころから、体が弱くなるべく家でおとなしくさせている
「洗ってきたよ」
シンが手荒いから戻ってき、食事を開始する
「「「いただきます」」」
基本的に、食べるものはレイに合わせて、消火にやさしいものになっている
「お母さん、おいしいよ」
「うまいよ」
「ふふ、ありがとう」
自分の料理を子供に褒められるのは、とてもうれしい
「母さん、明日森に行ってくるよ」
「わかったわ、気を付けてね」
「大丈夫だよ」
基本的に、アイシャと、シンが交代で仮に出ており今日はアイシャが言ったので、明日はシンの番になっている
「ご馳走様、今日は早めに休むよ」
「その方がいいわ、ちゃんと汗は拭いてから寝るのよ」
「わかってるよ、それじゃあおやすみ」
シンは狩りで使う弓の手入れもしないといけないので、ご飯を食べ終えて、すぐに自分の部屋に戻る
「洗い物手伝うよ」
「ありがとうね、無理しないように」
レイに無理をさせて倒れたらいけないので、簡単な作業だけ手伝ってもらうことにする
「お母さん、今日一緒に寝てもいい?」
「? いいよ」
いつもは三人とも別々に寝ているのだが、今日は一緒に寝たい気分らしい、こういうことはたまにあるので不思議なことではない
「よし、ほとんど終わったし、そろそろ寝ましょうか」
「うん」
家事をすべて終わらせて、寝る準備をし、寝室に向かう
ギュッ
「? どうしたの?」
ベットに腰かけるといきなりレイが抱き着いてくる
「ちょっと、夢のこと思い出して怖くなっちゃった」
「だから、一緒に寝たかったのね」
「うん」
「どんな夢なの?」
「お母さんも、お兄ちゃんもみんないなくなるの」
「いなくなる?」
「うん、私を置いて、どこかに行っちゃう」
その話をしていると、レイがうとうととしだす
「大丈夫だよ、私もシンも、ずっと一緒にいるから」
「うん・・・」
そしてそのままレイは眠りに落ちる
レイには、特別な力がある、夢で見たことが起こるつまり予知夢である
(近いうちに、何か起こるわね)
アイシャとシンの二人がいなくなるのなら、まだ安全であろう、だが、レイはみんなといった、つまりこの村に何かが起こるということだ
(明日、シンにも伝えなきゃ)
もうすでにシンは寝ていると思うので、明日起きてからこのことを伝えることにし、今日は眠りにつく
「ーーーーー!!」
「ん?」
夜中、ふと何か声が聞こえ、目が覚める
「そと?」
どうやらその声は外から聞こえてくるようだった
「なんだろう」
いつもなら、この村でこの時間に起きている者など、ほとんどいない
なので不思議に思い、様子をうかがいに行くことにする
「? シン、起きたの?」
「うん、なんか声が聞こえて」
どうやらシンも外の声が聞こえて起きてきたらしく、二人で様子を見に行くことにする
「お母さん、あっちだと思う」
外に出てからは、声も聞こえなくどこから聞こえていたのかわからなくなるが、シンが聞いた時にある程度の場所は確認していたらしい
「! 止まって!」
前を歩いていたアイシャが、曲がり角を曲がった瞬間にあることに気付き、シンを止める
「どうしたの?」
シンの視線はアイシャの体で遮られており、何が起こっているのかわからない
「シン、家に戻って、レイと一緒にいて」
「? 何があるの?」
「いいから、急いで」
「う、うん、わかった」
どうやらシンはアイシャの真剣な表情をくみ取り、言葉に従ってくれた
「絶対に、外に出ちゃだめよ」
シンに外に出ないように言ってから行かせる
「あれは」
シンがちゃんと家に戻ったのを確認してから、改めて道の先の出来事を確認する
(村長!)
この村の村長であるおじいさんが、何者かに首を絞められ持ち上げられている光景が目に入る、それに、周りには何人もの人が血を流して倒れている
「さあ、さっさと吐けよ」
「助けなきゃ!」
会話を聞くに、何やら拷問をされているようで、助けなくてはと思い、飛び出そうとすると
「待ってください!」
後ろの方から腕をつかまれて、声をかけられる
「! ケニー!?」
「アイシャ様、どうかお逃げください」
声をかけてきたのは、村長の息子であるケニーであった
「どうして!村長があんな目にあってるのよ!?」
目の前で誰かが傷ついているのに、逃げろと言われて、逃げれるわけがない
「あいつの目的はあなたです!」
「? どういうこと?」
ケニーに話を聞くに、どうやら村長を捕まえている男は、突然この村にやってきて、半妖であるアイシャを探しに来たらしい
「見るからに怪しかったので、私と親父でごまかしました」
「どうして!?」
「アイシャさんにはみんなお世話になっているんです、あんなに怪しい人たちに教えるわけにはいきませんよ」
「そんな・・・助けなきゃ!」
そんな人たちをやはり見殺しにはできないので、助けに行くことにする
「だめです!どうか逃げてください!」
「断ります、みんなを見殺しになんてできません、倒れている人たちもかろうじて息があります、今助ければまだ間に合います!」
「アイシャ様!」
ケニーの腕を振りほどき、飛び出していく
「その手を離しなさい!」
男の前に出ていき、そう怒鳴りつける
「あ、アイシャ様・・・」
「やっと出てきたか」
男が村長を離し、こちらに近づいてくる
「あなたの目的は私でしょう?」
「ああ、そうだ、ぜひついてきていただきたい」
「わかったわ、その代わりこの村の人たちには何もしないで」
「もちろんですよ、貴方がおとなしくついてきてくれるのならば」
どうやら話は聞いてくれるらしく、こちらの要求を呑んでくれる
「さあ、こちらです」
「その前に、治療をさせて」
「・・・どうぞお好きに、それでは向こうで待っていますので、終わったら来てください」
今すぐに治療しないと助からない容体の人が何人もいるので先に治療させてもらう
「大丈夫ですか?」
「ア、アイ、シャ様、どうして」
一番容体のひどかった村長を治療する
「あなたたちにはお世話になったんです、それなのに見殺しになんてできません」
「・・・アイシャ様」
「お願いがあります」
だれにも聞こえないように治療をしながら怪しまれない程度に近づき、耳元でささやく
「レイとシンが、まだ家にいます、あの子たちのこと、頼みます」
「・・・・わかりました」
村長に二人のこれからの面倒を見てもらうように頼みこむ
その後、そのほかの負傷者すべての治療を終えて、待っている男のところへ行く
「お待ちしていました、それでは行きましょう」
男のそばには数人控えており、なんとかいいところで戦って逃げようと考えていたが、それは不可能になった
「わが主、恐れ入りますが、一つよろしいでしょうか」
「ん?なんだ」
「この女からの半妖の反応が、かすかにしか感じられません」
「なに?」
男がその言葉に反応し、こちらに近づいてくる
「・・・ちっ、おい、てめえ」
男が舌打ちをした後、アイシャの髪をつかみ、持ち上げてくる
「子供を産みやがったな!」
そう怒鳴り上げながら、アイシャを地面にたたきつける
「がはっ!!」
「おい、こいつの子供を探してこい!」
「! 行かせない!」
どうやら相手の狙いはシンたちになったようである、それならば全力で止めなくてはならない
「ほう、子を産んだ半妖が妖魔の俺に勝てるとでも思っているのか!」
どうやら相手の正体は妖魔であった、半妖と妖魔が戦った場合、半妖が勝てることの可能性は低い
それに加えて、半妖は子を身ごもり、出産すると大概の力を子供に引き継がれて、出産した本人は半妖の力をほとんど失ってしまう
「そんなの関係ない!絶対に行かせない!」
勝てないと分かっていても、子を守るためにはここで戦うしかない
「おい、こいつは俺が相手をする、お前らはいけ」
「かしこまりました」
「行かせないって言ってるでしょ!」
男の側近が村に向けていこうとしたので、魔法で足止めをする
「よそ見してんじゃねえ」
しかし、その魔法によって隙だらけになってしまい、男の接近を許してしまう
「してないわよ!」
男が魔法の隙を狙ってくるのはわかっていたので、なんとか反応できる
腰からナイフを抜き、それを構え、男に向き合う
「半妖の力がなくたって、私は戦えるわよ」
「どうやらそのようだな、おい、一気につぶすぞ」
どうやら全員で一気に片を付けることにしたようで、こちらに狙いを変えてくる
「いけ」
そして、絶望的な戦いが始まる
アイシャ・メーニャ:妖魔と人間のハーフである半妖、人間との間に二人の子供を身ごもり、半妖の力を失う
シン・メーニャ:アイシャの子供で、レイの兄、半妖の力の大半を受け継ぎ、妹を守るために日々訓練をしている
レイ・メーニャ:アイシャの子供で、シンの妹、半妖の力はほとんど受け継がなく、体が弱い




