表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第2章  学園編
50/128

自分がもっと強ければ

・48・

side:アルカ・ロワール



リズの元に走り出したところで、あることを思い出す





数日前にルークさんに修行を付けてもらっているときのこと


 「もし僕がいないときに、異能について聞きたいことがあったら、この魔法を使って」


そういわれ、その魔法について書かれている紙を渡される


 「あ、別に、ほかの用があるときでも使っていいからね」




そのことを思い出し、もしかしたらエレナの方が間に合わないかもしれないと思い、その魔法を使うことにする


 「[通信:ルーク・ヴァレンティ]」


空間魔法の通信を唱える


 「・・・つながらない」


このルークさんに教えてもらった通信は通常とは違い、距離などは関係ないらしく、もしつながらないことがあれば、妨害されているしかないらしい


 「妨害、あれか」


空を見上げると、空は真っ黒になっており、おそらく結界的な何かであろう


 「それじゃあ、助けは望めないか」


今のところ、通信でしか、遠隔で助けを要求する手段はないので、助けを求めるには、自ら行かなくてはいかないだろう


 「そんな時間、ないか」


助けを呼びに行くにしても、そんなことしていたら、二人に何か起こるかもしれないので、その選択肢はなくなる


 「もうすぐ」


全力で走ったので、もう間もなくリズの元にたどり着く


 「[フレイムランス]」


あと少しでたどり着くというところで、リズの魔法を唱えている声が聞こえる


 「リズ!」


リズの姿が見えた瞬間、彼女の名前を叫び、こちらの存在を示す


 「お兄ちゃん!」


 「少し移動するよ、つかまって!」


エレナの元に移動するために、姿が見えた瞬間にリズを抱きかかえる


 「あぶない!」


しかし、リズを抱きかかえた瞬間に、突き飛ばされる


 「おお、よくよけれたね」


何かで攻撃されたらしく、アルカとリズの近くの地面は焦げ付いていた


 「なんだ、お前」


アルカたちを攻撃してきたのは、一人の青年であった


 「その子、連れて行っちゃ困るんだ」


そういって、青年は、リズを指さす


 「お兄ちゃん、そいつ、私が狙いらしいの」


 「リズを?」


そういえば、相手の目的は、エレナとリズも含まれているらしい


 「それなら、なおさら」


リズが狙われているのなら、ここにいさせるわけにはいかない


 「リズ、ここから向こうにまっすぐ走って、そっちにエレナがいるから」


この青年から逃げるには、おそらくどちらかが気を引いて、片方を逃がすしかないだろう


なので、戦力的に、エレナの方をリズと二人にした方がいいだろうと思い、リズを逃がそうとするが


 「だめだよ」


青年が、手をかざしながら、聞いたことのない言語で話し出す


すると


 「なんだこれ」


アルカとリズの周りに、白い壁のようなものができて、それは青年を含む三人を囲むように配置されていた


 「これで逃げられないね」


どうやら、よっぽどここからリズを逃がしたくないらしく、触れた感じ壊せそうにない


それに影渡りなど、移動系の異能も使えなくなっている


 「やるしかないか」


どうあがいても逃げられないと悟り、それならば、二人で協力してこの青年を倒してからエレナの方に向かうことにする


 「リズ、構えて」


 「お兄ちゃん、わかった」


アルカの言葉に従って、リズも武器を構える


 「リズは後ろでサポートをお願い」


相手はおそらく強敵だろう、多分先ほどの女性と同等か、それ以上に、なので一人ではかなわないと思い、リズにサポートを頼む


 「多分、あいつを殺さないといけなくなる、大丈夫?」


 「・・・うん、大丈夫」


相手はリズのことを狙っている、今ここで仕留めないと、今後また狙われるかもしれない、なので殺す覚悟をリズにさせる


リズになるべく青年に近づかせないように、後ろでいてもらう


 「いくぞ!」


 「いいね!」


青年の方も武器を構えて、アルカに向かっていく


 「[時断ち]」


時断ちは、時を切る能力であり、物理法則に従っていない、なのでこの剣を防ぐには同じ時を切るなどの方法でしか防ぐことができないのだが


 ガキン


 「なっ!」


明らかに相手は何も唱えていなかった、剣に時間系の付与もされている様子はなかった


 「驚いた?」


剣を止めたことを当たり前のように言ってくる


 「あいつから聞いたでしょ?君の能力、君よりも知ってるって」


そういえば、確かに彼女はそう言っていた


 「能力を、知っているんだから、その対処法も知ってるに決まってるじゃん」


 「対処法?」


 「でも、お前は時間系の魔法も付与もされていない、って思ってるよね?」


青年はアルカの心を読んだかのように言い当てる


 「一つあるじゃん、魔法でも、付与でもない君のよく知っている時間系の技」


魔法でもなく、付与でもないアルカが知っている、そんなもの、一つしかない


 「・・・時断ち」


 「正解」


 「でも、何で」


どうして、それを青年が使えるのか、この時断ちは異能の中の技の一つ、この世に二つ、アルカとルークにのみ使える技のはずである


 「いいねえ、その顔、教えてあげたかいがあるよ」


青年が心底嬉しそうにそういう


 「行くよ」


青年が再び武器を構えて、攻撃を仕掛けてくる


 「[時断ち]」


 「! [時断ち]」


相手が時断ちを使用し、それを防ぐために、アルカも同じ時断ちを使用する


 「いい反応だね」


あと少しでも時断ちが遅れていたら、剣を切られ、そのままアルカの元に届くところだった


一度距離をとるために、相手にけりを入れ、退かせる


 「いった」


青年は、その距離をとるために放ったけりが以外にもそれはダメージになったようで、結構痛そうにしていた


 (軽くけっただけだぞ?)


動きだけでも、能力的にはアルカよりも上であることがわかる、それならば、今のようなけりでダメージが入るとは思えない


 「[フレイムランス]」


 「おっとと」


青年に向かって、後ろの方から魔法が飛んでくる


 「お兄ちゃん、ぼうっとしないで!」


後ろで援護をしていたリズから声がかかる


 「ごめん、ちょっと考え事してた」


今は無駄なことは考える暇はない、早くこの青年を倒し、エレナの元に急がなくてはいけない


 「リズ、一番強力な魔法、お願いできる?」


 「わかった、ただ、詠唱に時間かかるよ」


 「わかってる、時間は稼ぐから、完了したらそのまま維持して声かけて」


魔法の詠唱には簡略詠唱、無詠唱、完全詠唱の三種類があり、右に行くにつれて、強力になっていくが、そのぶん、発動の難易度も難しくなっていく


 「何かする気?」


リズが詠唱を始めたことに、青年がすぐに気付いて、それを阻止しようとリズに向けて攻撃をしようとする


 「させない!」


それを阻止するために、青年に向かって魔法を放つ


 「[ウィンドアロー]」


 「ちっ!」


青年には当たらなかったが、リズから離すことには成功する


 「やっぱりよけた」


簡略詠唱のウィンドアローなど、当たってもほとんどダメージにはならないだろうが、それを相手はよけた


 「[瞬速]」


異能で、青年の目の前に移動し、剣を何度も振るう


 「わっ、ちょ、おっと」


全力で何度も振るったのだが、一度も当たることはなく、すべて剣で防がれたり、回避された


 「危ない危ない、いつつ」


しかし、全部よけられたと思っていたら、青年の方にはかすかにかすり傷があった


 「その傷で、そこまでダメージがあるんですか」


 「あ、あちゃー、もしかして気づかれちゃった?」


青年が頭を抱えながら、焦ったように聞いてくる


 「あなた、生命の値が低いんですよね」


生命の値は、自分の打たれ強さを数値化したものである


 「まあ、ばれちゃったら仕方ないね」


反応からするに、どうやら正解らしく開き直ったように、言葉を続ける


 「僕はステータスが軒並み低くてね、ある程度強い攻撃なら、すぐに死んじゃうんだ」


青年の言葉を聞くが、アルカはその言葉を信じない


もしも、その話が本当なら、アルカの動きについていけることが不思議になる


 「でもね、それを補う能力が僕にはあるんだ」


 「お兄ちゃん!行けるよ」


青年の言葉と同時に、リズの詠唱も完了する


 「わかった、合図するから、合わせて!」


青年から離れて、リズの近くに行き、アルカも魔法を唱える準備をする


アルカが考えた作戦は、二つの属性の魔法を、同時に広範囲に放つことで、逃げることも、防ぐこともできなくするという作戦であった


もしかすると、相手の生命の値が低いと分かった瞬間に、この作戦を思いついた


 「[魔導書]」


アルカも魔法を発動するために、異能の魔導書を用意する


 「リズ!放って!」


リズに合図を送ると同時に、アルカも魔導書を開き、魔法を放つ


 「[エル・フリント]」


 「[黒天召雷]」


リズは火属性の強力な範囲魔法、アルカは強力な雷属性の魔法を放つ


 「これはまずいね」


 「終わりだ!」


そして、魔法が青年に当たる直前、懐から何かを取り出して、微笑む


 「ーーー!」


青年が何かを口ずさむが、魔法の衝撃と音で、その言葉を聞き取れなかった


 「やったか?」


 「お兄ちゃん・・・」


リズが顔色を悪くさせ、震えながらアルカの腕にくっついてくる


 「リズ、そうか、ごめんな」


リズは、おそらく魔物を殺した経験もほとんどないだろう、そんなリズに、人を殺すようなことをさせてしまったのだ


リズには、強烈な体験になってしまった


 「ごめんな、俺が弱いせいで、リズを巻き込んで」


アルカ一人では、おそらく倒せなかった、並列思考を使っても範囲魔法を使えないので、相手には当てられなかっただろう


仮に物理でいったとしても、おそらく殺しきれなかった、なので魔法をつかうしかなかったのだ

 

 (もっと自分が強ければ、もっといろいろな攻撃法を持っていれば、リズを戦わせなくて済んだのに)


 ギュッツ


リズのつかんでいた腕の力が強くなる


 「私の魔法で、」


 「リズ・・」


アルカには何かを言う権利はない、ただ、リズを落ち着かせるために彼女を包み込む


 「ごめんな」


少しの間、そのままの状態で、リズを落ち着かせる


 「・・・もう、大丈夫」


少し時間がたち、リズは少し落ち着いたようで、アルカの腕を離して、立ち上がる


 「お姉ちゃんを助けなきゃ」


こちらは終わったので、エレナの元に向かおうとする


 シュン


 「! 危ない!」


二人の後ろの方から、何かがリズに向かって飛んでくるのが見え、とっさの判断で、それを打ち落とす


 「まさか」


その何かが飛んできた方向に目を向けると


 「勝手に殺さないでよ」


そこには、先ほどまで戦っていた青年が立っていた


 「うそ・・・」


リズも青年の存在に気づき、驚きの表情を浮かべる


 「よかったね、リズちゃん、人殺しにならなくて」


青年が、アルカたちの話を聞いていたのか、リズにそう語り掛ける


 「どうして生きてる?」


確実に魔法は直撃していた、それなのに、どうしていきているのかわからない


 「あの言葉は嘘だったか」


魔法が直撃していて、生きているのなら、生命の値が低いというのは嘘ということになる


 「ううん、嘘じゃないよ、僕の言葉は本当さ」


 「それじゃあ、どうして、いや、いい」


青年が生きていると分かった以上、リズは人殺しにならなかったということだ


 「リズ、もう手を出さなくていい、今度は俺一人でこいつを」


一人でこの青年を倒せるかどうかわからないが、リズに本当に人を殺させるよりはましだ


 「エレナ、もう少し待っててくれ」


アルカ一人で戦う以上、どれだけ時間がかかるかどうかわからない、その分エレナの元にいくのが遅れるが、どうか無事でいてくれることを願う


 「お兄ちゃん、私は大丈夫、やれるよ」


 「いや、大丈夫、もう君にあんな思いはさせない」


あの様子を見て、リズには本当に人を殺すことはさせないと誓う


 「でも、早く倒さないと、お姉ちゃんが」


 「気にするな、エレナならきっと大丈夫さ」


リズを心配させないようにそういう


 「それに、もしかしたら、大丈夫かもしれない」


 「え?」


先ほどの放った黒天召雷には、相手を倒すほかにもう一つ目的があった


 「さっきの魔法で、衝撃は地面をつたって外にも伝わってると思う、もし誰かが気づいてくれたら、応援が来るはず」


先ほどの魔法で、地面が大きく揺れ、それを異変と気づいてくれることを願う


 「それでも、望みは薄いけどね」


 「いやー、使っちゃったし、早めにかたずけなきゃ」


青年がアルカたちに向かってそう言ってくる、青年の方も、何か急いでいるようだった


 「てことで、全力で行くよ!」


そして、青年が一気に駆け出し、アルカに切りかかる


 「君のことは、殺しちゃいけないって話だったけど、事故なら仕方ないよね!」


 「くっ、おもい、」


先ほどまでの攻撃とは全然違い、一撃の重みが増している


 ガキン、カン、キン


一撃の重みはすごいが、なんとか見切れるくらいの速度であるので、かろうじて防ぐことはできる


 「ちっ、しぶといな、さっさとやられてよ!」


 「お前が何を焦っているのか知らないけど、時間をかけたくないのなら、俺らはそれを利用するだけだ!」


明らかに、相手は焦っており、早く片を付けようとしている


この力は時間制限か何かがあるのだろうか、それならば、その時間が切れるまで時間稼ぎをするだけだ


 「ああ!もう!うっとおしいな!」


相手の攻撃をことごとく防いでいき、時間を稼ぐことだけを考える


そこから数分ずっとそれが続き


 「ちっ、時間切れか」


青年が空を見上げて、そうつぶやく


 「空が」


アルカも空を見上げると、先ほどまでは真っ黒であった空は、明るく、日の光が入ってきていた


 「残念だよ、これ以上は戦えないようだね」


青年が武器を収めて、話し出す


 「それじゃあ、僕は失礼するね」


そう言い残し、青年はどこかに行こうとするが


 「逃がさないわ」


突如、声が聞こえたかと思うと、空から、一人の女性が下りてくる


 「! アイシャ先生!」


 「アルカ、気づけなくてごめんね、助けに来たわ」


 「気づいてくれたんですか?」


 「あの振動でしょ?それもあるけど、一番はあの子の能力でよ」


そういい、アイシャ先生は青年を指さす


 「あいつを知ってるんですか?」


 「ええ、あの子は」


アイシャ先生が、言いづらそうにしながら、言葉を続ける


 「私の息子よ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ