閑話 ティマ・ウルカ
・閑話・
side:ティマ・ウルカ
「大丈夫?どこか怪我してない?」
ダンジョンを進んでいると、いきなり先頭を歩いていたアレンが姿を消した
そして、そこを確認してみると穴が開いていた
急いで助けるためにその穴に飛び込んだが、思ったよりも深く落ちてしまった
「足をくじいちゃいました」
穴は坂みたいになっており一気に落ちるわけではなかったのがそれくらいのけがで住んだのが不幸中の幸いであった
「ここ、登れるかな?」
落ちてきた穴を見てみる
作り的には登れそうであるが、どれくらい長いのかわからない
「背負うから、乗って」
「はい」
アレンがその言葉に従い、背中に乗る
「それじゃあ、ちゃんとつかまっててね」
登ることに専念するので、もし落ちてしまっても助けることができない
登り始めてかなり時間がたつが
「はあ、はあ」
「大丈夫ですか?」
「むり、かも、一回降りるね」
もうスタミナの限界で、登るのがきつくなり、下に下っていく
「多分、まだまだ、登らないといけないわ」
先ほどのところから上を見ても、まだ光が見えなかったのでまだまだ登らなければいけなかっただろう
「それじゃあどうするんですか?」
「まあ、普通に階段から登っていくしかないわね」
穴を登る以外では、地道に階層を上がっていくしかないので、まずは上に上がる階段を探す
「自分で歩けそう?」
「はい、走れはしませんが何とか」
アレンの足を簡単にだが歩ける程度に応急処置をして、なんとか歩ける程度にはなった
「それじゃあ、行くわよ」
ここは一本道であるので道に迷うことはなかったが、少し行ったところで魔物が出てくる
「ウルフ!」
出てきた魔物はウルフであった
「アレン君、戦える?」
「はい、激しくは動けませんが、戦えます」
ウルフは特に戦闘力は高くはないが素早く倒さないと、仲間を呼ばれて、その分、数で押されるかもしれない
「一気にかたずけるよ!」
「はい!」
ティマが先行してまず一匹の首をはねる
「一匹、任せたよ!」
「はい!」
ウルフは一瞬で仲間がやられたことにより、警戒してティマから距離をとるために離れるが
「そりゃ」
その離れたところに少し遅れてきたアレンに攻撃される
「くそっ!」
ぎりぎりのところで反応されて、致命傷を与えることができなかったが
「いや、ナイスよ!」
アレンの攻撃が当たったのは足の健の部分であり、大きく相手の機動性を奪うことができ、すぐに倒すことができた
ティマがそのウルフを倒している間に、アレンは一匹でも減らそうとウルフに切りかかるが
「あたらない!」
アレンではウルフと真っ向から戦っても素早くて攻撃を当てることができない
「それなら」
剣を下ろして、いかにも隙だらけなように見せる
「ガウ!」
そこにウルフは、まんまと引っ掛かり、突撃してくる
「ここだ!」
突撃してきたウルフに向けて、剣を振るい、攻撃する
「よし!」
攻撃は成功し、ウルフの目を切ることに成功し、追撃に出る、しかし
ズキッ
くじいていた足の痛みで一瞬、動きが止まってしまい
「ガウガ!!」
ウルフもその一瞬を見逃さなく、アレンの首に向かって牙をむく
「うわあ!」
痛みで反応が遅れ、どうやっても間に合わないところまで距離を詰められ
「危ない!!」
ウルフが首に噛み付く瞬間に、アレンの体がティマに押しのけられ、彼女が身代わりになり腕を噛み付かれる
「いったいなあ!」
すぐにウルフの首を切り、倒しきる、幸いにも仲間を呼ばれることはなかったので、そのウルフが最後の一匹であった
「ティマさん、だいじょうぶですか!!すいません、自分のせいで」
「ええ、いてて、大丈夫よ、君を守るのが仕事だからね」
思ったよりも深く牙が入り込んだらしく、血もかなり出ていた
少し進んで、安全を確保してから腰のポーチから包帯と傷薬を取り出して、自分で治療をする
「ちょっと、手伝ってくれない?」
「は、はい」
片手で包帯を巻くのは大変であるのでアレンに手伝ってもらう
「よし、できた」
「ありがとうね」
これほどの傷では傷薬と包帯ではあまり効果はないがないよりはましであった
そこからはあまり魔物とは出会わなかったが、分かれ道に出た
「どの道だろう」
「ちょっと待ってね」
ティマが耳をすませて、どの道に進めるかどうか確かめる
「一番右は何か音が聞こえるから、だめね」
その道のみ、音が聞こえるので、それ以外の道に進むことにする
「それじゃあ左にしようか」
あとの二つは判断のしようがないので、直感で選ぶ
選んだ道を進んでいくと、魔物は一匹も出なく、明かりが見えてくる
「もしかしたら階段かも!」
明かりが見えて、アレンがそこに走っていく
「待って!まだ油断しないで!」
先走るアレンを止めて、慎重にその部屋に入っていく
「やっぱり階段だった!」
「ええ、でもあれは降りる階段よ」
見つけたのは下る方の階段であったので、目的地ではなかった
「それじゃあ、行くわよ」
再び上る階段を探すためにこの部屋から出ようとした瞬間
ヒュン
視界の端に何かが飛んできているのが入り、アレンの腕をつかんで後ろに大きく飛び退く
「何!?」
何かが飛んできた方を見ると、そこには大きなゴブリンのような魔物がいて、こちらに向かって再び何かを投げようとしていた
「動ける?」
一目見て、相手の実力を認識して、さすがにアレンを守りながら戦うのは無理と判断して、彼には自分で自分の身を守ってもらう
「よけるだけなら何とか行けると思います」
「それじゃあよろしくね」
それと同時に前に出て、相手との距離を詰める
先ほどとは違い、十分に武器を振るうことができる空間であるので、背負っていた剣を抜き、切りかかる
ガキン
しかし相手の持つ大きな斧によってそれを防がれてしまう
防がれた瞬間に先ほどまで使っていたナイフを相手の目に向けて放つ
「ちっ!」
ギリギリのところでかわされて目には当たらなかった
「ウギャアアア!!」
目には当たらなかったがほほに深々と突き刺さり、それにより、魔物が暴れだす
「あっぶないなあ!」
魔物は暴れながら、手に持っている武器を振り回すので、追撃ができない
しばらくたつと、魔物は暴れるのをやめて再びこちらに向き直す
「!!自己再生持ち!」
魔物を見ると、すでにほほの傷はなく、はじめと同じ状態になっていた
自己再生持ちとなると一気に片を付けないといけないが、おそらく一発でも相手の攻撃に直撃すると再起不能になるだろうので、簡単にはいかないだろう
「それでもやらなきゃね」
逃げようとするとまた先ほどのように武器を投げられて防がれてしまうと思うので、逃げるという選択肢はない、アレンでは勝てるとは思えないので、自分でやるしかない
心を落ち着かせるために深呼吸をして、剣を握りなおす
ダッ
一気に走りだして、相手の目の前で飛び、相手の目線の高さまで飛ぶ
魔物は飛んで隙だらけのティマに向かって武器を振るうが
ガキン
それを下からすくい上げるように魔物の武器に向かって思いっきり切りかかり、その反動で地面におり、魔物が体勢を立て直す前にがら空きのわき腹に一閃する
「かたい!」
思い切り切りかかったのだが、あまり刃が通らなく、そこまでのダメージにはならなかった
「こんなの、むりじゃない!」
先ほどナイフは刺さった顔の部分はおそらく肉質は柔らかいであろうが、そこに攻撃するのは困難である
「ゆっくり、焦らないように」
幸い、相手の動きは遅いので、疲労で動けないということはないとは思うが、長引くほどに集中力が切れてミスをするかもしれない、
狙いを顔に集中するために、とりあえ剣を背中に直し、投擲用のナイフを取り出す
そして、そのナイフに少しだけ魔力を込めていく
市販のナイフであるので、それほど魔力を込めることはできないが、少し流すだけでも切れ味は格段に上昇する
「ナイフは、10本だけか」
緊急用のものであるのでそこまで数はないが、これで戦わないといけない
ゆっくりと、相手の行動をうかがいながら、距離を詰めていき、相手の攻撃が届くかどうかの距離に来た時に、相手の目に向けてナイフを放る
それは当然、相手に防がれてしまうが、魔物はそれを防ぐために顔の前に手を持っていく
その一瞬、相手の視界から隠れた瞬間に死角に入り込み、そこから再びナイフを手に取り、投げようとするが
魔物が暴れて手を振り回し、それに直撃してしまう
「くっ!」
ぎりぎり腕をはさんで防ぎはしたが、壁まで飛ばされてしまう
「ティマさん!大丈夫ですか!?」
「ええ、なんとか」
アレンに心配され、それにこたえるが、実際は今の一撃ではさんだ腕がしびれて使い物にならなくなってしまった
「片腕だけですんでよかった」
他のところはほとんど違和感がなく、問題なく動くので、まだ戦闘は続けていける
それから、何度もナイフを投げ、目を中心に狙っていくが当たっても、少し時間がたつと回復されてしまう
「はあ、はあ」
投げたナイフを回収しながら攻撃していたのだが、もうすべて魔物につぶされてしまい、なくなってしまった
「がはっ!」
アレンが魔物が投げた石に直撃してしまい、その場に倒れこんでしまう
「ううっ」
打ち所が悪かったのか、立ち上がれなく追撃を防げない
ティマは魔物からの追撃を防ぐために剣を取り出し、魔物とアレンの間に立ち、さらに投げてきた岩をはじこうとするが、片手では耐えられなく、剣を手放してしまう
そして、再び魔物が投げてきたものが足に当たり、その場に崩れてしまう
「くそっ!」
手ぶらになってしまい、もう抵抗する手段がないが相手は待ってくれなく、こちらに進んでくる
「はあ、だめだったか、ごめんね守ってあげれなくて」
もうどうしても助かりそうにないので、アレンに向かって謝罪をする
「いえ、もとはと言えば、僕が落ちたのが悪いんです、本当にごめんなさい」
彼自身も、もう助からないと分かっており、泣きながら謝ってくる
「ううん、気にしないで」
ダンジョン探索は危険が伴うので、このような事態が起こっても誰かを責めることはできない
魔物の足音が聞こえなくなり、もうすぐそこまで来たのであろう
(一度でいいから、彼氏欲しかったなあ)
最後に後悔したことを思いながら、この世との別れを待つが、いくらたってもその時は訪れなかった
「大丈夫ですか!?」
後ろを振り返ると、一人の男が立っていた
「え?」
いきなりの出来事に頭が追い付かなく、言葉が出ない
「助けに来ました、動けますか?」
「あ、い、いえ、足を怪我して」
「わかりました、それじゃあできる限り下がってください」
まさかこんなところまで助けが来るとは思っていなかったので、驚いたが、なんとか安心する
動けないアレンをなるべく壁際に寄せて、様子を見る
しばらく見ていると、最初は苦戦しているようであったが、途中からは、いきなり動きが変わって、積極的に攻撃していき、難無く倒してしまった
「すごい・・・」
自分が手も足も出なかった相手を倒したことに関心していると、男が近づいてきて
「足の治療しますね」
ティマのけがを治すためにポーションや包帯、傷薬を取り出して治療を始める
「これでどうですか?」
「ありがとう、うん、うごけるよ」
治療が終わり、足が動かせるのを確認し、それを伝える
その後、男の人に先導してもらい、無事、落ちてきたところまで戻ってきた
「乗ってください」
男の人がしゃがみ込み、そういう
「え?」
「その足と腕じゃあ、登れないですよね、乗ってください」
「ありがとう」
確かに足や腕は完治していないので、この穴を登るのは厳しい、なのでお言葉に甘えて彼に体を預ける
登っている間、疲れがどっとでてきて眠ってしまう
そして、登り切り、無事生還した後ダンジョン探索を続けて、外に出る
「はあああああ!疲れたああ!」
すでに一年生のみんなとは解散しており、体をほぐす
「お疲れ様、どうしたの?」
友達のウイが声をかけてくる
「ん?とっても疲れたの、早く帰って休みたいわ」
一刻も早く家に帰り、休みたいと考えているが
「あ、いた」
さきほど、助けてくれた男の人を見つけて、そこに走っていく
「ティマさん」
「はあ、はあ、さっきはありがとうね、えっと」
お礼を言おうとしたが、そういえば相手の名前を聞いていなかった
「自己紹介してませんでしたね、二年のアルカ・ロワールです」
「二年だったの!?それじゃあ後輩だったのね」
自分よりも学年が下だったことに驚いた
そこから少し話をして、この後改めてちゃんとお礼をしたいと、またあとで会う約束をした
「それじゃあ、またあとでね」
アルカと別れてウイのところまで戻っていき、彼女にある話をする
「ねえ、聞いて」
「なに?」
「私、好きな人ができちゃった」
「へえ、それはそれは、詳しく聞かせてもらおうかな」
「ええ、それじゃあお茶でもしながら聞かせてあげる」
(あんな助けられ方したら、惚れないわけないもん)
命を救ってくれたアルカに、ひとめぼれをしたティマであった




