救出へ
・43・
side:アルカ・ロワール
穴に飛び込み、そのまま一番下まで降りていく
「どこだ?」
降り切って、周りを見るが、近くには誰かがいる雰囲気はない
(魔法を使うか?)
やみくもに歩き回っても見つからなさそうなので、魔法を使って探すかどうか考えるが、そうした場合、魔法を使った際の魔力で魔物が寄せ付けられてしまう
「とりあえず近くを探すか」
もしかしたら近くにいるのかもしれないと思い、落ちてきたところの周辺を探索する
「ん?」
歩いていると、魔物の死体と奥へと続いている血の跡があった
「あっちか」
おそらく落ちた二人のうちのどちらかのものであろう
であるとしたら、どちらかはけがをしているということであるので、早急に探す必要が出てきた
全速力で血の跡を追って進んでいくが、
「ここで途切れてる」
少し広くなっているところで血の跡がなくなっていた、ここでけがの治療を行ったのだろう
そのまま進んでいくと、不幸にも分かれ道が出てきて、どの道に進んだのか全く分からなくなってしまった
「正解の道に進んでいかないと、時間の無駄だ」
ここで道を間違えてしまうと、時間の無駄になってしまうので、魔法を使うことを決意する
「[サーチ]」
この魔法は、魔力を放出してその魔力があったった情報を頭に送られるので、人や物、道の把握に役に立つ
「こっちか」
1つの道の奥に、人の反応が二つ、あともう一つの反応があり、その場で止まっていた
「戦っているのか?」
あとのもう一つの反応が魔物のものであるので、戦っているのであろうが、三つの反応はその場から動いていなかった
「まあいい、急げ」
あまり遠くなく、少し走るとすぐに見えてくる
「まずい、間に合わない!」
二人のすぐそばに、大きな魔物がいて、大きな斧を振り下ろそうとしていた
どう急ごうと、この距離では間に合わない、間に合わせる方法は一つしかないが、それを使うわけにはいかない
「いや、行ける!」
二人を見ると、もうあきらめているのか、目を瞑りティマさんがアレン君を守るように覆いかぶさっていた
「見られていないのなら、[影渡り]」
瞬速の場合、発動に一瞬遅れが生じるのでそちらは使えない、なので影渡りを使う
「はあ!」
ティマさんの影から出た瞬間、魔物の斧を思い切りはじき、それによって魔物が大きく飛び退く
「大丈夫ですか!?」
こちらの存在を知らせるために声をかける
「え?」
アルカの声に反応し、ティマは目を開ける
「助けに来ました、動けますか?」
「あ、い、いえ、足を怪我して」
「わかりました、それじゃあできる限り下がってください」
よく見てみると、右手は布を巻いており、両足はボロボロになっていた
おそらく逃げられないように魔物にやられたのだろう
周りを見てみると、入ってきたところ以外にもいくつか道があったが大体の道を斧や岩などで防がれていた
「ゴブリンジェネラルか、何で階層主がこんなところにいるんだ」
魔物をよく見てみると、ゴブリンジェネラルであり、この階層の階層主であった
「ということは、ここはあそこか」
階層主は階層を移動する階段の近くからは離れられないので、ここは落ちてきた穴から近いということだろう
「それなら帰るのは簡単だ、あとはこいつを倒すだけ」
二人を守りながらなら、負けることはないが、注意を二人に向けないといけないので、苦戦するだろう
「できる限り早く倒します、もし攻撃されたなら叫んでください」
これなら、ゴブリンジェネラルのみに集中でき、だいぶと楽になるだろう
「わ、わかりました」
剣を構え直して、相手に近づく
ゴブリンジェネラルもこっちを警戒して、武器を手に取り、こちらの様子をうかがっている
しかし、若干、目線はずれており、後ろのティマたちを見ていた
「こっちの弱点はわかっているのか、面倒だな」
こっちが守りながら戦わないといけないのをわかっており、そこを突こうとしている
「それなら、まずは武器を壊す」
もし突っ込んて倒そうとしても、その瞬間にゴブリンジェネラルは道ずれとしてティマたちに向けて武器を投げるであろう
なので最初にその手段をつぶすことにする
しかし、武器を壊すには近づかないといけないので、容易にはできないだろう
「どうすればいいか」
相手は両手に武器を持っており、二つ同時に壊さないと、ティマさんに攻撃されてしまうなのでその方法を考えないといけない
「異能を使うか、いや、今はティマさんが見ている」
異能を使っているところを見られるわけにはいかないので、それを使うわけにはいかないのだが
(そもそも何で見られるわけにはいけないんだ、アリア)
「おすすめできないだけです、特に禁止はしていません、使用しても心配はありません」
(それじゃあ、使うぞ!)
今までは、異能は人前で使うのはなにか理由があり、やめておいた方がいいと思っていたが、そうではないらしい
別に自分は見られてもかまわないと思っているので、禁止されていないのなら、これからはもう使うことにする
「[裏通し]」
近づかない状況で、敵に攻撃するには、裏通しが一番慣れているので、これを使う
ガキン
この場所から攻撃できるのなら、武器など狙わずに直接首を狙ったがそれは斧で防がれてしまった
「へえ、防げるんだ」
この技は斬撃の結果のみを相手に届ける技なのだが一応防ぐ方法はある、それは斬撃が当たった瞬間から、それは実体化しているので、その瞬間に防げばいいのである
「さすがに殺気を込めすぎたか」
明らかに殺す気でやったので、どこを狙っているのかばれていたのだろう
「それなら、武器を壊すまでだけどね」
裏通しを防ぐには、武器を使用しないといけないので破壊することにする
もう一度首を狙うふりをして、次は裏通しを使わずに同じ動きをする
「ウギィ」
狙い通り、同じ攻撃が来ると思ったゴブリンジェネラルが首を守ろうとして斧を構えるが使用していないので何も起こらない
そして切り返しと同時に裏通しを武器に狙いを定めて使用し、武器の一つを壊すことに成功する
「それじゃあ、行くよ」
相手の武器が一つになったので、もう遠距離から攻撃する必要はなくなる
「[瞬速]」
一瞬で相手の目の前に移動し、攻撃を仕掛ける
「ギャア!!」
すでにこっちは攻撃モーションに入っており、ゴブリンジェネラル防ぐのに間に合わないと思ったのか、斧をティナさんに向けて投げようとする
「わかってるよ」
もともとゴブリンジェネラルに対して、異能を使わない攻撃が利くかどうかがわからなかったのでもともと武器破壊をするつもりであった
ゴブリンジェネラルの武器を持っている腕ごと切り落とす
「あとは殺すだけだ」
もう相手の遠距離攻撃はないのであとは確実に倒すだけになる
相手に近づいていき、攻撃をよけながらこちらも剣で体を切るが
ガッ
ほとんど刃が通らなく、少し傷をつける程度であった
「かたいな」
いまのアルカの装備では致命傷を与えることはできないので、あきらめて異能を使う
「[時断ち]」
時断ちを剣にのせて、ゴブリンジェネラルの足を時を止めて切断する
「解除」
切った後は能力を解除しないと、その場所は時が止まっているのでダメージにはならない
「ギャギャアアアアアア!!」
解除した瞬間に傷口から血が噴き出る
「それじゃあ、終わりにしようか」
再度、時断ちを用いて、次は首を狙う
ゴブリンジェネラルはそれを防ごうとして両腕を前に出すが
「無駄だよ」
時断ちを防ぐには同じ時間系の能力を使うしかないので、ゴブリンジェネラルでは防ぐことはできない
「解除」
ゴブリンジェネラルの首を落とした後、能力を解除して、息の根を止める
「終わりました」
ティマさんたちにゴブリンジェネラルを倒したことを報告する
「すごい・・・」
ティマさんが驚いたような顔でこちらを見ていた
「足の治療しますね」
今のままでは歩くこともままならなそうなので、移動の前に足をある程度治療する
「これでどうですか?」
治療の魔法は使えないので、ポーションと傷薬、包帯を使って大体の治療をおこなった
「ありがとう、うん、うごけるよ」
走ることはできなそうだが、歩くのには問題ないようなので、移動を開始する
アレン君はゴブリンジェネラルの一撃で気を失ったらしく、まだ目を覚まさない
「アレン君、大丈夫かな?」
「呼吸も問題ないですし、大丈夫だと思いますよ」
外傷も特にないし、顔色も普通であるので、大した問題はないと思うので、時期に目を覚ますだろう
「つきました、ここを登ります」
落ちてきた穴のところまで戻ってきて、そこを登ることを伝える
「ここを?無理だと思うわ、一回やってみたけどものすごく長いわ」
まあ、3階層からこの階層までならさすがに上るのは無理だろうと考える
しかし、このまま階段を上っていくよりも早いので、ここを登っていくことにする
アルカなら、回帰があるので、疲れることはないので、登ることは可能である
「乗ってください」
ティマさんを背中に乗せるために、かがんで乗りやすいようにする
「え?」
「その足と腕じゃあ、登れないですよね、乗ってください」
「ありがとう」
ティマさんがアルカの背中に乗り、次にアレン君を前側にひもで固定する
「それじゃあ、行きますね」
準備が終わったので、穴を登り始める
そして数十分後、無事に登り終えた
「おかえり」
「ただいま、そっちは何かあった?」
「ううん、何もなかったよ」
「それは良かった」
上の方は何もなかったらしく、全員休んでいた
「ティマさんは、これからどうしますか?」
「そうね、このまま続けるわ」
「大丈夫ですか?」
「さすがにこの辺りの階層なら、いまでも勝てるわよ」
「それもそうですね、それじゃあ、頑張ってください」
無事に二人も救出できたし、自分たちの班も元の道に戻る
「どこまで落ちてたんだ?」
ミナが元の道に戻る最中に聞いてくる
「20階層まで」
「はえー、そんなに続いてたんだ、どんな魔物いたんだ?」
「そういえば、魔物は見てないな、階層主しかいなかったよ」
「そうなんだ」
どんな魔物がいるか知りたかったのか、少し残念そう自分の持ち場まで戻っていった
その後、5階層まで降りて行ったところで、ミナ以外のメンバーの疲れが見て取れたので、そろそろ引き返すことのなった
「お疲れ様、何階層まで行ったの?」
すでに何組かは戻ってきており、それぞれ反省会などをしていた
「5階層です」
「意外と浅いのね」
アイシャ先生は、もっと行ける思っていたらしく、結果に少し驚いていた
「ミナはまだいけるって言ってたんですが、ほかのメンバーがきつそうだったので」
「それはそっか、ミナ以外のメンバーなら5階層が限界だと思うしね」
「そうですね、5階層から結構変わってきますから」
事前に潜って、5階層からは強さが変わってくるのはわかっていたし、種類も3階層までの魔物の一つ上の種類が何体か出てきていた
「それじゃあ、反省会してあげて、できる?」
「大丈夫です、ちゃんと見てたので」
結構後ろから見ていたので、改善点などは伝えれるだろう
「おーーい」
班のみんなが待っているところに戻ろうとしたとき、後ろの方から声が聞こえる
「ティマさん」
「はあ、はあ、さっきはありがとうね、えっと」
そういえば、自分の名前を教えてないことに気づいて
「自己紹介してませんでしたね、二年のアルカ・ロワールです」
「二年だったの!?それじゃあ後輩だったのね」
ティマさんはアルカのことを先輩だと思っていたらしく後輩だったことに驚いている
「私は3年生のティマ・ウルカよ、改めてさっきはありがとうね」
「いえ、こっちも穴の存在は知っていたので、あれは仕方ないですよ」
それから少し話をしてから、改めてお礼をしたいと言われ、放課後にまた会う約束をして別れた
「お待たせ、それじゃあ、反省会しようか」
一人一人にどこがダメだったか、どこが良かったかについて伝えていき、そのあとはいろいろな相談を受けたりし、いいくらいの時間になり解散となった
「お疲れ様」
「そっちもね」
反省会も終わったところで、エレナと合流し放課後まで時間をつぶした




