引率
・41・
side:アルカ・ロワール
ダンジョン探索の当日になり、一度、時間前に引率をする生徒全員が集められる
「それじゃあ、基本的な流れの説明を説明するね」
アイシャ先生がみんなの前で説明を始める
「基本的に8人で一組になってるから、そこに各自一人ずつ入ってね」
今回は結構な組がいるようで、ここにいる数も結構多い
「意外と多いんだね、私たちの時よりもいっぱいいるんじゃない?」
「そうだね、今年は多いらしいよ」
今年はアルカの頃よりも3~4割ほど多くなっているようであり、その分引率も多くなってしまったようだ
「まあ、説明って言っても、簡単だからね、みんなは後輩の後をついていって、危なかったら助けてあげる、進んじゃいけないところくらいまで来たら帰らせる、くらいかな」
基本的な判断はすべて一年生に任せることになっており、余計なことはあまりしないということになっているらしい
「それじゃあ、みんなよろしくね~」
それぞれがどのパーティーにつくかの割り振りが行われる
「あっ」
渡された紙に一人、している名前が載っていた
「どうしたの?」
「この子、ルークさんの家の子なんだ」
紙にはミナの名前が書かれており、アルカはミナのパーティーの引率をするようであった
ミナがいるということは、ミナが成績上位者であろうので、身体能力的には余裕であると思うが、指揮能力の方がどうかはわからない
「それじゃあ時間になったらダンジョンの前に集まってね~」
そういって、アイシャ先生は部屋を出ていった
「どうする?先に何かご飯でも食べる?」
「そうだね、まだ時間あるし行こうか」
以外にも早く説明が終わり時間が余ったので、先におなかを満たすことにする
「みんなの成績とかいろいろ書かれてるやつ見たけど、よくわからないね」
「見せて」
エレナから紙を受け取り、それを見てみる
「あー、どうだろうね、10層まではこの子ひとりの力で行けると思うけど、そのほかをどう引っ張っていくかだね」
アルカのところと同じように、一人が抜きんでて強いパーティーとなっており、メンバーがほかのところとは違い、成績が悪かったり、戦闘が不得意であろうメンバーで構成されている
「だからあまり深いところはいかない方がいいかも」
「わかった」
エレナに紙を返して、再び食事をする
「そっちも同じ感じ?」
「うん、ほとんど同じだよ」
こっちもエレナとほとんど構成は同じであるが、ミナであれば20層の階層主であるゴブリンジェネラルも倒せるだろう
「ごちそうさま」
食事を終えて、丁度いい時間になったので、ダンジョンの前へと向かう
「おっ、アルカもうきたの?」
アイシャ先生のところに向かい、到着したことを伝える
「いつくらいから始まりますか?」
「もうそろそろ時間になるから、メンバーがそろったら逐一始めていくわ」
まだアルカとエレナのメンバーが集まっていないので、アイシャ先生と話しながら時間をつぶす
「だいたいどれくらいで戻ってくればいいんですか?」
そういえば時間の制限を聞いていなかったので、それを聞く
「基本的に学園が空いている間ならいつまででもいいわよ」
学園が空いている間だと、かなり時間があるので、おそらくそんなに長い時間潜ることはできないであろうので、時間の心配はしなくていいだろう
「アルカ、ミナのことよろしくね~?」
おそらくアイシャ先生がミナのところになるようにしたのだろう
「ミナぐらいだったら僕じゃなくても大丈夫だったんじゃないんですか?」
「まあ、いいじゃない」
はっきりと言って、今回の引率の生徒は弱すぎて、自分の家の子を任せるには安心できないのだろう
「アルカもだいたい雰囲気で実力わかるでしょ?」
「ある程度は」
「みんなさぼりすぎよね、君の妹を見習ってほしいわ」
そう、みんな勉強の方に重きを置いているリズにさえ劣っており、引率をするのには少し心もとない
「リズちゃんは優秀よね、勉強もできるしちゃんと動けるしこのまま行ったら余裕でSクラスいけるかもね」
「そうですよ、リズはすごいんですよ」
妹が褒められて、うれしくなり、そのままリズのいろいろな話をする
リズが小さいころの話や、こっちに来てからの話などに熱中していると
「てい」
「いたっ」
後ろからエレナに頭をチョップされる
「リズが好きなのはわかったから、もういいでしょ?」
「ああ、ごめんごめん」
「びっくりしたわよ、話に夢中になりすぎよ」
「すみません」
気が付くと、ダンジョンの周りにだんだんと生徒が集まってきており、一つのパーティーが近くで待っていた
「あらミナじゃない、もう集まった?」
「うん、集まったぞ!」
「ミナ、敬語使ってね?一応生徒と先生の関係だから」
「あっ、そうだった、集まりました!」
「おっけー、それじゃあ引率の子、この子よ」
「どうも、二年のアルカだよ、今日はよろしくね」
「あ!アルカ!」
「やあ、ミナ」
ミナがアルカを見つけて駆けつけてくる
「アルカが先生?」
「そうだよ、よろしくね」
「おう!」
ミナのメンバーにも自己紹介をして、さっそくダンジョンに入る準備をする
「ここ俺たちで行っていいですか?」
どこに入るかの報告をアイシャ先生に伝えないといけないので、あの穴があるところに入ろうとするが
「ああ、そこはもう先に入っちゃったわよ?」
「え!本当ですか?」
「ええ、どうかしたの?」
アイシャ先生に、下まで続いている穴があることを伝え、なぜそこに入りたいのかも伝える
「うーん、でももうは行っちゃってるし同じところに入るわけにも行けないから、つながってるところに入る?」
「そうします、それじゃあここに入ります」
「わかったわ、そうだ、これ、エレナちゃんに渡しておくから」
アイシャ先生から小さな笛をもらい、それの説明をされる
渡されたものは精笛と呼ばれるもので、笛に魔力を込めてそれが吹かれた場合、その魔力を込めたものにのみ音が聞こえるというものである、ちなみに
「それじゃあこれに魔力を通して」
「はい」
軽く魔力を込めてそれを返す
「じゃあ渡してくるからちょっと待ってて」
アイシャ先生が精笛をエレナにわたして、エレナからも魔力を通した笛を受け取る
「アルカはここに入るみたいだから、エレナはここに入ってね」
「わかりました」
「二人とも、一応穴のところに行けたら行ってあげて、それで何か問題があったらそれを使ってね、絶対に一年生だけにしないでね」
もし穴に落ちて、それを助けに行く場合、引率がその場に一人だと助けには行けなくなる、ダンジョンに入るのが初めての子たちを残していくわけにはいかないからである
「それじゃあ行ってらっしゃい」
アイシャ先生に見送られ、自分の担当のところに行く
「お待たせ、それじゃあ出発しようか」
「はい!」
ミナが代表して返事をして、ダンジョンに入っていく
今回の8人の構成として、ミナが前線でマリン、ファミアの二人がそれをカバーし、ロア、エイン、クレール、レリア、リエムの五人が臨機応変に光栄で立ち回る感じであった
「俺は基本的に何もしないから、君たちですべてやるんだよ」
「わかりました」
緊急時以外は一切口出ししないことにして、あとをついていくことにする
「ミナちゃん、どうする?」
「ん?そうだな、まあとりあえず、適当に後ろ見てくれ、前は任せろ」
最初は一本道であるので、特に考えることもなく魔物に出会うまで突き進む
「いた、ゴブリン3匹」
進んでいくと、ゴブリンが出てきたので、みんな、戦闘態勢に入る
「参加する?」
なぜかミナが後ろのみんなにそう聞く
「大丈夫、私たちでやるよ」
おそらくみんな、ミナの実力を知っていて、それに頼ると、このダンジョン探索の意味がないと思っているのだろう
「じゃあ後ろ下がっとくね」
今回はやることがないので、アルカの元に下がってくる
「何で戦わないの?」
「なんか、私には索敵だけして、あんまり戦わないでほしいんだって」
「みんなが実戦経験積むため?」
「そうらしいよ」
ミナ以外のみんなはほとんど、魔物と戦ったことがなく、ここで経験しておきたいらしい
「ミナって、1年の中でどれくらい強いの?」
「さあ?あんまり興味ないし、わからん」
ミナは他の同学年の生徒のことにまったく興味がないらしく、自分がどのくらい強いのか知らないらしい
「魔法にしか興味がない感じ?」
「そうだな!今は魔法の授業以外はほとんど聞いてない!」
「それは誇らしげに言うことじゃないよ」
そんなことを言う自分はほとんどの授業を出ていないので、あんまり何も言えない
「それよりも、その口調、なんとかした方がいいんじゃない?」
「口調?」
ミナも女性であるので、それらしい口調にした方がいいだろう
「もうちょっと女性らしい口調にしたら?」
「マナと同じこと言うな、そんなに変か?」
「うーん、変じゃないけど、、、」
別に、将来に支障はないとは思うが、治した方がいいとは思う、でもそれは別にアルカがそこまで言うことでもないので、この話は終わりにする
「まあ、いいか、そろそろ終わるよ」
すでに7人が3匹のうち2匹を討伐しており、そろそろ全て片が付くぐらいであった
「ふう、なんとか倒せたね」
なんとか3匹とも倒せたが、少し時間がかかりすぎであった
「それじゃ、いくぞ」
さっそくミナが進もうとするが、ほかのみんながすこし疲れた顔をしていた
「ん?みんなどうしたんだ?」
「いや、初めての実戦で、少し疲れちゃって」
「えー、だらしないなあ、あれぐらいで」
ミナや実践に慣れている人からすれば、あの程度、苦でもないが、初めての人からしたら、命を奪い行為であるので、心身ともにつかれるだろう
「無理に進むのは良くないよ、少し休もうか」
疲れている状態で進んでいき、また今のような戦闘をすると、もしかしたら誰かがミスをしてけがをするかもしれない
であるので、ほんの少し休憩をすることにする
「みんな初めての実戦はどうだった?」
休憩中特にやることもないので、みんなと話して時間をつぶす
「あんまり、やりたくないです」
ロアが最初にこたえて、それにリエムが賛同する
「こんな授業、毎年あるんですか?」
リエムがそう聞いてくる、なるべくこんなことはしたくないのだろう
魔物とはいえ、何かの命を奪うという行為がどうしても正当化できないのだろうか
「いいや、一年生の時以外は自由参加だよ、二年生からは自分がやりたい授業をとれるから、とりたくない授業はとらなくてもいいよ」
この一年生のダンジョン探索によって、自分に命を奪えるかを確認し、今後どうしていくかを決める手助けとなる
「やりたいことを探したいなら図書館に行くといいよ、あそこにはいろいろな本があるから、もしかしたらやりたいことが見つかるかもね」
「やりたいこと、、」
「まだまだ時間はあるんだから、ゆっくりと決めればいいよ」
「そうですよね、ありがとうございます」
一年生で将来やりたいことが決まっている子など、ほとんどいないので、ゆっくり決めればいいだろう
「なあ、そろそろ行こうぜ」
とくになにもしていないので疲れていないミナが早く進みたがっていた
「そうね、進みましょ」
みんな、ある程度休憩できたのだろうか、みんな立ち上がり自分の荷物を手に取っていく
「次もまだみんなだけで戦うか?」
ミナがみんなに向けてそういう、ミナからして、一回の戦闘でこんな具合になっていたら、退屈なのだろう
「私はいいよ」
「私も」
ロアとリエムの二人が賛同する
「うん、もう大丈夫だよ、わがまま聞いてくれてありがとう」
他のみんなも賛同したので、次の戦闘からは参加することになる
「それじゃあ、行こうぜ」
再びミナが戦闘でダンジョンを進んでいく
「前、何かいるよ」
一番前のミナがかなり距離がある状態から、敵を見つける
「多分ゴブリン6匹、なんか一匹だけ見た目が違う」
ミナが敵の種類、数をみんなに報告をして、戦闘に備えさせる
「アルカ、あれの種類効くのってありか?」
「うん、全然ありだよ、あれはホブゴブリン、ゴブリンの上位種だよ」
「なるほどね、ちなみに強さは?」
「添えは教えられないかなあ、危険になったら助けてあげるから自分たちで考えてみて」
あまり助言などはしないようにして、自由にやらせる
「みんな、ホブゴブリンは私がやるから、ほかの奴らを引き付けておいてくれ」
最初に戦った時よりも、魔物の数が多いのでおそらく倒すのにかなり時間を費やすだろう
「いくぞ!」
みんなが魔物をひきつけている間に、ミナは一気に距離を詰める
「そりゃ」
ミナが両手に持ったナイフで切りつける
「ウギッ!」
しかしそれは相手の武器により防がれてしまう
「無駄だよ!」
そのナイフを防ぐために前に武器を出したので、わき腹ががら空きになる
ミナはナイフを片方手放して、そこに拳を入れる
「フゴッ!」
それによって、ホブゴブリンが武器を落としてうずくまる
そこにミナがもう片方のナイフで首元を切りつける
「終わったぞ!」
ミナがホブゴブリンを倒したので、苦戦しているところに助太刀に行く
「ロアのところ行くぞ!」
見たところ、一番苦戦しているロアのところへ急いでいき、二人で魔物を倒す
「ミナちゃんありがとう!」
すぐに魔物を倒して、周りを見ると、なんとか勝てそうな戦いであったので、近いところから助けに入っていき、難無く魔物を全滅させた
「みんな、けがはないか?」
魔物との戦いが終わって、みんなの状態を確認する
「特にないよ」
「うん、だれもけがしてないよ」
ミナが素早くホブゴブリンを仕留めたおかげで、だれもけがをすることがなく戦いを終えれた
「休憩いるか?」
「ううん、大丈夫」
ミナが一番休憩が必要そうなロアに聞くが、休憩は不要であった
「無理はすんなよ?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
そのあと、ゴブリンに何回か遭遇したが、先ほどよりも苦戦することはなく進んでいき、3階層へと下がっていった




