悪夢
・28・
side:ルーク・ヴァレンティ
「そいつらのことについて教えてほしいにゃ、そのあとに、殺すかどうか決めるにゃ」
「そうだね、その方がいい」
「まず、なぜここにいるにゃ?」
ミーシャが、小さい声で質問する
「はっきりとはわからないけど、多分アイオス国から逃げてきたんじゃないかな?」
「なぜ?」
ルークが、考えうる可能性をミーシャに伝える
「少なくとも、あの時のあいつらとは違うってことだよ、命に対する理性はある」
「そう、なら、まだ様子を見るにゃ」
ミーシャに近づき、軽く抱擁する
「大丈夫、きっとまだ生きているから、今度こそ皆殺しにしよう」
抱擁しているミーシャの目から、一粒の涙がこぼれる
彼女には、血のつながった家族はもうだれ一人としていない、数十年前、アイオス国にて召喚された異世界人の暴走により、殺されている
異世界人は、この世界に適合できなかった場合、魔力が暴走し、理性を失うらしい
「一応、情報は送っておくけど、当分は外に出ない方がいいかも」
もし、あの二人にあってしまうと、わかっていても、襲ってしまう可能性があるので、極力外に出ないように言う
ミーシャにゆっくり休むように言って別れ、ルークは裏庭へとやってくる
焼却炉の前で立ち止まると、カンナギたちから受け取った素材などを、袋のまま投げ入れる
「、、、、、、」
ルークは無表情で素材すべてが燃えていくのを眺める
燃え尽きた後、その場を立ち去り、自分の部屋へと戻っていく
「ふう」
さすがに疲れたので、少し仮眠をとることにし、椅子に腰かける
睡眠に入り、数分後、とある夢を見る
「ルーク、サーニャをお願い」
「お姉ちゃんはどうするの?!危ないよ!」
「大丈夫よ、こう見えて、お姉ちゃん強いんだから」
そういいながら、おんぶしていたサーニャを下ろし、ルークの近くへと送り出す
「サーニャ、ルークにきちんとついていくのよ」
「うん、わかった」
「さあ、行って、もう時間がないから」
そういった瞬間、建物の天井が崩れる
「まったく、逃げないでよ、めんどくさいんだから」
崩れた天井から、黒い翼を生やした女性が下りてくる
「あなたの目的は何なの!」
姉が女性に尋ねる
「さあね、教えてあげないよ」
そう答えると同時に、女性が急降下すると同時に、切りかかってくる
「早く!いって!」
剣を受け止めながら、叫ぶ
「待ってて、必ず戻ってくるから!」
そういって、逃げようと思い、後ろを振り返った瞬間
「うふふ、やっぱり人間って弱いわね」
「くっ、」
その声に嫌な予感がし、振り返る
するとそこには、腹を女性に貫かれた姉の姿が目に入る
「そんな、お姉ちゃん、」
姉の姿に、頭の中が真っ白になり、逃げることを忘れる
「でも、あなたは素質があるかもしれないから」
そういって、女性は、何か黒いものを、姉の胸元に近づける
「やーっぱり、あなた素質あったわね~、それじゃあ、完全になじんだ頃にまた来るからね~」
そういい、こちらには目もくれずに飛び去っていく
「お姉ちゃん!」
女性がいなくなったので、急いで姉の元へと向かう
しかし、近づいてみてみると貫かれた腹の傷はふさがっていた
「え、お姉ちゃん?」
腹を貫かれてから、まったく動かなかった姉が、かすかに動き出す
そして、ルークのことを思いっきり突き飛ばす
「くっ、いた!」
突き飛ばされたところに運悪く、鉄のパイプがあり、右腕に突き刺さる
「サーニャ、だめだ!」
サーニャも姉に近づいていく、サーニャがもし、姉に襲われると、重傷を負い、最悪の場合、死に至るだろう
(そんなこと、させない)
実の姉が、妹に手を出すなんて、見たくないしさせたくない
貫かれた腕は、どうあがいても、抜けそうにない、そう判断すると同時に、懐から護身用のナイフを取り出し、肘のところから切り落とす
「あああああ!」
その痛さに、大声を上げるが、そんな暇はなく、同時に二人の元へと駆け寄る
「お姉ちゃん!!」
しかし、数秒遅く、すでに姉の手が届きそうなところにサーニャはいて、間に合いそうになかった
「やめろー!!」
そして、姉の腕が、サーニャの胸を貫いた
「ルークさん、大丈夫?」
そこでふと、声をかけられて、目が覚める
そこには、マナたちを連れ、心配そうな顔でこちらを見るアイシャがいた
「アイシャ?どうしてここに?」
「この子たちが、ルークさんの部屋から何かうめき声が聞こえるって、起こしに来て、心配になって」
「そうか、ありがとう、大丈夫だよ」
「本当ですか?とてもそうには見えないですよ?顔色もすごく悪いですし」
「そうかな?まあ、大丈夫だから、もう休んでもいいよ、ごめんね心配かけて」
アイシャにお礼をいい、マナたちの頭をなでて、休ませる
「はあ、久々に、夢を見たな」
久々に長いこと寝たことにより、いやな夢を見た、そのせいで、結構汗をかいてしまっており、少し気持ちが悪いので、気分転換に風呂へと向かう
この時間に、家の中の風呂に入るのは、さすがにみんなに迷惑と思い、離れにある風呂に行く
軽く汗を流してから、お湯につかる
「はあ」
ルークが、お湯につかりながら、自分に向かって能力を使う
[真実の目]
ステータス
名前 ルーク・ヴァレンティ
LV:!0%
種族:人?
生命:&!'%%#'/&!%%#'
魔力:'!&%&
攻撃:$%"#%!
防御:**`#$!
魔攻:%&"$'
魔防:#$#$$#
体力:!"!"#$
俊敏:''&"""
知力:$%$"%$"%
状態:崩壊寸前
加護:??の加護
スキル:Ik$
魔法:魔導書
「また、崩壊が進んでいる」
自分のステータスの数値がおかしくなってきており、それはルーク自身に、もうあまり時間がないことを意味し、焦りが出る
(もう時間がないが、こればかりは、俺にはどうしようもない)
彼自身、崩壊が進んでいる原因も、崩壊後の結果も分かっている
「早く気付くんだぞ」
そうして、少しゆっくりした後、風呂を上がり、夜風に当たりながら家の方へと戻っていく
家に入ると、すでに起きていたレイナが出迎える
「おはよう、レイナ、いつも早いね」
「おはようございます、メイドたるもの、だれよりも早く起きていますので」
「ほかのメイドよりも?」
「はい、私が一番先輩ですので、それ相応の働きをしないといけないので」
「そんなに気張らなくても大丈夫だよ、休める時には休んでね」
レイナにねぎらいの言葉をかけて、自分の部屋に戻っていく
そして、自分の部屋に戻り、着替えた後、ほかのみんながいる部屋に行く
部屋に入ると、数人が起きており、その中で、カオルの元へと向かう
「カオル、君に頼みがあるんだ」
「何でござるか?」
「君に、ミーシャの監視を頼みたい」
「ミーシャ殿の?どうしてでござる?」
「少しね、今は家を出ないように言っているんだけど、もしかしたら約束を破って出るかもしれないから」
「あり得ますか?ルーク殿との約束を破ることなど」
「おそらくないだろうね、でも、念のためだよ」
「なるほど、わかり申した、任せてくだされ」
「ありがとう、刀が治るまででいいから、お願いするよ」
伝えることはこれだけであるので、さっそく出かける準備をする
本日は、Aから下のクラスの選抜戦があり、その審判を行ってくれとシーラから頼まれているので、その手伝いへと向かう
AやBクラスの生徒であれば、ある程度の調整で、相手に重傷を負わせることはないが、それ以下からは対人戦が初という人は少なからずいるので、そこの審判をするにはある程度の実力がある人が行う決まりになっている
過去に一度、Cクラスの生徒が、選抜戦の際、相手に大けがを負わせ、それをもとにクレームを入れられたことがありそれからはこの体制になっている
学園に到着し、打ち合わせのために校長室へと向かう
コンコン
「入っていいわよ」
「失礼します」
ノックをして、返事を待ってから部屋に入る
「あら、いらっしゃい、今回は引き受けてくれてありがとうね」
「いえ、全然大丈夫ですよ、でも、何でいきなりなんですか?」
「あのね、この間の事件があるじゃない?あの時に去年まで審判をやっていた先生をクビにしたから人が足りなくなったのよ」
「なるほど、今年は大丈夫ですけど、来年からはできるかどうかはわからないですよ」
「ええ、さすがに来年も頼むわけにはいかないから、ほかの人を雇うつもりよ、でも候補が結構多くて、手間取っちゃったの」
「なるほど、まあこれぐらいにして、打ち合わせを始めましょう」
話を切り上げ、打ち合わせの話になる
「とりあえず、レナはAクラスの、アイシャはBクラス、ルークさんはCクラス、ニルはDクラス、リシュアはEクラスの審判を任せようと思うんだけど、大丈夫かしら?」
「はい、私はそれで問題ないと思います」
シーラの提案に、レナが肯定をする
それに続いて、みんな肯定することによって、一旦担当クラスは決定する
その後、いろいろなことを決定させ、それぞれのクラスの会場へと向かっていく
「くれぐれも、やりすぎには注意して、それぞれ頑張ってね」
「ルークさん、さすがに昨日までと服装が一緒だから、変えた方がいいかも」
「そうだね、そうするよ」
ルークは、アルカたちの出場している、Cクラスの選抜戦の行われる会場へと向かっていく




