聖女救出
・21・
side:アルミナ・ソルト
いつも通り、瞑想の後に聖水づくりを終えて、遠征の出発の時間となる
「それではアルミナ殿、くれぐれもお気をつけくださいませ」
ロメル聖都の大臣の男が、アルミナに声をかける、その後、彼女に近づいて耳打ちをする
「逃げるのなら、処理はこちらにお任せください、いくらでもごまかせます
「はい、ありがとうございます、では行ってまいります」
そういって、馬車に乗り込み、王城の門から出ていく
そこから出ると、聖都中の住民が集まっていた
「アルミナ様~、頑張ってくださーい」
「聖女様!どうかご無事で!!」
住民たちはいろいろな声をかけてくる、それに手を振ってこたえるアルミナ、彼女はもう、この国には帰ってこないことを心の中で謝罪をする
馬車の中にいるのはアルミナと、アルミナの護衛であるシイルの二人である
シイル以外の護衛は、馬車の周りを囲むように5人、ついてきている、そのうちの三人がカズラ王国の兵士である
アルミナたちは正確にはわからないが、おそらく相当の腕前であろうことが雰囲気でわかる
数十分ほど馬車で進んでいると、馬車の外で声が聞こえる
「敵襲!!!各員警戒せよ!!!」
その声と同時にシイルとアルミナも外に飛び出る
(ルークさんかな!)
外へ出ると、そこは崖に挟まれる谷の中間地点であった、ここを通り抜けるとカズラ王国に到着する
崖の上を見ると、数人の盗賊らしき男と、その人たちのリーダーらしき二人組、青髪とピンク髪の女の子くらいの年の子がいた
(違う、、、盗賊!?)
「お前ら!!女は生け捕りにしろ!男は半殺しにして身ぐるみ全部剥ぎな!」
それと同時に、男たちが崖から降りてきて、護衛たちに襲い掛かる
しかし、アルミナの近くにいるシイルには襲い掛かってくるそぶりはない
少しすると、女の子二人が下りてきて、アルミナに近づいてくる
「お前たちの相手はうちらがするよ!」
青髪の女の子が剣を抜いて、襲い掛かってくる、それをシイルが受け止める
「くっ」
「へえ、なかなかやるじゃん、そらよ!」
シイルが剣を受け止めるが、すぐにはじき返されて、それと同時にけりを入れられる
「シイル!!大丈夫?」
「はい、なんとか、」
シイルの安否を確かめながら治癒魔法をかける
「時間を稼げば、おそらくルーク殿が助けに来てくれます、それまでは持ちこたえて見せます」
「それじゃあ、私も戦うよ」
「いえ、おそらくアルミナ様なら、時間稼ぎにもならずにやられてしまいます、ですので、治癒魔法に専念してください」
今になってアルミナは戦闘に使える魔法も技能も覚えていないことを悔やむ
「おしゃべりはすんだかい、それじゃあ、行くよ」
再び青髪の女の子が剣を構え、こちらに襲い掛かってくる
シイルは剣を受け止めるが、今回は受け止めきれずに、剣を弾き飛ばされる
しかし彼女はそれと同時に腰に差していたもう一本の剣を振りぬいて、対応する
「あっぶね~」
「気を付けてくださいね」
ピンク髪の女の子が心配そうに声をかける
シイルは、アルミナを守らないといけないので、こちらから攻撃を仕掛けることはできなく、防戦一方となってしまう
そして青髪の女の子がこちらに向かってきた瞬間
「こっちは終わりました!!」
他の護衛と戦っていた盗賊風の男が大声で叫ぶ
他の護衛たちは、全員気絶させられて、縄で身動きが取れないようにされていた
それと同時に女の子が立ち止まり、剣を収める
「シイルさん、ごめんね」
女の子が黒い煙に包まれて、そこから聞きなれた声が聞こえ、そこからルークが出てくる
「いえ、大丈夫です」
「ルークさん!!!」
ルークを見た瞬間、アルミナは驚き、シイルは安心し、剣を収める
「女性をけるのはいかがなものかと」
その隣にはピンク髪の女の子がいて、こちらも同じように煙に包まれそこからレイナが出てくる
「い、いや、それは、ね、護衛がずっとこっちを見ていたし」
「そうですぜ、護衛たち、ずっとそっちを警戒していたし、手を抜きすぎると多分ばれていましたぜ」
レイナがルークのことをジト目で見ており、それを擁護するように男が話しかける
「そうですか」
ルークは逃げ出すように、アルミナたちに話しかける
「ところで、逃げる場所とかって、もう決めてる?」
「い、いえ、なるべく遠くて安全な場所に逃げようかと」
「そうなんだ、ちょっと待っててね」
そういい、レイナを呼び、彼女に説明をして、固有技能[世界辞典]を使用してもらう
数分後、調べ終わってレイナが口を開く
「ここからですと、安全なのは王都、遠い場所ならアイオス国ですね、しかしアイオス国はお勧めしません」
「どうして?」
「それは後でお伝えします」
「まあ、それなら王都でいいか、じゃあ行くよ」
ルークはすぐに転移魔法を発動して、王都へ向けていこうとする
「あっ、そうだ、その人たちの装備ははぎ取って、見つからないように埋めるか何かしといて!」
「「「了解です!!!」」」
「あの人たちは?」
「僕の知り合いで、盗賊の真似をしてって頼んだんだ」
「そうなのですか、ありがとうございます」
転移魔法が発動して、目の前が真っ暗になり、心地よい気持ちになるアルミナ、そこで意識を失い、次に目覚めると見覚えのある門があった
「ここは?」
「ガルシア王都の王城だよ、これから王様に事情を説明しに行くよ」
アルミナは、先代の王様が病気で倒れた際、それを治しているので、ある程度顔は知れているし、おそらくすんなりと受け入れられるであろう
ルークが門兵に面会の手続きをして、すぐに会えることになった
ルークが王様に起こった出来事と、これからこの国でアルミナが身分を隠しながら暮らしていくことを伝えて、何事もなく受け入れられる
その後、アルミナたちが住む家を購入しに、商業ギルドに向かい、いい感じの家を購入する
家を購入し終え、ルーク達と別れる際、気になることを質問する
「ところで、転移前に行っていたあれって何ですか?」
「ああ、それは、異世界召喚のことだよ、聞いたことはあるよね?」
「はい、ありますけど、何でそんなことを?」
「あそこの国は魔大陸に近いからね、何かあったのかもしれないね」
あんまり、興味がなさそうに答えるルーク、なんでも、勇者は召喚して数か月ほどは、戦力として全くと言っていいほど役に立たないらしく、今召喚したということは少なくとも数年は何も起こらないだろうと予想していた
それに加えて、アイオス国はガルシア王都からそれなりに離れているので、あんまり気にする必要はないらしい
実際に、その後数か月は何事も起こらなく、アルミナは特にやることがないので、基本的に孤児院で子供の世話をしながら学園に通うことになり、ヴァレンティ家の子供たちとともに新入生となる
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side:アルカ・ロワール
「ううん、、、、」
目が覚めると、学院の救護室のベットの上であった
「アルカ!!気が付いた!!!」
ベットのそばにはエレナとメイナがいた、エレナの大声で隣で寝ていたメイナが目を覚ます
「アルカ!!!!ごめんなさい!!」
アルカが起きたことに気づいたと同時に泣きながら謝ってくる
「私のせいで!!アルカが、死ぬかと、思った、、!」
アルカが救護室に運ばれて、一週間ほど眠り続けていたらしく、その間、ずっとメイナは心配していたという
「大丈夫だよ、メイナが無事でよかった」
「うん、ごめんね、迷惑かけて、それと、ありがとう」
メイナはアルカとエレナにお礼を言い、これまでのことを謝る
「ところで、僕ってどうやってかえってきたの?」
「ミーシャさんとアイシャ先生が、助けに来てくれたの、アンが私たちが罠で飛ばされた後にすぐ知らせてくれたんだって」
「罠で飛んだのか、その罠って先輩が仕掛けたのかな?」
「それが違うらしいのよ、クリス先輩のパーティーって最初は5人だったじゃない?でもクリス先輩はずっと4人だと思っていたらしいの、だから、その5人目が犯人だと思う」
「その犯人は見つかったの?」
「ううん、もしかしたら、まだ学園に潜んでいるかも」
犯人であろう、クリス先輩の5人目のパーティーメンバーは、まだ見つかっていなく、おそらく認識疎外の魔法をかけて、ほかの生徒とともに紛れていると思われる
「僕が寝ている間に、その人に何かされなかった?」
「うん、大丈夫だったよ」
「そうか、よかった」
おそらく学園内にいる間は、もう襲ってこないのか、それともその時だけの契約で雇われていたのかもしれない
もし、まだメイナのことを狙っているなら、ダンジョンで疲れ果てているうちに、再び狙われるはずだからである
さらに三日後、アルカはようやく動けるようになり、救護室から出ることを許される
「ようやく出れたんだね!」
出るときに、万が一のことがあるといけないので、付き添いにエレナがいる
「うん、やっとだよ」
「体、なまってるんじゃないの??」
「いや、それが前より体が動かしやすいんだよね」
「そうなの?なんで?」
「さあ?、、、、もしかしたら」
(ねえ、異能さん、自分に真理の目ってできる?)
「可能です、使用しますか」
(お願いします)
「[真理の目]を発動します」
アルカ・ロワール
LV:34
種族:人間
生命:623/623
魔力:324/324
攻撃:212
防御:226
魔攻:265
魔防:442
体力:336
俊敏:563
知力:198
(すごくレベルが上がってる、、、)
アルカはダンジョンでいくらか魔物を倒していたのに加え、オーガは直接倒してはいないが、攻撃かなりしていたので、経験値を割り振られていた
自分のレベルを見て、かなり驚いていた
(レベル34って、平均より、結構高いよね)
この学園での公開されている平均レベルは21レベルとなっており、この時点で結構平均より高くなっている
(まあ、公開しているレベルの平均だから、あんまり信用できないけどね)
「??どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ」
それほど伝えることでもないので、エレナには伝えなかった
次の日からは普通に授業に出て、アルカたちcクラスの5人はしっかりランクが落ちることなく一年を過ごすことができた
この学園では入学して二年目からは、毎年開催されている礼王祭と呼ばれる、オーラシア大陸にある各学園から代表を出し合って、競い合う祭りがある
この学園の代表者を決める方法は、各クラスで選抜戦が行われ、上位三名の生徒が出場が可能である
ただし、学園に入って一年目は、原則として禁止されている
したがって、二年目からは、みな、これに向けて、本格的な戦闘の授業をとっていく
「エレナは、礼王祭出場目指すの?」
「そんなの、決まってんじゃん!!」
礼王祭に出場して、いい成績を出すと、王様に直接会うことができ、その際、可能な限り、願いを聞いてもらうことができる
「何か、願いがあるの?」
「うん、私って、お父さんに会ったことないの」
言われた通り、エレナの父にはアルカもあったことがない、エレナが生まれてすぐに母にも黙って、村を出たらしい
「だから、お父さんのことを少しでも知っていたら、教えてほしいの、もし知らなくても、何か手掛かりがあれば教えてほしいなって」
「そうなんだ、それなら、僕も手伝うよ」
「ありがとう、それじゃあ、一緒に出れるように頑張らないとね」
エレナは笑顔でそう答える
授業をすべて終えて、リズを迎えに行ってから、セレスさんの家へと戻る
「おう、おかえり」
「おねえちゃん、ただいま」
セレスさんの家に帰ると、セレスさんは夕飯の用意をしており、帰ってすぐに食事になる
「ねえ、おねえちゃんは、礼王祭って毎年出てるの?」
「ああ、ちゃんと毎年出てるぞ」
「じゃあ今回も出るの?」
「うーん、どうだろうな、私たちsクラスの奴らは特sと一緒に選抜戦をやるんだが、なぜだか今回特sの人たちが出るらしい、だから出れるかはわからん」
毎年、sクラスの人たちは選抜戦をやる前から、ほぼ礼王祭に出られる人が決まっているようなものだったらしく、選抜戦を行っていなかったらしい、しかし今年は特sクラスの人たちがこぞって応募してきたらしく、今年は実施するらしい
「何で今年は出るんですか?」
「さあね、あそこの人たちは変な人が多いから、理由なんか考えても無駄だね、まあ腕のほうは確かだから、お前らもちゃんと見ときなよ、sランクの選抜戦は見学自由だからな」
特sランクには魔法がとてつもない人や、近接戦最強の人もいるらしく、セレスさんはぜひ見てほしいらしい
セレスさんの言葉に、アルカは少しワクワクしながら、翌日からの授業に臨むのであった




