子供に好かれる
・18・
side:ルーク・ヴァレンティ
ユーナが過去、助けを求めてきた女の子であると知ったのは、つい先ほどであった
ユーナはその頃、まだ幼く、成長した姿はわからなかった
三人を起こして、ユーナたちは部屋へと戻ってくる
「おはようございます」
「おはよーう」
「おはよう」
挨拶をしながらユンが飛びついてくる
「あぶないよ?」
「はーい」
「ごめんなさい、ユンが迷惑をかけて」
「いえいえ、子供は好きなので、大丈夫ですよ」
四人と一緒に、今朝作った朝ごはんを食べる
「今日はどうしますか?」
「特にやることは決まっていないので、何か家事をしておきます」
「君たちは?」
「ふぉふにやふこふぉふぁいほ」
「こら!食べながらしゃべらない!」
「むぐむぐ、ごくっ、特にないよ!」
「それじゃ、少し魔法をやってみるかい?」
「!!いいの?」
「いいよ」
ユンは昨日、魔法を教えてほしいと言っていたので、今日は特にやることはないので、教えてあげることにする
朝ごはんを食べ終えて、少し休憩をした後、ユンに魔法を教え始めようと椅子に座るよう声をかける、すると、セリナも隣に座る
「セリナも魔法教えようか?」
コクッ
あまり口には出さないが、セリナも魔法に興味があり、ユンが魔法を習うと聞いて、自分も習いたいと思ったらしい
「それじゃあ、今日は魔法について勉強しようか」
「は~い」 「はい」
今日は、ルークが魔力を制限されているので、実際に魔法を使用するのは次にして、今回は基礎知識を教える
「それじゃあ、まずは魔法とは何かについて、知っているかい?」
「知らなーい」「ちょっとだけ」
「セリナはちょっと知っているんだね」
「魔法は、空気やいろんなものに含まれている魔素を使って発動する」
「そうだね、よく知ってるね」
セリナの頭をなでながらほめてあげる
「本で読んだの」
少し微笑みながら答える
「それじゃあ、もっと詳しく教えるね、セリナの言った通り、いろいろなものには魔素が含めれているんだ、ただ、含まれている魔素は属性魔素と呼ばれていて、火の魔素があれば、火魔法を使えるって感じで、使う魔法によってその魔素が必要になるんだ」
子供たちには、少し話が難しいと思うので、適当な木の板に、チョークのようなもので絵をかきながら教えていく
「そして、その属性魔素は、どこでもあるっていうわけではないんだよ、例えば砂漠だと、セリナ、どの魔素が少ないか、わかるかな?」
「えっと、熱いし、乾燥してるから、水?」
「そう、正解だよ、砂漠なら水の魔素、森の中なら火の魔素が少ないよ、でも、全く使えないわけではなく、使いにくいってだけだから、覚えておいてね、これを知らなかったら、普通は使えないって思ってしまうんだ」
「へえー」
「どれくらい使いにくいの?」
「そうだね、魔法を使うのには同時に魔力も使うってことはしているかな?」
「うん!」「はい」
「それが、魔素が少ない魔法を使うときは消費魔力が増えて、普通に使おうとしたら、まったく発動しないって感じだね、だからいつもより多く魔力を込めれば、発動できるよ」
「そうなんだ~」
ユンは理解しているのかしていないのか微妙な表情をしていて、セリナは理解したのか興味津々の顔をしている
「ちょっとユンには難しかったかな?」
「ううん、大丈夫だよ!」
「それじゃあ、わからないところがあれば、聞いてね」
「はい!先生!!!」
「はい、よろしい」
ユンがノリノリで話を聞いてくる
「それじゃあ、次は精霊魔法についてだね」
「何それ?」
「精霊魔法?」
「基本的にあまり知られてないけどね、もし、十歳になって祝福を受けたとき、精霊の加護ってものがあったら使えるんだ、この加護はとれる確率は高いから、勉強するのに損はないよ、それに頑張り次第で使えないわけではないからね」
「そうなの?」
「はーい」
「はい、ユン、どうしたの?」
「その加護って何ですか?」
「そうだね、それじゃあ先に加護の説明をしようか」
加護は本来、素質があるものには生まれた時から、授かっており、それが十歳になり、祝福と同時に恩恵を受けられるものである、しかし、一部の加護は、生まれた時から影響のある加護もある
その例は、魔人の加護である、これは、あらゆる魔法の適正が大きく上がる代わりに、魔物をひきつけるというデメリットがある
ユン達には、このことについては教えないことにする
「加護はこんな感じだね、何かわからないことはある?」
「だいじょうぶ!」「ない」
「それじゃあ、精霊魔法の話に戻るね」
そのあと、精霊魔法の特徴などの話をして、今日は終わりにする
「疲れたかい?」
「ちょっと疲れた~」
「疲れた」
「それじゃあ、おやつでも食べようか」
「おやつ?」
「今から作るから待っててね、それか一緒に作る?」
「一緒にやりたい!」
「それじゃあ、こっちに持ってくるね」
調理場に向かい、朝にとった果物と昨日、夕飯を作る際に使用した材料の余りを使ってケーキを作ることにする
「なにつくるの~?」
「甘い食べ物だよ」
「あまいもの!!やった~!」
ユナとセリナと一緒にやり方を教えながらケーキを作っていく
「少し食べてみるかい?」
作っている生クリームをスプーンですくい、二人に渡す
「甘くておいしい!!」「おいしい」
二人とも目を輝かせながら生クリームを食べる
そしてケーキを作り終えて、さらに盛り付ける
すると、洗濯をしていたユーナと森に野草をとりに行っていたシュナが戻ってくる
「おかえりなさい、一緒に食べますか?」
「なんですか?その白いの?」
「ケーキって食べ物です、おいしいですよ?」
「でもいいんですか?いただいても」
「はい、これはあまり持ちませんし、こんな量は三人では食べれませんから」
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
遠慮しながらも、席に着く二人
子供二人はフォークを持ちながら待っている
「それじゃあ、食べましょうか」
ユンとセリナはそういうと同時に食べ始める
そしてユーナとシュナも食べ始める
「!!あまくておいしいです!!!」
「こんなのたべたことないです!!」
二人は驚愕の表情を浮かべる
「もしかして、砂糖を使ってますか?」
「はい、砂糖と卵あとライン麦を粉にしたものをなどを使っています」
「砂糖と卵!!どちらも高級食材じゃないですか!!」
「まあ、大量にあるので、気にしないでください」
今は使えないが、空間魔法に砂糖や卵のほかに、市民には手が出せないものがかなり入っている
その理由はルークの王都での立場に関係している
「もしかして、ルークさんは、貴族なんですか?」
「いや?貴族なんかじゃないよ?それに貴族は権力をむやみやたらに使うから、好きじゃないね」
「そうなんですか、すみません」
「いえいえ」
ケーキを食べ終わった後、満腹になり、昼食は必要がなくなり、各々自由に過ごすことになった
「ユーナさんは、魔法使えますか?」
「?はい、使えますよ?」
「それじゃあ、ちょっと手伝ってもらっていいですか?」
ユーナを連れ、とある部屋へとやってくる
「ここって、お風呂ですか?」
「そうですよ、ただ、今僕はとある理由で魔法が使えないんです、ですので、魔法でお湯をためてもらってもいいですか?」
「お湯ですか?そのような魔法が?」
「はい、ただ普通ではできませんので、お教えします」
魔法でお湯を出す場合、水魔法で水を出す際、ほんの少し、火の魔法を混ぜ、水を温める
「それって複合魔法ですか?複合魔法は魔術師クラスじゃないと使えないんじゃ?」
「そこまで難しいことではないですよ、イメージで火を水で包み込むみたいなものですよ」
基本的に、魔法を使う際は、一種類しか使用できない、しかし、練習とイメージ次第では、複合行使ができる
最初は失敗をしたが、数回のうちに、お湯が出せるようになった
「こんなに簡単に使えるなんて」
ユーナが驚愕の表情を浮かべ、お湯が入った湯船を見ている
「それじゃあ、すきに入ってくださいね」
「はい!!」
普通の人は、お風呂などはいることはなく、濡らした布などで体をふくので終わる
それからいろいろして時間がたち、夕食を済ませて、ユンとセリナと遊んでいた
「ユン、セリナ、お風呂に入りますよ」
「お風呂!!」「入る!!」
ユンとセリナと結構長い時間遊んでいたらしく、そろそろ日付が変わりそうになっていた
「出てきたら、またあそぼ!!」
「じゃあ待っとくね、いってらっしゃい」
待っている間に日付が変わり、副作用が起こる
(今日の副作用は、嗅覚、防御です)
特に問題がない項目が選ばれ、ほっとする
少し待っていると、四人が風呂から出てくる
「こら!ユン!まだちゃんと髪の毛拭けてないでしょ」
ユンが髪を濡らしたまま出てきてこちらに走ってくる
「ユン、こっちにおいで」
ユンを膝の上にのせて魔法を発動させて、温かい風を出す
「ふぁぁぁ、あったかーい」
乾かしていると、セリナも隣に座る
セリナは魔法を教えたり、一緒に遊んだりしていると警戒心がなくなったのか、ずっと隣にいるようになった
「わたしもして」
隣に来たセリナにも魔法で髪を乾かしてあげる
すると、心地よかったのか、乾かし終わるころには二人とも眠ってしまっていた
「寝ちゃいましたね」
「はい、それじゃあ、二人を寝かしてきますね
二人を抱っこして、部屋へと届ける
「ルークさんってすごいですね、魔法を戦闘で使うわけでもなく、いろいろと便利な使い方をするなんて」
「魔法は人を傷つけるものだけじゃないんです、生活に役立つ魔法があるんですよ、あまり知られてませんが」
「そうなんですか、この魔法って、ルークさんが考えたんですか?」
「まあ、そうですよ」
二人の髪も乾かしながら、話をしていく
乾かし終わると、二人も寝室に向かい眠りに行った
(今日は大丈夫だね)
一応魔力探知を発動するが、反応はないので、ルークも眠ることにする
そしてこちらに来て四日がたつ
「それじゃあ、すこし王都に戻って、ユーナさんたちが来れるように申請してきますね」
「はい、お願いします」
「一日もかからないと思うので、気を付けてください、森には入らないように」
この教会がある場所は、ガルシア王都があるガルシア領ではないので、四人が王都へ入るには、申請しないといけない
そのためと、報告のために一度帰還する
「それじゃあ、少し待っててね」
「早く帰ってきてね」
四人に挨拶をして、王都へと飛び立つ
数時間後、王都にある自宅へと戻る
「かえったよ」
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
出迎えてくれたレイナに挨拶をし、自室に戻ろうとする
「ん?」
「どうかなさいましたか?」
「ちょっと出かけてくるね」
「かしこまりました」
ルーク能力、[危機察知]が急に反応した
(ミーシャとアイシャか、場所は学園のダンジョンか)
玄関から外に出て、庭の方へと向かう
「からす~」
「にゃーーん」
名前を呼ぶと、黒猫のからすが出てくる
「散歩ついでにちょっと行くよ」
「にゃん」
そういうと、からすはルークの肩に乗ってくる
「相変わらずそこが好きだね」
「うにゃん」
からすを連れ、学園にまでやってくる
そこには生徒の姿がたくさんあり、何やら騒がしかった
「ミーシャとアイシャはなかだね、それじゃあ、お願いしてもいい?」
「みゃ」
短く返事をし、からすが肩から飛び降りる
「アッ、猫ちゃん!!」
近くにいた女の子が、ダンジョンに入ろうとしていたからすを引き留めようとする
「あの子は大丈夫だよ」
「えっ、でも、、」
「ほら、みてみて」
ダンジョンに入る瞬間、からすの姿は見えなくなる
「あれ?消えちゃった」
「あの子は魔物に気づかれないから、大丈夫だよ、心配してくれてありがとうね」
からすを向かわせたので、家へと戻っていく
「ただいま、レイナ、何か飲み物お願いしてもいいかな?」
「はい、かしこまりました、部屋にお届けいたします」
「ありがと」
レイナの頭をなでてあげると、狐のふわふわしたしっぽが揺れる
自室に戻り、ユーナたちの移住届を作成する
そして作成しているとノックが聞こえる
「ルークさん、入るにゃ」
「ん?いいよ」
ダンジョンから帰ってきたミーシャが入ってくる
「どしたの?」
「からすを送ってくれてありがとにゃ」
「大丈夫だよ、気にしないで」
「わかったにゃ、それから、お願いがあるにゃ」
ミーシャから、学園で起こったことの報告を受ける
「いいよ、あとで言っとくね」
「ありがとうにゃ」
移住届を出すついでに王様のところによることにする
[念話]
(ジャストさん、今、マインと会えますか?)
(ルーク殿、はい、会えますよ、今は部屋でジェシー様と遊んでいますよ)
(それは邪魔したら行けないですね、ジャストさん、話を聞いてもらってもいいですか?)
(はい、大丈夫ですよ)
(それじゃあ、そっちへ行きますね)
影渡りを使い、大臣であるジャストの影へと移動する
「ご無沙汰しています、ルーク殿」
「ご苦労様です」
マインの代わりにジャストに移住届とミーシャから頼まれていた言伝を伝える
「そんなことが・・その公爵家のなまえはわかりますか?」
「学園の校長に聞けばわかると思いますよ?聞いてきましょうか?」
「いえ、こちらでやっておきます」
「お願いします」
「それと、移住届も問題ありませんよ、明日から移住可能です」
用事も終わったので、家へと戻ろうとすると、後ろのドアが開いた
「ルークさん!!来てたんですか!?」
マインがメイドからルークが来ていると伝えられて、ジェシーとともにジャストの部屋へとやってきた
「るーく!!」
ジェシーはマインの妹で最近5歳になったばかりの子供である
「ジェシー、元気だったかい?」
「うん!!るーくも元気?」
「元気だよ~」
ジェシーとは、生まれたころから面倒を見ており、ジェシーにとって、ルークは家族と思っているらしい
「ルークさん、今日はどうしたんですか?」
「ちょっと用事があってね、でももう終わったからすぐ帰るよ?」
「え~帰るんですか?、ゆっくりしていってくださいよ」
「るーくかえるの?」
「まあ、やることは特にないし、もう少しいようかな」
「わーい」
ジェシーが、手を引っ張り、彼女の部屋へと引っ張っていく
彼女の部屋には、机の上に絵本がたくさん置いてあった、おそらくマインが、ジェシーに絵本の読み聞かせをしていたのだろう
ジェシーに絵本を読んでとお願いされたので、一緒に座って、少しの間、読み聞かせる
少し、時間がたち、そろそろ帰ろうと声をかける
「それじゃあ、帰るよ、またね」
「ありがとうございました」「ばいば~い」
影渡りを発動して、レイナの影へと移動する
「ただいま」
「おかえりなさいませ、そろそろ夕飯の時間ですが、召し上がりますか?」
「そうだね、もらおうかな」
「かしこまりました」
みんなが食事をする部屋へ行くと、ミーシャがいたので、報告しておいたと伝える
「僕の素性を隠しているのなら、気にしなくていいから、別にいつでも頼っていいからね?」
「そこまで迷惑はかけないにゃよ」
「気にしなくてもいいのに」
夕飯を食べ終えて、孤児院についての計画書と予定を立てる




