四人の迷子さん
・16・
side:ルーク・ヴァレンティ
「じゃあ、5日ほど帰ってこないから、みんなのお世話たのむね、レイナ」
ヴァレンティ家のメイドであるメイナに、ほかの家族の世話を任せる
「行ってらっしゃいませ、ルーク様」
ルークは、レイナにお見送りをされて、家を出ていく
[仮初の翼]
飛行魔法?を唱えて、王都から北へ向かっていく
数時間ほど進み続けて、とある廃れた城へと到着する
「誰も来た気配はないね」
城の周りを一周回って、だれも来ていないことを確かめる
そうして入り口から城に入っていく
そこには一人の女性と、大きな氷に閉じ込められている少女がいた
「ぐるるる」
女性と大きな氷がある部屋の前で立ち止まる
この部屋に入ると、女性が襲ってくるため、入ることはできない
ルークがこの女性と戦闘になった場合、勝つことはできない、というか戦うことができない
「もう少しだから、まっててね」
そう言い残し、悲しみの表情をしながら城を出ていく
城から出て、まっすぐ30分ほど歩き、少し高い山の上まで登っていく
そこには教会のような建物がある、しかし人が住んでいるような様子はなくボロボロになっている
ルークは建物に入っていき、ソファーへと腰を掛ける
ルークは一年の大半をこのボロボロの建物で過ごしており、とあることをしている
目を瞑り、魔力探知を発動する
全力で魔力探知を発動して、半径50キロに動物以外の敵意を持つものがいないことを確認する
(4人、森をさまよっているね、まあ、この辺りには魔物がいないから、大丈夫か)
城の周りには魔物が発生しなくなっており、森の中は特に危険はない、しかし一定の範囲を超えると、非常に強力な魔物が発生する[災群生の森]へと入る場所がある
その四人はこのまま進むと、そこへはいってしまう
魔力探知を限定的に発動して、四人の詳細を見る
(まだ小さい子供が二人、大人かな?女の人二人か、それにかなり弱ってるね)
弱っていることもあり、いきなりは襲ってこないだろうと思い、手を貸しに行くことにする
10分ほど走っていき、四人の近くへと到着する
そこには、焚火をして、休んでいる4人がいた
茂みをかき分けて、4人の前に出ていく
「誰ですか!」
一番年上であると思われる女性が、ナイフを握って、こちらへと向けてくる
もう一人の女性は、二人の子供を背中にかばい、こちらを警戒する
「もう、追い付かれましたか」
二人の女性は、切り傷があり、かなり弱っていた
ナイフをこちらに向けている女性は、足は震えているし、いまにも倒れそうなほど顔色が悪い
「大丈夫だよ、何もしないよ」
両手を挙げながら、何も持っていないことをアピールする
「それじゃあ、どうしてここへ?」
まだ警戒を解いていないのか、ナイフを下ろそうとはしない
「それ以上先に進んだら、危ないから、それを注意しに来ただけだよ」
「そうなのですか、ありがとうございます」
お礼を言い、女性はようやくナイフを下ろす
「ところで何でこんなところに?」
ルークは女性に問う
「私たちが住んでいる村が、魔物の群れに襲われて、命からがら逃げてきたんです」
「なるほど、ここら辺には、村なんかないから、かなり遠くから来たんですか?」
「はい、3日ほど歩き続けてきました」
三日も歩き続けたから、こんなにもボロボロなのかと納得する
それに、そんなに遠い距離から来たのなら、魔物とも戦ったのではなどと考えていた
「あの、すいません、あなたはここら辺の地域に詳しいのですか?」
「そこまで詳しくはないけど、ある程度はわかるよ」
「それじゃあ、この辺りに、休めるところなどはありませんか?」
「うーん、この辺りには、今僕が住んでいるところ以外は建物はないよ」
まあ、実際はルークが住んでいる建物も、建物とは言えないほどボロボロである
「お願いです、この子たちだけでも、そこで休ませてあげてください」
「四人とも使ってくれていいですよ、もともと僕の家じゃありませんし」
「いいのですか?ありがとうございます!」
ばっ、と頭を下げて、お礼を言う女性、しかし次の瞬間、その場に倒れてしまう
「!大丈夫か!」
「おねいちゃん!」
女性を抱えると、ものすごく体温が高いことに気づいた
「今すぐ家に向かうけど、三人はついてこれる?」
「はい、大丈夫です」
三人もあまり、顔色は良くなく、それほど早く進むことはできないが、30分ほどで教会へ戻ってくる
急いで中に入り、ソファーへと寝かせる
「君たちも、そこに座って」
他の三人もソファーへと座らせる
「とりあえず、傷を治すね」
ルークはオールヒールを唱えて、四人の傷と疲れをいやす
「熱とかは、治せないから、安静にしててね」
四人を中で休ませて、一人外へ出ようとする
「どこいくの??」
小さな女の子がズボンを引っ張って言ってくる
「外だよ、君たちがいるから、少しこの建物を修理するんだよ」
「どうやって??」
「魔法だよ」
「魔法!見たい!!」
目をキラキラさせて、頼んでくる
「いいよ、一緒にいこっか、大丈夫ですか?」
一番上の女性はいまだ眠っているので、その女性の妹に聞いてみる
「あなたの迷惑でなければ、ぜひお願いします、その子、魔法を使ってみたいらしくて、興味津々らしいんです」
女の子を連れて、外に出る
「それじゃあ、魔法を使うから、少し離れててね」
「はい!」
女の子は元気よく返事をして、少し離れていく
ルークは魔法を唱える
「わあー!すごーい!」
女の子が口を開けながら、見上げている
ボロボロだった教会は、徐々に直っていき、きれいになっていく
「なにー?今の魔法!」
「今のは土魔法だよ」
「すごーい!!私もしてみたい!!」
「今度教えてあげるから、今はしっかり休もうね」
「やったー!わかった!!」
女の子はとことこと、直した教会の中へと戻っていく
ルークも、魔法が終わるのを見守って、中へと戻っていく
「ここは直ったので、ゆっくり休んでください」
「すみません、ありがとうございます」
寝ていた女性が目を覚まして、お礼を言う
「起きたのですか、でも、まだ休んでてください」
「はい、本当にありがとうございます」
ぐうう~~
女性がおなかを鳴らし、顔を赤くしながらうつむいた
「なにも食べていないのですか?」
「はい、今まで、森の中では、食べ物はあんまりなかったですし、取れても子供を優先していたので」
「なるほどです、それじゃあ、何か用意しますね」
「そんな、悪いです、休むところまでいただいて」
二人で遊んでいた、子供が、女性のところに近づいてきた
「おねいちゃん、おなかすいた~」
「すいた」
「この子たちもおなかがすいているらしいですし、用意しますね」
「すいません、ありがとうございます」
しゃがみ込み、二人に向かって質問をする
「君たちは何が食べたいかな?」
「おいしいもの!」
「おにく」
「わかった、おいしいお肉料理にするね」
一応ここには調理場はあるが、ここもボロボロになっており修復が必要である
ルークは魔法で再び直して、空間魔法を使用して調理道具を出していく
「すみません、何かお手伝いします」
そこへ女性の妹がやってくる
「それじゃあ、野菜を切ってもらってもいいですか?」
「わかりました!」
「じゃあ、これはみじん切りにしてください」
丸い野菜を渡して指示を出す
「何を作るんですか?」
「グルスの肉をひき肉にして、野菜とかと混ぜて焼くんだよ」
「野菜ですか、あの子たちは野菜が嫌いですけど食べれますか?」
「大丈夫だと思いますよ」
「本当ですか・・?」
子供二人は野菜が大の苦手らしく、いつも食べさせるのに苦労していたらしい
「それにしても、たくさん食べ物あるんですね」
「まあ、けっこう家には帰れないからね、いつも大量に持ち歩いているんだよ」
「そうなんですか、それにしても、こんな量いつも持ち歩いているんですか?」
「魔法でね」
「へえ~すごいですね」
よくわかっていなさそうな顔をしながら納得する
それから少し話しながら4人の話もする
一番上の女性はユーナ、その妹、シュナ
二人の子供は、ユーナたちが働いていた孤児院の子供であり、ルークについてきた方がユン、静かな方がセリナというらしい
「よし、完成かな」
完成した料理は、野菜スープに、パン、ハンバーグのようなものである
「こんな料理、初めて見ました」
「まあ、僕も教えてもらうまでは、こんな料理知らなかったからね」
完成した料理をみんながいる部屋に持っていき、机に並べていく
「うわー!!すごい!!」
「おいしそう」
「すごいですね」
子供たちは目を輝かせて、ユーナさんはびっくりとした表情でいた
「それでは、食べましょうか」
「「いただきまーす」」
子供たちがすぐさま、料理に食らいつく
「おいしーーい!」
「うまい」
子供たちが喜びながら食べている
「ほらね、食べてるでしょ」
「信じられません、あの子たちが」
「どうしたんですか?」
ユーナさんが、こちらに聞いてくる
「いえ、こちらには野菜がいっぱい入ってますので、その子たちが食べないんじゃないかって心配していたんですよ」
「えっ、これ野菜入っているんですか?!」
全員が料理を食べ終わった後に軽く自己紹介をする
「僕は、ルーク・ヴァレンティです、基本的にはここで暮らしていますが、家はガルシア王都にあります」
「私は、ユーナですもともとは村では孤児院のようなものを妹とやっていました」
「ユーナの妹のシュナです、私は一応おねえちゃんと働いていますが、基本的に料理しかできません」
「ユンです!!」
「セリナ」
ユンは赤髪で、見た目通り元気な女の子である
それとは正反対のように、水色の髪の女の子セリナは、すごくおとなしい
「それで、これから、どうするんですか?行く当てがないなら、ずっとここでいてもらってもいいですよ?」
「ありがとうございます、ですが、この子たちには森は退屈だと思うので、大きな町などに行こうと思います」
「そうですか、それなら、ガルシア王都に来ますか?ちょうどやりたいことに人手が足りなかったので、仕事も与えれますよ」
「いいのですか?ですが、この子たちもいるので・・・」
「その子たちも一緒ですよ、その子たちは働かないですが」
「どんな仕事ですか?」
「借金奴隷とかの子供の面倒です、まあ孤児院のようなものです」
「孤児院なら、なんとかできると思います、しかしなぜそのようなことを?」
「まあ、少しでも子供たちを救ってあげたいので」
話していると、ユンとセリナが眠たそうに舟をこいでいたので、寝室へと案内する
寝室と呼んではいるが、ベッドもなく、ただの部屋という感じだった
そこに空間魔法で大きめのベッドを二つ出す
「とりあえず、四人はここで休んでください」
「ありがとうございます、ところでルークさんは?」
「僕は先ほどの部屋で休みますよ、いろいろとすることがあるので」
「そうですか、わかりました、ありがとうございます、それではおやすみなさい」
子供二人は眠ってしまっているので二人に挨拶をして先ほどの部屋に戻る
(さて、あの子たちに誘われてか、魔物が大量に向かってるね)
一目見たときにルークは、ユンとセリナの状態に気付いた
(まさか二人とも、魔人の加護があるなんてね、これじゃあ、あの子たちの村が襲われたのは、あの子たちが原因か
「守ってあげないとね」
静かに外へと出て、魔物の元へと向かっていく




