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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第4章 全ての始まり
122/128

さようなら、起きる時間だよ

・112・

side:ルーク・ヴァレンティ



 「いやあ、ここ数年ほとんどのリソースを君の観察に割いていてよかったよ」 


 「・・・・」


 死ぬことが失敗した以上、全力で魔王に意識が乗っ取られないように抗い、少しでも時間を稼いで可能性はほとんどないがなんとかなることを願う


 「むだむだ、いくら時間を稼いでも誰も来れないって」


 そう、確かに誰もこの場に来ることなどできないのだ


 目の前にいる強欲の魔王は、生半可な戦力では到底かなわない


 今この場にいる全員でかかってもおそらく勝つことはできないだろう


 「はあ、無駄だって言ってるのに、それじゃあ手伝ってあげる!」


 そういい、強欲の魔王はルークの頭をつかんで無理やり彼の中にある意識を引っ張り出す


 「アルカ! 動けるようになり次第俺を殺してくれ!」


 今現在、強欲によってアルカの身動きは完全に泊められている、だがおそらく身動きを止められているだけで言葉自体は聞こえているだろう


 もう抑えておくのも限界なので最後にアルカに託す

 

 「さようなら~」


 強欲のその言葉と同時に、ルークの意識は、もう一つの意識に乗っ取られる


 



 「ライノート、よけたほうがいいよ」


 「ん?」


 体を奪って、動けるようになってすぐに、隣から知っている声が聞こえてくる


 「早くしないと死ぬよ?」


 ヒュン


 「あ?」


 そうこうしているうちに、後ろから何か切る音が聞こえたかと思うと、視界が上下さかさまになる


 動けるようになったアルカが、ルークの言葉に従って首を飛ばしたのだ

 

 「はあ、このバカ」


 起きたばっかりでボーっとしていたライノートにうんざりしながら、とんだ首をキャッチする


 「うーん、殺さないと無理かなぁ」


 すぐにライノートの首をつなげないと何らかの支障をきたすかもしれないのでこの場で首をくっつける必要があるが、その瞬間にまたアルカに同じことをされるだろう


 なので、それを防ぐにはアルカを殺すしかないのだが、強欲自身は戦うことはできないのでライノートを起こしてすぐさま戦ってもらうしかない


 「ま、なんとかなるでしょ、【吹き飛べ】」


 強欲がそう口にした瞬間に、アルカの体は数メートルほど後ろに飛ぶ


 至近距離にいればライノートの首をつなげた瞬間に再び殺されるだけなので距離を取りたかったのだ


 「とりあえずこれで大丈夫っと、さてと今のうちに」


 アルカは吹き飛んで、その位置のままこちらに近づいてきたりはしない


 そういう命令をルークから受けていないから、だが、ライノートの首をつなげた瞬間に襲い掛かってくるだろう


 「殺すのかあ、ここではやりたくないなあ」


 アルカ自体を殺すことは別にかまわない、どうせ死ぬわけではないから、ただ、この場所ということが殺したくない理由になる


 ちらっと、その理由になる人、エレナの方を見る


 「しっかり見てるかあ・・・・でも」


 それでもしなければこの場から二人で出ることはできない、なので一か八かにかける


 「【元に戻れ】」


 その言葉で、ライノートの体は首がつながり、それと同時にアルカも動き出す


 「【吹き飛べ】」


 再びアルカを飛ばして距離を取り、ライノートが覚醒するのを待つ


 「ライノート、今すぐあいつを【殺して】」


 この行動は一か八かの賭けになる


 強欲が言った言葉に、少しでも疑問の意思があればこれは全く効果を表せない


 もし、ライノートが起きた瞬間にきちんと考えられる頭なら意味のないが、おそらく大丈夫だろう


 そして、そのまま強欲の言葉を聞いてライノートは動き出す

 

 アルカもライノートもただ殺せという命令を聞くだけなので、フェイントや回避などは一切しない


 そうなれば身体能力のみの勝負になるのでライノートが勝つだろう


 「なるべく早くっと・・・」


 だからこそ、ライノートがアルカを殺してしまうまでに逃げるための道を作っていなければいけない


 「・・・ああ~、間に合わないか」


 そうこうしているうちに、ライノートはまずはアルカの剣を持っている方の腕を追って剣を遠くへ投げる


 そして、そのままライノートはアルカの体勢を崩し、その隙をついて首を落とす


 「? なんだ? 今の状況は」


 ライノートは強欲の命令を遂行したので自分の意識を取り戻す


 「ライノート、好きにやっていいよ」


 時間を稼げとは言わない、これから起こることを考えて、少しでもこっちの存在を消しておきたいから


 だから今はライノートにこれまで封印されていた鬱憤を晴らしてもらうついでに時間を稼いでもらう


 「はっ、ああ、好きにやらせてもらうわ」


 ライノートがやりたいこと、それは自分を長いこと封印していたルークへの復讐


 だが、もうこの世にはルークは存在しない、なので復讐相手はもういないと思っていたが、ここにはルークの大切にしていた人が集まっている


 それらをルークの体で皆殺しにすることを最初の復讐にしようと考える


 「俺はよぉ、メインディッシュは最初に食いたいんだよなあ!」


 それと同時にルークが最も大切にしていたミーシャ・ヴァレンティそして、その腕の中にいるアリス・ヴァレンティへ近づいて二人へ向けて手を振りかざす


 「ミーシャ!」


 ライノートが動くと同時に二人の隣にいたアイシャが狙いに気付いてミーシャをかばおうとするが


 「おせえよ」


 ライノートの動きの方が早く、アイシャが間に入る前にミーシャの元にたどり着いてしまう


 ミーシャは狙われていると分かった瞬間にアリスを抱いている以上逃げるのは不可能と考え、せめてアリスだけでも守ろうとライノートに背中を向ける

 

 「ぐっ・・・」


 「浅かったか」


 幸いにもまだライノートはルークの体になれていなく、距離感を見誤ってミーシャの背中を少し切る程度に済んだ


 「離れろ!」


 すぐさまアイシャが二人の間に入り、ライノートに向けて魔法を放つ


 「はっ! こんな魔法で俺に効くとでも?」


 アイシャが発動したのはただ単に風を起こす魔法、傷つける意思がなく距離をとるためだけにこの魔法にしたのだろう


 この場にいるのは全員ルークの大切な人、それは向こうから見ても同じでルークは大切な人、だから、そう簡単に攻撃しようとは考えられないのだ


 「次は外さねえぞ!」


 アイシャを先に殺すというのも一瞬考えたが、一度考えたことは曲げたくないと考え、アイシャを無視してミーシャを狙う


 「ミーシャ! 逃げて!」


 「さっきの魔法でちゃんと攻撃していたら変わってたかもな!」


 アイシャに向けてそう言葉を放つ


 もしアイシャの先ほどの魔法ですこしでもライノートの体に傷をつけて機動力を落とせていれば、結果は変わったかもしれない


 「じゃあな! ミーシャ!!」


 ミーシャの背中から、腕の中にいるアリスと一緒に貫くように腕を突き立てる



 


 「は?」


 ライノートは何が起こったのか理解できなかった


 確かにミーシャの背中に向けて腕を突き立てた


 だが、その腕はミーシャの背中を貫いているように見えたが、実際にはそうではなかった

 

 ライノートの腕は肘から先がなくなっていたのだ


 「何が起こった?」


 攻撃された気配はなかったが、攻撃されたのだろう、だが、だれに攻撃されたのかを考える


 「ぐっ、なんだ!?」


 そう、考えているうちに、再び攻撃がきて腹部に衝撃が走り大きく後ろに吹き飛ばされる


 「・・・お前か」


 飛ばされたことによってあたりを見回せるようになり、だれが攻撃してきたのかを理解できた


 「・・・・・」


 ライノートはそいつと対面した瞬間に理解する


 (なんだこいつ)


 単純な能力では勝てるだろう、だが、本能で目の前の少女にはかなわないだろうと


 「ははっ、おもしれえ」


 今、目の前の少女を何とかしない限り、他に意識を向けるわけにはいかない


 「まずはてめえから殺してやるよ」






 ルークさんから、失敗する可能性の話は聞いていた


 もし失敗したら、急いでアイシャに行ってアルカの封印を解除するよう伝えてくれと


 (え? 剣が止まった?)


 ルークからは、失敗する確率はほとんどないと聞いていた


 だから、その時が来た時にとっさに動けなかった


 (なに・・・・この気配)


 そして、ルーク達の元に、もう一人増えていたことに気付いて、この気配はそこにいる人から出ているのだと気が付く


 (だめ、あの人から目を離せない・・・)


 別にこっちが狙われているわけではない、だが、もし目を離したすきにこっちを狙われたら、すぐにやられるだろう


 (あ・・・ルークさんの首が)


 警戒しながら見ていると、アルカがルークの首を落としていた


 (でも、焦ってない・・ってことは、多分まだ)


 一切焦ることなく、首をキャッチしているのを見て、もう完全にルークの計画が失敗しているのを確信し、今のうちにアイシャの元へ向かう


 「アイシャさん! すぐにアルカの・・・」


 もう少しでアルカの封印を解いてと言えるところで何かが飛んだのが目の端に入り込む


 「あ、え、え・・・?」


 目に入ったのは、ルークによって飛ばされたアルカの首だった


 なぜアルカの首が飛んだのか


 「はあ、はあ・・・」


 息が早くなる


 本当にあの飛んでいる首はアルカのものなのか、あの寝ている体はアルカのものなのか


 ちゃんと見て確認しているはずだが、わからない、理解することができない

 

 「アルカ?」


 まだちゃんと話せていない、ちゃんと顔も見れていない


 「まだ、伝えたいことがあるのに・・・」


 この二年間で伝えたいことや話したいことはたくさんできた、すべて終わったらゆっくり話そうと考えていた


 それなのにまだ一つも話せないうちにお別れになるとは思っていなかった


 力が入らない


 やらなければいけないことがある気がするが、何も考えられない


 アルカの元へ行こうとしているが、足がちゃんと動かない


 幸いなのは、こんな状況でもクロノスは形を崩さずに左半身を覆っている


 それなら動けるはずだが、なぜか動くことはできない


 「ーーーー!!」


 すると、近くで誰かが何かを叫んでいるのが耳に入る


 ただ、その内容は一切理解できない、言葉なのか、叫びなのか区別はつかないが、焦っているのはなんとなくわかった


 (どうしたんだろう?)


 気になったわけではないが、ふと、そっちに目を向ける


 (ミーシャさん?)


 ふと見ると、ミーシャがルークに背中を切られているところだった


 (アリスは、大丈夫かな?)


 確かミーシャさんはアリスを抱いていたはず


 (あ、だから背中を切られたんだ・・・)


 ミーシャはアリスを守るために身を挺して守ったのだろう


 (ってことは、ミーシャさんたちを殺そうとしたってこと?)


 そうとしか考えられない


 「まだ、殺そうとするんだ」


 ミーシャさんを襲ったのは、アルカの首を飛ばしたのと同じ、ルークだった


 「どうしてまだ殺そうとするんだろう?」


 私にとって一番大切な人を殺しておいて、まだ私の大切な人を殺そうとする


 その理由はわからない


 「あ、そうか」


 でも、これをどうしたら解決できるかを考え付く


 「殺せばいいんだ」


 大切な人を奪おうとするのなら、殺してしまおう


 ヒュン


 クロノスを操り、まずは右手を切り落とす


 そして、混乱しているうちにそのまま薙ぎ払ってミーシャから離す


 (もう何も考えたくないな)


 今はもうアルカのことは考えられない、考えてしまうと魔力操作が狂いそうだから


 だから、とりあえず今は目の前の相手を殺すことを考える


 「殺してから考えよう」

 

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