問題発生
・12・
side:アルカ・ロワール
メイナのクラス移動から10日ほどたった日、授業が終わった後、アルカ、アーロ、アン、エレナ、メイナで食堂で食事の途中、セレスさんが食堂へと入ってきた
セレスさんが入ってきた瞬間、食堂にいた大半の生徒から、歓喜の悲鳴が聞こえた
「きゃああああ! セレス様!! 今日も凛々しくておきれいです!!」
「セレス様! ぜ、ぜひ一緒にお食事でもいかがですか!」
ものすごい勢いで、女子生徒に囲まれていくセレス、彼女は次席であり、性格もすごくよく、それでいてかっこいいという完璧に近い人であるので、大半の生徒から慕われており、大人気である
「ごめんね、今はちょっと急いでいるから、また今度ね、誘ってくれてありがとう」
そういいながら、アルカたちの元へと歩いてくる
「おい、セレス様が、こっちに来るぞ!!」
「やばいよ!うちら何かした?!」
アーロとアンが焦りながらこちらに言う、アーロたちには、エレナがセレスの妹であることは伝えていないので、かかわりを持てるとは思っていなかった
「どうもこんにちは、妹たちがお世話になってるね、これからも仲良くしてあげてね」
「え?妹ですか?」
「ん?ええ、そっちにいるエレナは私の妹だよ」
「えええ!!そうなんですか!!!」
「言ってなかったのかい?まあ、よろしく頼むね」
「はい、こちらこしょおにぇがいします」
緊張からか、かみかみになるアン、やっぱり次席って有名なんだなと改めて思い直す
「ところで、セレスさん、どうしたんですか?」
「ええ、少しメイナとアルカとエレナを借りていくね」
「は、はい!」
緊張からか、アーロは何も言葉を発せずに、顔を赤くしてセレスさんを眺めていた
セレスさんについていき、食堂を出る
「セレスさん、何かあったんですか?」
「ああ、メイナをいじめていたやつを全員見つけ出したんだが、少し問題が起こってね」
「問題ですか?」
「詳しくは、校長室で話すよ」
校長室に行くと、シーラ校長、レナさん、アイシャさんがいた
「失礼します」
「いらっしゃい、とりあえず座ってくれる?」
「わかりました」
言われるがままに、ソファーに座る
「さてまず初めに、メイナちゃんのいじめの件について、犯人はすべて発覚して、主犯の8人は退学処分にして、それを面白がってみて、助けようとしなかった13人を停学処分とした、きちんと証人は何人もいるから間違いはないわ」
「じゃあ、問題って何ですか?」
「それがね、主犯の8人のうちに公爵家の三男がいて、退学処分に対して物申してきたのよ」
「大丈夫なんですか?」
「少しまずいわね、この学園は王立だから、公爵家ならある程度は融通が利くから、もしかしたら退学した子が戻ってくる可能性もあるし、メイナちゃんのことを狙うかもしれないわ」
「何でメイナを?」
「公爵なんかの貴族っていうのは、プライドが高くてね、少しでも気に食わない相手がいると権力や武力で消そうとしてくることが多いわ、特に平民相手なら容赦しないわ」
メイナは自業自得とはいえ、その貴族の子供が退学した原因となっている
極端に言えば、メイナがいじめを否定してしまえば、その瞬間にいじめは事実ではなくなってしまうので、何としてでもメイナに何かしようとするだろう
「それじゃあ、どうするんですか?」
「それを今から考えるのよ」
セレスさんとシーラ校長の話を黙って聞き、問題解決のために全員でいろいろと話し合いをしていったが、いい案は思いつかなかった
「どうしましょうか」
「あの、もう大丈夫です、そこまでしていただかなくて、元は私が魔法を使えないのが原因なので」
「いいえ、あなたは何も悪くないのよ、だから気にしないで、私たちに任せなさい」
「でも、相手が公爵家なら皆さんにも危険があります!私のせいでみんなが傷つくのは嫌なんです」
「大丈夫よ、私たちもそれなりに強いし、公爵家で雇えるような兵士にはやられないわよ」
アイシャが話し出すと同時に、メイナがあきらめたように声を出す
メイナが、みんなに迷惑をかけられないと、断っているが、みんなが大丈夫だといい、話が進まなくなる
「王様に直接言って公爵家に警告してもらうのはどうですか?」
「そうだね、それが一番いいけど、時間がかかるね」
アルカの提案に、シーラが肯定してくる
「どれくらいかかりますか?」
「そうだね、少なくとも一月以上はかかるかもね」
「その間に狙われる可能性はありますか?」
「狙われるのは確定ね」
「じゃあ、その間、冒険者に護衛を頼むのはどうですか?」
「そうね、それもありだと思うけど、公爵家の兵士よりも強い冒険者ならBランク以上は欲しいね、そんな人なら、ものすごくお金を積まなきゃ受けてくれないわ」
冒険者を雇うならそれなりにランクの高い冒険者を雇う必要があるが、適当に依頼を出してしまうと、公爵家に雇われた冒険者が受ける可能性もあるので、ある程度指名して依頼する必要があるが、そうするとかなりのお金がかかり、負担が大きくなる
「それなら大丈夫ですよ、私元冒険者なので伝手があるんで頼めます」
「それなら、その方向で行きましょう、アイシャさん、どれくらいで護衛を連れてこれますか?」
「今から行けば、明日には連れてこれますよ」
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それから、王様に謁見の手続きの手紙を書き、それを送ったり、護衛に渡すお金について、学園から出すということになったが、メイナは断ろうとした、しかし、学生が払えるような金額ではないし、今回の問題は、学園側にも責任があるからと言って学園側は引かなかったので、メイナは折れる形でお金を出してもらう
明日、またこの部屋に来るように言われ、その時には冒険者を連れてきているらしい
「もし誰かにつけられたり、狙われたりしたら、頼ってね」
「何で、みんなこんなにやさしくしてくれるんですか?」
「君は、何も悪くないんだ、それにまだ幼いのに、悲しい経験はしちゃいけないんだよ、幸せになるべきなんだよ、だから助けるよ、それに昔、お父さんに困っている子がいれば、助けてやれるような子に育てと言われたからね」
「ありが、とう、ございます、」
アルカは田舎で育っており、こういういじめなどを目撃するのが初めてで、なぜこのようなすることが理解できなかった
メイナは大粒の涙を流しながらお礼を言った
彼女は、学園に入学してからはこのように本当にやさしくされることがなかったため、最初はアルカたちのことは信用していなかったらしい、一度、やさしくしてくれた人はいたらしいが、仲良くなることにより、いじめをしやすくするためだったという
「メイナちゃん、一人で抱え込もうとしないでね、もう学園にはメイナちゃんをいじめる人はいないから、安心してね、あぶないことがあったらきっと守ってあげるから」
アルカたちは先生とは違い、公爵家の兵士にはかなわないので、戦うということは絶対にしない、ただ守ることだけを考えて、この一月を臨むことにする
そのあとは、メイナの泊っている宿屋へと行き、セレスさんが来るまで、三人でご飯を食べて待つことにする
「ところで、メイナはどうしてこの王都まで来て、ラーサル学園に入学したんだい?」
「えっと、私が8歳くらいの頃に、魔族に襲われて、その時に助けてくれた人がここにいるって言ってたから、探しに来たの、その人なら、面倒を見てくれるって言われて」
「なるほどね、その人にあこがれてここまで来て、学園に入ったんだね」
「うん、でも学園に入っても魔法が私には使えないことがわかって、ちょっと悲しくなっちゃったんだ、その人はきれいな魔法を使って私を助けてくれたから私も使いたくて」
「きっと、時間をかければ魔法を使えるようになるよ、僕たちも協力するから、一緒に頑張って勉強しよう」
「うん、頑張って魔法を使えるようになる」
自分たちが王都へとくる理由と、来る途中での出来事を話してあげながら、ご飯を食べていた
食べ終わるころに、セレスさんが宿屋へと入ってきた
「ごめんね、少し遅くなって、いろいろとやっていたらこんな時間になっちゃった」
セレスさんが戻ってきたので、アルカたちも戻ることにする
「ねえ、アルカ、絶対にメイナちゃんのこと守ってあげようね」
「うん、絶対に公爵家から守ってみせるよ、でも一人では勝てないから、エレナも手伝ってくれる?」
「当たり前だよ、まだあんなに幼い子が命を狙われるかもしれないんだから」
二人も協力して、メイナのことを守ると約束を交わした




