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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第4章 全ての始まり
119/128

旅の始まり

・109・

side:神薙 カホ


 新しい魔法や仙術を練習して数日過ぎたところで私たち三人はセニアさんに言われた場所にやってきた


 「集まってくれてありがとう」

 

 「大丈夫、それで、どうしたの?」


 アイラがセニアに集めた目的を聞く


 「そろそろ本格的に動かなければいけない」


 「? 何が?」


 「おそらくの話になるけど、そろそろ本格的に魔王が動き出すと思う」


 「・・・それはどうして?」


 アイラが一瞬考えてから口を開く


 セニアがどこからそういった考えになったのかを自分なりに考えてみたがいまいちわからない


 「アイラが魔王について考えるようになったのはいつからだ?」


 「うーん、どうだろ、カホたちに会ってからかな?」


 「まあ、そうだろうね」


 アイラが魔王に本格的に意識し始めたのは初めてカホたちに会ってから、それまでは魔王の存在は知っていたが大して意識などしてはいなかった


 「だから気づけなかっただろうけど、魔王があんなにわかりやすく動くなんて今までなかったんだ」


 セニアさんの話では魔王たちが何かするのは数年に一度、それもだいたいは少し事件を起こす程度

 

 わかる範囲では大体は人さらいや魔物に関してのことだけ


 「ここ数日考えたんだけど、多分魔王たちはもう本格的に動き出している」


 「動き出す? そういえば、魔王たちって人類の皆殺しが目的なんですよね? つまり・・・」

 

 初めてセニアと会った時に聞いた話だと目的はそれで間違いはないはず


 「いや、実際に殺し始めるのは当分先だ」


 「どうしてわかるんですか?」


 セニアは予想で話してはいるが、どこか確信したような言い方をしている


 「もし、動き出すとしたら、絶対に計画を立てるはず、そして、その時に計画を立てるのは強欲、カスミだ」


 そしてセニアは説明を続ける


 「カスミは家族を大事にしている、だからこそ慎重に計画を立てるし、以前のように人類側の戦力を確認したんだ」


 「戦力の確認?」


 「そう、この前の襲撃は人類側の戦力を測るためにしたことだと思う」


 「でも、それならついでに何人か殺そうと思うんじゃ?」


 セニアの言葉に、一つ疑問が生じたので質問をする


 聞いた話では、けが人は数人出ただけで誰一人として死人は出ていなかったはず


 もし戦力を測るのが目的としたら、そのついでにできれば少しでも削っておくのが普通だと思うが

 

 「そこが僕にもわからない、だが、戦力を測るという点では間違いがないはずだ」


 セニアは確信してそういう、というか、それしか考えられないようだ


 「カスミは慎重だからこそ、あえて殺せそうな場面があっても殺させなかったんだろう」


 「まあ、それはわかるよ」


 セニアの言葉にアイラが同意し、そのあとに付け足してカホたちに説明してくれる


 「簡単に話すと、仮に魔王のだれかが人を殺したとして、その殺された人の親族や、大切な人が仇を取りたいって思わないわけがないでしょ?」


 今回の襲撃では二人の魔王以外は私たち以外の学園の人たちが対応したはず、だから襲撃の犯人は魔王だということはおそらく知られている


 そんな明らかに誰が敵かをわかった状態で殺してしまうとそうなってしまうのは明らか


 「そういった人たちは、どういった行動に出るかわからない」


 仇のために動くことがどれだけ不安要素であるのかはセニアもよく知っているし、カスミが知らないわけがないだからこそ、その可能性を少しでも生みたくなかったのだろうと、セニアは考えている


 「っと、この話はまた今度するよ」


 少し話がそれてしまったのでセニアは元の話へと戻す


 「魔王たちが本格的に動き出した以上、僕たちも動き出さなければいけない」


 動き出すということは、勇者を中心とした戦力を探しながら魔王の元を目指すということ

 

 「ただ、今のままじゃ、さすがに二人が危ない」


 旅をする以上、多少なりとも一人で行動することが出てくる可能性がある


 だが、今の神薙と神代であれば、さすがに一人で行動するというと戦力的に心もとない


 「だから、少なくとも一人である程度の魔物を倒せるくらいに君たちを強くする」


 欲を言うなら、災群生の森の魔物に勝てるとは言わないが、戦えるほどになってほしい


 さすがに、災群生の森の魔物は今までの黄昏の森にいる魔物たちとは格が違うので無理は言わない


 「あそこの魔物は下手をすれば僕でも簡単には倒せない」


 「そ、そんなにですか?」


 今迄神薙たちはセニアが苦戦したところなど魔王との戦い以外では効いたことはなかった


 たいていの魔物は瞬殺できるくらいに強いと感じていたが、そんなセニアでも手こずる魔物は想像がつかない


 「それでも、魔王たちの本気の力は、そこの魔物がかわいく見えるレベルだ」


 「・・・・」


 その言葉を聞いて、一つ疑問に思ったことがある


 「カホの言いたいことはわかる」


 どうやら、セニアはカホの考えていることが分かったようだ


 「でも、今話しても仕方がない」


 神薙が言いたかったのは実際に魔王と戦って確かに強いのは実感したのだが、言うほどの強さかと疑問になる


 「言えることは、あの時は魔王誰一人として力をほとんど出していない」


 「あれで・・・」


 神薙もアイラも敵わなかった相手が力を全く出していないと知り、衝撃が走る


 「だからできる限り戦えるように強くする、時間は・・・おそらく一年はかけるつもりだ」


 「一年・・・、もしその間に魔王が動き出したら?」


 「それがないことを願うが、もし動いたら、何としてでも僕が止めよう」


 「一人で?」


 「ああ、むしろほかの人がいればそれこそ危ない」


 「あ、そっか」


 セニアは魔王たちの家族、それなら戦うことになってもおそらく殺されるということはないだろう


 それに、うまくいけば話し合いだけで済むこともあるかもしれない


 「だから、その間は、魔王のことは考えないで、自分のことだけに集中してほしい」


 「わかりました」


 セニアの言葉に反論は一切ない、自分が魔王に手も足も出ないことは知っているし、力不足も自覚している、だからこそ、力をつけなくてはならない


 「僕も、学園をやめてきたから、これからは君たちの訓練に付き合う」


 「え! 学園やめちゃったんですか?」


 セニアは学園の講師として働いていたが、時間を作るために退職してきたそうだ


 「遅かれ早かれやめるんだ、今やめても変わりはない」


 「それより、さっそく始めよう」


 セニアとしては、少しも時間を無駄にはしたくない


 なので、すぐにでも訓練を始めようとする


 「おそらく、訓練はつらくなると思う、休みたいと思うときは休んでくれていいから、無理はしないでくれ」


 一年しかないからといって、無理をして訓練を続けて、体を壊してしまったら元も子もないので、決して無理はしないようくぎを刺しておく


 訓練は主にアイラとセニアができることをすべて教えていくということをし、それに加えて神薙や神代にしかできないこと


 神薙なら魔術の幅を広げたり、今のところ一番使えそうな仙術を訓練していく


 神代に関しては一つわかったことがあり、彼は異常なほど新たな能力を覚えることができる


 異世界人特有のレベルを上げれば能力を得られるという特徴があるのだが普通ならレベルを10上げて一つ能力を得られればいいほうである


 そんな中、神代は今のところレベルを大体5上げれば能力を1つ得ることができている

 

 今のところそれほど強力な能力はないのだが、いずれはいい能力が得られると信じて、レベル上げをメインに訓練していく


 基本的に神薙と神代は別々に、神薙にはアイラが、神代にはセニアが同行して、時々二人は後退して訓練を行っていった




 そして月日は流れ、一年と数か月が経った

 

 「一年はすこしすぎちゃったけど、十分強くなったよ」


 最後にどれだけ成長したかを確認するために、黄昏の森の魔物と戦い、結果としては苦戦することなく倒すことができた


 そして、これをもって訓練は終わりとなる


 「向こうはもう終わってるのかな?」


 ここ数か月は完全に神代たちとは別行動していたので、今どうしているのかはわからない


 もう訓練は終えているのかもしれないし、まだやっているのかもしれない


 「どうする? 最後に災群生の森、行ってみる?」


 「・・・・」


 アイラの提案を聞いて、どうするか迷う


 一度訓練を初めて一年くらいに入ってみてそこの魔物と戦ったのだが、言葉通り手も足も出なかった


 「いえ、まだ勝てる気はしません」


 さすがに数か月追加で訓練したからといって、敵うような相手ではない


 そんな相手にむやみに挑むなんてそこまで馬鹿じゃない


 「うん、それでいいよ」


 アイラ的には、別に挑戦しようとしていたら止める気はなかった


 相手の強さを測れるというのは大事なこと、もしそれがわからずに圧倒的な相手に勝負を仕掛ける等してしまったら危険だからだ


 「それじゃあ、カホはゆっくり休んで、その間に向こうの様子見てくるから」


 「わかりました~」


 やっと訓練が終わったことで少し気が抜けてしまう


 「ちゃんと休んでね? もし向こうも終わってたら、旅に出るんだから」


 「わかってますよ~」


 そういい、神薙は宿へと戻っていく


 「ゆっくり寝るのも、どれくらいぶりかな~」


 ここ数日は最後のラストスパートで寝る間も惜しんで訓練していたのでちゃんと寝ていなかった


 「今日は何もせずにゆっくり寝よっと」


 一応ある程度旅のための準備は終えているので今は何も考えずに眠りについた


 そして次の日となり


 「それじゃあ、出発になるけど大丈夫か?」


 どうやら神代の方も数日前に訓練を終えていてこっちの終了を待っていたようで、すぐさま出発という話になった


 「はい」


 お世話になったお店や宿にはちゃんと別れを告げてきたので、もうやることはない


 「結局学園にはいかなかったね」


 「そうだな」


 もともとは学園に入るためにここへと来たのだが、結局は学園には入らなかった


 「まあ、別にいいんじゃね? 強くなれたんだし」


 「そうだね」


 学園に入らなくてもセニアさんたちのおかげで強くなれたし、図書館などでたくさん本を読んでこの世界のこともある程度知ることができたので、結果的には問題はない


 「あ、そういえば、結局一度もモエにメッセージしてないね」


 この世界に呼ばれてそこを出るときにケニスにもらった魔法の【メッセージ】


 これを使えばモエとケニスの二人と連絡を取ることができる


 しかし初めて使った時にケニスと話し、モエは一生懸命頑張っていると話を聞いて邪魔してはいけないと思い一度も使っていなかった


 「落ち着いた時に連絡してみようかな」


 久々にモエと話をしてみたいと考え、もし時間ができたらこの魔法を使ってみたいと思う


 「それじゃあ、行こうか」


 セニアが出発のために用意した馬車にみんなが乗り込んで、王都を出発する


 長い長い旅へと

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