鍛錬、計画
・100・
side:神薙 カホ
「はっ! はあっ!!」
アイラとの組手を初めて数分、神薙がどんな攻撃手段を持っているかを確認するため、アイラは攻撃はしてこなかった
「こっちは攻撃しないから、今できるすべてを出して」
「はい!」
魔法と近接を組み合わせていきどんどん攻撃を繰り出していく
「いいね! 前よりも魔法の種類も増えてるし、使い方もうまいよ!」
【ファイアボール】をうち、それをよける場所を予測してそこに投げナイフを投げるが、難無くよけられ、次に【ロックウォール】でとらえようとしたが逆にそれを足場にされて距離を取られる
様々な組み合わせや、搦め手を試しているが、全く当たる雰囲気はなく、アイラは危なげなくよけていく
「どう? もう終わる?」
「はあ、はあ、はい、も、もう、魔力も、ないです」
ほぼ魔力も枯渇、体力の方も底をついているので、さすがにギブアップする
「うん、これだけ戦えれば十分」
様々な手を使って、三十分近く戦い続けれたので、そこの点は褒められた
「ただ、もう少し戦略が必要かもね、予備動作、癖なんかが、すぐに見抜けちゃうから」
「本当ですか・・・」
確かに、今回は何も考えずにとにかく全力で行ったので、癖などは無意識に出ていたのだろう
「ま、とりあえず次はカミシロ君を見るから、危ないよ」
アイラは疲れて倒れている神薙に近づいて手を貸し、起きるのを手伝ってくれる
神代君たちの邪魔にならないところに腰かけて、休憩しながら見学しておく
「癖かあ・・・・なんだろ?」
さっきの手合わせを振り返って、自分の癖が何なのか考えてみる
「そういえば、魔法の発動って・・・」
いつも、魔法を発動するときは手を前に出して発動していたが、もしかしたらそんなことせずに魔法を発動できるかもしれない
「【ファイアボール】」
一度試しにリラックスした状態で手を前に出さずに魔法を発動してみる
「あっ・・・」
発動自体はうまくいった、のだが狙った場所とは違う場所に飛んで行ってしまう
「狙いをつけるのが大変・・・ただ、これができたら」
もしこれがうまくできれば、今よりは魔法の発動をわかりず楽できるし、狙いも読まれにくくなるかもしれない
「あとは・・・多分あれかな?」
振り返って真っ先に思ったのは、相手との距離が離れてからの攻撃のパターンだ
必ずといっていいほど距離が空いたら初めにナイフを投げることから始める
「これも、治さないとね」
戦い始めてはじめなら通用すると思うが、長引くとそれも通用しなくなるかもしれないので、ほかのいろいろなパターンを考えないといけない
それから、神代とアイラの組手が終わるまで、ゆっくりといろいろな手を考えていった
「うん、能力的にはぎりぎり行けるね」
「行けるって、どこにですか?」
アイラが手合わせの結果から、自分の計画していたことが実行可能かどうかを判断していた
「黄昏の森、あそこの方が、早く強くなれるからね」
「え、でも、あそこって、危ないんじゃ・・・」
「うん、今の君たちじゃあ、あそこの魔物には歯が立たないだろうね、けど、その方がいい経験になるでしょ?」
実際、魔王と戦うことになると、実力がかけ離れている相手と戦った方がいいので、確かに黄昏の森に行くのはいい案である
「今の実力から考えて、どれくらいあるのかわからないけど、数日じゃあ魔王に敵うようになることは不可能、だから、君たちには私とそのセニアさんの補助をしてもらうわ」
「補助・・・なるほどです」
魔王と戦うときには、確実にセニアさんとアイラさんが主体となって戦うことになる、であるのなら、それをすこしでも補助できるように立ちまわるのが一番役に立てるだろう
「補助系の魔法は使える?」
「一応、使えはします」
以外に補助系の魔法は種類が多いのに加えて、それほど難しくないので魔力容量を増やす時に使っていたが、実戦で使ったことはない
「自分も、覚えてはいます」
神代も戦闘ではほとんど魔法は使わないが、手札を増やすためにも覚えろとセニアさんに言われていたので、補助系の魔法自体は使用可能だ
「その感じからすると、実戦で使ったことはなさそうね、それならすぐにでも始めましょう」
のんびりしている時間はない、なのでこのまますぐに黄昏の森に向かう
「戦闘は主に私がするから、二人は私の指示に従ってね」
そして、時間と体力が許す限り黄昏の森で補助の練習を続けた
そのような日が数日続いて、ようやくセニアからの連絡があった
「待ち合わせはここのはずだけど・・・」
セニアとは学園内で待ち合わせをして会議をしたいと手紙で知らされて、書かれていた場所に来たが、セニアの姿はまだ見えない
「お、来たぞ」
神代がいち早くセニアの姿を見つけ、ほかの二人に知らせる
「すまない、すこし遅れた」
「いえ、大丈夫ですよ」
仕事か何かをしていたのだろう、こっちもそれほど待っていないので、気にしないでと伝える
「そっちが・・・」
セニアがアイラの姿をみて、何かに気付いたようだ
「もしかして・・・スキルホルダーか?」
「ん? そうだけど、よく知ってるね」
「スキルホルダー?」
セニアがアイラのことをそういっているが、神薙と神代は初めて聞いた言葉だった
「スキルホルダーは二つ名だ、だいたいは高ランクの冒険者につけられるもので、その人の特徴をあらわしたものになる」
「ってことは、セニアさんって高ランクの冒険者なんですか?」
「ううん、私は別にそこまで高くはないよ、ただ、私の固有技能が強力だから、つけられたの」
そういってアイラは手を振るうと、空中に様々な文字が出てくる
「私の固有技能【スキルブック】、一緒に戦うのならついでに説明しておこうか」
アイラの固有技能、【スキルブック】は一度見た、もしくわ自身にかけられた技能、魔法、固有技能を保存して使用できるというもの
「・・・・スキルホルダー、一つ聞いても?」
アイラが自らの固有技能を説明している間、セニアは何かを考えこんでいた
「アイラって呼んでよ、で、聞きたいことって何?」
「わかった、アイラ、その中に【強奪】はあるか?」
一度見たことがあるものが書かれているのなら、もしかしたらそれがあるかもしれないと思いセニアはアイラに聞く
「【強奪】・・うん、確かあったはず」
そういい、アイラは能力に目を通していく
「あった、でも、これがどうしたの?」
「僕らの目的は、知ってるか?」
「ええ、ある程度はカホから聞いたからね」
アイラは、カホたちがどんな人かも知っているし、こっちに来た時にある程度は話を聞いていて予想はしていた
「魔王を倒すんだよね?」
アイラは確認のためにそう答えるが
「いや、魔王から力だけを奪う、そのために【強奪】が必要なんだ」
「・・・・・」
その言葉を聞いて、アイラは考え始めるがその時間はそれほど長くはなかった
「わかったはわ、でも、この力では魔王の力は奪えないと思うけど?」
「ああ、だから、いろいろな能力を組み合わせることになる」
根本になる能力は【強奪】【限界突破】の二つ、それにほかの能力を混ぜて補っていくことになる
「でも、その能力がそろわなかったら?」
「まあ、そろう可能性の方が低い、でも、そんな中にアイラが来てくれた」
もともとは、運よく必要な技能を二人が覚えてくれるのを頼りにこの計画を練っていたが、アイラのおかげで、運に頼らずに済むかもしれない
「必要な技能は既に存在している物だけだ」
「なるほどね、だからもし【スキルブック】になくても、必要な技能を持っている人に会えさえすれば実現可能になる、そうよね?」
アイラは確信したようにセニアに伝える
「そうだ」
「でもね、一つ問題があるの」
「問題?」
アイラが指をピンと立てて説明する
「私が【スキルブック】によって使えるのはあくまで私に使われたか、その力を目にしたか」
アイラがもう一度自分の能力についての説明をする
「【限界突破】に関しては、あくまで自身に作用する能力だったはず、だから、私の能力では使えないわ、それにそれを【強奪】で奪うっていうのもできない」
アイラは、【スキルブック】による効果以外では技能を覚えたり、魔法を唱えたりはできない、なのでそもそもアイラにとって【強奪】は意味のない能力である
「・・・そうなんですか」
「それなら、【強奪】を私か神代君が使えるようにできないですか?」
話を聞いて、思いついたことを提案する
「うん、一応できると言えばできるけど、渡しても一度しか使えないわ」
【スキルブック】は実際にその技能や魔法があるわけではなく効果のみを保存する、なので渡すとしても、【強奪】を渡すのではなく、【強奪】によって生まれる、奪う力、を渡すことになるので、一度発動すると二回目は使えないことになる
「だから、一度発動するともう一回私が渡すまでもう一回は使えないってこと」
「それは少し厳しいな」
「え、そうですか? 別にすぐにもう一度渡せば・・・」
別に戦闘時に一緒にいればその都度渡してもらえばあまり問題はないとは思うが
「いや、奪うのは魔王だ、戦っている最中にそんな隙見逃してくれると思えない」
「たしかに・・・」
一度発動しようとして失敗すると、こっちの目的もばれる可能性はあるので、そうなるともう一度させてくれるとは思えない
「でも、それしか方法はないな」
「まあ、そうね」
現状、セニアに関しては憤怒の勇者であるので、魔王の力を自分のものにすると何が起こるかがわからないので、神薙か神代がするしかない
「まあ、とにもかくにも【限界突破】を手に入れなければ始まらない、それよりもまずは・・・」
まだできない話をするよりも、今は直近の話をしなければならない
「それじゃあ、細かいところまで話していこう」
そこからたくさん時間を使い、細かなところまでしっかりと魔王の対策や立ち回りなどを話し合っていった
スキルブック・・・所持する者が受けたもしくは目にすることができた能力によって生じる事象を保存する能力、制限はなし
魔法なら相手が発動し終えそれが消えた時に保存される




