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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第4章 全ての始まり
107/128

自己鍛錬

・97・

side:神薙 カホ


 「アイラさん戻ってくるんだ!」


 手紙の内容としては、やることも終えたので、そろそろ王都に向かうらしく、手紙が届いたころにはもう近くに来ているようだ


 「それにしても、やることって何だったんだろ?」


 別れた時も、手紙にも書かれていなかったので、少し気になるがプライベートもあるだろうから向こうから言ってこないのなら、こっちからは聞かない


 「アイラさんに、どれだけ強くなったか見せたいな、それに、旅の目的もちゃんと伝えようかな」


 私たちは魔王の力を抑えるために旅をしていることを伝えて、そのうえで私たちについてきてもらえるのかを聞く


 「魔王と戦うには戦力は多いほうがいいもん」


 一番いい手は私か神代君、もしくはほかのクラスメイトのなかで【強奪】を取得して、それで魔王の力を奪うこと


 それが取れなくても、殺す以外の方法を探すのだが、それでも絶対に戦いにはなる、セニアさんの話では私や神代君ではいくら訓練したからと言って勝てるようなものではないようで、いいところ数分戦える程度までしか届かないようだ


 それなら、少しでも強い仲間を集めるのがいいだろう


 「こうしちゃいられないね」


 少しでも、強くなれるように、休もうと思っていたがちょっとランニングをしに行くことにする

 

 「お出かけですか?」


 「ちょっと体を動かしに行ってきます」


 「そうですか、いってらっしゃいです!」


 ランニングの時はなるべく物は持たないようにしているので、部屋の鍵は預けて、外に出る


 「どのあたりを走ろうかな」


 この時間なら昼間ほど人も多くないし王都の中を走ってもいいし、王都の外に出て足場の不安定なところを走るのもいい


 「まあ、外でいいか」


 外で走ったほうが体力もつくような気がするので、そっちの方にする


 「あ、そういえば魔法も使っておかなくちゃ」


 セニアさんから、もし暇な時があれば魔法を使って魔力の限界量を増やせと言われていた


 「ただ、もうあまり上がらないんだよね」


 教えてもらってから毎日寝る前に枯渇寸前まで魔法を使っていたおかげで、魔力量は上がるようになって戦闘中にはよっぽどのことがなければ魔力がなくなることはなくなった


 ただ、ある時期から、それをやっても魔力量は上がらなくなったのであまりしなくなっていた


 「常に身体強化の魔法をかけれるようにしなくちゃ」


 近接戦の場合に絶対にかけるように言われた【身体強化】、無属性の魔法に加え自分の身体にかける魔法であるので環境や魔法を封じられても基本的には使用できる


 魔王と戦うにはやはりこの魔法は必須であるので、理想では戦闘でなくても常に、寝ているときでさえ自分にかけていられるほど慣れなければならないと言われた


 「詠唱は・・・しなくていいんだっけ?」


 確か自分の身体にかける魔法は詠唱自体は存在しているが、簡易詠唱、無詠唱、完全詠唱による違いは一切ないはず


 なので、大体は発動するときは慣れるまでは簡易詠唱、慣れたら無詠唱で発動するもの


 「むむむ・・・・」


 まだいまいち無詠唱のやり方はわからないが、【身体強化】を無詠唱でしてみようとした


 「はあ・・・【身体強化】」


 まあ、結果としては無詠唱では発動できなかった


 無詠唱でできなかったことにすこし落ち込みながらも簡易詠唱で魔法をかける


 「ほっ、ほっ」


 その場でジャンプしてみて、きちんと魔法がかかっていることを確認し


 「さてと、走りますか」


 準備運動をして、さっそくランニングを開始する




 走り始めて大体一時間後


 「おっと、引き返さないと」


 これ以上行けば、セニアさんに絶対に入ってはいけないと言われ黄昏の森というところになるので、ここで引き返す


 それから元いた場所に戻り


 「じゃあ、次は森の中を」


 さっき走ったところよりもさらに走りにくいところで身体強化の感覚に慣れておく


 「はっ、ほっ、あぶない!」


 気分転換に、木の上を飛んで移動していると、足を滑らせて木の上から滑り落ちる


 「危うく怪我するところだった」


 なんとか無事に着地できたが、びっくりしたことにより身体強化が解けてしまう


 「もう一回かけなきゃ・・・ん?」


 魔法をかけようと集中した瞬間に、何か音がしたことに気が付く


 「こっちから・・誰かの声?」


 こんな時間に森に、しかも結構奥の方まで来ていたがそんなところにいるなんて少し不思議に思い、気配を消して近づいていく


 「いた・・・冒険者じゃ、なさそう」


 なんとかぎりぎり見えるところで身を隠してうかがうが、明らかに装備も何もしていないし、冒険者にも見えない男女が二人いた


 「ーーーで、その時にーーーーー」


 遠すぎてかすかにしか会話の内容が聞こえない


 「何の話してるんだろう?」

 

 怪しさ満点の二人の会話が気になり、もう少し近づいて会話を聞こうとする


 「足元に注意して」


 物音を発てないように慎重に近づいていく


 「メインは戦力の把握ね、殺しはだめ」


 「おっけ~、で、これがそのリスト?」


 「そ、そこに特徴も書いてるから、ちゃんと覚えてよ?」


 「わかってるって、ところで今回はだれが来るの?」


 「リデアとライノート以外みんな行くよ、さすがに二人じゃ時間たりないと思うし」


 「お、久々にみんなに会えるんだね! 楽しみだよ」


 「セシルはずっとここにいるもんね? たまには帰ってきたら?」

 

 「いやー、遠いじゃん? ちょっとめんどくさいんだよね」


 「言ったら迎えに行ってあげるのに」


 「まあ、気が向いたら帰るよ」


 「そう、それじゃあ、もう帰るけど、聞いておきたいことある?」


 「うーん、そうだね、この子はどうする?」


 「!?」


 いきなり男の方の姿が消えたと思ったら、すぐ後ろから声が聞こえる


 「任せたよ~、それじゃあ、もう帰るね」


 女性の方は気にしないようですぐさまどこかに行った


 「はいは~い」


 「【身体強化】!」


 男の方が女性の方を見て見送っている隙にすぐさま魔法を唱えて全速力でそこを離れる


 「ちょっと! どこ行くの!」


 がしかし、すぐさまつかまってしまい、組み伏せられる


 「くっ!」


 「暴れても無駄、君、さっきの僕たちの話聞いてたよね?」


 そして、身動きが取れなくされた状態で話をされる


 「ま、聞いてなくてもいいや」


 そういって、さっき男が女性の方から渡されていた紙の一枚を私の近くに放る


 「それあげるよ、計画が書いてるから、具体的な日付はわからないけど学園の行事で黄昏の森に行くのがあるんだけどその時に襲撃を仕掛ける、だからこの情報を君の知ってる強い人に教えてよ?」


 「?」


 「意味が分からないって顔してるね?」


 確かに、襲撃をするのなら事前に情報を漏らす意味が分からない


 「いやね、いきなり襲撃って言ってもさ、つまらないじゃん? どうせ向こうは何も対策なんてできないんだし、そこで君の出番ってわけ」


 「あ、でも学園にはこの情報は伝えないでね? 中止なんかになったら怒られちゃうから」


 「何にでもイベントってのは大事でしょ? だからお願いね」


 「もし君がやってくれないならたくさんの人を殺しちゃうね? 君のせいでたくさんの人が死んじゃうよ?」


 そんなことを言われれば従うしかない、この情報をちゃんと伝えればきっと殺しはしないだろう、先ほど女性とそう話していたから


 「じゃ、伝えることも伝えたしバイバイ」

 

 その言葉と同時に、組み伏せていた力も抜けて男はその場からいなくなっていた


 「なんだったの? いや、それよりこれに計画が・・」


 いきなりの出来事に混乱しながらも、放られた紙を拾い、内容を確認する 

 

 「・・・さっき言ってたこととほぼ一緒」


 書かれている内容はそれほど多くはなく、大体の日時と場所、何をするのかが書かれていた


 「これは、セニアさんに見せたほうが・・・」


 自分一人で判断するより、セニアさんに任せた方がいいと思い、一旦これを持って帰る


 「いや、でもセニアさんは学園の人だから、言ってもいいのかな?」


 さっきの男は、学園には伝えるなといっていた、その言葉を破るわけにはいかないのでどうするか考える


 「でも、セニアさん以外に言える人なんていないし」


 神代君に伝えても同じだろう、こっちで知り合いなんてほとんどいない


 「だめだ、かんがえてもわからない、それならセニアさんに学園には黙っててもらうしかないか」


 きちんと理由を言えば、きっとセニアさんも学園には黙っててくれると思う、なので、今日起こったことをすべてセニアさんに話すことにする


 「今日は帰って休もう、明日、セニアさんを探しに行かなくちゃ」


 明日もきっとセニアさんは学園にいるだろう、なので明日はそっちの方に行くことになる

 

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