知り合いからの手紙
・94・
side:神薙 カホ
「アルミナ様、戻りました」
「おかえり」
アルミナさんがお出迎えをしてくれ、寝ているドライアドの子供を寝かせるためにベッドを貸してもらう
「そういえば、全然目を覚ましませんね」
助け出してから、結構揺れたり大きな音を出したりしていたが、一切起きていなかった
「ちょっと見てみるよ」
アルミナさんがどうやら聞いていたようで、この子の様子を見てくれる
「呼吸は、正常、心音、正常・・・」
手際よく様子をみていき、傷もないかを確認していた
「うーん、外傷もなし、異常も、特になし、なら多分疲労だね」
「疲労で寝ているってことですか?」
「そうだね、つかまっているときにろくに寝れなかったんだと思うよ」
確かに、つかまっていた牢屋では硬い地面にそのまま寝ていたし、運んでくる時に気付いたが、かなりやせていて多分食事もろくに与えてられなかったのだろう
「いったん、日の当たるところに寝かせましょう」
「日のあたるところ?」
「そう、ドライアドの子供なら、日に当ててあげると多少回復すると思うから」
「なるほど」
ドライアドは、体が植物に覆われていて、その植物も体の一部であるようだ、なので、日光を当てると光合成で栄養を作れる、なのでアルミナさんの言葉もうなずける
「多分、すぐには起きないだろうね、だから今日はもう終わりでいいよ」
いつ起きるかもわからないので、今日の分の依頼はもう終わりでいいらしい
「そういえば、男の確認してない」
忘れていたが、あのストーカーが今回いった基地の人だったか確認を忘れていた
「そうですね、じゃあ、今から確認します」
シイルさんが、私の頭に触れて、何かを唱える
「眼を瞑ってください」
「はい」
何をするのかわからなかったが、目を瞑る
「私が見た記憶を送ります、もしその中に似ている人がいれば教えてください」
それと同時にいくつかの映像が頭の中に流れ込んでくる
とらえられている男の顔が次々と流れていき、その中に一人、知っている顔が映った
「あ、いました! この人です!」
「どれかはわかりませんが、居たことが確認できたので大丈夫です」
確かに、だれを指して言っているのかわからないだろう、ただ、もう捕まえているので、居るかどうかだけ確認できるだけでいい
「それじゃあ、また明日も来る?」
「明日も一応いけますけど」
「それじゃあお願い、またああいう輩が来るかもしれないし」
「了解です」
とりあえずの問題は解決したからと言って、すぐに同じようなことが起こらないとも限らないので、明日からも引き続き時間があるときはこの孤児院に行くことになる
「とりあえず今日は帰ろうかな」
「お、もう帰るのか?」
「あ、カミシロさんも帰っていいよ」
「もういいんですか?」
「うん、臨時に頼んだからね、そこまで長時間拘束するわけにもいかないでしょ? それとはい、報酬」
「え、いや、悪いですよ、別に大したことしてないですし」
「いやいや、助かったのは事実だから受け取って」
「まあ、そこまで言うならもらっときますけど」
神代君は、ここには特に何も来なかったので、子供のおもりをずっとやっていたようで、ちゃんとその仕事分の報酬をもらっていた
「さてと、神薙はこれから暇か?」
「ん? 暇だけど?」
「学園行ってみねえ?」
「あ~、そうだね、時間もあるし、行ってもいいかも」
今迄は訓練で疲れていたり、それほど時間が取れなくて学園にいく暇はなかったが今なら特に疲れてもいないし時間もあるので行くのもいいだろう
「でも、普通に入れるの?」
「身分証があればだれでも入れるらしいぞ」
「それなら、大丈夫だね」
冒険者カードがここでは身分証として使えるので、それをもっていれば学園に入れので、さっそく学園の方に向かう
「どうやって入ればいいんだろ?」
学園のおそらく正門についたが、守衛とかがいないので、勝手に入っていいのかがわからない
「誰かに聞いてみるか」
勝手に入って問題になるとめんどくさいので、神代君が近くの人に聞いてくれる
「わかりました、ありがとうございます」
ちゃんと聞けたのか、戻ってくる
「入るのは別にいいって、あそこのところで身分証明するんだってさ」
身分証明をして入るのは学園の校舎や施設で、敷地内のそれ以外の場所は自由にでは入りしていいようだ
「どうする? 先に外の方見回るか?」
「見回るところがあるならいいけど、うーん、なさそう?」
ぱっとあたりを見ても、あるのは林や道のみ、特に見るところもないだろうので、中の方を見てみることにする
「ここだって」
神代君の先導で、身分を証明する場所に到着する
「こんにちは、どうしたんだい?」
こちらに気付いた守衛さんが声をかけてきて、要件を聞いてくる
「中を見学したいんですけど」
「それじゃあ、身分証見せてもらえる?」
守衛にそれぞれ冒険者カードを見せる
「はい、大丈夫です、これ首から下げといてくださいね」
守衛から見学者であるという証拠のカードを渡されて、それを首にかける
「じゃあ、まずはどこから行く?」
「そうだな、授業とかは見れるのかな?」
確かに、一番気になるのは、どんな授業をしているのか、だが、授業を見学していいのかわからない
「すいません」
わからない以上、聞くしかないので、先ほどの守衛さんに聞いてみる
「そうだね、三番までの訓練場があるんだけど、そこなら今の時間は見学可能な授業をしてると思うよ」
「わかりました、ありがとうございます」
「あ、見学可能の看板が出ていない場合は入っちゃだめだよ」
注意事項もしっかり聞いて、確認しながら訓練場に入っていく
「あ、丁度やってるね」
何の授業かはわからないが、一対一の対決をみんなが見ている状態だった
「長くなりそうだし、少ししたらほかのところにもいってみようか」
時間も無限にあるわけではないし、ほかにも見るところはありそうなので、一二戦だけ見ることにする
「おお、あの子すごいね」
一対一なのに、弓を使っていた子がいたが、動きもすごかったし、最後なんか頭から落下しながら攻撃していた
「怪我無いのかな?」
受け身もとらない状態で頭から落ちていたし、相手の方も矢が顔面に直撃していた
「多分、注意されてるね」
戦っていた二人が先生にぺこぺことしていたので、多分今の戦い方で注意されているのだろう
「まあ、さすがにあれは危ないしな」
「そうだよね、どうする? 次も見ていく?」
「いや、時間もないし、ほかのところも行くか」
個人的に、この学園にある図書館にもいってみたい
こっちの世界に来てからの唯一の情報を得るためのところなので、なるべくいろいろな図書館を見ておきたい
「それじゃあ、ここからは自由に行くか」
神代君は図書館にはあまり興味が内容で、ほかのところを見て回るようだ
「それじゃあ、時間になったらあの門のところで待ち合わせで」
「おっけい」
待ち合わせの時間も決めて、さっそく図書館の方に向かう
「うわあ、広いなぁ」
いつも行ってる図書館とは大きさも本の数も全然違い、様々な専門書や魔法についての本がたくさん置いてあった
「おお、すごい」
見たこともない魔法の本も置いてあって、読みたいという欲が出るが、一冊読むのに時間がかかるので、今は読めない
「また時間があるときに・・・」
ただ、その言葉とは裏腹に、自然に本に手が伸びていた
「・・・・あ! 今何時!?」
一度読み始めると止めることができず、気が付いた時には、すでにだいぶと時間が経っていた
「ああ、もう時間になってる」
時計を見ると、あと少しで待ち合わせの時間になりそうになっていた
「ほかに診てみたかったところもあるのに・・・」
集合時間も見学ができる時間が終わるぎりぎりにしていたので、もう他のところを見回る時間もない
「まあ、また明日にでも来ようかな」
図書館に入るにはいちいち面倒な手続きをしなければいけなかったが、それでも十分に行く価値のある場所なので、ぜひ時間のある時にでもずっと本を読んでいたい
「おう、どうだった?」
すでに待ち合わせの場所に神代君がいた
「図書館だけで終わった」
「はあ? 結構時間あったけど、その一か所だけ?」
「時間を忘れて読んじゃって」
「・・・そうか」
神代君も、私が本を読み始めたら止まらないよ知っているので、それ以上は何も言ってこなかった
「とりあえず帰るか」
そろそろ食事をするところ以外は店が閉まり始める時間なので、宿に戻ってご飯を食べることにする
「あ、カミシロさま、カンナギさま」
宿に入ってすぐ、受付の人が呼んできたので、そちらに向かう
「おかえりなさいませ、お二人にお手紙が届いてます」
「手紙?」
誰から来たのかはわからないが、手紙を受け取る
「では、お食事の時間になりましたら、お呼びしますね」
「ありがとうございます」
「だれからだ?」
「さあ、まあゆっくり読んでみるよ」
晩御飯の時間にはまだなっていないので、とりあえず部屋に戻り、手紙を眺める
「差出人は・・・書いてない、中に書いてるかな?」
手紙の入っている封筒には特に名前も書いていなかった、こちらの世界では、これが普通なのだろう、だが、それならどうやって届けるのだろうかと疑問に思いながら、封筒を開いて中身を取り出す
「えっと・・・え、アイラさん?」
手紙の方の最初のところに名前が入っており、この手紙の差出人は、この世界に来て初めの村で出会い、王都につく前に分かれたアイラさんからだった




