孤児院でのひと時
・92・
side:神薙 カホ
「これはどう?」
一つ、計画を簡単に書いてアルミナさんに見せる
「うーん、まあ、こんなもんでいいでしょうね、でも、ちょっともったいないなぁ」
計画はこう
まず、いつまた現れるかわからないので、盗まれそうなものに追跡するための魔法をかけておく
もし、その魔法をかけたものを取られたら、そのストーカの居場所を探れる
そこを私とシイルさんが捕まえるという計画
ここで直接捕まえない理由として、まず相手が戦えるかどうかわからないので、シイルさんと二人で行動する必要があり、待ち伏せするにもどれだけ時間がかかるかわからない以上現実的ではない
もう一つは、その現場を子供たちに見せるには、教育に悪いので、できるだけ遠くの方で捕まえたいから
「まあ、結局は取り返せますから」
「いやでしょ? その男が変なことしてたらどうするの? そんなもの子供に触れさせたくないけど」
「ああ、それもそうですね」
何を目的に取っているのかわからないが、そういった目的でとっている可能性もあるだろう
「まあ、別にいいか」
捕まえられれば、これ以上ものがなくなることはないので、気にしないことにしたようだ
「それじゃあ、盗まれそうなものに魔法掛けておくから、かかったらお願いね」
「わかりました」
「多分、君に見つかったから、当分は来ないかもしれないけど」
私に顔を見られているかもしれない以上、警戒してこないかもしれないので、いつになるかわからないので、元の依頼である護衛をしながら待つことになる
「明日からは少しの間、毎日来れますけど、来た方がいいですか?」
「そうだね、来れるなら、来てほしいな」
「わかりました」
護衛は一日ごとにお金がもらえるので、あまり行き過ぎても向こうに迷惑かと思い、一応聞いてみるが別に毎日来ても問題はないようだ
「いつ、だれが来るかわからないから、なるべく来てくれた方が、シイルも動きやすいんだ」
「わかりました、それじゃあ、明日も来ますね」
そういい、一旦今日は宿に戻る
「とりあえず、今日は休んで、起きてからまた行こうかな」
眠れるかどうかはわからないが、とりあえず明日のために体は休めておく
「はっ、いつの間にか寝てた」
目を瞑ってじっとしていたら、いつのまにか寝ていたようで、外を見るとすでに日は登っていた
「いろいろ準備して、行こっかな」
まずは昨日のままだった服を着替えて、ベッドのシーツなど洗う必要があるものをかごに入れドアの近くに置いておく
ここに置いておかないと、宿の人が洗ってくれないので、毎日忘れずにおいておかないといけない
「【クリエイト・ウォータ】」
魔法で桶に水を入れて、そこで顔を洗う
「よし、準備おわり」
小さなバックに必要なものを入れて、部屋を出る
「おはようございます、お出かけですか?」
部屋をでて、一階に降りると、宿の従業員に話しかけられる
「そうです、朝食、もらえますか?」
「わかりました~。座っててください」
先に腹ごしらえをしてからいくことにする
「ふう、満足」
おなか一杯に朝ごはんを食べ、一息したあと宿を出て孤児院の方に向かう
「あ、丁度よかった」
孤児院に向かうと、出かける直前のアルミナさんともう一人の女性が出かける直前だった
「子供は苦手じゃないですか?」
「別に大丈夫ですよ?」
妹が小さいときには世話をしていたし、近所の子供たちの世話もしていたことがあるので、子供はむしろ好きだ
「いま、シイルしか世話する人いないんだけど、あの子子供が苦手でね、よかったら手伝ってあげて」
「任せてください」
「ごめんね、護衛の依頼ってはずだったんだけど、こんなことお願いして」
確かに、子供のお世話は護衛の内には入らないが、別に気にしないし、むしろ報酬をもらいすぎてて、護衛の他に何かやりたいと思っていたところだ
「いえ、全然大丈夫ですよ、むしろ依頼に子供の世話も加えても大丈夫ですよ」
「そう? ありがとう、まあそこはまた相談で」
そういい、アルミナさんたちは出かけて行った
「シイルさん、どこにいるんだろ?」
孤児院に入るが、結構部屋数は多いので、まずはどこにいるのか探していく
もしかしたらお昼寝をしている子もいるかもしれないので、一つ一つゆっくりとドアを開けて中を確認していく
「あ、いた」
一つの部屋で、シイルさんが小さい子供と遊んでいるところだった
「だれ?」
部屋に入ると、子供が話しかけてくる
「カホさん? もう来たんですか?」
「はい、別にやることもなかったので」
シイルさんと会話しながらも、先ほど声をかけてきた子供ともお話しする
「こんにちは、私はカホ、貴方のお名前を聞いてもいい?」
「ユイナ、5歳、この子はニャーナ」
自分の自己紹介とともに、手に持っていたお人形も紹介してくれる
「ありがと、ユイナちゃんニャーナちゃん、自己紹介できて偉いね」
ちゃんと自己紹介できたことをしっかりほめる
「シイルさん、子供はこの部屋の子たちで全員ですか?」
「いや、ここは小さい子たちの部屋だ、あとの子たちは他の部屋にいると思うよ」
ここにいるのはまだ幼く、一人でいさせるのは少し心配になる年齢の子たちだそうだ
「それじゃあ、私もここを手伝った方がいいですね」
「いいんですか? ありがとうございます」
とりあえず、ユイナちゃんの面倒を見ることにして、何かしたいことはないか聞いてみる
「うーん、外で遊びたい」
「わかった、それじゃあ、行こっか」
一応、シイルさんに、外に連れ出していいかを聞いてから外に出る
「あまり遠くには行かないでくださいね」
外に出て、何をするのか考えていると
「あっち行こ?」
ユイナちゃんが指をさした方は孤児院の裏の方
そこに何かあるのかと、疑問に思いながら、ユイナちゃんと移動する
「わあ、お花畑だね」
そこには、一面とまではいかないが、花が咲いているとろがあり、そこに行きたかったようだ
トトトッ
ユイナちゃんが小走りでそこまで走っていき、花の中心に座る
「~♪」
ユイナちゃんは花を手に取っていき、何かを作っていく
「何を作ってるの?」
「お花の冠」
どうやらお花で冠を作りたいようだったが、あまりうまく作れていなく、茎の部分がちぎれたりしていた
「むー、難しい・・・」
苦戦しているようだったので、少し手伝うことにする
「ここはこう、もうちょっと優しくね」
小さいころの記憶を呼び覚まして、作り方を教えていく
「できた」
完成し、花の冠を人形のニャーナの頭にかぶせた
「かわいい」
完成度に満足したようで、ぱちぱちと拍手しながら笑顔になった
「きれいにできたね」
「うん、お姉ちゃんの分も作ってあげるね」
もう一つ作ってくれるようで、すぐさま花に手を伸ばす
「ふふ、ありがとうね・・・」
ふと、何かの気配を感じて、あたりを見回す
「・・・・・いた」
あたりを見回して、誰かがこちらを見ているのに気が付いた
「あ、そうだ、ユイナちゃん、ちょっと少し用事を思い出したんだけど、一瞬家の中に一緒に戻ろ?」
「わかった~」
「また、あとでもう一回来ようね」
誰かが見ているのをユイナちゃんに気付かれないように、孤児院の中に戻っていく
「シイルさん」
シイルさんに近づいて、耳元でつぶやく
「ん? どうしたんですか?」
「だれかが、こっちを見ています」
「本当ですか?」
「少し、見てきます」
「いえ、待ってください、私も行きます」
「子供たちはいいんですか?」
このくらいの年の子供なら、少し目を離したすきに何が起こるかわからないので、私一人で行こうとするが
「シュナさ~ん」
「はーい、どうしたんですか?」
奥の部屋から、私よりも少し小さいくらいの女の子が顔を出してくる
「少しの間、この子たちを見ていてもらってもいいですか?」
「わかりました~」
「それじゃあ、行きましょう」
シイルさんが、武器を手に取り、外に出ていく
「どこですか?」
「さっきは、あそこに・・・・」
先ほど人影を見つけたところを見てみるが、だれもいなかった
「いいえ、まだいますよ」
そういって、だれもいないところにシイルさんは石を拾い投げる
その石はそのまま飛ぶわけではなく、途中で何かに当たってはじき返される
「え、なに?」
「へえ、気付くんだ」
石がはじき返された瞬間に、何もない場所から女の人が現れる
「何をしに来たんですか?」
「いいや、ただここを通り過ぎただけ、だけど」
「そんなうそはいらないですよ」
まあ、私にもそれが嘘ってことはわかっている、なので、警戒は一切とかない
「へえ、まあいいや、君たちしかいないことはわかってるから、とりあえず」
そういった瞬間に、目の前の女性の姿が消える
「ぐっ! なんだ!」
ただ、次の瞬間には、シイルさんに組み伏せられており、身動きが取れない状態にされていた
「念のため、周りの確認をお願いします」
「え、あ、はい」
あまりにも一瞬の出来事に、驚きながらもシイルさんの言葉にしたがう
「・・・・特にいないとは思う」
しっかりと音を聞きながら隅々まで調べていくが、特に人はいなかった
「シイルさん・・・あれ?」
シイルさんの元に戻ると、すでに先ほど捕まえていた女性はいなくなっていた
「逃げたんですか?」
「? いえ、情報も目的も聞いたんで、処分しました」
「処分?」
「聞きたいですか?」
「い、いえ」
聞かなくても、なんとなく予想できる、この辺りが少し焦げ臭いので、つまりそういうことだろう
「それより、少しやることもできたので、アルミナ様たちが戻ってきたら、一緒に来てもらえますか?」
「はい、それは任せてください」
先ほどの女性から、なんの情報を得たのかわからないが、先ほどに関係のある事だろう
「まずは、戻りましょう」
とりあえずの危機は去ったので、孤児院の中に入っていく




