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麗しき世界に始まりを告げよう  作者: 森のスダチ
第4章 全ての始まり
100/128

金銭対策

・90・

side:神薙 カホ



 「今日は、セニアさんはいないから・・・」

 

 セニアさんと一緒に行動するようになって一か月、セニアさんは私と神代君に修行を付けている最中、学園にも通っており、授業があるときは修行は休みとなっている


 「冒険者ギルドにでも行こっかな」


 この前までは修行が休みの日は、いつもの疲れから一日中宿で寝たりして休んでいたが、ここ最近は少し慣れてきて、そこまで次の日に疲れを残さなくなった


 「それに、そろそろお金を稼がないと・・・」


 修行をする日はギルドでの依頼がこなせないので、お金を稼げるときに稼がないと生活がままならなくなる


 「いくつか、いっぺんに受けてっと・・」


 依頼が張っている壁を見つめ、いい感じの依頼を取っていく


 「これ、お願いします」


 「かしこまりました、少々お待ちください」


 今の私のランクでも問題ないことを確認されたと、詳細の説明をされる


 「以上ですが、何か質問はありますか?」


 「いえ、大丈夫です」


 特別いつもとは異なるような依頼は受けなかったので、わからないところはなかった


 「さてと、さっそく行きますか」


 必要なものは特にないので、すぐさま外に出るために門のところに向かう


 「まずは・・・」

 

 依頼の内容が書かれた紙を確認し、効率よくこなしていくように計画を立てる


 「いたいた」


 まず初めに、モンスター、ゴブリンの討伐


 「はあ!」


 数が多ければ厄介な相手ではあるが、この辺りにいるのは大体は3~4体がひと固まりなので、脅威とはならない


 一体目を気づかれないように暗殺し、続けざまにもう一体も葬り去る


 「ギギャ!」


 それでこちらに気付いたゴブリンが焦ったようにこっちに襲い掛かってくる


 こちらも難なく攻撃をよけて、最後の一体も討伐する


 「ふう、さすがに慣れてきたわね」


 こういう討伐系を幾度とこなし、もう魔物を討伐するのには何も思わなくなってきた


 ただ、命を奪う行為に慣れたわけではなく、魔物を命と思わないようしただけだ


 「えっと、討伐証明は・・」


 魔物によって、討伐証明のための部位は違うので、きちんとメモしているノートを確認する


 「ゴブリンは・・・鼻ね」


 ゴブリンの鼻をはぎ取っていき、袋に入れていく


 「次は・・・」


 あたりを見回して、次の対象を探していく


 「いた、でも、一体だけ」


 発見したのはベルラビット、こいつは音に敏感で、注意して近づかなければすぐに逃げられてしまうので、慎重に近づく


 ヒュン


 ある程度近づいたところで、ナイフを投擲し、一撃で仕留める

 

 「よし」


 一応ナイフは当たったのだが、まだ息はあったので、ちゃんととどめを刺す


 「・・・・耳ね」


 討伐証明部位を取って、このウサギに関しては他の部位もとっていく


 先ほどのゴブリンと違い、こっちは食用の肉もとれるので、いい資金源になる


 「血抜きしてっと、あとは採取系ね」


 首を切り落として、逆さに木につるし、血を抜いていく、その間に次の依頼の内容を確認していると、どこからか、殺気が飛んでくる


 「・・・・! なに!?」


 とっさに剣を抜いて、殺気がした方を確認する


 「ウォーウルフ・・・」


 そこにいたのは、一匹のウォーウルフだった、普段ここにはいないはずなのだが、群れからはぐれたのだろうか


 「今なら・・・勝てるかな?」


 以前にも、一度こいつとは戦ったことがある、その時は神代君と二人でセニアさんに見守られながら戦った、ただその時は苦戦してぎりぎり勝てた、といった状況なので、いま、セニアさんもいない状況で一人で戦わないといけないとなると、手に負えるかわからない


 「まあ、もう逃げられないか・・」


 普通に考えて、オオカミからは人の足では逃げられないだろう、それに加え、このウォーウルフは特に動きが素早いので、逃げれる可能性はほぼない


 相手を警戒しながら、一度剣を戻して、ナイフを取り出す


 こういった素早い相手には小回りのききやすいものの方が対処しやすいからだ


 ザッ


 どちらも警戒しているので、なかなか動き出さない


 ただ、自分的には先に動くより、相手の動きを見てから動く方が得意であるので、先には動きたくはない


 (それなら)

 

 相手に先に動いてもらうなら、方法は一つ、こちらが隙を見せること


 「わっ!」


 なので、わざと、少し後ろに下がって足を滑らした振りをして体制を崩す


 「ガウ!!」


 狙い通り、その隙をウォーウルフは逃さず、とびかかってくる


 「シッ!」


 ただ、こっちもそれが狙いなので、そこをきちんと迎え撃つ


 「浅い・・・」


 獣の勘だろうか、ナイフが当たる瞬間に、体をひねってナイフをよけられ、浅い傷しかつけられなかった

 

 「グルル!」


 それによって、さらにこちらを警戒し、少し距離を取られる


 「それなら」


 距離をとるなら、こっちも飛び道具で戦う


 手に持つナイフを相手目掛けて投げ、その瞬間から、魔法を発動する


 「【アースニードル】!」


 ウォーウルフが投げたナイフをよけて、その着地点に地面から岩でできた槍を飛び出させる


 ただ、その攻撃も難なくよけられる


 「【ウィンドアロー】!」


 まあ、よけられるのは想定内だったので、続けざまに後ろに飛んで距離を取りながらすぐさまさらに魔法を発動する


 「よし!」


 今度の魔法は何とか直撃し、ウォーウルフを大きく吹き飛ばす


 その隙を見逃さずに、すぐさまナイフを取り出し、投げつける


 相手は体勢を崩しているので、必ず当たると確信し、今度は剣を抜いて距離を詰める


 「これで、終わり!」


 ウォーウルフののど元に一振りし、しっかりと攻撃を当て、すぐさま追撃する


 「ふう」


 攻撃はちゃんとあたり、ウォーウルフは絶命する


 「なんとか、勝てた」


 ウォーウルフに勝てたことで、以前よりも確実に強くなっていると改めて自覚する


 「足が・・」


 ただ、勝てるとは確信していなかったので、戦いが終わった後に、緊張が解けて足が震えている


 「ちょっと休憩してから、依頼の続きをしようかな」


 木の根元に腰かけて、少し息を落ち着かせる


 そのあと、ウォーウルフの素材をきちんと剥ぎ取り、残りの依頼もきちんと終わらせて、ギルドに戻っていく


 「お疲れ様です、それでは、依頼の物をこちらに」


 とってきた素材を提出していき


 「あ、あと、ウォーウルフを狩ったんですけど、それ系の依頼ってありますか?」


 「はい! もちろんです!」


 依頼に関しては、先に受けていなくても、受けてすぐに素材を提出すればクリアになるので、ウォーウルフに関しての依頼を確認する


 「じゃあ・・・」


 依頼書を見ていき、いい感じの報酬の依頼がないか探す


 「これが良さそうかな」


 依頼には、ウォーウルフの毛皮を欲しがっており、その使い道もしっかりと書かれていた、依頼書には、孤児院で、子供のために少しでも暖かいものを作りたいようで、個数に関係なくいくらでも欲しているようだ


 それに、報酬も結構よかったので、この依頼にする


 「了解しました、この依頼ですと、直接毛皮を持っていってください、それで、この依頼書にサインしてもらって、完了です」


 「わかりました」


 とりあえず、ほかに受けていた依頼のものを出していき、それが終わって、さっそく孤児院の方に向かう


 「えっと・・・ここ?」


 教えてもらった地図をもとに向かうと、そこにあったのは、古い教会のような場所だった


 「いや、違うか、この裏ね」


 下に書いてある文字を読むと、この教会の裏手に孤児院があるらしく、そこに向かう


 コンコン


 ドアをノックし、誰かが出てくるのを待つ


 「は~い」


 ノックすると、すぐさま返事が返ってきて、ドアが開く


 「あ、こんにちは、だれか大人の人はいるかな?」


 出てきたのは、中学生くらいの女の子で、依頼の話をするために大人の人を呼んでもらう


 「わかりました! シイルさ~ん」


 すぐさま呼んできてくれて、お姉さんが出てくる


 「お待たせしました、シイルと言います、どうしましたか?」


 「こんにちは、カホです、えっと、依頼を見てきたんですけど、ウォーウルフの毛皮を持ってきました!」


 「本当ですか、ありがとうございます、とりあえず、どうぞお入りください」


 立ち話もなんなので、中に入らせてもらう

 

 「お茶でも入れるので、少し待っててください」


 「あ、お構いなく」


 依頼の毛皮を提出したらすぐに帰るつもりだったので、そんなに長居するつもりはない


 「どうぞ」


 「あ、ありがとうございます」


 出されたお茶を飲みながら、さっそく毛皮を出す


 「こちらです」


 「たしかに、受け取りました、うん、いい状態ですね」


 受け取ったその場で、状態を確認していく、剥ぎ取りについては、結構得意なので、綺麗に取れたと思っている


 「それでは、依頼はこれで終わりですね、ありがとうございました」


 「こちらこそ」


 「それで、もう一つ相談があるんですが」


 終わったので、すぐに帰ろうとすると


 「え、あ、はい」


 何か話があるようで、上げた腰を再び下ろす


 「ウォーウルフを狩ってきたってことは、それなりに腕が経つと思うのですが」


 ウォーウルフはランクで言えば、Dランクに相当する魔物ではあるので、一般的に言えば、ある程度戦える程度のランクになる


 「まあ、結構苦戦はしましたけど」


 「それでも、十分ですよ、それで、話しはこちらです」


 そういって、一枚の紙を出してくる


 「これは?」

 

 「依頼書です」


 確かに、もらった紙は冒険者ギルドので使われている依頼の紙であって、ちゃんとギルド公認の証であるハンコも押していた


 「内容は、この孤児院の護衛をしてほしいんです」


 「護衛ですか?」


 「はい、今現在、この孤児院の中で、まともに戦えるのは私しかいないのですが、そうすると、簡単に出かけたりできなくなりますので、私がいない間ここの護衛をしてもらいたいんです」


 「護衛って、何からですか?」


 ここは王都の中なので、魔物とかが出るわけでもないだろうし、何から守ればいいのかわからない


 「この辺り、結構治安が悪いんですよ、冒険者や酔っ払いが多くて、たまに勝手にこの辺りに入ってきたりするんです」


 確かに、ここは冒険者ギルドからも近いし、少し行けば飲食店も多いので、その人たちは多いだろう


 冒険者なんかは野蛮であるし、子供にとっていい影響を与えることはないだろう


 「でも、私も冒険者ですよ?」


 「いえ、冒険者でも女性ならある程度大丈夫なんですよ、比較的安全なので、あと、私は人を見る目がありますので、それにカホさんは礼儀正しいので問題はないと思います」


 別に私自身は子供たちに悪影響を与える気はないし、こっちとしても問題は全くない


 「まあ、こっちは問題ないんで、受けてもいいんですけど、期間と報酬を聞いていいですか?」


 「そうですね、一日の報酬は、これぐらいで、期間は別に決めてないので、好きなだけ」


 「え、こんなにですか?」


 提示された報酬は銀貨三枚、今日の依頼で稼いだ報酬で銀貨二枚なので、それよりも高いとなると、結構割のいい依頼になる


 「安いですか?」


 「い、いえ、高いなって思って」


 魔物からではなく、冒険者や酔っ払いから子供を遠ざけるだけで、これだけの報酬をもらえるのなら、喜んで受けようと思う


 「ぜひ、受けたいと思います」


 セニアさんとの修行の関係で、あまり休みの日に王都の外に出て依頼をこなすのは嫌なので、この依頼のみに絞っていきたいと思う


 「ありがとうございます、それでは、これも一緒にギルドに提出してください」


 「あ、でも、いつも来れるってわけではないんですけど」


 一つ伝え忘れていたことを伝える、冒険者の依頼に関しては修行の合間にやっているので毎日来れるわけではなく、休みの日に来れるだけになる


 「ああ、全然大丈夫です」


 それに関しても問題はないようで、承諾してくれる


 「それなら、これからよろしくお願いします」


 「ありがとうございます、それでは、また日が空いた時に来てください、ここの人たちには伝えてますので」

 

 「はい、それでは」


 さっそく依頼の完了を伝えるのと、新しく依頼を受けることを伝えるためにギルドに向かう


 「思いがけない収穫だった」


 たまたまウォーウルフを狩って、その毛皮を届けるだけで、こんな割のいい依頼に出会えたので、今日はいい日だと思う


 これで、あとは修行に専念できるので、もっと力をつけれるだろう

 

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