表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣豪の息子、旅に出る  作者: 三久
第1章 剣豪の息子、冒険者となる
1/81

000 剣豪の息子、旅に出る

ごぶさたしておりました。

事情がありまして、しばらくオヤスミをいただきました。

前作もあるんですが、1つ別作品作ってみました。

よろしくお願いします。



「そろそろ時期が来たようだ。」

剣豪の息子、15歳のヨシュアは家出を決心する。

3ヶ月前、元服の儀(成人式)は済ませた。

もう大人である。


物心ついた頃から、剣と気力(きりき)の練習と兵法書の研究を続けてきた。

「実力を試すときがきた。」


ある日、1通の書き置きを残して家を出る。

「旅に出ます。」

持ち物は身の回りのもの少しと、祖父母からもらった刀『蒼龍』と『白虎』。

まだ明けない空の下、一歩を踏み出した。




それから2年。

ある晴れた午後。

「良い天気だなぁ。」

森の中に開けた草原で寝転ぶ1つの影がある。

17歳になったヨシュアである。


彼は探している。

『龍の寝床』にある『女神の涙』を探している。

『女神の涙』

それは持ち主のどんな願いも叶えるという世界最高の宝石と言われている。


彼は女神の涙が欲しい訳ではない。

守っている龍に勝ちたいのである。


龍に勝って宝を手に入れることが。オレの免許皆伝だ。


自らにそう決めたのである。



暖かい日差しにウトウトとしていたら、周りが妙に騒がしい。

面倒なので放っておいたら、プンと血の匂いが鼻をついた。

さすがに何事かと思い、ムクリと起きる。


突然、草原(くさはら)に幾つかの影が飛び出した。

1つがゴロゴロと転がって、ヨシュアの傍らで止まった。


『!?』

飛び出した全員が、ヨシュアを見て驚く。

その時、ヨシュアは誰が襲われ誰が襲う側であるか見分けている。


1人がヨシュアに構わず傷ついた相手へ、頭から剣を振り下ろす。

ガキッ!

振り下ろされた剣は、細い(やいば)に防がれて頭の少し上で止まった。

「クッ」

無理やり斬り下ろそうとするが、刃はビクともしない。

ドカッ!

ヨシュアは相手を蹴り飛ばす。


敵はじりじりと下がり、半円になり、ヨシュアと傷ついた相手を取り囲こむ。


ヨシュアはそんな相手の動きなど知らないかのように、刀の刃を眺めている。

良かった。刃こぼれはない。

剣神の加護と気力(きりき)で守っているが、祖父から譲り受けた名刀である。

傷つけたくはなかった。



蹴り飛ばされた奴は頭に血が上ったらしい。さらに斬りかかろうする。

「待て。」

横から男が止めた。


「お前、なぜ止める。」

止めた男はヨシュアに尋ねる。

おそらく傷ついた奴を助けたことだろう。


「・・なんとなくだ。」

思ったことを答えた。


「テメェ、ナメやがって!」

蹴られた奴は更に怒り、前に出ようとするが、男はそれを片手で止めて

「小僧。一緒に斬られるか、黙って立ち去るか決めろ。」

ヨシュアはフッと笑って

「どのみち逃す気は無いくせに。」

前に出て、自然な感じで構える。


「シッ!」

刺客の男は鋭い突きを繰り出す。


ヨシュアは突きを間際で避けて一閃。

さらに二閃、三閃。(やいば)手繰(たぐ)る。

複数の人間による武器攻撃の中、ヨシュアは能を舞うように立ち回る。

歩む後ろには、血潮が花びらのように宙を舞う。



言葉を発した男が、最後の1人となる。

鷹のような鋭い目つきをして青眼に構える。

「是非も無し。」

叫声と同時にヨシュアへ斬り込む。


「オウ!」

ヨシュアも叫んで斬り込み、斬り抜いた場所で残心する。



最後の男が倒れると、ホッと息をつき、「もう大丈夫だぞ」と言って後ろを見た。

・・・誰もいない。


「礼くらい言ってもいいだろうに。」

苦笑しながらヨシュアがつぶやいた。




感想、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ