旅の始まりと君の名前。眠れぬ夜に
最近暑いですよねぇ、皆さんはどうお過ごしですか?私の部屋の温度36度もあるんですよ
ひ…ひえぇぇぇぇ(´・∀・`)
何はともあれ第3話です!だんだん物語が動き出します!宜しくお願いします!
共に旅をすると決まって、とりあえず俺たちは、彼女が危うく機関車テロを起こすところだった村へ行き、身支度を済ませる筈なのだが。
「ねぇねぇ!道中の食事は果物がいいと思うの!」
村市場で食料を買い込んでおこうと思い立ち、来て早々ここまで騒がれると少し周りからの視線が痛いんだが…
「あぁそうしよう、俺の食事じゃお姫様はご不満らしいのでねぇ。」
そうからかうと彼女は、頬をふくらませてジト目になる。この仕草が愛らしく、ついつい表情が緩んでしまう。
「そうね、私の執事は料理もろくにできないものね」
彼女の皮肉を横目で見ながら店主から林檎を買う。
「ねぇ、その丸くて薄いものはなに?」
「ん?これか?」
そう言って俺は1枚の銅貨を取り出す。
どこにでもある普通の銅貨のはずだが、彼女は物珍しげに眺めている。
「これが通貨なのね、本で見たことあるわ!」
「故郷にはないのか?」
彼女の素性を知られないように、天空城のことは伏せることにしていた。
「えぇ、こんなものはないわ。皆が皆のために尽くすのは当たり前のことだもの。」
「嬢ちゃん言うねぇ。あんたはいい国の生まれなんだな」
そう言って、店主は林檎をひとつ足してくれた。
「あのおじさん、なかなか良い人ね」
「あぁ、そうだな」
飛行機の傍らに並んで座り林檎を頬張る。
「ところでお前、追われてるのか?」
ずっと感じていた疑問を投げかけてみる。
「…うん。」
声色は想像以上に暗い、詮索はしない方がいいかと思ったが、彼女から語ってくれた。
「私、逃げてきたの。空から…」
俺は黙って耳を傾ける
「たぶん、今頃は国中大慌てで私を探してるとおもう。もうすぐ地上にも来るかもしれない。」
となりにいる彼女の瞳は、寂しそうに泣いているようで、少し複雑な気持ちになる。
「だからね、貴方は私といると危ない目にあうかもしれない。」
「まぁ、そうだろうな。」
「こんなお願い、無理に引き受けなくてもいいんだよ、おっきな爆弾抱えて道のない道を旅するようなものなんだよ、、」
「いいぞ。」
「え…?」
予想外の返事に、彼女は潤んだ瞳をむけながらキョトンとしている。
「お前の言う、"おっきな爆弾"。抱えて飛んでやるって言ってるんだ。」
彼女の涙が、頬をつたい地面へ落ちる
「い、いぃの…?危ないよ、?それこそ、、つかまっちゃ、ぅかも…」
相手の言っていることがわからない、という顔の彼女を、俺は無意識に腕の中で抱いていた。
「馬車や自動車が動くには、確かに道は必要だ。」
「ぅ、うん。」
「でも、飛行機なら関係ない、道なんかなくても、お天道様の気分次第でどこまでも行ける。」
「…じゃ、じゃあ、いっしょに…?ほんと?」
不安げに見上げてくる彼女に笑いかけ
「そこまで言わなくてもわかるだろ?連れてってやるさ。どこまでも、地上の最果てでも。」
彼女は涙をぼとぼとと流し必死に堪えている
「…泣いていいぞ」
俺の言葉を聞いて、余程 安心したのか、そのまま抱きつかれてしまった。。
「嫌よ、かっこ悪いもの…」
そう言った彼女は、小さな声で泣いていた。
「…りあ」
「ん?今なんて?」
「イリア!わたしの、なまえ。」
あぁ、そうえば聞きそびれていた・・・。
「ねぇ、ティル…?」
…ドキッとした、ファミリーネームの方でしかほとんど呼ばれたことがなかったから、何故だろう、妙に落ち着かなくなる。おさまれ!心臓!
「ど、どうした…?」
やや緊張しながら答えると、彼女は頬を紅く染め視線を落としている、どうしたのだろうか、
「イリア?大丈夫か、体調でも崩したのか?」
呼びかけると、彼女はビクッと背筋を伸ばし、こちらに向き直った。
「そ、その、ど!どこで寝るのかなぁ~って、、」
イリアは耳まで赤らめて、わざとらしく視線を泳がす、たしかに寝る場所は確保しなければ、
「機体の後方になら、少し狭いが就寝スペースがある、イリアはそこを使ってくれ。」
「てぃ、ティルはどうするの?私が使ったらティルの寝る場所が、、」
「俺は操縦席で寝るから、安心してくれ、寝ぼけて離陸するなんてことはないから」
「そういう問題じゃなくて…」
申し訳なさそうに俯いている彼女の頭に、ポンッと手をおく。
「気にすんな」
「…むぅ。」
子供扱いするなと、それでも満更でもないというような複雑な表情を俺にむけてくる。あまり見ていると変な気でも起こしそうだ。。
「頭撫でるの、好きなの…?」
明日、朝一番で最寄りの大きな街に行くことにして、今日はここで1泊となった。
夕食にしようと再び村に繰り出し、食事処で2人向かい合っている今。イリアが急に問うてきた
「す、すまん。つい調子にのってしまって。」
「いや別に謝って欲しいわけじゃ…ブツブツ。。」
「頭撫でてると安心するんだ、そこにいるって実感出来るから。。」
「ふ、ふぅん、な、なでたいなら、べつにいぃ…」
直後、お待たせしました!と、活気ある声と共に料理が運ばれてきた。
「…ん?何か言ったか?」
「い、いやぁ?べつにぃ?」
イリアが何を言ったのか聞き逃してしまった…
何かわからないが、とりあえず食事にしよう。
何気ない会話をしながら、食事を済ませた俺たちは、村長に飛行機についての許可証を貰い、今夜は宿で一泊することにした。
部屋は綺麗だし、設備は整ってるし、特に問題はないが、ひとつ問題があるとすれば、、部屋が一部屋しか取れなかったことだろう。。
やはり、男女2人が同じ部屋に泊まるというのは良くないと思うのだが…
「ちょっと主人に、もう一部屋取れないか聞いてくる。」
「ティルは…」
「ん?どうした?」
「ティルは、私と同じ部屋は、いや、?」
イリアはベッドの上にペタンと座り、不安げに、じゃっかん上目遣いで聞いてくるそれは、もはや悪魔の誘惑のようで、俺は黙って戻るという選択肢しかないようだった。
それで何事もなく夜が開ければよかったのだが。
深夜、俺に近づいてくる気配があった。
「ねぇ、ティル…?もう寝ちゃった?」
イリアは細い声で聞いてくる。ここは起きるべきだろうか。いや、何か嫌な予感が…
すると、俺の布団にイリアが入ってきた…?!
背中越しにイリアの熱が伝わってくる。ドキドキが抑えきれずに心臓が高鳴る。これはまずい!
「ティルは、あったかいね、これなら眠れそ…」
…イリア?まさか寝たのか?
イリアの小さな寝息がすごく近くで聞こえてくる。
・・・どうしよう。眠れない…。
そうしてエリサム・ティルの夜は更けていくのだった
お読みいただきありがとうございます。
イリアとティルをカッコ可愛く表現できましたでしょうか…?:(;´・_・`;):
更新スピードとかなり遅めですし
まだまだ未熟な文ですが、誠心誠意頑張っていきますので、どうぞ宜しくお願いします!