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135★魔魚の捕獲維持が出来たら飼えそうです



 珍しく自己主張するように言うエリカに、オスカーが助け舟を出す。

 やはり、娘が可愛いパパ状態である。


 「姫君の思った通りにためしてみても

 良いと思いますよ

 私達と違う視点から、見ているんですから」


 「じゃ、やってみるね」


 エリカは、鞍に括って置いた《魔倉庫》を取り出して、細かく裂かれている蒸し鶏とパンとおにぎりを出した。


 〔多分、見た目からして鯉に良く似ているから

 肉食系雑食なんじゃないかな?

 野生の鯉って昆虫から水中の藻まで食べるし

 大きくなると、水を飲みに来た鳥や小動物も

 食べちゃうはずだから……

 まずは、蒸し鶏の肉から試してみようかな?〕


 そう考えたエリカは、最初に蒸し鶏をポンっと魔魚の群れを囲った生簀いけすの中心部分に投げてみる。

 すると、蒸し鶏の肉に魔魚達はわっと群がった。


 そして、クルクルと回転するように泳いでいるなぁ~と思って見ていると、唐突に魔魚はバラけた。

 そこには、綺麗さっぱりと何も残っていなかった。


 〔うん、やっぱり食べたわね、それじゃ……〕


 その次に、エリカはパンをちぎっては投げてみた。

 すると、ちぎったパンをパクッと食べる魔魚が何匹もいた。

 その姿を見て、エリカはにっこりと笑った。


 勢いのついたエリカは、おにぎりを割ってポイッと投げてみる。

 すると、2つに割られたおにぎりを突っつきまわす魔魚が何匹もいた。

 1番人気は、蒸し鶏の肉だったが、パンやおにぎりにも魔魚は反応してた。


 〔うふふふ…この魔魚って、鯉と同じように

 かなりの雑食なんだわぁ~…………

 これだったら、飼えるわね

 アルに飼いたいって、おねだりしてみよう〕


 にこにこしているエリカを見て、アルファードも笑っていた。


 〔おぉ~…エリカが投げたモノを食べてる

 よし、ここは魔魚を飼いたいって言ったら

 隊舎の中庭で飼うようにって言おうかな?


 それとも、魔法騎士団の本部前の広場の方が

 広くて良いかな? オスカーに聞いてみるか〕


 エリカに聞こえないように、唇だけでアルファードはオスカーに話し掛ける。


 『オスカー、中庭と広場どっちが良いかな?』


 その問い掛けに、一切の反対をすることなく、オスカーは提案する。


 『中庭で様子をみる方が良いと思います

 広場だと目立つので…………


 もし、見られたりすると、西の妃様達が

 欲しがる可能性がましますので…………』


 そのセリフに、母親を含めた妃達の性格を思い出して頷く。


 『そうだな、せっかく、エリカが掴まえたんだ

 好きなようにさせてやりたいしな

 他の人間達になるべくばれないようにしたい』


 『では、姫君が魔魚の群れを持って帰りたいと

 言ったときは、姿隠しの魔法をかけましょう』


 『そうしよう』


 アルファードとオスカーの会話を聞いていないエリカは、アルファードに話し掛ける。


 「アル、この魔魚達を飼いたいから

 持って帰ってもイイ?」


 アルファードは、オスカーとの打ち合せが終わっていたので、ひとつ課題?を与えて許可を出した。

 課題を出したのは、エリカの魔法がどの程度維持されるかを、確認する為でもあった。


 ある程度の距離が有り、時間経過もあるという状態での維持が出来ないと、中庭で魔魚を飼っていられないからだった。


 ここ魔の森で、その実験を行えば周りに被害を出さないというメリットがあったので…………。

 そんな内心を隠して、アルファードはエリカに爽やかな笑顔をみせるのだった。


 「ああ、勿論良いぞ

 魔物討伐と果物やバニラビーンズ

 ハニーベリーを採取して帰る時まで

 この状態を維持できていたらな」


 アルファードの言葉に、エリカはにっこり笑顔で答える。


 〔あはは…やっぱり鎖の魔法で作った

 生簀いけすがどの程度維持されるか?


 って実験を提案されちゃったかぁ~……

 魔魚って、これでも魔物なんだから……


 きちんと管理できないと

 飼っちゃいけないんだよね……

 でも…飼いたいから頑張るもん〕


 「うん、ありがとうアル

 このままで大丈夫だと思うから

 魔魚達を飼っても良いってことよね」


 可愛いエリカのおねだり(既に許可を与える予定のもの)に、黒い笑顔で答えるアルファードは、確かに魔法騎士団の団長だった。

 そう、確実性の無い魔法に対しては、確約しないという真面目な策面を見せるアルファードだった。


 「それじゃ、奥に進もうか」


 確約を与えてくれないアルファードに、エリカは苦笑していた。


 〔流石に、魔法騎士団の団長として

 部下を指導しているだけあるよねぇ~

 許可っていう言質を完全に与えてくれないし

 話しを強引に変えてくるし……

 まっいいわ……ここは…おとなしくアルの

 言うことをきいておくのが一番よね…〕


 「うふふ、早く、果物とかを採取して

 この魔魚の群れを持って帰るんだもん」


 アルファードとエリカのやりとりを生温い視線で見ていたオスカーは、2人の会話を終わらせる為に話し掛ける。


 「では、バニラビーンズとハニーベリーの

 ある場所にいきましょうか?」


 「はい」


 オスカーの提案に、エリカは嬉しそうに返事をするのだった。

 そして、魔魚を残して魔の森〔正式名称は緑魔の森〕の奥へと進んで行くのだった。









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