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131★《転移》の魔法は失われてました



 聖女候補達に聞き返されたエリカは、その時のコトを思い出し、遠い瞳をしながら言う。


 「本当よ、一生懸命乗馬に打ち込んだら

 けっこう痩せたのよ」


 ぽっちゃりのエリカを思わずマジマジと見ながら、桔梗が聖女候補達の代表として聞く。


 「ええ、乗馬って痩せるの?」


 エリカは、その視線にちょっと自嘲しながら、なぜいまだにぽっちゃりのままであるかを説明する。


 「うん、すごく綺麗に痩せたよ

 でも、ぽっちゃりの私が痩せたのを見て

 それを心配したパパとお兄ちゃんがね


 季節限定の美味しいスイーツを

 食べに連れて行ってくれたり


 とても美味しいって有名なレストランに

 連れて行かれたりしてねぇ…………


 見事にリバウンドしちゃったのよねぇ~

 ってことで、乗馬は痩せるから

 沢山食べても大丈夫なのよ


 それに、みんなもこれから乗馬の訓練を

 始めるんだから、何時もより余分に

 スイーツを食べても大丈夫よ」

 

 エリカの説明に、聖女候補の少女達は嬉しそうに笑った。


 「「「「「「やったースイーツ三昧ね」」」」」」


 こうして、とりあえずの食事を口にしていた聖女候補達は、騎士達に混じって、がっつりと食べ始めるのだった。

 そして、テーブルの上にあった料理が、綺麗に消えた頃、エリカやアルファード達やその他の騎士達も聖女候補達も、それなりに満足していた。

 もちろん、デザートのスイーツも果物も全て消えていたのは確かな事実だった。

 ほっと一息入れたくなったエリカは、アルファード達に話し掛ける。


 「お茶をいれますが、飲みたい方は

 座って下さいね」


 エリカの言葉にアルファードが、続けて言う。


 「お前達、座れよ。聖女候補の方々も座って下さい」


 食堂にいた人間達は、食後のお茶が欲しいと思っていたので、素直に全員が席に着いた。

 なお、団長室内なので、扉の外に騎士達が警護している為、オスカーの側近もマクルーファの側近も一緒に食事を取っていた。

 ということで、当然食後のお茶も一緒に飲むのだった。


 そして、エリカのいれたお茶をゆっくりと飲み、今日の予定をそのまま話し合うはずだった。

 が、先ほどの質問が、残念な内容になってしまったので、エリカは別の質問をすることにした。

 それは、ラノベに良く出て来る便利な魔法についてだった。

 エリカは好奇心いっぱいという表情で、アルファードに質問する。


 「アル、離れた場所と場所を跳ぶ

 《転移》の魔法は存在するの?」


 エリカの質問に、アルファードはちょっと考え、過去の色々なことを調べていた時に得た知識で答える。


 「うう~ん…《転移》の魔法は……

 この大陸に来る前は…あったらしいけど

 今は失われた魔法って言われているな」


 アルファードの答えに、エリカはびっくりする。


 「えっ…無くなっちゃったの?」


 聞き返されたアルファードは、ちょっと残念そうに頷く。


 「ああ…《転移》魔法を使う必要の無い程度の

 国になってしまったのが…失われた原因らしい

 廃れたって感じかなぁ…………」


 その説明に、エリカは小首を傾げながら聞く。


 「あれ? この大陸に移住して来たの?」


 エリカの質問に、アルファードは頷く。


 「そう…今から……」


 アルファードがソレを説明しようとしたときに、聖女候補の少女達が声を掛けてしまう。


 「「「「「「ねぇ、どこで○ドアみたいな

魔法があるの?」」」」」」


 少女達の質問に、アルファードは首を傾げてしまう。


 「どこで○ドアって?

 聞いたことあるか? オスカー」


 聞きなれない単語?に、アルファードは博識なオスカーへと視線を向けて聞く。

 聞かれたオスカーは、過去の文献にその単語?があったのを見ていたので、微妙な表情で答える。


 「寵愛の聖女様や聖母な聖女様

 慈愛の聖女様、微笑みの聖女様達が

 何度もあったら良かったのにと

 言っていた存在ですね」


 淡々と答えるので、その内容も把握しているだろうと更に質問を重ねる。


 「どんなモノなんだ?」


 オスカーは、文献に残っていた内容を口にする。


 「それは、魔法とは違う超科学の産物だと……

 なにより…《転移》の魔法と違って……


 行ったことの無い場所でも、望んだ場所に

 行けるというものだったそうです」


 オスカーの説明に、アルファードは感心したように言う。


 「それは素晴らしいものだな

 確か《転移》の魔法とは、1度でも

 行ったことのある場所にしか

 行けない魔法だからな」


 そのアルファードの言葉に、エリカが聞き返す。


 「えっ…《転移》の魔法って

 1回行ったことのある場所じゃないと

 行けないの?」


 エリカの質問に、オスカーが苦笑いを滲ませながら答える。


 「姫君、行ったコトの無い場所は

 どんな場所か判らないですよね」


 「うん」


 「判らないということは、その場所を

 認識できないということです

 つまり、知らない場所にはいけません

 ってことです」


 その説明を聞いて、エリカはがっくりと肩を落として言う。


 「あはは…そうですよね……

 《転移》の魔法があっても…ひょいっと…

 塩水湖に行くってことは出来ませんね」


 残念と言うエリカに、オスカーも首を振りつつ言う。


 「そうですね…1度、馬に乗ってか

 馬車に乗って塩水湖に行くしかありませんね

 もっとも《転移》の魔法は失われていますが……」


 トドメの言葉に、エリカは思いっきり溜め息を吐きながら言う。


 「残念です」


 そんなエリカに、アルファードは肩を竦めて言う。


 「しょうがないさ、もう《転移》の魔法は

 存在していないんだから」


 こうして、エリカのぱぱっと塩水湖に《転移》で行って、塩を確保するという計画は挫折したのだった。









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