123★生活必需品は、エリカが手配します?
そして、そこでエリカは、はたっと気付いた。
「そうですか………って、あれ?
じゃあ、私は身体強化が使えるから
探知や探索を覚えられますか?」
エリカの問いに、オスカーは即答する。
「ええ姫君は、習得出来ると思いますので
明日からお教えしますね」
そのオスカーのセリフに、ちょっと会話に入れずに拗ねていたアルファードがすかさず口を挟む。
「オスカー…俺が教えても良いか?」
アルファードのセリフに、オスカーは生暖かい視線で頷く。
「そうですね
では、団長教えてもらって下さい」
その視線の意味に気付くこともなく、エリカは嬉しそうにアルファードを振り返って言う。
「はい、アル、明日から宜しくね」
エリカに頼られて嬉しいアルファードは、にっこりと笑って言う。
「ああ、任せろ」
アルファードとエリカが良い雰囲気になったところに、すまなそうに話し掛けるマクルーファは、自分は貧乏くじばかり引いている気がすると口中で呟きつつ、用件を言う。
「団長、大工と家具職人達が
入室許可を求めていますけど」
その言葉に、エリカが反応する。
「すぐに入ってもらって…良いよね? アル」
エリカがそう言えば、よほどのことが無い限り、否は無いアルファードは頷く。
「ああ、構わない…入室を許可する」
アルファードの許可を得たので、マクルーファは部下に視線で合図を送る。
すると、部下達は部屋を出て行った。
戻って来た時は、数人の男達を連れていた。
どうやら、彼らが大工と家具職人らしい。
その中の1人が、アルファードに頭を下げて言う。
「お呼びと聞きまして……」
その定型分的な挨拶を、アルファードはぶった切って言う。
「お前達に用があるのは、俺じゃ無い
ここに居るエリカだ
お前達は、エリカの指示に従って動け」
大工らしい男の言葉を途中でさえぎり、アルファードはそう命令した。
その言い方に、エリカは苦笑しながらも、最初にやって欲しいことを口にする。
「聖女候補を隊長室に宿泊させますので
大きい方の浴室にシャワーを
あと5本追加設置して下さい」
エリカの命令に、代表のダルトンは苦笑しながら答える。
「シャワーの設置は
ここに居る騎士様がやるものです
私達には《魔道具》を使えるように
設置する《魔力》はありませんので」
「そう…だったら、脱衣所に大き目の棚を
作って下さい
その中に着替えを入れたカゴが入るように
して下さい
上段にカゴが置けるようにして下さい
下の段には、大きなカゴを入れれるように…」
その言葉で、大体の予測が付いたのか、文句ひとつ言わずに頷く。
「はい…さっそく棚を作らせます」
「ありがとう」
エリカと大工が会話していると家具職人達は顔を見縫わせていた。
そんな職人達に気が付いたエリカが、話し掛ける。
「鏡の付いた机と小物入れが付いた
イスモドキを作って欲しいの」
エリカの言う家具がどのようなモノか想像が付かない彼らは、目を白黒させる。
それに予想の付いていたエリカは、アルファードやオスカーが使っていた紙に、ドレッサーの絵を描いて説明することにした。
そう、6人も同じ部屋で暮らすと、身繕いするときに専用の鏡が必要だろうと思っていたからだった。
勿論、下着やネグリジェなどを入れるミニタンスも作ってもらう予定のエリカだった。
ドレスや普段着は衣裳部屋で吊るす予定だったが、下着などは個人で入れておきたいだろうと思ったからだった。
その他に、個人用の靴入れも作ってもらう予定になっていた。
櫛や歯ブラシや歯磨き粉などは、騎士達に頼んで買って来てもらおうとエリカは思っていたので、ここでは何も言うつもりはなかった。
独り暮らしをしてみたいと思っていたエリカは、その時に必要と思ったモノを家具職人に作らせる予定だったりする。
欲しい家具を色々と説明しながら、エリカはオスカーを振り返る。
エリカの視線を感じたオスカーは首を傾げる。
「姫君?」
「オスカーさん、あのね、小さめのベッドを
6個買って欲しいんですけど?
今日、寝るまでに手に入りますか?」
その内容から、エリカの意図を読み取ったオスカーはにっこりと笑って言う。
「大丈夫ですよ。直ぐに手配します」
その答えに、エリカも嬉しそうに、用意したいモノの続きを言う。
「そうですか良かった
それと、歯ブラシや歯磨き粉や洗顔石鹸
フェイスタオル、石鹸、シャンプーや
リンスとか、櫛とか化粧品一式とか
タオル、ハンカチなどの小物やバッグなどの
小物入れも聖女候補全員分が欲しいんですけど
用意できますか?」
エリカは、こちらに《召還》されたことで、持ち合わせが無くて、必要だろうと思われるモノを言ってみる。
と、オスカーは手際よく用意してくれていたらしい。
「ああ、それでしたら
既に用意してありますよ」
それを聞いて、細かいことにまで気が回るオスカーを称賛する。
「本当ですか?
流石は、オスカーさんですね」