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120★誰が選んだかわからない、着慣れない服は苦痛です



 エリカが、料理を作り終えて、ほっと一息ついた頃。

 聖女候補の少女達は、ドアの外からの声で朝の目覚めを迎えた。

 声を掛けたのは、マクルーファの側近達だった。


 顔合わせを昨日すませていた、ランスロットとデュランの2人だったりする。

 2人の声は拡声魔法によって、部屋の外から寝室に居る6人に届く。

 最初にランスロットが声をかけ、次にデュランが声をかける。


 「おはようございます

 朝食の用意は整っております」

 

 「姫君が、団長と皆様の為に、食べ易い

 お握りも用意しておりますよ」


 「騎士達の食べる朝食も御座います」


 「なお、食事は、団長室にて

 取っていただきます」


 「浴室の使い方は、大丈夫ですよね?」


 次々と言葉を掛けられて、聖女候補の少女達は慌てて起きる。

 寝起きの良い撫子が、代表して答える。


 「おはようございます

 昨日、6人が並んでシャワーを浴びれるよう

 設置して頂いた浴室を使いますので

 少し待って欲しいのですが?

 朝食の時間にそこまで遅れていましたか?」


 心配そうな響きを含ませた撫子の答えに、ランスロットが優しい口調で答えを返す。


 「大丈夫ですよ

 姫君に、時間の余裕があるようにと

 言われて起こしに来ましたので……」


 そのランスロットの言葉にかぶせるように、デュランが続けて言う。


 「あの…髪を乾かしたかったら

 昨夜のように、私達が魔法でいたしますよ」


 シャワーを浴びると髪を濡らしてしまうので、ランスロット達の申し出をありがたく受けることにして答える。


 「「「「「「ありがとうございます」」」」」」


 着替えの用意が終わった鈴蘭が、ついドアに向かって頭を下げながら言う。


 「着替えたら、髪をお願いします」


 「わかりました

 必要になったらお呼び下さい」


 「私達は、ここで待機しております」


 2人の落ち着いた優しい口調での言葉に、突然の《召還》から、全員がバラバラにされて、孤独と恐怖心満載だったことを癒され、聖女候補達は頷きあう。

 そして、牡丹が代表でお礼を口にする。


 「ありがとうございます」


 その後は、騎士達を長く待たせるのは、悪いということで、少女達は精一杯のスピードでシャワーを浴びる為に浴室に走る。

 脱衣所で、各自の棚にあるカゴに着替えを入れて、ランドリー用の大きなカゴにネグリジェ他を入れるのだった。


 棚もカゴも大きなカゴも、エリカの提案で備え付けられました。

 浴室に、新たにシャワーを5本追加させたのもエリカでした。

 イメージは、銭湯または、寮の浴室だったりします。


 エリカは、聖女候補達が、全員同じ部屋で過ごしたいと要望したので、寮で住むイメージで色々と部屋の改装をしたのだった。

 なお、魔法騎士団本部では、ちょっとした《魔力》の暴走?であちこちを壊すことが多いので、建物や家具などの補修を専用でする大工が常駐していたりする。


 そのことをオスカーに教えてもらったエリカが必要なモノを用意することにした。

 その時の会話がこれである。


 「オスカーさん、使って無い隊長室を

 彼女達が使えるように改装したい

 と言ったら、どのぐらいで大工さんの

 手配が出来ますか?」


 エリカの言葉に、オスカーはあっさりと答える。


 「ああ、まだ姫君には言ってませんでしたね

 ここには、ある事情から大工や家具職人が

 常駐していますから、いつでも改装可能ですよ

 なんなら、今すぐ彼らをここに呼びましょう」


 オスカーの答えに、エリカはにっこりと笑ってお礼を口にする。


 「ありがとうございます

 それと、彼女達の着替えの手配は

 どうなっていますか?」


 魔法騎士団も見渡す限り男性しかいないので、エリカは自分が出来ることはしてあげようと、一緒に《召還》された聖女候補達の為に考え、行動するのだった。

 それが、魔法騎士団の団長であるアルファードのもとに、勝手に向かったエリカなりのいたわりだったりする。


 〔きっと、みんなあの後1人1人にされて

 気持ち的に大変だったろうし…………


 エリカには、パパやお兄ちゃんみたいな

 オスカーさんやマクルーファさんに

 なにより、たよりになるアルがいたけど


 見知らない異郷の地で、1人にされたのは

 つらかっただろうし…………


 なにより、周りが男性ばかりはキツかった

 と思うのよねぇ……


 いや、着ているモノを見るとねぇ……

 用意されたモノを仕方が無く感が強いわ


 ここは、普通の服を用意しないとね

 いや、こっちの普通の服ってとは思うけど


 騎士団で用意したモノ(見知らぬ男性が

 選んだ)よりはずっと気持ち的にも

 イイはずだし…………〕


 エリカの質問に、オスカーは小首を傾げてから答えた。


 「確か、各騎士団で最低限の着替えは

 手配していたと思いますが?」


 その言葉を聞いて、エリカはちょっと溜め息を吐いて、自分以外の聖女候補達に向かって言うのだった。


 「牡丹さん、騎士団に置いてある服は

 ポイっとしていいわよぉ…………


 流石に、誰が選んだ服か判らなくて

 イヤだったでしょぉ~…………


 だから、こっちで用意したものに

 着替えて下さいね」


 エリカのセリフに、やはり誰が選んだか、誰の趣味かわからないモノを着ていたので、着心地が微妙だと思っていた撫子が嬉しそうに答える。


 「エリカちゃんありがとう助かるわ」


 その返事を聞いて、エリカはやっぱりねと思うのだった。








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