114★話しに混ざりたいんですが、タイミングが掴めません
〔アルの様子からして、無重力を作り出す
魔法は存在しないとみたわ
なら、新しい魔法として作れば良いかな……
とはいえ、魔法の理論とか知らないから
新しい魔法をすぐに作る方が難しいわね
とりあえずってことで、水魔法で
クッションになるモノを作ってみれば
イイのかしら?〕
思い立ったら吉日を地でいくエリカは、すかさず思いついた魔法を使う。
「ウオータボール、ヒート」
すると、エリカの目の前に、水がプカリと浮かんでいる。
その中に手を入れて、温度の確認をする。
程よい暖かさを感じたエリカは、その状態を維持する為に、もう1つ魔法を使う。
「温水をそのままに《結界》」
〔これで、ウオーターベットならぬ
ウオータークッションが出来たはず
でも…馬車に来る衝撃を吸収させる為には
これだと水の量が足りないわね
ふむ、だったら、水に圧縮を掛ける?
ううん…アルの何でも入る【魔倉庫】の
マネをすればイイんじゃないかしら?
そうだ《結界》の中の水の質量を
増やしてみればイイかも?〕
小首を傾げながら、エリカは思いついたことを次々と実戦して行く。
普通は、そんなに連続で属性の違うモノを使うと、疲労困憊になったあげくに《魔力》枯渇を起こすのだが…………。
そこは、無自覚の聖女様なので、ほぼ無制限だったりする。
初日に魔法の使いすぎで倒れたのは、使ったことのない能力を最大限まで使ったセイだったりする。
いわゆる、運動不足の引き籠もりが、運動会で全力疾走したようなモノだったのだ。
閑話休題
エリカは、馬車での衝撃を緩和をする為の有効手段をなんとか確保しようと、思いついたことをしているのだ。
勿論、周りの者達が止めないので、エリカはそのまま魔法を行使するのだった。
「ウオーターボールの《結界》を維持
そして、中の水を無限大-α」
エリカの言葉に従って、ウオーターボールは淡く金色に光った。
温水の中に手を入れると本来なら、くっきりとエリカの手が見えたのだか、水を濃縮状態にしたその中に入った手は、見えなかった。
それは、ウオーターボールの中が、見かけよりも確実に体積があるという証だった。
エリカの魔法を、黙って見ていたアルファード達は呆れてしまう。
どうやら、エリカは《結界》を使って【魔倉庫】を再現した為に…………。
なぜなら、それを袋などに付与すれば、簡単に【魔倉庫】を作れてしまうからだ。
そう、エリカは、新しい【魔倉庫】を作る方法を編み出したのだった。
とうのエリカは、ウオーターボールを床に降ろして、アルファードの腕の中から抜け出し、作った温水球クッションに座っていた。
どうやら、自分の作ったモノの確認作業をしているらしい。
〔うふふ……適度な弾力と安定感が
たまらないわねぇ~…………
お尻を揺らしても、まわりに振動が
伝わっていないから…………
後は、実際に馬車に持ち込んで、走らせた
馬車の中で座ってみれば良いわ…………
って、あっ…また、やっちゃった……
エリカってば、1つのことに一心になると
周りが見えなくなるから……
お兄ちゃんやパパら、注意されていたのに……
じゃなくて……ここは、撫子さん達の会話に
入らなくっちゃ…ボッチは嫌よ〕
エリカの意識は、馬車に乗った時の衝撃を吸収する、温水球のクッションを作り上げたところで、他の聖女候補達の会話へと向けられたのだった。
そんなエリカの視線の先では、再び撫子が持論を展開していた。
「……確かに、周りが結婚しているのに
独身じゃきっと肩身が狭いって状態に
なると思うんだよねぇ…………」
それに、桔梗が大きく頷いて言う。
「かなり痛い話しね」
話しの内容を理解したエリカは、内心でちょっとホッとしていた。
〔うっ確かに未婚は痛いわね……
エリカってば、さっさと動いて良かったわ
それも、ちっちゃい女が好みのアルを
捕まえられて…………
もしも、みんなと同じスタートラインに
立っていたら……たら……
うん…売れ残り確実になるもんね
はぁ~悪趣味なアルと出会えて良かった〕
そう、ほっとしている視線の先では、牡丹が握りこぶしで言い放つ。
「これは、真面目に聖女の修行して
試練の森で守護獣と《感合》したら
婚活するきゃっないわね」
〔聖女の修行って言っても私の場合は
後は、試練の森で守護獣を手に入れれば
お仕舞いって言われているから…………
馬車に乗って塩水湖に行って、塩の問題を
片付け終わったら、直ぐにでも行けるから…
うん…大丈夫…婚活は必要無いわね〕
焦る聖女候補達のセリフに、一時焦ったエリカだが、自分はアルファードを確保しているので、ホッとしていた。
その視線の先で、蘭が肩を落として言う。
「ふっ…こんな所に来て、婚活って切ない」
そのセリフに、ラノベ愛読の百合が言う。
「だって、ラノベとか乙ゲーに書かれている
社交界デビューって、15才から
18才だったじゃない?
まだ、異世界に《召還》されたっていう
現実感がどこか薄いけど…………
これは紛れもない事実よ」
〔確かに社交界デビューって私達の年齢だよね
でも、エリカは壁の花になる自信があるよ
って言うか、男の人達にスルーされるわ
だって、デブ…ううんエリカはぽっちゃりよ……
じゃなくて…ぽっちゃりでブスで地味だから……
自分であげてて滅入るわね……はぁ~……
どうせ、エリカがこの辺あたりが妥当かな?
って思って、告白したとしても迷惑って
思われる程のブスだから……〕