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110/141

110★聖女候補は全員、魔法騎士団本部で預かってくれるそうです



 アルファードやオスカーやマクルーファやエリカ達が、会話している間に聖女候補達は、自分達の会話をしていた。


 そう《召還》された後、たった1日程度でも、好奇心混じりの執拗で粘着質な視線を浴びて緊張していた聖女候補達にすれば、そのセリフはとてもありがたかったのだ。


 緊張感が薄れ、安心して会話が出来る状態になった聖女候補達は、魔法騎士団の団長であるアルファードの権力と地位に感謝しつつ、魔法騎士団内でどう住むかを話し合っていた。


 桔梗は、とても嬉しそうに笑って言う。


 「ねぇねぇ…この魔法騎士団本部で…

 私達も住むことになりそうね?」


 鈴蘭がこくこくしながら、確認するように言う。


 「うん、聖女候補全員が、ここに

 住むのよね」


 その言葉で、百合が頬を手に小首を傾げて言う。


 「なんか、まるで全寮制の学校にでも

 入ったような気がして楽しいわ」


 《召還》の後にバラバラにされたセイで、かなり緊張していただけに、全員一緒という言葉にどこかほっとしている蘭は、大きく頷く。


 「それってあるわね」


 気分は完璧全寮制の入寮前なので、ついつい撫子が言う。


 「部屋割りは、どうするの?」


 牡丹は、ズハリという感じて言う。


 「私としては、全員で同じ部屋が良いなぁ」


 そんな牡丹に、撫子が聞き返す。


 「どうして?」


 その疑問に、牡丹ははっきりと言う。


 「勿論、ストーカー対策よ」


 牡丹の答えを聞いた桔梗が、がっくりしながら言う。


 「うっ…なんか…切ないね」


 だが、この《召還》された後にバラバラにされていた時間、絶えず緊張していただけに、百合はその提案?に同意する。


 「確かに6人いれば、誰かが侵入しても

 助けを呼びに行けると思うわ」


 百合の言葉に、蘭も溜め息混じりに頷く。


 「確かに…1人か2人は動けるよね」


 そう言いあってから、はっとした鈴蘭が言う。


 「あれ? エリカちゃんは?」


 鈴蘭の言葉に、やぼねぇ~という雰囲気で、牡丹が言う。


 「彼女は、あの美少年皇太子と

 婚約しているんだから


 私達と一緒の部屋で眠るなんて

 絶対に、ありえないわよ」


 その牡丹のセリフに、うんうんと頷いて撫子も言葉を重ねる。


 「そうねぇ~……くすくす……

 あの長い髪を結ったのは彼なんだもの」


 そして、牡丹と撫子と桔梗が声をハモらせて言う。


 「「「ラブラブよねぇ~」」」


 それに乗り遅れた蘭がぼやくように言う。


 「全然話しが見えないんですけどぉ~」


 ちょっと情緒がエリカとは別の意味で欠けているらしい蘭に、くすくすと笑いながら桔梗が言う。



 「だから、美少年とエリカちゃんは

 一緒に寝ていると思うのよ」


 その衝撃的な言葉に、蘭が両手を頬にあてて言う。


 「うっそぉ~」


 蘭のオーバーリアクションを微笑ましそうに見詰めながら、撫子が内容を説明する。


 「間違い無いと思う…ただし…それは

 隣りで眠っているだけの関係でしょうね」


 撫子のセリフに、蘭がぽつりと言う。


 「それってあの美少年が、不憫だと思う」


 その蘭の反応に、今度は牡丹が説明する。


 「仕様が無いでしょう皇族なんだから

 正式に婚約式をしてから、結婚式って

 手順を踏むと思うのよねぇ~…………


 ラノベでよく書いてあったから

 多分そうなると思うのよ」


 牡丹の言葉に、鈴蘭が聞く。


 「その間は、エッチ無しなの?」


 と、百合がその言葉に付け足す。


 「処女の証を提出すれば良いって

 書いてある作品も有ったけど?」


 ラノベが参考の聖女候補達は、各々が読んだ内容を思い出して、微妙な納得をする。

 そんな中、1番ラブロマンス系を読んでいたのが少ないのか、そういう意味での知識が薄い蘭が、なるほどという表情で頷いていた。


 「ふぅ~ん、ケースバイケースなんだねぇ」


 蘭の反応に苦笑いしながら、撫子が肩を竦めて言う。


 「だから、エリカちゃんは

 私達とは別なのよ」


 エリカをお姫様抱っこで颯爽と歩き去ったアルファードの後姿を思い出しながら、蘭はコクッと頷いた。


 「うん判った」


 納得したらしい蘭を横目でチラッと見た桔梗は、しみじみと呟く。


 「6人部屋かぁ~」


 そう、その響きには、《召還》後バラバラにされたセイで寂しかったという思いが、何処か滲んでいた。

 同じように、寂しいわ怖いわで緊張しどおしだった牡丹が、建設的なコトを口にする。


 「ただし、リビングと書斎と食堂付きで

 衣裳部屋も有りね」


 うんうんと頷き、撫子が続けて言う。


 「お風呂もトイレも着いているタイプね」


 その言葉に、蘭も反応して言う。


 「それって、団長室っていう

 ここの部屋と同じ作りなんじゃ無いの?」


 蘭の言葉に、桔梗が頷いて言う。


 「たぶん、副団長室、隊長室あたりは

 この部屋に準じた構造だと思うのよねぇ~


 今でも、皇子様が3人も居るのよ

 この部屋と同じような作りの部屋は

 余っているはずよ


 それを、私達のベットを6個入れてもらう

 だけにすればイイのよ」


 そんな会話をしている聖女候補6人を、ギデオンとレギオンは黙って生温い視線で見ていた。

 その視線は、やっぱり《召還》された異世界の女の子って可愛いなぁ~というモノだった。









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