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番外編 異世界でクリスマス

くっ。投稿出来てなかったっっ。


クリスマスだったこともあり、クリスマス話を投稿します。

「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る〜♪」


クリスマスのあの歌を口ずさむ。


今日は冬の25日。つまり、クリスマス!!

って、この世界にはクリスマスなんて無くて、普通に1日が過ぎていく。

年末年始は盛大にお祝いするけれど。

だから、危うくこのイベントを忘れてしまうところだった。


『リルー。これはどっち?』


緑の服を着た精霊がオーナメントを抱えている。

小さな彼らは小さな手のひらサイズの飾りでも重たそうだ。

だけど、小さな子が大きなぬいぐるみを抱えている様でめちゃくちゃ可愛い。


「えっと、これはそっちでお願い。」


『リルヴィア〜。星、てっぺんに乗せたよ〜。』


白ふくろうのリーシュ


「ありがとう!リーシュ!皆んなも!」


手を振る。


『どういたしまして〜。』


手を振り返す。


「お嬢様〜っ!なかなかお戻りにならないので探しましたよー!」


「あ。ごめんなさい。」


そういえば陽が落ち、少し肌寒くなっている。

庭に聳え立つ大きな木を飾り付けるのにだいぶ夢中だった。

だってちょうどいいしかももみの木があるなんて、興奮するしかないし。


「もうすぐ晩餐会のお時間になります。今宵は王太子殿下もいらっしゃいますので、腕によりをかけてお嬢様を磨き上げねば。」


袖をまくる。


「み、ミカ。べ、別に気合い入れなくても良いんじゃない?」


思わず顔を引攣らせる。


「いいえ!私はお嬢様に幸せになっていただきたいのです。さ。参りましょう。」


引っ張られ、私室へと連れ戻される。


(いやだぁあああ!)


心の中で泣き叫ぶ。


実は言うと、王子様ヴィルが苦手なのだ。

イタリア人並み、いや、それ以上の甘い言葉を囁いてくるし、プレゼント攻撃だって止まない。

手紙は必ず毎朝届くし。

王子様の熱烈な愛のアピールに私はたじたじなのだ。


ぼっちの何が悪い!?


と叫んでいた私だ。


免疫がないのに、羊の皮を被った狼はご遠慮願いたいのだ!




「やあ。リルヴィア。今日も美しいよ。月の女神の美しさも陰ってしまうほどだ。」


赤い薔薇の花束を渡してくる。


「あ、ありがとうございます・・・・」


(前世でも、こんなの貰ったことないわ。)


「照れているのかぃ。リル。かわいい。」


花束ごと抱き締められる。


「ふふ。リルったら、愛されてるわね。」


「お、お母様!見ていないで助けて下さい!」


「ふふふ。殿下。晩餐の時間になります故。」


「・・・・わかった。さぁ。行こうか。」


ちゅっ。と頰にキスをして、腰に腕を回し、リードする。


(ああああああああ。全く、身がもたないっっ。)


プシューッと頭から湯気が出るんじゃないかってくらい顔を赤らめる。



「おや。今日はとても豪華だね。あまり・・・見ない料理ばかりだ。」


テーブルいっぱいに広がるクリスマス料理に目を輝かせるお父様。


何を隠そう、私が料理長と共に作り上げたのだ。


最後はブッシュ・ド・ノエル!!


私の好物だ。


「?あら?お庭が賑やかね。」


外の様子に気づくお母様。


「ふふん。お母様。お父様。私が用意しましたの!流石に細かいところとかは精霊たちに手伝ってもらいましたけど。」


パチン!と指を鳴らす。


「「「おおお!」」」


大庭園がイルミネーションに灯されていく。


会場の側から徐々についていき、最後に真ん中に佇むクリスマスツリーの星が点灯するという仕組みだ。


「すごい・・・・・」


「素敵だわ・・・・」


目を輝かせ、庭に夢中になる両親。


「?リル?」


腰に手を添えられ、彼の腕の中に包まれる。


「魔力の使いすぎだよ。リル。」


「大丈夫です。この日の為に何度も練習してきたもの。」


現状に大変満足なのである。


この世界にも《電気》があれば、どんなに楽かなんて何度も思ったくらいだ。


まぁ。不自由なんて事はないのだけど。


「しかし。今日は何かあったかぃ?誰かの誕生日でもないし・・・・」


ぶつぶつと呟くお父様。


「今日は聖なる夜ですの。空が澄み、綺麗な星空が見えるこの日のに、平和と豊穣のお祈りをするんです。」


「まぁ。素敵ね。」


「だが、そんな風習、聞いた事ないんだが・・・・」


「いいではありませんか。こうして素敵な暮らしが出来るのも女神様の思し召しだわ。」


微笑むお母様。


「あぁ。幸せな事だな。」


照れながらも微笑み返すお父様。


この世界には《電気》も《クリスマス》もないけれど、それに近いことをして楽しむのも一興だと思うのだ。




そうして、夜は更けていき、私と王子様の距離がもっとも短くなっていった。

朝まで離してもらえなかったのは言うまでもない。

お読みくださりありがとうございます。


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