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第3話 ファンタジーな世界に

ファンタジー要素たっぷりの回です!

ー♪


ゆったりとしたワルツが流れ、それに合わせてステップを踏む。

この身体が覚えているのか、王子様のリードが凄く上手いのか。

まあ、兎にも角にも大衆を前にしてどじったりしなくてよかった。


「リル?」


バリトンボイスが耳元で囁かれる。


「!」


「少し顔色が悪いね。ごめん。少し無理をさせてしまったね。」


優しく手を引かれ、声を掛けようとする人々を避け、ダンスホールの壁際へ向かった。


「今お父上を呼んでくるから、ここに座って待っていて。誰かにダンスに誘われても断るんだよ?」


まるで小さな子どもに言い聞かせるように言うとその場を離れていった。


確かに血の気が引いた感覚がしている。視界がチカチカしているし、息もし辛い。

もしかして、ひどく人酔いでもした?


(人酔いなんて・・・・いつぶりだろう・・・ううっ)


ーりりあ!りりあ!


"私"を呼ぶ声がする。


「っ・・・・・」


胸の中心を押さえる。


「リル!まあ、大変!!」


差し迫った声がする。


「・・・・・」


顔を上げると目の前にすごい美女が立っていた。

白銀の長い髪に金色の瞳、年齢を感じさせない綺麗な顔立ちに、胸元が開いた深い紫色のドレスを着ている。


(なんてエロいんだろ・・・・てか、すごくいい匂いがする。)


「リル?どこか苦しいの?」


いつのまにか美魔女な女性の腕の中にいて、背中を摩られている。

彼女から仄かにベルガモットの良い香りがして、少しだか落ち着いていく。


「っ・・・・・」


それにしてもこの気持ち悪さといい、頭痛といい、何なんだ。


「レイシア!」


男性の声がする。


「レオン。すごく息苦しそうなのよ。早く手当をしないと・・・」


すごく心配そうな声がする。


「っ・・・・・」


そこで意識が遠のいていった。




「・・・・・?」


ベルガモットの匂いがして、瞼をゆっくり開ける。

心地いい風が木枠の丸窓に掛かるカーテンを揺らす。


「!リル!」


すぐ側にあの美女がいた。

寝ずの看病だったのか、目の下にクマが出来ていた。


「・・・・・ここは?」


「貴女の部屋よ。覚えてる?」


「・・・・・」


静かに頭を横に振る。

覚えているも何も、中身が違うのだ。

それが言えたらどんなに楽か・・・・。


『!リル!リルが目を覚ました!!』


おさに伝えなきゃっ!』


慌ただしく飛び回る生き物たち。

彼らは透明で七色に光る4枚の羽根を持ち、色鮮やかな服を着ている。

ファンタジーな存在の妖精さんだ。


「ずいぶん良くなったみたいね。よかったわ。」


微笑む美女。


「あ、あのっ・・・・・」


「何も心配いらないわ。殿下から話を聞いているわ。私は貴女の母親よ。彼らは妖精よ。今日は貴女を心配してたくさん集まって来たみたいね。息苦しいとかない?あの夜はひどく人酔いをしていたみたいだし。」


「はい・・・・」


「私のことはママと呼んでちょうだい?貴女ったら、騎士団に入ってしまったせいかふたりきりの時も母上としか呼ばなくなってしまったんですもの。堅苦しいったら、ありゃしないわ。」


「きしだん?」


「えぇ。王妃様直属の騎士団の副団長だったのよ。貴女。」


「え"っ。」


騎士団って言うと、剣とか体術に長けた人がなる人たちのことだ。

確かに、この身体には無駄な肉がなく、程いいくらいの筋肉がついている。


「誰に似たのかしらねぇ。」


ため息を吐く。


「おお。漸く目を覚ましたか。また【眠り】についてしまったのかと思ったよ。」


何もないところから風が起き、その中から突然現れる男性。

恰幅のいい体型をしている。


「!お父様!突然現れてはリルが驚いてしまうでしょう?!」


怒りを露わにする。

彼女の周りを飛ぶ妖精たちも怒っているみたいだ。


「す、すまん・・・レイシア。」


慌てた様子で弁明を試みようにも、呆気なく断念し、項垂れる男性。


「ぷっ。」


そんな穏やかな光景に思わず笑ってしまう。

親友の家族もそんなんだった。とても仲が良く、温もりに包まれていた。


「まあ。リル。」


「!」


ふいに抱き締められ、身体を強張らせる。


「人族の言葉で、「病も気から」と言うそうよ。だから、笑うと言うことはいいことなのよ?」


「ひ、ひとぞく?」


「えぇ。私はハイエルフよ。そして貴女は私と人族のレオンの間にできた子よ。どちらかと言うと人族の血が濃いけれど。」


「・・・・・・」


ファンタジーな言葉が出て来た。

と言うことは、ファンタジーな世界に転生しまった。ということか。

人間の言葉を喋るユニコーンや、精霊と呼ばれる生き物たち。

なにもないところから突然現れた祖父。

それらが別世界に転生きてしまったことを物語っているようだった。

未だに夢を見ている気分だが。


「ぴぃー!」


鳥の鳴き声が思考を遮った。


「?!」


その嘴に青い花が咥えられていた。


「あら。ご熱心なこと。」


何故か頰を赤らめる母。


「?」


「殿下からよ。貴女が眠っている間ずっと彼が運んでいたのよ。」


『リルヴィア!ほめて!ほめて!』


ピルルル。と鳴き、撫でてくれと言わんばかりに頭を突き出すふくろう。


ふくろうを配達に使うなんて、ハリ◯タか。


ふくろうの頭を撫でてやり、青い花を手にする。

星の形をした不思議な花。

その茎の部分に紙が括り付けてあった。


〔僕の愛しい人へ

早く元気になって、僕の腕の中に戻ってきて。

ヴィリニオ〕


美しい字で書かれていた。


「・・・・・・・」


『リルヴィア。うれしくないの?』


首を傾げるふくろう。


「え・・・・そんなことはないけど・・・・・」


「リル。なんだったら、婚約破棄してもいいのよ?まだお嫁にいくなんて早いもの。」


頭を撫でられる。


「そうだぞ。これは神の思し召しかもしれんからな。もし、鍛錬したくなったらわしのところに来るといい。」


「!まあ。そうやって、お父様がこの子を脳筋にしたのでしょう?やめてちょうだい。」


そう言って、祖父を連れ部屋を出て行った。


『リルヴィア。苦しい?』


「え?」


『辛そうに見えるから。』


「い、いいえ。そんなことはないよ。なんだか寂しくて。」


親友に何も言えずに去ってしまったことをが悔やんでも悔やみきれない。

それにこの転生をどう解釈すればいいのか全く分からないのだ。


て、普通神様から説明あるよね?


神様!説明プリーズ!!

次回は王子様目線です。


愛しい婚約者にプレゼントをするも?


次話も宜しくお願い致します。

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