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Prorogue はじまりはじまり

初めましての方も、別小説をお読みくださった方も是非よろしくお願い致します。



誰が味方で、誰が敵か。


誰を信じ、誰をいぶかるか。


本当の意味での寛ぎは何か。


心の安らぎは何と説くか。


人を簡単に信用してはならない。


それが私の家訓だった。



------------------------------------------------------------


ーリル。リルヴィア。


青年の呼ぶ声が聞こえる。


ー君が居ない世界など、無だ。どこにいるんだ。


悲しみを帯びた声色。


ー赦してくれ。君を護るべきだったのに。君が"乙女"だったなんて。例え神にそむくことになろうと、僕は君を探し出し、目覚めさせるよ。リル。僕の愛しき人。


決意に満ちた声だけが聞こえる。


「りりあ!りりあ!」


「ん・・・?」


身体を強く揺すぶられる。


「いったいどうしたというの?!」


「え・・・?」


すぐ側にはコンクリートの地面があった。どうやら倒れたらしい。

らしい。のだ。どうも記憶があやふやだ。


「りりあ。病院に行きましょう。ええ。今すぐに!」


私を乱暴に起こし、ぐいぐいと手を引っ張る女性。

彼女はいつも強引だ。束の間の休日に、惰眠を貪る私を買い物に連れ出すような人だ。

けれどそのえにしは断ち切れないほどだ。

唯一信頼できる人間には間違いない。


「そうですね・・・・」


壮年の男性の医師せんせいは書き込んだ書類カルテを見つめながら話し始める。


「日頃からの疲れと精神的なものでしょう。休息することが一番の薬ですね。」


「で、でもっ、仕事は休めませんっ。」


そんなことをしたら確実に私の席はない。


「でも、りりあ。あんなところまで追い詰められているのよ?そんな会社、辞めよう!」


「辞めたくても辞められないよ。そんなことしたら、アパートからも追い出されてしまうわ。」


「そうなったら、私の家に住めばいいのよ。」


「・・・・・・考えてみるわ。」


(これ以上貴女を頼るのは恐いわ。)


本音そんなことを言えば、彼女は怒るだろうな。


「いい?りりあ。何かあったらすぐに私に連絡して。・・・・・お願いだから、いなくならないでね?」


こちらを懇願するかのような目を向ける。


「う、うん。わかった。ありがとう・・・・りこ。」


頑張って笑顔を作る。


いつだってそうだった。

心配するそ振りを向けるも、心の中は違うことを考えている。

それに母は「簡単に人を信用してはいけないよ。」と口癖のように幼い私に言い聞かせたのだ。

信頼していた人から裏切られ、酷い目に遭い、最期には自殺に追い込まれて死んでいった。

そんな両親を見たからか、生まれ変わるなら人間じゃないのがいいなぁ。と思うようになっていた。




ーりりあ!逃げて!!


若い女性の声が聞こえた。


「?!」


後ろを振り向くが、誰もいなく、ただ夕闇が広がっていた。


それからと言うもの、突然の眠気や幻聴に悩まされる日々が続いた。


しかし、まさかあんなことになるなんて。

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