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ガチャでUR種族を当てたら、異世界に飛ばされた  作者: 厠之 花子
序章:王国滅亡編
8/18

6.ギルドです

「改めて名乗ろう。俺はジル=ヴェルディ、正しく言うと⋯⋯この街全体のギルド長の統括・・・・・・をしている独身の33歳男だ」


夜中だからこそなのか、冒険者たちの宴会騒ぎをBGMにノアたち3人とジル、そして学生服の少年の計5人で一つのテーブルを囲む。


静まっていたギルド内は本来の騒々しさを取り戻し、ノアたち3人も遠巻きに眺められる程度には収まっていた。


テーブルの上には、酒場に似つかわしくないクッキーやマカロンなどのお菓子の盛り合わせと紅茶が乗っている。

⋯⋯紅茶はともかく、お菓子に関しては絶対夜中に食べるものではない。

その料理のチョイスにまず呆れる。


何故こんな事になっているのだろう───ジルの〝最強〟という文字の入ったTシャツを見ながら、ノアは小さくため息をついた。


───ジン=ヴェルディの双子の弟だったのか⋯⋯道理で似ているわけだ。


そもそも彼と言葉を交わせてしまった行為が、いけなかったのかもしれない。


───彼がジル=ヴェルディと名乗った後、流れ的にノアたちも名乗ってしまった。黒髪黒目の学生服の少年はシャドウ=ファントムという名前らしい。


(明らかに偽名だ、本名が幻影とか⋯⋯いかにも厨二キラキラネームだ。イタタタタ、これは痛い)


その名前を聞いて、ノアが吹き出しそうになったのは言うまでもない。


シャドウは冒険者登録をしに来たらしく(ジルはお詫びをする為に連れてきたと言っていたが)、来て早々に登録を済ませていた。

───魔力を測る必要がないと聞いて、何故か残念そうな顔をしていたが。


登録を終えて外に出ようとするシャドウを、ジルが止めた。


「お詫びとして好きなものを奢らせてほしい───ついでにそこの三姉妹もな」───その一言で。


そして何だかんだで、今に至る。実は幼いからという理由でギルド内の休眠室で寝ることを勧められたが、ノアはそれを断り無理矢理という形でここに残った。


───中身が成人済みだなんて、口が裂けても言えない。⋯⋯が、言ったところで信じてはくれないだろう。


ノアとしてはモミジとローザには宿を取らせたい───人間とこれ以上触れ合いさせたくなかったが、残念ながらこの世界『エルトラシア』とCWOの金銭は違う。

ノアにとって嬉しくない情報だが、実際目の当たりにした確かな情報だ。


因みにこの世界での金銭は共通らしい。ノアが無知な子供を装って知り得た情報だ───時に子供は便利である。


それにしても、とノアは目の前のお菓子をまじまじと見つめた。


───日本にあるものと変わらない。


それは恐らく同郷人であるシャドウもそう思っているようで、一つのマカロンを様々な角度から見つめている。控えめに言って、頭の可笑しい人だ。


阿呆の子だなこいつ、直感的にノアはそう思った。⋯⋯それでも空気くらいは読めて欲しいが。


日本とリンクしているというよりは、世界観的にはCWOとリンクしていると言うべきか。

きっと他の部分にも共通な点がある筈だ。


紅茶を一口、口に含んだジル。ゆっくり飲み干すと、改めて4人の顔を見回す。


「それで?お嬢ちゃんたちは、どうしてこの国に来たんだ?」


ジルの質問に、ノアは固い表情の2人を見る。余計な事を言うな───その視線が語っていた。

視線で釘を指してから、ジルに向き合う。


「私たちは、全てを失ったんです」

「⋯⋯ワケありか?」


ノアは頷く。⋯⋯当然、本当の事など話すわけがない。


「はい。家も家族も失い、残ったのは私たち三姉妹だけ。頼れる親戚もいないので、定住出来る国を探していたところ、夜盗に僅かな荷物を馬車ごと盗まれ、一文無しの私たちは近くの国⋯⋯ここルガント・ヴェルド王国に来た次第です」


ノアの説明に、ジルは目を見開いた。


「⋯⋯そりゃあ⋯大変だったな。だから、こんな小さいのにしっかりしてんのか⋯⋯」


全てノアによるでっち上げだったが、特に怪しい点もなくお人好しの性格もあってか、容易に信じてしまうジル。

既に感情移入しているらしく、気の毒そうな顔で目元を押さえている。


感傷的になったジルは、何の脈絡も無くぽつりぽつりと身の上話をし始めた。


「俺は昔、ある小さな村に住んでたんだ。ジンと俺と、母さんと父さんでな。小さな村だったから、人も少なく皆いい人で仲良しで⋯⋯魔物も滅多に来なかったし、毎日が平和だったんだよ」


サクッ、ノアがクッキーを小さく齧る。

軽い食感と共に口に入れると、ふんわりとした砂糖の甘さが広がった。


───どうやらこの世界には砂糖が普及しているらしい。


異世界といえば、調味料が高価で美味なものが少ないとある本ライトノベルで読んだことがあるが、やはりCWOとリンクしているのかもしれない。


ジルは続ける。


「その日も平和な一日が始まろうとしていたんだ。畑仕事をして、ジンとバカ騒ぎして、母さんに怒られて父さんがそれを宥めて⋯⋯いつも通りのはずだったんだ」


サクッサクッ、ノアの手が次のクッキーへと伸びる。手が止まらない。

ローザとモミジは身じろぎすらせずに、ただ黙ってノアの指示通りに待機していた。


「突然、魔族が村を襲った。黒い羽に捻れた角を持っていてな───見てくれはいいんだが、やる事は⋯⋯⋯最低だ。アイツらはクズだ。村は当然壊滅、たまたま村の外で薬草摘みをしていた俺らを除いて、全員死んじまったよ」


だから魔族は嫌いなんだよ───そう吐き捨てたジルはそこで言葉を切る。鋭く前を見据えると、何かを決意するように言った。


「俺は魔族アイツらを許さない。何があっても自分の命を犠牲にしようともどんな理由があっても、魔族を殲滅する───魔族は⋯⋯全て悪だ」


「⋯⋯⋯」


サクッ───ノアの手が一瞬止まる⋯⋯が、直ぐにまるで何も無かったかのように、次のクッキーへと手を伸ばす。


ジルの瞳にはさっきまでの優しい光は無く、代わりにナイフのような鋭さを持った光が見える。


憎しみ、怒り、後悔───負の感情が入り混じった光だ。その強さは一生変わらないだろう。


これは強敵になりそうだ───魔族・・であるノアは小さく息を吐くと、また一つクッキーを摘む。


「⋯⋯あ」


⋯⋯不意に口元に持っていった手が、止まった。

何かに気づき、横目でローザとモミジの2人を見る。


瞳が細められた。


「ローザ姉さん、モミジ」


唐突にノアが2人の名前を呼ぶ。その行為にジルは怪訝そうな顔をした。


「どうした?」

「⋯⋯いえ、何も」


何もないわけが無い。


───テーブルの下に潜まされた二つの白い右手には、切れ味の良さそうな鋭い投擲ナイフが構えられていた。

刃先を向けられた標的ターゲットは勿論、ジルだ。


流石と言うべきなのか、殺気もなく気配もない。

生みの親であるノアですら、気付くのがやや遅れる程。


「⋯⋯駄目だよ」


ノアが小声で咎めると、2人とも素直に投擲ナイフを懐に収めた───言う事を聞いてくれる内は、まだましだ。これで暴走してしまったら、どんなに大変なことか。


行き過ぎる忠誠も考えものだな、とノアは誰にも見えないように息を吐いた。


2人に注意を向けながら、ジルに視線を移す。


「すみません、もう大丈夫ですから」

「そうか?」


幸いなことに、ジルは気にしていないらしい。その声音に疑惑はない。

ノアは俯き、揺らぐ紅茶の水面を見つめる。


───面倒事を起こすな、と言った矢先にコレ・・だ。これじゃあ、本当に先が思いやられる。


⋯⋯こうなった原因は恐らくジルが魔族を貶したからだろう。ノアが止めなければ、一瞬でジルは帰らぬ人となっていた。

しっかりと愛子達の手網は引いておかねばならない。


(⋯⋯やっぱりこの2人を連れ出すのは失敗だったのかもな)


早くもノアの心には後悔の念が浮かんでいた。


まさか自分が後少しで死ぬところだったとは夢にも思わないジルは、いつの間に頼んだのか、能天気に分厚いステーキにかぶりついている。


溢れ出した肉汁が滴った───シャドウの喉がなる。すぐさま席を立ち上がり、同じものを頼みに行く。


「嬢ちゃん」


肉片を飲み込んだジルは、曇り一つない眩しい笑顔で言った。


「同じ家を無くした者同士、何かあったら言ってくれ。一文無しなんだろ?出来る限り力になる」

「⋯⋯ありがとうございます、ジルさん」


「それはそうと、そこの姉ちゃんたちは食わねぇのか?さっきから、身じろぎ一つしてねぇぞ?大丈夫か?」


───やはり不審に思われたらしい。


当然といえば当然だったが、ノアは敢えて2人に何も指示しなかった。

それは2人がボロを出してしまわないように、という配慮からだったが、逆に不審がられてしまったようだ。


これは不味い、と思ったノアが2人に目配せをすると、ローザたちは何かを察したようにはっと目を見開いた。


直ぐに行動に移す。


「申し訳ございません。どうも緊張してしまって⋯⋯お言葉に甘えて、頂きますわ」

「⋯⋯ごめんねぇ?あたしはお腹いっぱいだから、遠慮しとくぅ」


流石は淫魔だけあって、男性に対するローザの対応は至極自然で、ちょっとした仕草でも色っぽい。

とても見た目だけでは、心の中では人間をクズだと考えているなどとは思えない。


───が、ノアはローザが小声で「⋯⋯主様に話しかけるな、クズが」と言うのを聞いてしまった。


何とも言えない気持ちでノアは思う。


(悪い気は起きないんだけど⋯⋯怖い、怖いよローザ。口調も変わってるし)


ノア以外には聞こえなかったのが、不幸中の幸いだろうか。


そうとも知らないジルは、安堵のため息を吐いた。


「そうか⋯⋯それなら良かった。てっきり、何か失礼な事でもしたかと思ったよ」

「やだなぁ、おじさん。全然大丈夫だよぉ」


その言葉が怪しまれないよう、ケラケラと笑うのはモミジだ。


「⋯⋯そう言うお嬢ちゃんは本当に食べなくていいのかい?」

「んー、お腹空いてないしぃ」


モミジはアンデット故に一切の食事をしない。食べても、食べ物を受ける肉体がないからだ。


⋯⋯本体はただの骨に過ぎない。食べ物は重力に従って、下に落ちてしまう。


「⋯⋯まあ、もう夜も遅いしな⋯」

「折角なのにごめんねぇ?」


代わりに、と口を開いたのはローザだ。ジルを上目遣いで覗き込む。


「おじさま、奢って下さりありがとうございます。とっても美味しいですわ」

「い、いやいやぁ⋯俺も美人と食事が出来て嬉しいよ」

「まあ、おじさまったら」


ジルは美人に囲まれて満更でもなさそうだ。微笑むローザに、鼻の下を伸ばしている。


「⋯⋯エロ親父」


それを見たシャドウが、ジルに聞こえないよう小声で呟いた。そして、一口大に切ったステーキを口に運ぶ。

その呟きに同意したのはノアだ。


(⋯⋯私も同じ気持ちだよ、厨二君。寧ろ、目潰ししたい)


この気持ちはきっと、自分の娘が中年男性に言い寄られているのを見ている父親の気持ちだろう。


兎にも角にも2人がちゃんと演技を出来ている事に、ノアは安堵した。


「すみません、姉さんたちも悪気はないんです。ただ、緊張していて⋯⋯なんせ、3人とも箱入り娘だったもので」

「なぁに、怒ってなんかないさ。緊張なんて誰にでもある事だ。箱入り娘が冒険者になるのは、ちょいと珍しいけどなぁ」


かなり苦しい言い訳だったが、ジルには怪しまれなかった。

ガハハ、と豪快に笑うジルを見て、ノアは悪い人ではない事を改めて痛感する⋯⋯敵同士だが。


本当にすみませんと再び謝った後、ノアは変わらぬ無表情で切り出した。


「⋯実はお願いがあるのですが」


紅い瞳がジルを見つめる。一回深呼吸してから、言葉を吐き出す。


「話の通り私たちは無一文、今日だけでいいのでギルドに泊まらせて下さい。お願いします」


「ああ、構わないとも」


言いながら軽く頭を下げれば、あっさりとジルに快く了承される。

ノアの目が丸くなった。


「本当ですか?」

「勿論だ、あんな話を聞いちまったからな⋯⋯稼ぎが安定するまで、ギルドの空き部屋に泊まるといい。許可は俺が出そう」


そう言うと、ジルは片手をあげる。


「おーいアーニャ、ちょっとこっちへ来てくれ!!」


直ぐに不機嫌そうな顔をして、猫耳の女性がジルに駆け寄った。受付嬢の1人であるアーニャだ。


「何か御用でしょうか?⋯⋯美人さん達と食事を共に出来てご機嫌な馬鹿長さん?」


その言葉に刺は多い。慌てた様子で、ジルはアーニャに


「アーニャ、頼むから機嫌を直してくれよ⋯⋯。いつも遊んでいるのは謝るからさ、直んないけど。それに俺だってたまには、他の・・美人と話したいんだよ」

「最っ低」

「本当に最低だな、あんた」


「⋯⋯⋯おうふ」


アーニャとシャドウに責められ、ジルは項垂れた。それを見て見ぬふりをして、ノアはアーニャに向き合う。


「アーニャさん、ギルドの空き部屋を一部屋でいいので貸してくださいませんか?」


瞬間、アーニャの顔つきが変わった。蛆虫を見るような顔から、花が咲くような華やかな笑顔になる。


「勿論いいですよ!!お好きにお使い下さい。⋯⋯但し、稼ぎが安定し宿が取れるまでですよ?」


「ありがとうございます。⋯⋯ローザ姉さん、モミジ、先に今日は泊まらせてもらって。私は一旦戻るから」


その言葉に2人は一礼すると、アーニャの案内で空き部屋へと向かった。ギルドの奥へ消えるのを見届けて、ノアは改めてジルにお礼を言う。


「本当にありがとうございます、助かりました」

「⋯⋯お嬢ちゃんは行かないのかい?」


───それは尤もな疑問だ。


少し間を開け、ジルに背を向けたノアは答えを返す。

ドアノブの上に乗せた手に力を入れた。


「私はやる事がありますので、これで失礼します」

「ちょ、こんな真夜中に出かけるつもりか!?」

「⋯⋯それがなにか?」


首を傾げるノア。ジルはそんな平然としたノアの様子に、口を開けたまま固まる。


この国は他よりも治安が保たれている───それでも、必ずしも治安が良いわけでは無いので、他の国同様夜中に子供が出歩くのは危険なのだ。


それを踏まえた上で出かけるというのなら、それは自殺行為でしかない。


「の、ノアちゃんは死にたいのかい⋯⋯?」

「え?当分死ぬつもりはありませんが⋯⋯」

「いやでも出かけるって⋯⋯」

「外を歩いたくらいじゃ死にませんよ?」

「と、とにかく出歩いちゃ駄目だ!!」

「何が言いたいんですか⋯⋯?」


不毛なやり取りは続く───それを見かねたシャドウがジルの代わりに答えた。


「夜中に出かけたら危ないだろ、治安とか悪いだろうからな」

「⋯⋯あーそれなら大丈夫です。自分で自分の身を守るくらいの事は出来ます」


今度はジルが苦虫を噛み潰したような顔で、


「そうは言っても⋯⋯なぁ」

「⋯⋯もういいですか?急ぎなので、私はこれで」

「えっ、おい!!ちょっと待てって!!」


ジルの静止をも聞かず、ノアは会釈して外へと出る。

咄嗟にジルが伸ばした手は空を切った。


バタン、と虚しく閉まった扉を前にただただ立ちすくむ。

シャドウがそれを見て、ため息をついた。


「あーあ、どうすんだよ。もし危険に晒されたりしたら」


まーでも自己責任だけどな、と無関心のシャドウに対し、ジルの顔は青ざめている。


「どどどどどうしよう⋯⋯」

「テンパり過ぎだろ、落ち着けよおっさん」

「⋯⋯そ、それもそうだな」


深呼吸を一つ───落ち着いたジルが俯いた。


「⋯⋯俺は今まで色んな人を見てきた。その中でもあの子は異質だ、決してあれは歳相応の精神じゃない。姉2人は普通なのにも関わらず、あの子だけが⋯⋯どんな生活だったんだろうな」


大変な目にあって相当苦労したんだろう───そこで言葉を切るジル。顔を上げ、シャドウを見る。


先程のノアの様子思い出しながら、シャドウも納得した。

見た目ではまだ小学生なのに、それにしては落ち着き過ぎている。


「⋯⋯確かにな、あの落ち着きようは不気味だ」


「だろ?」と、何故かジルは得意気な顔だ。


「まだ幼い歳で家も何もかも失って辛い筈なのに、あんなに頑張ってるんだ⋯⋯シャドウ君も放っておけないだろう?でも、俺はここで仕事を片付けなきゃいけない」

「⋯⋯へー頑張れー」


「⋯⋯シャドウ君なら、見たところ実力もあるようだし、俺も安心出来るんだけどなー」

「ふーん」


棒読みで返事をすると、ステーキにかぶりつく。それでも尚、ジルは期待に満ちた瞳でシャドウを見つめる。

2人の間に何とも言えない空気が流れた。


「⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯シャドウ君、頼む。この通りだ」

「⋯⋯⋯」


暫くして、はあぁーという盛大なため息がつかれた。


ガタン、と椅子が倒れる。


仕方ないとでも言うような表情で、シャドウが勢い良く立ち上がった。


「だあぁぁぁ、わーったよ!!気づかれずに、俺があの子について行けばいいんだろ!?」

「ありがとう、シャドウ君!!」

「⋯⋯いいよもう。ついでだし、それに⋯⋯気になる事もあるしな」


ほんの少しの間、シャドウは眉を顰める。


「気になる事だって?」

「いや個人的なものだから、気にしないでくれ」


じゃ行ってくるわ、とシャドウは扉を開ける。その背中にジルは声をかけた。


「気をつけるんだぞー」

「へいへい」


ひらり、と片手を振り外へ出る。1歩踏み出した途端吹く冷たい風に、シャドウはぶるりと体を震わした。


「やっぱ、異世界でも夜は冷えるな⋯⋯」


「あれ?どうしたんですか、ファントムさん」


声を聞いて前を向いたシャドウの瞳に映ったのは、さっきまで話していた少女と見知らぬ青年だった。

上手い文とは一体⋯⋯

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