犬小屋のメンバー
「説明しよーう!」
その言葉を区切りとしてこの意味不明すぎる委員会に明かりを灯そうとしていた。
木下椎菜、この委員会の会長である。
「この委員会はな、偉いんだ」
「偉い」
「そう偉い、サークルより」
「サークル」
「そして学校の犬だ」
「犬・・・あっ」
察してしまった、そして洗脳されかけていた。
「でもな、楽しいんだよ!嫌だったらとっくにやめてるからね!これが証拠!」
「威圧でやめれないとかじゃなく?」
「ウン」
「やめたらどうなるかの責任に怯えてるわけじゃなく?」
「ハイ」
大丈夫かこれ。
「ということで活動しているわけだ、学校のために。」
なんの説明にもなってない。
「今のところ一年生は君だけだ!」=逃れられると思うな。
脳内で勝手にシフトしてしまう中、必死に良さげなところを探す。
「例えば何をするんすか。」
「タトエバ」
「はい」
「うーーーーーーーん」
「うん」
「それは行き当たりばったりだな!」
犬も歩けば棒に当たるということなのか。
「それじゃなんの宣伝にもならないっすよ!!やったことでいいんで言ってください!!」
「会費を決めたり」
「決めたり?」
「みんなでボランティアしたり」
「したり?」
「カラオケいったり」
「おかしいだろ」
敬語とは。
「食べたりする」
「うむ」
聞かなかったことにした。
「つまりは生徒会ですか。」
「やめろぉ!堅い!堅苦しい!重い!」
「現実を見てください。」
「そうだぞー椎菜、一年生に突っ込まれてる時点でお前の負けだ。」
黒城が突っ込んだ
「ぐわぁ!そんなのひどいですよ!?」
「それでこんな名前に。」
「うん、楽しそうでしょ」
「心に刺さりましたね。」
「つまり君はこの名前じゃなければここにいない、もうすでに縛られているわけだな!」
何も言えない。
「おーいそこのトランプ組そろそろ帰ってきていいぞ。」
黒城が呼びかけると二人の男がのそのそ出てきた。
「うぃーす」
「あ、いいの?俺たちエビの尻尾ぐらいの存在だよ?」
どんだけ悲観的なんだ。
「紹介しよう!波久礼裕太君と土佐海 南君だ。」
一瞬黒に見えるぐらい藍色の髪をした男とオレンジの髪をした耳にピアスをつけた男2人がそこにいた。
「一年だっけ、めずらしいね~こんなところに。」
「マジ!?一年!?うおっほおおおすげええ」
これだ、この反応だ。
「この人たちは書記と財務をやってるんだ、かっこいいだろ?」
役割があったのか、意外と真面目な面もあった。
「ま、僕は総務であり会長だからもっとかっこいいけどね!」
えっへんと言わんばかりに両手を腰に当て、ドヤ顔をする。
「押し付けられたんだr」
波久礼が言う前に頬に椎菜のグーパンチが決まっていた。
「ま、椎菜司会うめーしな、向いてんだろ、知らねーけど。」
ニカニカしながら土佐海が言う。
「そして私はホームページとサークルの管理だ。」
黒城さんがテーブルに座りコーヒーを飲みながら言った。
「そんなこんなでこのそんな生活で委員会は成り立っているんだぜい!」
最初に言ってくれ。
「凄そうですね、委員会委員会してるというか、名前以外」
「だろう!わっはっは」
威張れるのかこれ。
「そうだ、君の好きな食べ物はなんだね?」
食べ物?
ちょっと考えたあとに
「パスタです」
「今日の食事はそれで決まりだ!行くぞ!」
そして俺の記念すべきであろう大学生一日目は謎の軍団とパスタを食べて終わった。