勇者の日常
最弱でもいいじゃないか!
改行を少なくしました。
いい朝……
今日も普通にご飯を食べて高校へと向かう途中の通学路。
「ゆーうーたーくぅ~ん」
毎日聴かされている猫撫で声が後ろから聞こえてきた。
何故、いつもここで会ってしまうのだろうか。
「実夕、その呼び方はやめてよ! 」
「えへへー。だって見た目悠太君って小学生だもんっ! この先に大きい犬がいるから私が守ってあげる! 」
痛いところを突かれた。悠太の外見を簡単に説明すると、小学生。身長は140ぐらいしかなく、童顔で声も声変わりしているとは思えないほどの幼い声だった。中々のイケメンであり、小学校でなら告白されてもおかしくない。美青年というよりは美少年だった。
そんな、悠太は高校ではほぼ全員の女子から、「ゆうゆう」とか、「ゆうちゃん」とかと、まるで小学校低学年の子供のようなあだ名でしょっちゅう呼ばれていた。
しかし、悠太はそんなあだ名をあまり気に入ってはいなかった。
外見は小学生でも心は立派な高校生なのだ。(自称)
「うるさい! これから伸びるんだ! それに、犬なんて一人で平気だもん! 」
悠太のしゃべり方も欠点だった。時々、子供が使うような言葉が混じってしまう。
悠太自身はあまり違和感が無いのが悩みどころであった。
「ぁぅー。そんなに怒らないでよー。ともかく学校いこ! 」
渋々、実夕と連れ立って学校へと歩く。
実夕は女子にしては身長が高く、173cmはあった。その性格とは裏腹に大人びた顔つきをしているので、小さな悠太と歩いているところを傍から見れば親子といっても疑われないであろう。
長い一本道を歩いていくと見えてくる極普通の高校が、悠太達が通う私立湘南高校だった。
偏差値はそこまで高いわけでもなく低くもない。
何をとっても平凡としか言いようが無い高校だった。
悠太がその高校を選んだのは単に近かったから。
悠太の家からは歩いて20分ほどで着く。
早起きが苦手な悠太にとってあまり時間がかからずに行けるというのは設備云々以前に最重要のことであった。
実夕と登校し、下駄箱に自分の小さな靴を入れ、クラスへと入る。
途端、あちこちから声が上がった。
「ゆうちゃん、おはよ~」
「ゆうゆうおはよっ! 」
「おー、ゆうぼっちゃまは今日も人気だねー」
上の二つは女子で一番下は男子である。
----くそう、何時かは僕が上から見下ろしてやる!
と、小学校の頃から誓い続けたがいまだ果たせたことは無い。
「だから、その呼び方やめてよぉ! 」
毎日言っているが、効き目はない。むしろ喜んでいる。
「ぁーん。ゆうゆうが怒った~」
などとはしゃいでいる女子はもう華麗にスルーするしかないのだろうか。
学校での時間はすぐに流れる。
昼休みには女子に囲まれ、あーん、とか言って食べさせようとしてくるが、華麗に断る。
なんか、僕の扱い酷くない……?
全ての授業が終わり放課後のチャイムがなるとまた囲まれないうちにさっさと校門を出て行く。
誰にも気づかれないように素早く俊敏に……
今日は、誰にもバレナイ……
はずだった。
「ゆーうーたくんっ!」
……今日もバレてしまった。
「実夕……何で君はいつも僕につきまとうの? 」
「だって悠太君だけじゃ心配だもんっ! この実夕お姉さんに任せなさい! 」
「同い年だよ!! 」
いつもこんな単調なやりとりが続く。
毎日、こうやってくる実夕にはうんざりするが、悠太はこの時間が心の奥底では結構好きだった。
実夕とは幼馴染だった。あまり友好的ではない内気な性格だった幼い頃の悠太をオープンな性格にしてくれたのは実夕だった。
その点ではとても感謝している。
そのおかげで、高校でも友達も作ることを出来た。
親は悠太には何も教えてくれなかった。
生まれながらにして小柄だった悠太。
父はバスケの選手、母はマネージャーというバスケ家族だった。
長男の浩二はその恵まれた体格でいまは大学で活躍している。
悠太が生まれたとき、両親は少なからず落ち込んだがこれから大きくなるという希望を捨てなかった。
しかし、次第に年を重ねるにつれても一向に大きくならない悠太に注ぐ愛情は日に日に減っていき、両親は浩二を寵愛した。
悠太の内気だった性格はそんな両親の影響が少なからずあった。
どこと無く余所余所しい雰囲気で生まれ育った悠太の唯一心が許せる人物は他でもない実夕だった。
そんな物思いにふけっていると唐突に話を切り出された。
「そういえば、悠太君って好きな女の子とかいる? 」
あまりにも唐突すぎた。
好きな女子かー。
あんまり意識してないからいないかなー
と、答えると、実夕はちょっと嬉しそうに微笑んだ。
悠太にはその笑顔の意味が分からなかった。
「そっか!良かったぁ」
何が良かったのだろうか?
尋ねてみたが、返答は無かった----
誤字脱字、変な表現ありましたらお知らせください!
感想も待っています!