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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ホラー作品を愛する馬鹿共へ

掲載日:2026/10/20

 なぁ、お前ら、ちゃんと読んでいるか?

 今、俺は自室のパソコンでこれを書いているから、最後まで見届けてほしい。

 俺は怪談が好きだ。オカルトやホラーなんかのロマンがあるものが好きだ。

 ただ、その一方で気に食わない部類のもある。

 完全に創作だというスタンスのものはいいが、実際に体験したという流れで展開される類の作品は好きじゃない。

 まぁ、所謂モキュメンタリーのようなものなのだろうが、しかし、あいつらの記憶力は何なんだろうな。

 もちろん、補完したり、脚色したという呈で誤魔化すのだろうが、その時点で本末転倒な気もする。

 そんでもって、大概は知り合いに霊能者がいるし、最後は気絶しているし……結局のところ、大して被害なんてない。

 某ホラー映画に登場する髪の長い女たちのような、目で見える形で甚大な被害を及ぼすならともかく、眼前に迫ってきて、主人公が気を失って終わるって何なんだよ。


 そんなオチばかりだから「幽霊よりも人間のほうが怖い」という言葉が頻繁に使われてしまう。

 まぁ、冷静に考えると、比較する対象ではないような気もするが、前述したように曖昧な終わりだったり、物理的な影響が少ないからこそ、幽霊は舐められるのだと思う。

 とにかく、俺はお前らとは違って、最後までやり遂げることにした。

 「何を?」だって? そりゃあ、一つしかない。


 心霊体験をリアルタイムに書き残すことだ。


 まずは幽霊を見つけるところから始めるのかって? いや、それだったら、こんな文章を書いていない。


 事の始まりは半年前だ。

 世間はクリスマスイブではしゃいでいるってのに、真面目に仕事を終えて、某チェーン店の天丼屋に入った。

 そんで、そう、店内のカウンター席にいた一人の客が、何か変だったんだよな。

 客観的に言ってしまえば、俺と同じスーツ姿のサラリーマンっぽいおじさんが、普通に天丼を食っていただけ。

 それなのにどこかに違和感がある。

 まぁ、それでも気のせいってことにして、いつものメニューを頼んで、特に何も起こらずに食事を終えた。

 その頃には、さっきのおじさんの姿は店内から消えていたんだが、最後に残りのお茶を飲んでいた時に気付いたんだ。


「……あのおじさん、嚙んでたか?」


 咀嚼。

 それは誰しも食事の時は必然的に行うものだ。

 しかし、あのおじさんは口元が全く動いていなかった。

 もちろん、凝視していたわけではないが、それでもやはり気になってチラチラとは確認していたのだから、そこは間違いない。

 ただし、商品も注文されていて、空の容器が残っていたわけだから、別におじさんが幽霊とかそういう話ではないはずだ。


 この時点では不思議な体験、もしくは溜まった疲れが見せた幻覚かどちらかだろうと、自分の中で納得して終わらせた。考えても仕方がないことは考えない、それが精神衛生上の自己防衛ってところだ。

 とにかく、このおじさん以降、妙なものを目にすることが増えた。まぁ、何を見たかを語ると話が長くなるから省略するが、白い服を着た髪の長い女とかではなく、前述したおじさんのように不自然なものだ。

 人に話しても恐怖は生まず、百人が百人「疲れているんだね」の一言で終わらせるような、そして、俺としても何も言い返すことの出来ない、形容し難い怪奇現象ばかりだった。


 しかし、先週、通勤途中の道で、ついにこれぞという怪異と遭遇した。

 髪の長い女のような姿だったが、白い服を着ではなく、恐らく、元々はスーツだったのだと思う。

 白濁した眼、ボロボロのスーツ、肌は赤黒い部分があったり、経年劣化した銅像のような緑色で覆われていた。

 それは以前、毒生物を紹介する本に載っていた、毒蛇に噛まれて数週間経過し、完全に壊死した少女の足の写真みたいだった。

 正直、幽霊とか関係なく、普通に吐きそうだったな。

 まぁ、それでも何もなければまだ良かったんだが、その時、完全にそいつと目が合ったんだ。

 すると、そいつは俺に向かって指を差しながら、大きく笑顔を浮かべた。

 一応、普段から奇妙なものを見慣れている影響か、意外と精神的に余裕があったらしく、その時に俺が真っ先に思い浮かべた感想は「その目で見えるんかい」だった。


「あー!! あー!! あー!! あー!! あー!!」


 俺の家の近所に保育園があるんだが、まさしくはしゃぐ園児のような高く、無邪気な声音だった。

 そいつは、まるでサイレンみたいに一定の間隔であーあーと叫びながら、足を引き摺るようにして、こちらへと駆け寄ってくる。

 正直、足が竦むという体験は初めてだった。

 もちろん、周囲の人間は気付きもしない。

 ただ、不思議だったのは、そいつとぶつかりそうになった親子が、まるでそうするのが自然みたいに避けたんだよな。

 

 とにかく、俺は何とか気合を入れて、後ろに向かって駆け出すと、そいつから何とか逃げ切ったんだよ。

 怪談話だと、こういう時は仕事を休むのが定石だろうが、俺は迂回して会社へ行った。

 自宅から徒歩二十分のところだから、正直幽霊がついて来るなら、家にいようが会社にいようが、どうにもならないだろうの精神だった。しかし、あいつは現れることはなかった。


 と、ここで話が終われば良かった。

 というか、終わっていたら、こんな風に書き残すことにはなっていないだろうな。 

 

 帰り道も迂回して、その日は何事もなく終わったんだが、次の日、流石にもういないだろうと思ったのだが……いたんだよ。

 しかし、昨日と違うのは、道の真ん中に立っていて、明らかに周囲を見回しているんだ。

 理由は語るまでもない。

 更にはその様子がまた、怖いのなんの。

 例えるなら、そう、フクロウだな。

 首がほぼ真後ろにまで回る。身体は正面を向いて、棒立ちなのに首だけが回っている。洒落じゃなくて鳥肌ものよ。

 

 すかさず迂回した。

 二度と通らないと決めた。

 この時は、それこそよくある怪談のように、当然のように家の場所がバレているなんてことがなくて良かったと胸を撫で下ろしていた。


 そして、仕事の帰り道。

 迂回した先に、そいつがいた。

 完全に油断していたよ。同僚と飲みに行くために歩いていたら、あの声が聞こえたんだ。

「あー!! あー!! あー!!」ってね。


 振り向いたらあいつがいた。

 まぁ、冷静に考えると、ある意味では助かったけどな。

 無言で近付かれていたら、その時点でゲームオーバーだった。

 とりあえず、同僚に謝って、そのまま自宅の方向に向かって走って行ったんだ。

 もちろん、緊急避難を優先しただけで、俺もそこまで馬鹿じゃないから、少し進んだ先で本来は右に向かうところを左折した。


 そして、しばらくは何事もなかったが、一週間くらい経った頃。

 俺の家はアパートの二階の角部屋で、ベランダ側は隣接する一軒家があり、側面に位置する窓からは道路が見えるんだ。

 その日は曇り空で、予報でも雨が降るかどうかは微妙な感じだったから、傘を持っていこうか考えながら、何となく側面にある窓から天気の様子を確認しようとしたんだ。


 いた。


 あの女がいた。

 しかし、こちらの場所に気付いているわけではなかった。

 ただ、棒立ちでフクロウの様にぐるぐると首を回している。


 恐らく一週間、この周辺を移動しながら俺を探していたんだ。


「……俺が何をしたんだよ」


 俺は独り言を呟きながら苦笑していた。

 ここまでくると、恐怖を通り越して笑うしかなかったんだ。

 

「どうするかな」


 アパートを出て右折して十字路を真っ直ぐに向かうのが通常のルート。しかし、そもそも十字路の真ん中に立っているわけだから、そちらは実質的に封鎖されている。

 更に言うなら、今の時間帯は普段ならそれなりに車の交通量が多いはずなのにも関わらず、自転車や歩行者しか通らない。

 あの時の親子同様、本能的にあの女を避けているようだった。

 とにかく、今の俺に出来る手段があるとすれば、随分と遠回りになってしまうが、見付からない様に左へ向かうことだった。


 これを読んでいる人間は「休めよ」と思うだろうが、それは理想論であって、実際のところ、そう単純にいかないものだ。特にここ数日は、インフルエンザで先輩が倒れているため、そこで俺まで休むのは厳しい。

 そもそも、あれが何をしてくるかは分かっていない。

 そう、前述したが、大体の話は気絶して終わるのが常。俺だって納得はできないが、その手の情報しか知らないわけだ。

 だからこそ、これからそれを試そうとしているわけだからな。


 そして、色々と考えた末に俺が導き出した作戦は、フードを被って顔を隠すという単純なものだった。

 少なくとも、あいつは視界で捉えているのだから、顔は覚えられていても、見えなければ問題ないと踏んだのだ。


「よし」


 俺は気合を入れると、玄関を出る時でさえ息を抑えながら、通りに一歩を踏み出すと、すかさず左折する。

 作戦は成功した。そう思った。


 ただ、思い返すと「それは確かにそうだよな」と納得できることだが、俺はしばらく歩いたところで背後に気配を感じたんだ。ここで、こいつは限りなく人間に近い行動を取っていることに気付いた。というよりも、想定しておくべきだったのだろうが、流石にそこまでは頭が回らなかった。


 思わず立ち止まった俺の足元に影が伸びる。

 その影はゆっくりと、フードの下を覗き込もうとしていることに気付き、ここで俺は駆け出した。


「あー!! あー!! あー!! あー!! あー!!」


 顔は見えてはいないはずだが、俺の行動に答えを見出したのだろう。またしてもサイレンが鳴り響く。

 俺は背後から聞こえる声を振り払うように、とにかく全力疾走した。

 職場の方向がどうのという、そんな思考はなかった。


 結局は遅刻しながらも職場には辿り着き、帰り道は戦々恐々としながら自宅へと向かった。

 あの女の如く、曲がり角の度に全方位を確認する姿は、最悪不審者として通報されても仕方がなかっただろう。

 

 そして、今日は土曜日。休日だ。

 まずは窓から外を確認したが、女の姿はなかった。

 とりあえず、安心した。

 まぁ、今ゆっくりサブスクで映画でも見ながら一日を過ごそうかと考えていると、七時半頃にインターフォンが鳴った。


 大体こういう怪談は、ドアスコープから外を覗いて「誰もいない?」という流れからの「ぎゃああ!!」が様式美だろうが、俺のアパートは既に液晶モニターで対応できる程度には新しい建物だ。

 だからこそ、コーヒーを飲みながらちらりとモニターを確認すると、そこに女が立っていた。


 声こそ上げていないが、はっきりとカメラを見つめている。


「最悪だ」


 相手が怪異にしては自宅を特定されるまでに随分と時間が掛かったが、もしかしたら女はアパート周辺に潜んでいたのかもしれないと思った。どの程度の知能があるのかは分からないが、少なくとも俺が部屋に入るところまで見ていた可能性がある。

 もちろん、アパートは分かっていても、部屋までは判明しておらず、全ての部屋のインターフォンを鳴らしている可能性もあるが、あまり楽観視は出来ない。

 

 ピンポーン。


 女は数分に一度、インターフォンを鳴らす。

 連打しないところは品が良い。


 そして、俺はこの時点でこの文章を書き始めた。

 普段から利用している投稿サイトに残すためだ。


 もう全てが嫌になったというか、面倒臭くなってきた。

 本当は映像として残したいところだが、女は映らないだろうし、そもそもAIやら自演のように済まされるのがオチだろうから、やはり文章が良いと思ったんだ。


 何が起こるか分からないから、最後まで書けるか分からない。

 ただ、文章が変になると思うが、そこは許してくれ。


 何とか自分の手で結末まで投稿したいが、万が一の時は家族や友人に託す。

 これを読んでいたら、どうかこのまま公開して欲しい。


 さてと、気絶するか、試してみよう。

 よし、鍵を開けたら、インターフォン越しに呼んでやる。

 

 そもそも言葉が通じるかな? 

 

 あぁ、何か承認欲求のために馬鹿なことをする動画配信者の気持ちが少しだけわかるな。


 おぉ、入って来た!! すげぇ!!


 俺を見てる。


おれをみてる。、あみてる。駆け寄ってきた。みてるサイレンんんnほほにふてている。大丈夫そう。ここで気を失うが、俺はへいきそう。肩痛い。ああ噛まれた。痛い。肩。区部、さ;k;、かまtれ。あsでょえいい。今かんでる。まだいたいけどいける、ghdskw;おbうsmdけpfけpふぉえk、。dpfdkちょpっとpはなれた。はなれた。きあいだ血出る。ちで。ゆうれいにかまれてと血出る。帰る。?かえるそっか。かえらないか。そっちもかおか。あぁ、だめそう。たぶん、むりしmぬわさぽ「dkじょdkwぽうぃ


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