いざダンジョンへ
気づくと朝になっていた。
「怪我した人たちは」。
慌てて近くにいたラウルに尋ねる。
「みな大喜びして、姫様に感謝していました」。
「違う、違うの、そうじゃない、私が治せなかった人達」。
ラウルは私の目をしっかり見て続ける。
「姫様、彼らは自分達の治療をするより普段はまだ戦える者を優先する、本物の猛者です、そんな猛者の覚悟を無駄にしてはありません、彼らを10人も救ったのです姫様、胸を張って下さい、順番を待っていた者も必ず自分で怪我に打ち勝って見せます」。
私は唇を噛んで前を向く。
「わかりました、いきましょう、私達使命を果たしに」。
私が向かうと大勢の兵士がいた。
彼らにとって昨日助けたのは戦友なのだ。
友だった者も、命を救われた者も、師匠も、弟子も、色々な関係があっただろう。
自分のした事を、出来なかったことを胸に刻み出発する。
森に入ってしばらく歩くと私はへばってしまってラウルにおぶさっている。
馬の時は擦れるお尻や減る体力を自分に神聖魔法をかけて防いでいたが
今日は寝不足な上に神聖魔法も使えない訓練を積んだ大人と一緒に歩くのが厳しくなる。
護衛騎士に交代でおぶさったり、歩いたりして1日が終わり今日は森の中で休むことになった。
私はすぐ寝てしまったが護衛騎士は順番で休む。
夜中に急に起こされた、ナイトミニゴブリンが近くを通ったのだ、幸い戦闘にならずに済んだ。
ナイト系は闇の眷属ではないが親和性が高いので優先討伐対処でないし、夜は人間には厳しく、ナイト系は祝福される。
戦力的には間違いなく勝てるが、怪我でもして、更に次何かに遭えば危険もある、なるべく戦闘は避けるのが賢明だ。
ゴブリン達の過ぎたあともうひと眠りして夜が明けてダンジョンに向かう。
無事ダンジョンに着いたがそこはナイトゴブリンの巣窟だった。
私達はここで死ぬのかもしれないと覚悟する




