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第11話 『借金を返済しに行きます』

 「ここが?」


 宿を出て、しばらく歩いて街の西側まできた。

 家や店が並ぶ通りの裏道。

 荷車がギリギリ通る路地裏を俺とソフィアさん、イグニスさんとウズメさんの4人でゆっくりと進み、その薄暗い道の途中にある扉の前に俺達は辿り着いた。


 「はい。 ここで、家を借りて、借金を抱えることになりました」


 お金の入った革袋を入れた鞄を背負うソフィアさんが答えた。

 話には聞いていたが。

 これは、怪しすぎるだろ。


 「ソフィアさん。 もう少し危機感と言うか」


 「・・・そうですね。 あの時は彼女の事を友達だと思ってましたので」


 「あ、いや。 ごめん。 別に説教とかじゃなくて」


 「ふふっ。 分かってますよ。 心配してくれてるんですよね?」


 ・・・良かった。

 嫌がられなくて。

 気をつけなきゃな。


 「さて、ではイグニス、ウズメ。 そしてハニオカさん。 行きましょう!」


 姿勢を正す。

 緊張した面持ち。


 「ソフィアさん。 お金を返したらこの家とは縁を切るで良いね?」


 唐突なウズメさんの問い。

 ソフィアさんは小首をかしげる。


 「え~と?」


 「ソフィア。 答えなさい。 縁を切ってくれるな?」


 ソフィアさんは俺の顔を見る。

 不思議そうな顔をした後に答えた。


 「はい。 関わりを続けても良いことはありませんのでもちろんそのつもりですが・・・。 どうしてそんなことを?」


 「ううん。 ただ、一応言っておかないとなって思ってな」


 「そう、ですか?」


 「足を止めてしまってすまない。 行こう」


 「あ、はい! 行きます!」


 イグニスさんの言葉に背筋を伸ばし直したソフィアさんが扉をノックした。


 「はい」


 野太い男の声。


 「そ、ソフィア・ロクサーヌです! お、お金を返しに来ました!」


 数秒の間。

 後、扉が開いた。


 「入れ」


 「はい!」


 ソフィアさんが中に進んだため、俺たちもそれを追いかけようとして。


 「お前らは関係ないだろ。 入るんじゃねぇ」


 「なんでよ!」


 「あ? 無理に入ったら不法侵入で自警団呼ぶぞ?」


 「・・・ちっ」


 イグニスさんの舌打ちが響いた。


 「イグニスちゃん。 ここは従おう」


 「は!? ソフィアさんをひとりで行かせるのか!?」


 俺は不安になる。


 「大丈夫です。 お金を返すだけですから」


 ソフィアさんが笑ってそう言った。


 ・・・絶対それだけではすまないだろ。


 俺はイグニスさんとウズメさんの顔を見る。

 2人ともいたって真剣な顔である。


 「・・・わかった。 だが、時間がかかるようだったら押し入るぞ。 俺は」


 「そうだな。 それは私たちもだ」


 「それでは、行ってきますね」


 「ソフィアさん。 待ってるからな」


 「はい!」


 そう言って笑ったソフィアさんの姿を扉が隠してしまった。


 ○


 「さぁ、金を出して貰おうか?」


 マール家。

 居間。


 木造建築の屋内は、2階まであり、真ん中は吹き抜けになっている。

 家の中心にある居間にはテーブルを挟んでソファーが2つあり、マール家長男のスキンヘッドの大男と、長女の2人がならんで座り、対面にソフィアが座っていた。

 金を要求したのは大男の方だ。

 吹き抜けである室内は、見通しが良く、マール家の家族が上や横から見ていた。

 血の繋がった兄弟だけではなく、捨て子だった者や行き場を失った者達で構成された組織が『マール家』だった。


 「はい。 これです」


 ソフィアは、持ってきた鞄の中から500万マルの紙幣が入った袋を取り出した。


 「おい、新入り。 数えろ」


 ソファーの後ろ。

 奥で様子をうかがっていたベレー帽子を目深に被った少年がやってきた。

 袋の中から紙幣を取り出して数えていく。


 「・・・確かに500万マルあります」


 少年が長男に伝える。

 ソフィアは少年を見て首をかしげる。

 

 (・・・聞き覚えのある声ですね?)


 「ふふっ。 良く用意できたわね! それも期限よりずいぶん早く」


 長女レイラ。

 ソフィアを騙した女が声高らかにそう言った。


 「はい。 約束は約束です。 借りたものをしっかり返しました。 なので、そちらも約束を守ってください」


 ソフィアは手のひらを差し出す。


 「金貨を返してください。 あれは、師匠から貰った大切なお守りなんです」


 その手を見て女がくすりと笑う。


 「む。 どうして笑うんですか?」


 「ふふふっ。 いいえ? くっくっく」


 笑いを押さえられなくなっていく女。


 なにかがおかしい。

 そう、ソフィアが身構えた時だった。


 「今よ!」


 「あいあいさー!」

 「せーい!」


 「え!? なに!? きゃあ!!」


 ソフィアが後ろから飛び出してきた男2人に拘束され、地面に倒れ込んだ。

 縄で縛り上げられていく。

 

 「な、なにを!? お金は返しましたよ!?」


 「あら~? それがどうしたの? お金を返してもらったらあなたから手を引くとでも思っているのかしら~?」


 「な!? ふ、ふざけないでください! ・・・はっ! ちょっと待ってください。 金貨は!? まふぁがっ!?」


 縄で縛り上げられたソフィアの口に縄がかけられて話が出来なくなる。


 「ん~? 金貨~?」


 倒れ込み、縛られ、「うーうー」唸っているソフィアの前にしゃがんで見下ろし、にんまり笑う女。

 涙目のソフィアに向かって言い捨てる。


 「売っちゃった」


 ソフィアが目を見開く。 涙が落ちる。

 それと同時に麻袋を被らされて目隠しされる。

 

 「おう新入り、地下に連れてけ」


 「はい」


 放心状態のソフィアは動かない。

 そんな彼女を抱えるベレー帽の少年。


 少年はそのまま地下へと降りていく。


 地下にたどり着き、牢屋を開ける。

 ここには少年とソフィアのみ。


 「ふぅ。 ソフィアさん。 ごめんね?」


 少年は、ソフィアを優しく降ろして麻袋を取った。

 次に口の縄を取る。


 「・・・あなたは」


 放心した顔で見上げるソフィア。

 少年が帽子を取る。


 「やぁ、僕はフィール。 覚えてるかな?」


 ソフィアにはその顔に覚えがあった。


 「あ! 『哨かんぐっ!?」


 口を手で押さえられる。

 少年は人差し指を口許に持っていく。


 「しー・・・。 ちょっとだけ待っててね? 大丈夫。 これも班長の作戦通りだから安心して」


 ヒソヒソと話す少年。

 ソフィアは何度も頷く。


 「で、でも」


 「金貨の方も大丈夫だと思うよ」


 「え?」


 「まぁ、僕達『特別哨戒班』を信じて少しだけ待っててね?」 


 にっこりと安心させるように笑った少年は、小石を取り出す。


 「あー、班長?」


 小石に電気が走る。

 

 『あぁ。 聞こえてる』


 「それじゃあ、報告です。 地下にてソフィアさんの安全確保。 証拠品もばっちり。 いつでも行けます」


 『ご苦労様。 じゃあ、行くわ。 『清め人』も我慢の限界みたいだし』


 「了解。 じゃあアウトの方にも連絡して副班長達も呼んどきますね」


 『あぁ、頼む。 それじゃ、行くわよ。 3、』 


 ○


 「・・・遅くないか?」


 入ってから30分はかかっている。

 心配だ。


 ガタタッ。


 大きな物音が聞こえた。


 「おい、ソフィアさんは大丈夫なのか!?」


 思わず叫ぶ。


 「落ち着きなさい『清め人』。 あと少し。 あと少しだけ待ちなさい」


 「なんでだよ!? やばいんじゃないのか!?」


 イグニスさんはやけに落ち着いている。

 手のひらには小石。


 「『清め人』。 もう少しだけ耐えて?」


 ウズメさんにまでなだめられる。


 「・・・くっ」


 「・・・!!」


 中からソフィアさんの声が聞こえた。

 叫び声のような声。


 「いや、駄目だろ!」


 俺は、扉に手をのばそうとして。


 「駄目よ!」


 イグニスさんに片手で羽交い締めにされた。

 正直振りほどくのは簡単だが、イグニスさんに怪我をさせてしまう可能性が高い。


 「くそ! 離せ! ソフィアさんが!」


 と、ピリッとなにかが光った。


 「来たわ」


 「なにが!」


 「連絡よ」


 『あー、班長?』


 小石から少年の声が聞こえた。


 「あぁ。 聞こえてる」


 『それじゃあ、報告です。 地下にてソフィアさんの安全確保。 証拠品もばっちり。 いつでも行けます』


 思い出した。

 顔の似た男女の少年の方だ。

 名前はフィールだったか?


 ソフィアさんの安全確保ってどう言う?


 「ご苦労様。 じゃあ、行くわ。 『清め人』も我慢の限界みたいだし」


 俺を一瞥しながら答えるイグニスさん。


 『了解。 じゃあアウトの方にも連絡して副班長達も呼んどきますね』


 イグニスさんがこれを聞きながらウズメさんにアイコンタクトする。

 ウズメさんが頷いて書類を取り出した。


 「あぁ、頼む。 それじゃ、行くわよ。 3、」


 カウントダウンを始めたイグニスさんは、俺から手を離して剣を抜いてウズメさんから書類をもらう。 


 「2」


 ウズメさんが俺のとなりに来る。


 「最初はイグニスちゃんからね? 中に入ったらまっすぐソフィアちゃんのいる地下に向かって。 道中、邪魔されたら倒しても構わない。 ただし、殺すのだけは駄目だよ?」


 早口に俺に指示を飛ばすウズメさん。


 「1」


 「・・・わかった」


 「よし、それじゃあ行こう」



 「0。 強制捜査開始!」



 イグニスさんが言うと同時に剣を燃え上がらせて扉を叩き斬った。


 「なぁ!?」


 中にいた連中が驚きながらも剣を抜いて構える。

 中心のソファーで、刺青の大男とピンク髪の女が札束を抱えて固まっていた。


 「て、てめぇら! こんなことしてタダですむと思ってんのか!?」


 大男が怒鳴り声を上げた。


 「い、家の扉を壊して押し入るなんて! 誰か、自警団を呼んできて! 強盗よ!」


 手下だろうか?

 ひとりが外に出ようと駆け出す。

 しかし。


 「外に出ることを誰が許可したの?」


 燃え上がる剣。

 それで通り道を塞ぐ。


 「お、横暴だ! 誰の許可があってこんなことが許されてんだ!」


 イグニスさんが書類を見せつける。


 「そうだな? 神様・・・ね?」


 「はぁ?」


 全員のなに言ってんだおめぇ?と言わんばかりの目を向ける。


 「あっはは! イグニスちゃん! 毎回言うよねそれ!」


 ウズメさんがイグニスさんの隣に立つ。


 「はい、と、言うわけで神様です」


 手を上げる。


 「舐めてんなのか? ふざけてんならぶっ殺す!」


 「んー? ふざけてないよー? 一応これ、証明書ね?」


 言いながら次の書類を取り出す。


 「どうもー! 『特別哨戒班』『衛生兵』件、『国王公認治安判事』であり、『アマノ神社』の跡取り娘で『巫女』やらせてもらってます『アメノ ウズメ』と言います! 大層な名前で申し訳ないですー!」


 書類には『国王公認治安判事』と、それを証明する国王の記名。


 「あ、アマノ神社!?」

 「おいやべぇって! アマノ神社っていやぁ、『アマノ宮司』が仕切ってる神社じゃねえか! 神降ろしが出来る巫女がたくさんいる、『幽世(かくりよ)』に1番近い神社だって聞いたぞ!?」

 「そんなところの跡取り娘の『巫女』!?」

 「ぐ、『宮司』ってなによ!?」

 「知らねぇのか!? 『公爵』の次に偉いやつだよ!」

 「こ、公爵ってなに!?」

 「この、ばかちんが!」

 「つか、神様に許可貰ってるって、あながち冗談じゃねぇんじゃねぇか!?」

 「嫌よ! 天罰なんていや!」


 その場にいた全員が慌てふためく。

 ・・・と、言うか。

 いま、公爵の次に偉いとか聞こえたんだが?

 え?

 この世界での宮司さんってそんなに偉いの?


 「ちなみに! イグニスちゃんは『特別哨戒班』『班長』件、『国王公認特別巡査部長』です!」


 「『副判事』も出来る」


 「なぁ!?」

 「お、おいおい待ってくれ」


 ピンク髪の女が驚き、刺青の大男は頭を抱える。


 「ってことはなにか? これから俺らは裁かれるってのか? ただ善意で金貸しただけだぜ?」


 「金を貸しただけねぇ・・・。 よく言えたものだな!」


 イグニスさんがダンッと床を蹴ると、床にヒビが入った。

 そのまま奥の地下へと続くだろう階段を指差す。


 「『清め人』! さっさとソフィアを連れ出してきなさい!」


 「あ、わかった!」


 俺は、慌てて走り出す。

 2人の肩書きに驚いて行動が遅れてしまった。


 ソフィアさん!

 今行くぞ!


 邪魔しようと目の前にあの男2人組が現れた。


 「行かせるか!」

 「とまれ!」


 俺は走りながらイメージする。


 殺さないでもダメージを与えられる形。


 拳。


 空中に6つの拳を土で作り上げる。


 「どけろ! ソフィアさんが待っているんだ!」


 人を殴るのに抵抗はないのか。

 正直ある。


 前世では喧嘩なんてしたこともない。


 俺の上の世代は族同士の殴り合いの喧嘩は四六時中だったのかもしれないが、俺の時代はそんなことはもう無かった。

 平和。

 人を殴ったことなんてない。


 相手は痛いだろうし、こっちも痛い。


 だから、もちろん抵抗はある。


 だが、ここは異世界だ。

 それに、失うものが何もないのもあるかもしれない。


 いや、失いたくないものがひとつだけできたのだ。


 それを守るためなら俺は、容赦しない。


 「うらぁ!!」


 拳を飛ばすイメージ。

 俺の叫びで6つの拳がそれぞれ、2人の胸、鳩尾、腰を思いっきり殴り付けた。


 「あがっ!?」

 「うぐっ!?」


 その場に倒れ込む2人。


 「悪いな」


 俺は先を急ぐ。

 この異世界で俺にできた失いたくないもの。

 大切な繋がり。


 『友達』を助けるために。


 ○


 私は、ハニオカさんと出会ってからの事を思い返す。

 倒れていたハニオカさんを見た時は放っておけなかった。

 それで騙されたのに、それでも止められない自分の性分を呪った。

 だけど、ハニオカさんは私を認めてくれて、決して裏切らなかった。

 それどころか。

 家を掃除してくれるところから始まって、質の良い薬草と、美しい水を私にくれた。

 借金の取り立てから身を挺して守ってくれた。

 私の借金に、心から腹を立ててくれた。

 私の借金を返すために必要な素材を集める旅に、立派な荷車で連れ出してくれた。

 村人を助けたい私の気持ちを否定するどころか、同じことを考えてくれた。

 山を登った先で、恥を偲んで『肥料』を作ってくれた。

 マール家に全て取られたときは、人一倍心配してくれた。

 立派なポーション素材のおかげで『特別哨戒班』の方々と知り合うきっかけをくれて、あのきっかけがなければ私は死んでいた。

 そして、彼は私にとって本当の『友達』になってくれた。

 彼の存在がイグニスとウズメとの仲を深めて新しい友達が出来るきっかけになってくれた。

 私の欲しかった大きな鍋のある『工房』を作ってくれた。

 一緒にポーションを一生懸命売ってくれたし、悪く言う人たちには私のポーションを否定される疑いなく使って、認めさせてくれた。


 ハニオカさんはいつも私を助けてくれる。

 ハニオカさんはいつも私の欲しい言葉を欲しい時にくれる。

 だから私は思うのだ。


 彼は私にとって都合が良すぎると。


 私が作り出した都合の良い夢だと思ったって仕方ない。


 だって、都合が良すぎるのだ。


 ご都合主義の物語だってもう少し都合が悪くなることもある筈だ。


 でも、ハニオカさんは確かに存在している。

 私にとって都合が良すぎる存在としてこの世界に居るのだ。


 優しくて、義理固くて、頑固で。

 私に似ているけれど、少しずるいところがある。

 私よりも年上なのに、優しいから気を遣いすぎる人。

 気を遣いすぎて失敗した時なんか少し落ち込んでいて、その姿は可愛かった。


 そんな、私にとって都合が良すぎて、魅力的な人。



 「ソフィアさん!!」



 ほら、今だって助けにきてくれる。



 「ハニオカさん!」



 心配そうな顔で走ってくる。

 私の両肩を掴んで全身を見たあと、ほっとして微笑むのだ。


 「良かった」


 本当に、都合が良すぎる。


 その微笑みに心が鷲掴みにされる。


 こんな、都合が良くて、魅力的で、素敵な人。



 好きにならない方が無理だ。



 「ハニオカさん!」


 私は赤くなった顔が見られたくなくて抱きついて彼の胸に顔を押し付けた。

 彼の匂いがした。

 急いでくれたのだろう汗の匂いが混じっていたけれど、その匂いさえも好きだった。


 「・・・怖い思いをさせてしまった。 ごめん」


 恐る恐ると言った感じで抱き返してくれた。

 温もりに体の力が抜けそうになる。


 謝る必要なんてないのに。

 それに、怖い思いなんてなかった。


 友達やその仲間が助けに来てくれたし、ハニオカさんも絶対助けてくれると思っていたから。


 でも、もう少し抱きついていよう。

 彼の匂いと温もりは不思議と落ち着く。


 

 あぁ、私は。

 どうしようなく、ハニオカさんを愛している。



 この気持ちをはっきりと自覚したのはウズメと話したときだ。


 もう、認めるしかない。


 彼が私を助けてくれるなら、私も彼を助けよう。

 彼が私にとって都合の良い存在なら、私も彼にとって都合の良い存在になろう。


 彼が1くれるなら、私は10を返したい。


 いや。


 彼が私に何もくれなくても、私は彼に全てを捧げたい。


 私は彼を愛している。


 ○


 思わず抱き返してしまったが良かっただろうか・・・。


 「じゃあ、僕は先に上に行くね? そろそろ、アウト達が合流して最後の一仕事になると思うから」


 不安な俺をよそに、そう言った少年、フィールが上に消えていった。


 「え~と・・・。 ソフィアさん? そろそろ上に戻りませんか?」


 「・・・もう少し、このままで居たいです」


 いや、それは俺もだが。

 これ以上は画的に不味いだろ。

 おっさんが若い女の子を抱き締めるのは良くない。


 「俺もそうしたいのは山々なんですが、イグニスさんとウズメさんも気になりますし」


 「あっ!」


 思い出したような声を出して仰け反るソフィアさん。


 「そうでした! お2人とも来てくれてるんでした! 行きましょう!」


 立ち上がって体を叩いて埃を落とすソフィアさん。


 「よし、行こう!」


 俺は、ソフィアさんとともに1階に戻る。


 階段を上りきって最初の居間に出た。


 そこでは、入り口の方に『特別哨戒班』、ソファーの周辺に『マール家』が勢揃いして睨み合っていた。

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