幕間 教師たちの残業
レーティング戦最終日。
最後まで、生徒たちは己の順位を上げるために試合を行った。
そうして全ての試合が終わり――そこからが、教師たちの仕事の始まりだった。
テクノ学園には高等部の学舎の他、大学部が入っている七階建ての巨大な研究棟がある。一階に職員室があり、それより上階には教授やゼミ生のための研究室が設けられている。研究棟は高等部が利用することはあまりないが、教員の中には好んで活用している者も居る。普段の仕事は職員室のデスクでも十分でも、高性能のコンピュータを利用したり、特殊な資料が必要な場合もある。そうでなくても、一人になって作業をしたいという者もいるだろう。
研究棟三階南奥。
占術関連資料室という名が冠された、ほとんど物置となっているその部屋では、薄暗い中でコンピュータの灯りだけが怪しく光っている。
そのディスプレイの前で膝を抱えて椅子に座るのは、高等部において一年技術科のクラス担任をしている、円居鶫教諭だった。
「……はい、これで六組目終わり……あと三十試合……」
ディスプレイに映るのはユースカップ校内予選の様子である。
円居教諭の目は半ば死んでいる。無理もない。すでに何十試合という記録映像を見続けており、手元のダブレット端末に評価を入力するのももはや作業と化している。
そんなところに、乱暴に扉を開けてジャージ姿の男性が入ってきた。
「よぉ、円居。捗ってるか!」
「……学校内では『先生』をつけてください、西園寺先生」
煩わしさを隠そうともせずに、円居は言い返す。それに構わず、部屋に入ってきた西園寺教諭は「ガハハ」と豪快に笑って流す。
二年実技B科担任。西園寺矢風。
現在は同僚であり、そして十年前は大学の先輩後輩の関係であった西園寺教諭に対して、円居教諭は面倒な人が来たと肩を落とす。
「捗ってるも何も、あと三十試合分残ってますよ。大学部の論文がどうとかで、主任が逃げた分を押し付けられて……そっちはどうなんですか。サボってて良いんですか?」
「んなもん、とっくに終わったっての。俺んとこの担当少ないし、最終審査まで時間があるからな。だから遊びに来ちゃった」
殺してやろうかこの男。
という殺意を入念に心の奥底にしまい込みながら、円居教諭は椅子の上で膝を抱えたまま、再び画面に目を戻す。
そんな彼女の様子を見て、西園寺教諭はつまらなそうに目を細める。
「ふぅん。まあどこで見ようと勝手っちゃ勝手だが、しかしよ。別にこんな薄暗いところで見なくても良いんじゃねぇの? キノコみたいになるぞ」
「ほっといてくださいよ。できればこのままシメジになりたいです」
「がはは、担任のクラスじゃテンション高いくせに、何言ってんだお前」
「ソッチの方が生徒も心許しやすいでしょうからね。キャラ作りは基本ですよ」
ジメジメした声で言いながら、円居教諭はタブレット入力を終わらせ、次の試合映像へと意識を移す。来週から始まるリーグ戦出場者は、明日の午後に発表される。最終審査は明日の午前中に行うので、教師個人による二次審査は今夜中に終わらせなければいけない。
映像を流しながら、円居教諭は無造作にそばのコンビニ袋へと手を突っ込む。ゴソゴソとしばらく漁った後、程なくして缶を一本取り出す。
プシュッ、と気持ちのよい音が室内に響いた。
「……おい、勤務中に何飲んでやがる」
「タイムカードはもう押しましたからねー。サービス残業なんてくそくらえです。今はプライベートですよぉ。あ、先輩もどうです?」
「お前こそ職場じゃ先輩はやめろって……おし、ツマミよこせ。代わりに冷やしてやる」
言いながら西園寺教諭は冷却魔法を起動させ、缶ビールを一瞬で冷やしてみせる。
ダメ大人二人の出来上がりだった。
「んで、次はどいつだよ」
円居教諭の隣に椅子を持ってきて、西園寺教諭は真剣に見る準備を始める。
どうせならと、円居教諭はスルメをかじりながら、ある生徒の試合を記録した動画ファイルを探し始める。
「せっかくなんで、一年対決を。今年の一年は優秀すぎて困りますね」
「一年なー。明星が頭ひとつ飛び抜けているかと思っていたら、久我の登場でかなり荒れちまったからな。あいつには、三年の大半がやられて順位が狂っちまった」
「まさにそれです。ありましたよ、久我さん対明星くん。これ、先輩は見ました?」
「たまたま現地で見たよ。あんときゃ、伏義が自信喪失してたまらなかったな」
再生され始めた動画を見ながら、西園寺教諭は「へっ」と苦笑を漏らす。
久我アヤネと明星タイガの勝負は、学生とは思えない高レベルな魔法の応酬だった。予選でありながら、おそらくずっと記録として残り続けるだろうと確信するほどだ。
その学生離れした二人の実力者を見ながら、西園寺教諭はつまらなそうに目を細める。
「円居は、こいつのこと知ってたか?」
「まあ、研究科とは言え一年ですし、何より神童の片割れなので、成績くらいは知ってましたよ。でも、ずっと保健室登校でしたし、流石にあんな実力者とは思いませんでした」
レーティング戦途中でも、何度も試合の採点のために動画を見てきたが、こんな戦い方をする魔法士を円居教諭は見たことがなかった。
スタイルとしては、プロリーグのバディ戦でよくある遠距離魔法戦である。しかし、実際の戦法は似ても似つかない、高度な知識と高速の思考が必要となる人外の業だった。
「頭にスパコンでも積んでるんじゃないかって思いますよ。一工程の積み重ねによる、物理現象の変遷。同じことができるのなんて、教師陣でもそういないと思いますよ」
「だな。ありゃ天性のもんだ。常人にゃ真似出来ん。身体障害のおかげでおとなしく見えるが、あれが五体満足だったら、魔法史を塗り替えかねないだろうよ。ま、俺は好かんがね」
つまらなそうに鼻を鳴らしながら、西園寺教諭は苦々しそうに吐き捨てる。
そんな彼の様子に、クスリと円居教諭が笑みをこぼす。
「また始まった。先輩の才能否定。ほんと天才嫌いですよね」
「天才が嫌いなんじゃねぇよ。人に真似出来ない一代限りの特例が気に食わないだけだ」
映像の中の久我アヤネを睨むように見ながら、西園寺教諭はつぶやくように言う。
「こいつの才能はただの暴力だ。勝敗を決めるだけなら良いが、競争による周りの成長は望めない。なぜなら、こいつからは学ぶところがないからだ」
久我アヤネの技術は、圧倒的な能力があって初めてできることだ。
確かに、一つ一つは誰でも真似できる初歩の魔法である。しかし、それをいくつも組み合わせて、起きうる物理現象の全てを計算し尽くすなんてことは、常人には不可能である。円居教諭が例えたように、スパコンでも利用しないと追いつくことはできないだろう。
「こいつと張り合えるのは同等の天才か、あるいはそこまで上り詰めた実力者だけだろう。同じレベルでないと分かり合えない才能なんてものは、普通に生きてりゃ毒と変わりない。本人にとっても、他人にとってもな」
「毒、ですか。他人はともかく、本人も、というのはどうしてです?」
「そりゃお前、こいつ自身が成長できねぇだろうが」
画面上のアヤネを指差しながら、西園寺教諭は断言するように言う。
「始めから出来てしまうのと、研鑽を積んでようやく出来るようになるのでは、本人の精神性は大きく変わる。人は自分一人じゃ、精神的成長に限界があるんだよ」
「確かに、あの子を本当の意味で教えられる教師もそう居ないでしょうしね。そういう意味では、明星くんと同じ世代だったのは良いことだったかもしれないですね」
円居教諭は映像中で対戦をしている明星タイガの名前を出しながら、しみじみと言う。
明星タイガは、強大な力を持ちながらそれを努力で制御してきた少年だ。現在のテクノ学園において、彼ほど将来を有望視されている学生はいない。
落ちぶれたとは言え、未だ圧倒的な才能を見せつける久我アヤネに対して、同世代で張り合えるとしたら、彼くらいなものだろう。
「あと……まあ可能性があるとすると、もう一人の神童も、ですかね」
アヤネとタイガの試合の再生が終わると、円居教諭はすぐに次の動画ファイルを立ち上げる。その意味深な様子に怪訝な顔をする西園寺教諭だったが、画面に表示された名前を見て思わず声を漏らす。
「うわ、誰かと思えば、久能じゃねぇか」
「久能くんのこと、知ってます?」
「知ってるも何も、お前が推薦してただろうが」
西園寺教諭はすぐさま自前の端末で久能シオンのステータスを表示し、真剣な表情で画面と見比べる。そのピーキーなステータスは飽きるほど見たものだ。
「学内じゃ、久我が出てくるまでは注目株だったしな。それに、うちのクラスの伏義が負けたくらいだから、気になってんだよ。それで――相手は一Aの蔵前か。勝敗は?」
「久能くんの勝ちですね」
映像ファイルを再生させながら、円居が気負いなくあっさりという。
画面には、久能シオンが必死に魔力弾を避けている様子が映っている。普通の魔法士なら簡単に受け流せるような魔法を、彼は傷だらけになりながら避けている。
久能シオンと七塚ミラ。
魔法士としての能力は最低クラスであり、バディのファントムも因子一つのローランク。そんな誰が見ても最弱と言うだろうバディであるが、不思議と勝ち星が多い。
「なあ、円居」
「なんですか、先輩」
「なんでこいつ、勝てんの?」
正直な気持ちを口にした西園寺教諭に対して、彼女の返答はあまりにも投げやりだった。
「私が聞きたいですよ、それ」
缶ビールに口をつけながら、円居教諭は困ったように言う。
「確かに職員会議で彼を推薦したのは私ですし、自分のクラスの子なので多少肩入れはしてますけど、正直ここまでやるとは思ってませんでした」
最終日時点での久能シオンのランキングは十三位。この生徒の成績で到達できる順位では決して無い。まだ最終審査の結果次第で番狂わせが起きうる順位ではあるものの、リーグ戦への出場はほぼ間違いないと考えられている。
試合映像を見ながら、西園寺教諭が思わずと言った様子でつぶやく。
「おいおい、久能のやつ、今手書きの符術使わなかったか? あんなの実戦形式で教えるのは陰陽専科くらいだろ。お前のクラス、一体何を教えてんだよ」
「確かに授業中で教えたことはありますけど、でも東洋神秘基礎の講義で、ただの座学ですよ? 実戦形式の運用なんて教えてませんって」
最も、彼が使っているのは参考書の模写程度のあくまで基礎的な技術だ、と円居教諭は冷静に魔法式を分析しながら評価する。非常にアナログな手段ではあるが、決して型破りと言うほどのものではない。ただ、現代においては単純に効率が悪いと言うだけの話だ。
「わっかんねぇな」
頭をガシガシとかきながら、西園寺教諭は本気で疑問を覚える。
「魔法で作り出すならまだしも、ありゃ一枚一枚手書きで書いてるんだろ? あんな骨董品使うくらいなら、メモリスロットの多いデバイスを使った方がよっぽど効率いいだろ。手書きの呪符なんて使い捨てだし、一試合に持ち込めるのは十枚程度のはずだ」
試合で持ち込める魔法には、容量の限界が存在する。
サブデバイスの代わりに呪符を持ち込むとしても、一工程の魔法式が書かれた物を、十枚程度持ち込むのがせいぜいだ。それならば、組み込めるマテリアルに限りはあるが、何度も使用できるサブデバイスを持ち込んだ方が良いはずだ。
その西園寺教諭の疑問に、円居教諭は久能シオンの担任という立場で冷静に答える。
「久能くんの場合、身体に障害があるんで、通常の魔法が扱いづらいんですよ。それより、符術のような身体の外で起動させる古典式の方が、効率がいいんだと思います」
現代の魔法である『人工魔法』は、事象改変に必要な魔力を自身の体内で循環させて出力する。デバイスは基本的にその補助であり、魔法式の演算等を簡略化させる目的で使用される。つまり現代の魔法士の実力とは、如何に速く体内で魔力を循環させて、魔法式として外に出力出来るかという点にかかっている。
久能シオンは四年前の事故の後遺症で、体内の魔力の流路が断裂しているという。うまく体内で魔力を回せない彼は、通常の魔法を組むのに十秒から二十秒と言った時間がかかってしまうらしい。だからこそ、すでに術式が完成されている呪符のような、ただ起爆剤として魔力を送るだけで良い古典触媒との相性が良いのである。
「ちなみに、符術だけじゃないですよ。彼の戦法は、簡易魔法陣から、マントラ、風水まで色々取り入れた節操なしです。ほら、ここなんて、ルーン文字を刻んでるんですよ。こんなの、三年の専門課程じゃないと教えないはずなのに」
「ん、じゃあもしかすると、この魔方陣の並びはクリフォトか? セフィロトの反転、『拒絶』のシェリダーか……あくまで表面をさらうだけだから概念属性の呪術って意味じゃ弱いが、普段見慣れない相手に取っちゃ厄介極まりないだろうな」
「ちなみに、カバラについては私が教えたんですけどね。ちょっと前に質問を受けたので、個別に補習授業をしてあげたんですけど……まさかそれを実践レベルで仕上げてくるなんて、思いもしませんでした」
視点を変えてみていくと、久能シオンの試合には幾つもの策略が見て取れた。
その殆どは意味をなさない、とりあえずで置いている布石である。それらを、死中の中で組み合わせて勝ち筋を探っていく所にこそ、彼の本当の実力であると言えるだろう。
「何より重要なのは、彼が利用している技術は、魔力があれば誰でも使えるってことです」
呪術や魔術、占術に仙術と言った、あらゆる文化圏で個別に行われてきた魔法技術。
それらを、現代においては古典魔法と呼ぶ。
体系化される以前の、個々の文化圏で使われていた魔術文化。それらは、使用するだけならば知識さえあれば誰でもできる。もちろん効果を求めるならばそれなりの修練が必要だが、シオンがやっているのは本当に基礎の部分でしかない。
やろうと思えば誰でもできる技術を、いくつも組み合わせてゲームメイクを行っていることこそが、久能シオンの強みであると言えるだろう。
一通りシオンの試合を見終わった二人は、疲れ切ったように同時に息を吐いた。
「この通り、見れば見るほど新しい策が見えてくるんです。そのほとんどがうちの学校では教えないような古典魔法って所が、評価しづらい点ですけどね。だからこそ、加点が難しいですが減点も難しい。勝ち星の割に順位の上昇がゆっくりだったのもそれが原因です」
「そうだな。こいつをまともに評価できるのは、日本だと呪術系の専門課程がある陰陽専科か、カルチャークラフト全般を取り扱っているオカルト芸学くらいだろ」
西園寺教諭は動画をコマ送りで再生させながら、顎に手を当てて目を細める。
「ゲームプレイヤーとしての技術で言えばまだ荒削りだ。隙も多いし無駄もある。今の久能に負けるのは、単純に対戦相手の力不足と言えないこともない。だが……ここまで先を見据えたプレイングができる学生は、インハイでもそう居ないだろう」
「これでせめて、彼に平均的なプレイヤーくらいの魔力量と出力量があれば、と思ってしまいますね。これだけのプレイングをして毎回辛勝なのは、見ていてもどかしいです」
評価項目を記入していく。試合の結果だけで見れば辛勝といった印象なのだが、立ち回りの加点をしていくと、贔屓目を除いても大きな点数になるのだ。
円居教諭の採点を見ながら、西園寺教諭は真剣な眼差しで言う。
「片手間に見ていい生徒じゃないぞ、こいつ。少なくとも、テクノ学園の教育方針とは間逆すぎる。もし本気でプレイヤーとしてやっていくなら、陰陽専科かオカルト芸学辺りに行くべきだ。デジタルかつ適正主義のうちじゃ埋もれるぞ」
「でもそれは、プレイヤーとしての考え方ですよ、西園寺先生」
難しい顔をした円居教諭がその忠告に言い返す。
「学期末の時点での久能くんの志望は技術職です。実際、神童と呼ばれていただけあって、魔法式の作成能力は学年トップクラスですからね。ゲームプレイヤーとしての進路を考えるならともかく、技術開発ならばテクノ学園が一番なんですよ」
「けど、これだけの素質だぞ? うちじゃまったく評価されないかもしれない実力者を、飼い殺しにするのはあんまりだ。何より、こいつは絶対にプレイヤー側の人間だ」
西園寺教諭は評価データを指差しながら、はっきりと断定する。
伏義イズナ戦における、入れ替わりを誤認させる不敵な笑み。
蔵前ユイチ戦における、地面に線を引いて凄んでみせた仕草。
他にも、彼の試合を見れば、いくつもそういったブラフを見つけられる。
その場しのぎでは終わらない、リスクを取れる勝負勘。リターンを計算した上で一歩を踏み込めるその胆力。彼には勝負師としての素質があると西園寺教諭は思った。
「確かに能力的には瑕があるが、適切な指導があればトッププレイヤーも夢じゃない。なんなら俺が引き受けてやってもいいくらいだ。他の奴らにこいつを評価できるとは思えない」
「まあまあ、指導については来年度以降のクラス編成で考えましょう」
いつの間にか熱が入ってしまった西園寺教諭に対して、なだめるように円居教諭は言う。
「評価されるかどうかは、今回でわかると思いますよ。確かにテクノ学園ではデジタル式の魔法式以外は軽視されがちですしね。彼のようなプレイングが嫌いな先生は評価しないでしょうし、評価する人はプラス点をつける。最後の採点教師の加点次第でリーグ戦に出場できるかが、そのまま彼の評価につながると考えて間違いありません」
現代の人工魔法の真反対を行く、古典魔法主義の魔法士。
学校で教えないことをあえてやる姿勢は、反感を覚えられても仕方ないだろう。
けれど、彼が試合で勝つにはそれしかないのだ。
その苦肉の策がどこまで通用するのか。それこそが、様々な人間から注目される一番の理由なのだろうと円居教諭は思った。
西園寺教諭はビールをあおると、ぼやくように言った。
「久我に久能か。かつての神童の復活か。こりゃ、本戦が楽しみだな」
「二人共、教師陣での評価が真っ二つな生徒ですけれど、その点は満場一致ですね」
ビールを口にしながら、円居教諭は教師としての顔ではなく一人の魔法士として言った。
ふぅ、と。二人は一息ついて、同時に手元の缶カンを振ってみせる。
「……飲み足りねぇな」
「……飲み足りないですね」
買ってくるか、と。
二人同時に、席を立った
夜が更けていく。
ユースカップ、テクノ学園予選は、残す所リーグ戦のみとなっていた。
※ ※ ※
そして、日曜日。
十五時に、リーグ戦の出場者とその組み合わせが発表された。
十五名を選出して、五人ずつを三つのブロックに分けての総当たり戦。それぞれのブロックで、上位二名がユースカップ本戦に出場することができる。
休日ではあるが、学内施設が開放されている関係で、多くの生徒がその組み合わせ発表を見に集まっていた。
その中に、車椅子に乗った少女の姿があった。
「………」
結果を見た少女は軽く息を呑んだ後、内心を隠すようにそっと下唇を噛んだ。




