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【書籍化&コミカライズ】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。  作者: ごろごろみかん。
第三章:裏の日記

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都合が悪くなると怒鳴る方っていますよね

「謝る気はありませんし、これ以上あなたとお話する気もありません。この件は追ってシェーンシュティットの家から抗議させていただきます」


「どうして!?」


どうしても何も……。

というか、何が『どうして』なのかこちらが聞きたいわよ……。

私は彼女の言葉を黙殺すると、リュカに声をかけた。


「行きましょう。時間が勿体無いですから」


「お義姉様は意地悪だわ!前はそんな意地悪じゃなかった……!でも、違うのでしょう?ほんとうはすっごく性格が悪くて、それを誤魔化していたのよね!?私たちを騙していたのでしょう!?騙される私たちを見て、楽しかった!?わ、私はお義姉様のこといいひとだなって……このひとなら、お兄様の奥さんとして認められるって、そう思ったのに……」


踵を返した瞬間、背中にそんな大声が投げつけられる、ので。


足を止める他、ないじゃない??


こんな暴言を吐かれてなお、穏やかに接することは、少なくとも私には無理。彼女の言葉は私を貶すものであり、私の矜恃を傷つけるものだ。

くるり、振り返って私はルアンナを見た。


ルアンナは振り返った私に、何を怖がっているのか体をビクつかせた。

よくもまあ、ひとりでこんなところまでやってきて、そんな喧嘩を売れるものだと思う。

考え無しなのか、根性が据わっているのか……。恐らく前者のような気がしてならないが、私はすぅ、と息を吸った。


「あなたは、自分の都合が悪くなるとすぐ怒鳴りますね。どうかと思います」


「私は!」


「黙りなさい。認めてあげた、って何です?そもそも、あなたの許しなどいりません。許しを得る先は、当主であるザイガー子爵であり、彼が許可を出したから、この婚約は結ばれたのです」


「でも!」


「あなたが口を開けば開くほど、ザイガー子爵家の家門に泥を塗っていること、まだご理解していない?……理解に苦しみますわ。なぜ、あなたのような方を養子にされたのでしょうね。ザイガー子爵は」


「っ……」


反論する隙も与えずに叩きつけるように言葉を並べ立てる。

ルアンナは言い返す言葉がないのか、どこから反論すればいいのか分からないようではくはくと口を開閉させている。

私は、最後に、と彼女に言った。


「ルアンナ・ザイガー。あなたがこれからも社交界にいたいと思うのなら。あなたを受け入れてくれたザイガー子爵に迷惑をかけたくないと思うのなら。金輪際、私に関わらないで。これくらいなら、あなたにも理解できるでしょう」


「私は……」


「話す時は、頭を一度通しなさい。何でもかんでも、思ったことを口にするのは愚か者のすることです」


ピシャリと言うと、ルアンナは押し黙った。


カッと頭に血が上り、怒涛のように言葉をたたきつけてしまった。しかし、後悔はしていない。

言わなければ、相手には伝わらないもの。特に、ルアンナのような人間にはハッキリと言った方がいい。

以前の私は彼女に優しかったのかもしれないけど、今の私は決して彼女におもねることはしない。

嫌なことは嫌だし、馬鹿にされたら腹だって立つ。


だけど、リュカはきっと驚いたことだろう。


以前の私は、クリストファー殿下曰く、【苛烈】だったらしいが、ルアンナとジュリアン評は【大人しく気弱】だ。

もし、リュカの知る私が、ルアンナやジュリアンと同じものだったら、彼はとんでもなく驚いたのではないだろうか。

先程の私は、【大人しく慎み深いシャーロット】とはかけ離れた姿だっただろう。

その自覚があるので、気まずくてリュカの顔が見れなかった。


私は、足早に甲板から下る階段へと向かった。


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毒を飲めと言われたので飲みました。
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